学園仮面ライダー ~インリデンとライド 乗り手求めて多重世界~ 作:大島海峡
――この日のより前のことは、あまりよく覚えていない。
青ウォズ先生が【自分】の目の前に現れ、入学を誘われたことが、始まりだったことだけは覚えている。
気づけばそこは、ライダー学園と呼ばれる場所の、門前。ありとあらゆる世界の
今や無数に拡張していく並行世界。そこから集められた、英雄――仮面ライダーと称される力とそれを持つ資格と覚悟を有する若き才児たちが通い、各々の世界を救うべく団結するために作られた、私立学校。
高い城塔を想わせる外装。白亜の校舎に洗練された設備の数々。数日前に邪悪な存在の襲撃によって半壊させられたとは、到底思えない。
そういう場所の前に、立っていた。
濃緑の制服を着て、学生証代わりの携帯端末をその胸ポケットに。そしてゲートの通過には、許可証も兼ねた各々の変身アイテムが必要なのだが……【自分】は、ライダーの力を持ち得ない。
代わり、気づけば手にしていたバーコードのみが刻まれた無地のカードを通し、中へと入る。
「おい」
その直後に、ぞんざいに声がかかった。
顧みれば、用務員らしき男の背があった。
絶妙に顔が見えない角度に首を傾けたまま、花壇の手入れをしていた。ただ、銀色の髪とピンクと表現するにはやや濃すぎる色味のツナギを着込んでいる。
「お前が例の新入生か?」
否定する、という選択肢は無かった。むしろこの時、問われた事がそのまま【自分】の正体、その意義として固まったような気さえする。
はい、という答えを出すことに、躊躇いはなかった。
「そうか……じゃ、入学祝だ。良いものをやるよ」
そう言って、背を向けたままに彼が差し出したのは、一台のトイカメラ。思わず手に取る【自分】に、彼はこう告げた。
「これから、お前は多くのライダー達との出会いを果たすことになる……そしてその内のいくらかは、去っていくだろう。その出会いも別れも、収めていけ。そしてそいつらが生きた証を、共に旅をし、見届けろ……すでに去ってしまったヤツらの分もな」
一方的だが不快感のない、不思議な声音の持ち主だった。
「よっ」
再び、声がかかる。
その時には既に、男の姿は消えていた。
実在していたのか、幻だったのか。それを分つものがあるとすれば、手元のトイカメラだけだった。
「君が、例の新入生のタチバナ? はじめまして。俺は小野寺ユウスケ。仮面ライダークウガ、の一人ってとこかな」
と、人懐っこい感じで微笑みかけ、ゆったりした動作で、変身ポーズをとってから、自分の名刺を手渡してきた。なのでカメラを後ろ手にしまい込んで、慌てて頭を下げ返す。
――しかし、『タチバナ』とは……?
「あぁ、悪い悪い。それがライダー名に代わる、君の
先に会った男に、問われ、何者かを定められたのが原因だろうか。
あまりに重く多く課せられた役務に対しても、【自分】は――タチバナは、すんなりとそれを受け入れることができた。
「良い返事だ」
屈託ないユウスケ先生の笑顔が、理由も無く嬉しかった。
「ちょうど雷寮に空いている一室がある。正式な受け入れ準備が出来るまでは、そこを好きに使ってくれ」
そう説明を受ける【自分】たちの頭上を、風が矢のように吹き抜け、春雷の残響を聴いた気がして、ふと一瞬足を止め、
上下に揺れる桜の枝が、この新顔の入学を、祝福しているかのようだった。
というわけで、本作はここまでで締めとさせていただきます。
……うん、なんというか、当たり前かつ今更なんですが、求められるに応えること、応じようとし続けることって、本当に難しいですね。
個人的には楽しくはありましたが、題材が題材だけに、それをつくづく痛感させられた作品でした。
なんかもう本当に後半は目に見えてズタボロでしたが、何言っても愚痴と言い訳にしかならないので口は閉じます。すべては、安易な気分で始めた私の責任です。
やっとオーズに取り掛かれるので、そっちの締めに入りつつ、まだやりたかったこと、書き切れなかったこともあるので、また近いうちに係累の作品は短編とかオムニバスでやりたいと思います。
やろうと思えば登場させた生徒で短編書けるとは思いますが、それでもただ今は、全部放り出してゆっくり休みたく存じます。何卒お許しくださいませ。
相当数のオリキャラが出た作品でしたが、その内の誰か一人の一瞬でも、読者様の心や記憶のどこかに触れる何かがあれば幸いです。
また、その中でも
インリデン&ライド(詩島広子)
0型(飛電嵐子)
スードゥ(三崎行矢)
ウィークエンド(ゴウドン)
シメエル(井田希竜)
ファルシオン アメイジングセイレーン(加美瑠奈真美矢)
アナザーパラドクスパズルゲーマーレベル50(グッズ)
雑利(志道亮吉)
プロトディケイド(光大正糵)
平山建比古(仮面ライダー9号) ※ライダー未登場につき逆表記
以上のライダーやキャラをご提供いただきました栗助様、まことにありがとうございました。混在させるわけにもいきませんので、遅ればせながらこの場を借りて列挙させていただきました。
また、十分にそのキャラクター性を活かし切れなかったこと、活躍を盛り込めなかったこと、深くお詫び申し上げます。
何はともあれ、読者の皆様におかれましては、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
それではまた、何処かの場にてお会いできるのを楽しみにしております。