がんばれ聖騎士さん   作:アへ顔ダブルシールド

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勢いでry



竜王国でがんばれ④

馬上から盾を振るう。

すると、一振りで十数人のビーストマンが木の葉のようにまとめて吹き飛び、盾に掠りでもした者は行動不能レベルの致命傷を負う。

余波の風圧で吹き飛ばされた者の大半はまだ生きているが、両足が小鹿のように震えている。既にまともな戦闘が出来ない彼等に対し、兵士達が止めを刺していく。

 

「お、おぇ()()がぁ!おえひまっは(折れちまった)!」

「爪が通らない!?硬すぎる……!お、お前ら人間じゃねぇ!」

 

当然ながらビーストマンも抵抗しているが、アルフォスはもちろんのこと、兵士達にすら傷一つつけることが出来ないでいる。

 

噛みつけば牙はへし折れ、振るった爪は砕け散った。

 

今の兵士達の防御力は、レベルにして40を超えるタンク相当のものだ。

稀に掠り傷程度のダメージを与えられる猛者もいるが、そのダメージも全てアルフォスが引き受けているために、ビーストマンからすると攻撃の一切が無効化されているように見える。

 

「くたばれ畜生共め!〈聖撃〉!」

「ぐわああ!」

「な、なんだ!?武技か!?」

「がああああ!!くそっ!あ、あんな鈍らに、俺の腕が……!」

 

兵士が振るった剣を、分厚い腕の筋肉で受け止めたビーストマン。しかし、兵士が〈聖撃〉を使用すると、僅かに食い込んでいただけの剣が、するりとビーストマンの腕を斬り落としてしまった。

 

ここにいる兵士達は歴戦の猛者であり、レベルにして15程度。

それでも、相手のビーストマンも戦闘や狩りを生業とする戦士達であり、レベルで言えば兵士達と同等以上。

人間種とビーストマンでは同レベルでも身体能力に圧倒的な差が生じるので、武技を使用しなければ兵士達の攻撃は大した有効打にならない。

 

しかし、今は違う。

アルフォスが事前にスキルと魔法で支援し、さらに戦闘中に追加で補助魔法を使用したため、武技を使わずともビーストマンに大きなダメージを与えることが可能だ。

それに加えて〈聖撃〉を使用して追加ダメージを与えて来るので、兵士達の攻撃一つ一つが、ビーストマン達にとって致命的なものとなっていた。

 

爪を持たず、鱗を持たず、翼を持たず。

夜闇を見通す眼も、野生動物のような嗅覚も持たない。

何の取り柄もない、自分達に搾取されるだけの劣等種共。

 

そんな奴らに、誇り高きビーストマンである自分達が一方的に蹂躙されている……理解不能な現実に直面し、ビーストマンの軍勢は大混乱に陥っていた。

 

「(順調だな。兵士達はレベルこそ低いが、連携は上手いし戦意も高い。きっと、長い間ビーストマン達と戦い続けて来たのだろうな)」

 

戦況に気を配りながらも、アルフォスは攻撃の手を止めない。

ビーストマンを弾き飛ばし、無人の野を行くかのごとく戦場を爆走する純白の軍馬(ウォー・ホース)に跨りながら、両手に持った盾を交互に振るう。

 

致命傷は与えない。

可能な限り広範囲のビーストマンを吹き飛ばすように、すくい上げるような打撃を喰らわせる。

 

今重要なのは、ビーストマン達を都市の中へ入れないことだ。

一体一体を確実に倒すよりも、複数を素早く戦闘不能にする方が良い。

直撃せずとも、レベル100の腕力で吹き飛ばされたビーストマンは瀕死一歩手前の状態になる。とどめは兵士達に任せれば問題ない。

 

自分一人で戦うのではなく、仲間と共に連携して戦う方が効率が良いのだ。

 

 

……なお、アルフォスは両手に盾を持っている。

 

左手に盾、右手に剣、ではない。

()()に盾である。

 

左手には体をすっぽり覆うサイズのタワーシールド。

右手には大剣……の、ように見える重盾(ヘビィ・シールド)

 

そう、この大剣は剣ではない。盾である。

 

外見だけなら、青白いオーラを纏った白銀の大剣だ。

しかし、よく見るとわかるが側面に刃がついておらず、剣先も丸くなっている。鋭利な部分が一切存在しないため、どう頑張っても物を斬ることは出来ない。

 

出来るのは、敵の攻撃を防ぐことと、側面でぶん殴ること。

当然ながら殴打属性のため、命中した相手を大きく吹き飛ばす。

 

スキルと魔法を使い、味方へのダメージを引き受け、強化(バフ)、回復でサポートしつつ、最前線でどっしり構える。そして、迫りくる敵を吹き飛ばして後衛の魔法詠唱者(マジック・キャスター)を守る。

 

それがアルフォスの戦闘スタイルだ。

 

「っ!〈鈍足(スロー)〉〈麻痺(パラライズ)〉」

 

兵士達を無視し、都市へ向かおうとしたビーストマン達を魔法で足止めする。

 

両方とも低位の魔法だが、レベル差が大きいので抵抗出来ずに地面でばたばたと藻掻くビーストマン達。それに対して兵士達が次々に止めを刺す……が、他にも多数のビーストマン達が兵士達を素通りして、城壁の方へ抜け出してしまった。

 

しかし、焦る必要はない。

戦闘開始当初ならともかく、今は心強い援軍が来ている。

 

城壁に接近する十数体のビーストマンに、矢の雨が降り注ぐ。

城壁の弓兵による一斉射撃により、ほとんどのビーストマンが倒れる。それでも、一際大柄でタフなビーストマンが、矢を受けながらも突撃を止めないが───。

 

「〈衝撃波(ショック・ウェーブ)〉!」

「〈束縛(ホールド)〉!」

「〈正義の鉄槌(アイアンハンマー・オブ・ライチャスネス)〉!」

 

不可視の衝撃波で脳を揺さぶられ、足を一瞬止めたところを魔法で拘束。完全に無防備になったところで、光り輝く正義の鉄槌───文字通り鉄槌(ハンマー)である───が、すっ飛んできて脳天をかち割った。

 

その後も魔法と弓矢による攻撃は続き、ビーストマンは誰一人として城壁に辿り着けない。

 

「(あの三人……都市へ接近するビーストマンを優先して倒してくれている。弓兵達への指示も上手い。雇われた傭兵か、冒険者かわからないが、ありがたいものだ)」

 

魔法を使用したのは、城壁の上にいる三人の男(?)。

頭のてっぺんから足のつま先に至るまで、素肌を一切見せない異様な格好をしており、見た目からして竜王国の兵士達とは明らかに趣が異なる。

 

そのため、アルフォスは彼等を竜王国の外の人間だと予想していた。

 

「(三人共、第三位階の魔法が使える信仰系魔法詠唱者(マジック・キャスター)と言ったところか。彼等がいれば討ち漏らしは問題なさそうだが……レベルは恐らく20前後。そろそろ魔力が切れるはずだ。その分は私がカバーしなければ)」

 

そう考えたアルフォスは、追加でスキルを起動する。

 

天界の翼(セレスティアル・ウィング)

鋼鉄の羽根(メタリック・フェザー)

 

アルフォスの背中から純白の翼が生え……次の瞬間、その翼は金属のような光沢を放つ。

 

「(敵戦力はあとわずかだが、こちらもそろそろスキルの効果時間が切れる。早く決着を着けねばなるまい。手荒なことをしてしまうが、許しは乞わん……恨んでくれ)」

 

翼はアルフォスの意思で自在に動き、周囲のビーストマン達を吹き飛ばしていく。

 

羽根は一枚一枚が名剣のように鋭い。

当たったビーストマンは空中に吹き飛ばされつつ、ズタズタに切り裂かれた体中の傷から、地上に向けて真っ赤な血を撒き散らした。

 

 

 

 

 


 

【スキル・魔法紹介】

 

・〈衝撃波(ショック・ウェーブ)

不可視の衝撃波を飛ばす。\ショックウェイッ/

本作では第三位階の信仰系魔法。

威力は同位階の他の攻撃魔法より低めだが、発動と命中までの早さ、射程距離が非常に優秀で使い勝手が良い。

 

・〈束縛(ホールド)

魔法の鎖で敵を拘束する。

本作では第三位階の信仰系魔法。

発動までに多少のラグがあるため、勘の良い戦士や獣には寸前で回避される可能性がある。そのため、直前に〈衝撃波(ショック・ウェーブ)〉を当てることで隙を作っている。

 

・〈正義の鉄槌(アイアンハンマー・オブ・ライチャスネス)

光り輝く鉄槌(ハンマー)を打ち出す。

本作では第三位階の信仰系魔法。

威力は高いが、命中までの時間が少々長い。

確実に当てるため、しっかりと足止めしてから使用した。

 

現地世界のスーパーエリート魔法詠唱者(マジック・キャスター)、陽光聖典の隊員たちは人並外れた鍛錬と、同じ神を信仰するがゆえの抜群の連携を可能としている。

 

なお、今回登場した三人は碌でもない理由で都市に残っていた。

理由を都市の人間が知ったら、ぶちぎれること間違いなし。

 

・〈天界の翼(セレスティアル・ウィング)

半天使(ハーフエンジェル)の種族スキル。

天使の翼を生やす。飛行可能。

飛行速度は地上にいる時と同じだが、重武装の場合は速度が落ちる。

 

アルフォスは空中戦が苦手。

仮に、レベル100の鳥人(バードマン)であるペロロンチーノと空中で戦った場合、射撃の的にしかならない程度の強さ。

 

・〈鋼鉄の羽根(メタリック・フェザー)

半天使(ハーフエンジェル)の種族スキル。

天界の翼(セレスティアル・ウィング)〉で生やした翼を金属質に変化させる。

打撃と斬撃属性による攻撃が可能になる。

攻撃を受ける側にとっては一撃の重さも増すが、実は重量は変わらない。そのため、移動速度に悪影響はない。

 

羽根を飛ばして遠距離攻撃とかは無理。

力づくで引きちぎってぶん投げれば、投げナイフの代わりにはなるかもしれない。

 

 

 

 

 

【装備紹介①】

 

[ガーディアン・オブ・オーダー]

 

純白の全身鎧。神器級(ゴッズ)

全身鎧の中では防御力が低い方だが、移動速度・攻撃速度を強化する能力を持つ。

実はデータ容量が絶妙に少なく、性能の一部もアルフォスの戦闘スタイルと噛み合っていない。そのため、ゲームシステム上はギリギリ神器級(ゴッズ)に分類されるが、アルフォスにとっては伝説級(レジェンド)装備に相当する。ちょっと残念な代物。

アルフォスが師と仰ぐ純銀の聖騎士が昔使っていた鎧。

譲り受けた後、素材を使用して強化している。

 

 

 

 

 

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