がんばれ聖騎士さん 作:アへ顔ダブルシールド
勢いが止まったので更新も遅れます。
「いくぞ。各員、行動開始!」
「承知」
「了解した」
ハンゾウとジンナイが配下と共に姿を消す。
それを見たアルフォスは、武器と防具を変更して〈
目指す先は城塞都市の真上だ。
「(上手くいくといいのだが……)」
ユグドラシルでは常に聖女と共にいた。
様々なクエストを達成してきているが、アルフォスだけの力でクリア出来たものは多くない。傭兵モンスターもいるとはいえ、どうしても不安は残る。
「(……駄目だ。弱気になってはいけない。大丈夫、相手にプレイヤーはいないし、レベルもずっと低い。何とでもなるはずだ)」
城塞都市上空に辿り着いた後、気合を入れるようにして深呼吸、すぐさま北の城壁付近へ向けて降下する。
アルフォスの役目は陽動だ。
ジンナイ配下のモンスターは25レベル。
性能的にはジンナイをそのままスケールダウンしたようなものになっており、多少の負傷を癒せる回復系の
ハンゾウだけならともかく、ジンナイ達全員が侵入したら気づかれる可能性は高い。全員が侵入するための隙を作り、尚且つ、市民が救出されるまでの時間を稼ぐ必要があった。
「(……そろそろ始めるか)」
降下地点まであと数百メートル。
速度を上げつつ、アルフォスは魔法を使用した。
〈
〈
〈
アルフォスの肉体が岩に変わり、大きさが倍にまで巨大化する。
同時に〈
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───轟音、そして衝撃。
突如として街中に鳴り響いた爆発音。
音に続いて、一瞬遅れて地面が揺れる。先の戦いで初の大敗北を喫したために、警戒態勢だったビーストマン達の多くが動き出す。
耳の良いビーストマンならば位置を特定するのは容易く、ほとんどの者が迷うことなく音の発生地点……すなわち、北の城壁を目指した。
「今の音はなんだ!人間の攻撃か!?」
「わからん!俺が知るか!」
「お、俺は見たぞ!空から星が落ちて来たんだ!」
「馬鹿か!寝惚けたこと言ってんじゃねぇ!」
合流したビーストマンは互いに情報共有をするが、何が起きたのか確実に把握出来ている者は一人としていない。
そうこうしている内に音の発生地点に辿り着く。
凄まじい衝撃があったのか、今も土煙が巻き起こっており、その中がどうなっているのかまだわからない。
「───全員気をつけろ!迂闊に突っ込むんじゃないぞ!」
指揮官のビーストマンが周囲に指示を出す。
彼は一応この都市の指揮を任されている。頭が回り、強さも周囲のビーストマンより上だが、それでも最精鋭の平均クラス。
最大戦力である将軍を筆頭とした最精鋭三千が先の戦いで全滅したため、彼がこの場で一番の実力者となってしまった。
「(呼吸音は……聞こえない。臭いもしない。アンデッドのような生臭さもない……少なくとも、生き物じゃないな)」
ビーストマンは優れた嗅覚と聴覚を持つ。
土煙で視界が遮られていようと、ある程度の情報を得る事は出来る。
「(何かが落ちて来たと言っている者が何人かいるな。岩か何かが落ちて来たのか?人間達が投石機で飛ばして来た可能性……しかし、見張りは何も異常を報告していない。見張りが視認出来ない程の超遠距離からの攻撃ならば……魔法、か?)」
如何に優れた投石機でも、この高さの城壁を越えて中に巨大な岩を放り込むのは難しいだろう。
だとすれば、残りは魔法による攻撃の可能性だ。
城塞都市上空に岩石を作って落としたか、あるいは転移魔法などで送り込んできたのかもしれない。どちらにしろ、これほどの威力の攻撃が連射可能とは思えなかった。
「(だから次はない……と、考えるのは早計だな。先の戦いから帰還した連中によれば、化物みたいに強い天使がいたらしいしな……油断大敵だ)お前等!上空への警戒を怠るな!それと、これが陽動である可能性もある。都市周辺の監視を増や───!?」
周囲へ指示を出していた最中、再び鳴り響いた轟音によって指揮官の言葉はかき消された。
「───!!……!?」
「──────!」
「(な、何も聞こえん!鼓膜がやられた!?)」
ビーストマンの多くは、轟音によって耳が聞こえなくなっている。それだけならまだしも、中には気絶したのか倒れている者、頭を抱えて地面に蹲る者もいる。
そんな混沌とした状況の中。
パニック状態に陥っているビーストマン達を余所に、晴れた土煙の中から奇妙な
それは、全身鎧を着た人型だった。
足元には、着地時に出来たと思われる巨大なクレーターと、もう一つ破壊の跡がある。恐らくはメイスを地面に叩きつけ、その時の衝撃波で土煙が晴れたのだろう。
「(デカい人間、オーガ?小柄なトロール?……いや違う。そもそも生き物じゃない。この臭いは土と砂、それと……鎧の鉄の臭いだ。生物でもなく、アンデッドでもない、巨大な人型───こ、こいつはまさか!?)」
ある可能性に思い至り、冷や汗を流す指揮官の前で、巨大な人型は手に持ったメイスを振り回し始めた。
めちゃくちゃに振り回されたメイスが、家屋を、地面を、ビーストマンを、当たる物すべてを破壊する。そして、その度に爆発音が鳴り響き、近くのビーストマンの鼓膜を破壊する。
無論、ビーストマン達もやられっぱなしではない。
耳が聞こえなくとも、眼前の存在が自分達の敵である事はとうに理解している。脅威を排除するべく、ビーストマン達は戦いを挑んだ。
遠距離から弓矢で攻撃……矢は硬質な音をたててあっさり弾かれた。
スリングで石を飛ばす……石が砕け散った。
足に飛びつき、人型を押し倒そうとする……ビクともしない。
ビーストマンらしく、己の爪と牙、腕力で戦いを挑む者……掠り傷一つ負わすことが出来ず、逆に自身の牙や爪、腕の骨を折ってしまう始末。
「(ま、間違いない!こいつはゴーレムだ!岩のゴーレムに魔法の鎧と武器を持たせたんだ!)」
ゴーレム。
材質によるが、主に肉体武器を使用するビーストマンにとっては相性の悪い相手だ。
ただの岩のゴーレムだったら、ビーストマンの強者であれば砕くことも出来たかもしれない。だが、このゴーレムは魔法の鎧を着ている。武器も強力だし、そもそも本体の性能が尋常じゃない。
オーガ並みの巨体でありながらビーストマンより機敏に動き、おまけに足も速いのだ。意味不明なまでの超性能である。
「───退却だ!この都市を放棄して退却する!」
距離を置いていたことが幸いしたか、聴覚が回復した指揮官が周囲のビーストマン達へ退却の宣言をする。
「ま、待ってください!あいつを送り込んで来たのが人間達なら、捕らえた餌共を人質にすれば追い返せるんじゃ……」
「馬鹿が。奴の動きをよく見ろ。俺達だけでなく、家屋まで破壊しているんだぞ……人間達を助けに来たのなら、中を確認しない内に家屋を破壊するなんて真似はしないはずだ」
このゴーレムが来るまでの間、都市内部への侵入者は確認出来ていない。
捕まっている人間の中に
「───にもかかわらず、あのゴーレムは遠慮なく家屋を破壊している。つまり、あのゴーレムを送り込んだ奴の目的は、この都市にいる俺達を全員残らず殺すことだ……捕まっている人間諸共な」
現状の戦力では打倒は困難。
残っていれば殺されるだけだ。ならば、今ゴーレムと戦っている連中を囮にして、退却した方が良い。というか、それしかない。
「捕らえた人間達はどうしますか?」
「各自で好きにしろ。もちろん持って帰っても構わんぞ……人間を抱えたまま、あのゴーレムから逃げ切れる自信があるならな」
───それからしばらくして、ビーストマンの軍勢は都市から姿を消したのであった。
【魔法紹介】
・〈
第六位階魔法。自身の姿、音、臭いを消す。
原作では信仰系
第二位階に姿だけを消す〈
アルフォスは〈
・〈
信仰系第六位階魔法。自身の肉体を岩のように変質させる。
呼吸等の生物的特徴に完全耐性を得る。
物理防御力が上昇。重量も三倍に増えるので一部の物理攻撃の威力が増す。
吹き飛ばし効果にも耐性を得る。
移動速度*1が半減し、一部の属性攻撃に対して脆弱になる。
・〈
信仰系第六位階魔法。自身の肉体サイズを倍加させる。
身に着けている装備も肉体に合わせてサイズを変え、重くなる。
効果中は身長二倍、体重が八倍近くに増える。
筋力と防御力上昇。悪属性の攻撃に対して耐性上昇。
敏捷性*2がダウンし、敵のヘイトを集めやすくなる。
アルフォスは体重80キロ程度のマッチョ。
上記二つの魔法を使った時点で、装備込みで身長約3.7メートル。2トンを超える重さ。
身長だけならオーガより一回り大きい程度。案外小さい……?
・〈
パラディンの魔法。武器を対象として発動する。
対象の武器が物にぶつかると、周囲に響き渡る爆発音を鳴らす。
距離が近ければ近い程、聞いた者に高い音波ダメージを与える。
耳の良い生き物程受けるダメージが高く、一時的に聴覚喪失状態に陥ってしまう。
アルフォス自身は耐性を持っているため問題なし。
【装備紹介③】
金属製の全身鎧&巨大メイス。
アルフォスが昔使っていた装備。
聖女と出会った頃の装備であり、30レベルくらいまでは強化しつつ使用していた。最終的なランクはギリギリ最上級クラス。最上級は装備のランク九段階中、下から四番目。
見た目はダークソウルの聖騎士リロイを想像してください。
ステータス不足で片手でメイスを振れないのも同じ。
当時はわりとへっぽこ聖騎士だったアルフォス君。
さすがに100レベルの今は片手でぶんぶん振り回せるけど。