直江紅子が破滅するまで   作:スノードロップ

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金髪ロン毛と言えばあの人ですよね。
紅子は相変わらず強者ムーブしてますが、また彼女は敗北します。


直江紅子は金髪ロン毛に敗北する

その後、スーパーで買い物を済ませた紅子は、食材の入った通学鞄を片手に学生寮へと向かう。各施設へのアクセスなどは端末に登録されているため、迷うことなく辿り着くことが出来た。

 

 

「ここが私の新居ですか」

 

 

想像していたよりも広く清潔感溢れる寮を見て、思わず感嘆の声が出てしまう。

 

 

「とりあえず部屋に入ってみましょうか」

 

 

部屋番号は2階の一番奥だ。エレベーターを使い2階まで上がり、鍵を開けて部屋に入る。中は狭いが、必要な家具は全て揃っており、実家から送られてきたダンボールは奥に積み重ねられていた。

 

 

「……面倒臭いですが、荷解きをしなければいけませんね。しかし、その前に、食品を冷蔵庫に仕舞いましょうか」

 

 

紅子は食品の入った鞄を冷蔵庫に仕舞うと、洗面所で手を洗い、その後リビングのソファに腰をかける。

 

 

「ふぅ……少し休憩したら、荷解きに取り掛かりましょう」

 

 

紅子はそのまま目を閉じ、30分ほど仮眠を取ることにしたのだった。2時間後、目を覚ました紅子は大きく伸びをする。

 

 

「寝すぎてしまいましたね。もう16時ですか」

 

 

紅子はすぐに立ち上がり、ダンボール箱から荷物を取りだし、棚に仕舞っていく。面倒臭いと思いながらも、こればっかりは楽をすることは不可能だ。諦めて絶望しながら、たんたんと作業を続ける。

 

 

「これで一通りは終わりましたね」

 

 

全ての荷物を仕舞い終えると、紅子はお腹を満たす為に料理を始める。

 

 

「ラタトゥイユ……実家で何度も食べましたから、きっと美味しく作れるはずです」

 

 

紅子はそう意気込み、レシピすら知らずに想像だけでラタトゥイユを作り始める。ズッキーニ、ナス、玉ねぎ、パプリカを一口大に切り、ニンニクは潰してみじん切りにする。次にフライパンにオリーブオイルを垂らして熱し、ニンニクと鶏肉を炒める。鶏肉に火が通ったら、切った野菜を入れ火が通るまで炒め、トマト缶と料理酒、砂糖をぶち込み煮立たせる。

 

 

「フランス料理なんて、だいたい生クリームとバターで生成されているのですから、とりあえずこれらをぶち込んでおけばそれらしくなるでしょう」

 

 

途中でこの後の工程が分からなくなった紅子は、とりあえずバターと生クリームをフライパンの中に加えよくかき混ぜ、数分煮てから塩コショウをふりかける。

 

 

「とりあえずは、完成ですか?」

 

 

完成したラタトゥイユをさらに盛り付け、粉チーズをふりかける。

 

 

「なるほど、これは美味しそうですね。しかし、家で見たラタトゥイユと見た目が違うような気がしますが……まあ良いでしょう」

 

 

皿に盛り付けた野菜と鶏肉のトマト煮込みを丸テーブルまで運び、味見をする。

 

 

「……美味しいですが、これはラタトゥイユではありません!何故、何故あんなに食べたのにラタトゥイユすら作れないのですか?!」

 

 

紅子はラタトゥイユを作るはずが、何故ただのトマトのクリーム煮込みを作ってしまったのか、自分を責めながら頭を抱える。しかし、こんなことでへこたれている場合ではない。この大量に作ってしまった料理を、短期間で消費しなくてはいけないのだから。

 

 

「仕方ありません。今日はこれで我慢するしかありません」

 

 

紅子は、スプーンで野菜と鶏肉のクリーム煮込みを掬い、口に運ぶ。

 

 

「今日の料理で一番美味しいものがご飯だなんて、せっかく料理を手作りしたのに、皮肉なものですね。流石は『ひたち』ですね。大好きなブランド米なのに、どうしてこんなに憎いんでしょう」

 

 

紅子は苦虫を噛み潰したような顔で、食事を続け、自分のラタトゥイユ(創作料理)に舌打ちをし、敗北を涙ながらに受け入れるのだった。

 

 

◇◇◇

 

 

それから翌日、ついに授業が始まる。1時間目の授業は体育で、授業内容は水泳だった。生徒たちは室内プールの更衣室に向かい、そこで着替える。

 

紅子はうんざりしながらも、プールへ向かって歩く。

 

 

「サボれるものならば、サボってしまいたいくらいです」

 

 

紅子がそう言いながら生徒玄関を通った時、3年生の教室の方からこんな声が聞こえた。

 

 

「ちぇっ、今日から水泳とかかったりーな」

 

 

「なら出席でも買えば良いだろ?」

 

 

「いや、昨日新作のゲームを買ったから今はポイント節約しないといけねぇんだよな」

 

 

「たかが1000ポイントだろ?それくらいなら、貸してやろうか?」

 

 

「マジ?ならやっぱりサボるわ」

 

 

そんなやり取りが聞こえ、紅子は思わず笑みが溢れてしまう。

 

 

「なるほど、そういう手もあるのですね」

 

 

そんな独り言を呟きながら踵を返し、保健室へと向かった。紅子は保健室の養護教諭、担任の星之宮に向き直りこう言った。

 

 

「すみません、今週の体育の授業、全て出席を買いたいのですが……」

 

 

紅子の言葉に星之宮は乾いた笑い声を上げ、苦笑した。

 

 

「……ふうん、直江さんは気付いちゃったんだね。この学校は出席をポイントで買えるってことに」

 

 

「ええ、ついさっき知りました」

 

 

星之宮は紅子の言葉に頷きながら、言葉を続ける。

 

 

「一回の授業につき、出席は1000ポイント必要よ。体育は週3回だから、今週の文を全てかうのなら、3000ポイント必要よ」

 

 

「なるほど……しかしこれで授業をサボることが出来ますね」

 

 

紅子は嬉しそうに手を叩きながら星之宮にそう言う。そんな様子を見た星之宮が口を開く。

 

 

「……どうしてあなたは出席を買おうなんて思ったの?まだ入学して1日しか経っていないけれど」

 

 

その質問に紅子は「面倒臭いから」と答える。すると、星之宮は困り顔で頭に手を当て、ため息を吐く。

 

 

「そう、分かったわ。でも成績に関わる授業の場合は、出席が必須だから気を付けてね。それから、学校は勉強をするところよ。くれぐれも、勉強を怠らないようにね」

 

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

 

そんなやり取りのあと、星之宮は体育教諭に内線で連絡し、紅子が出席を買ったことを伝える。

 

 

「……それでは私はこれで失礼します」

 

 

「ええ、またねぇ」

 

 

星之宮に軽く頭を下げ、保健室を出ていくと、暇潰しに図書室へやって来た。するとそこには先客がいた。その先客は、金髪の髪をふわりと掻き上げ、本を片手にテーブルに足を乗せているモラルの欠けらも無い男だ。

 

「あなた、何をやっているのですか?」

 

 

紅子がそう声をかけると男は本を閉じ、紅子の方を向く。

 

 

「見てわからないかい?本を読んでいるのだよ」

 

 

「それは分かりますが……テーブルの上に足を乗せるだなんて、品のない行為ですよ。辞めるべきです」

 

 

「ハーハッハッハッ、そんなルール誰が決めたんだい?法律にも乗っていないではないか!」

 

 

男の言葉に紅子はため息を吐き、男の向かい側の席に座る。そして頬杖を付きながら口を開く。

 

 

「……なんて品のない人なんでしょう。その高笑いも、図書室でするものではありませんよ。これは、生徒会へ通報しなくてはいけませんね」

 

 

紅子がそう告げると、男はニヤリと笑いこう言った。

 

 

「ふーむ、それは困るねぇ。私は常に完璧でなくてはいけないのだよ。たかが生徒会ごときの言葉と言えど、注意を受ける私は美しくない!」

 

 

「ならば、足を乗せるのを辞めることです」

 

 

「ふむ……それは出来ない相談だねぇ。これは私の美しさをより引き立てる、最高の姿勢なのだから」

 

 

男はそう言ってまた高笑いをする。そんな男に紅子はため息を吐き、こう告げる。

 

 

「なるほど……では、遠慮なく生徒会に通報させていただきますね。通報された生徒は最悪図書室を出禁になるそうですよ。あなたが出禁になることを心よりお祈り申し上げます」

 

 

紅子がそう言い、図書室の出入口へと向かうと、彼は勢いよくジャンプし、彼女の前に立ち塞がる。

 

 

「待ちたまえ、シリアスガールよ!君が生徒会に通報すると言うのならば、私はここから一歩たりとも動かないぞ!」

 

 

「そうですか……では我慢比べでもしますか?私にとって図書室は神聖な場です。ですから、不届き者に天罰が下るのなら、何時間でも我慢しましょう。それでこの場所の厳かさが守られるのなら、安いものです」

 

 

紅子がそう告げると、男はニヤリと笑い、こう続ける。

 

 

「そこまで言うのならば、取引をしようじゃないか」

 

 

「取引、ですか?」

 

 

「ああそうだ。私はこの図書室を出禁になる訳にはいかない。ここには、歴史的価値のある書物が多く保管されていてね、私はそれを読むためにこの学校へ来たといっても過言ではないのだよ。だから、ここで通報されるわけにはいかない。だから、ここはひとつ取引をしようじゃないか」

 

 

「なるほど……取引の内容によっては、その提案を受け入れましょう」

 

 

そんなやり取りのあと、2人は向かい合わせに座り直し、話し始める。男は足を組み、紅子は手本のような姿勢の良さを男に見せ付ける。

 

 

「ではまず自己紹介といこうか!私の名は高円寺六助だ。将来、高円寺コンツェルンの後継者となる人間だ……ああ、随分と驚いているようだね?まあ仕方の無いことだ。あの高円寺コンツェルンの後継者がこんなに美しい男なのだから、みとれてしまうのは分か「うるさいです。勘違いも甚だしい」……私の美しさを理解できないだなんて、君は視力が悪いのかい?可哀想に、知り合いの眼科医を紹介してあげよう」

 

 

「私は直江紅子です。後眼科医の紹介は結構です。視力は両目ともに1.0なので」

 

 

紅子はそう断言し、ため息を吐く。高円寺はそんな紅子を気にせず言葉を続ける。

 

 

「では、取引内容について説明しよう。取引は至ってシンプルだ。君の願いを1つ叶える代わりに、図書室での私の君の言うモラルの欠如した行為とやらを今後一切黙認してくれ。その代わり、どんな無理難題であっても願いは必ず叶えると約束しよう」

 

 

「ほう……願い、ですか」

 

 

「そうだ。といっても、この学校の中で叶えられる範囲のものにはなるがね」

 

 

高円寺がそう言うと、紅子は少し考え込んだあと、こう告げる。

 

 

「しかし、その取り引きあなたに有利すぎます。なので、願いを2つにしてください」

 

 

「ふむ、まあ良いだろう。2つまでなら叶えてあげよう」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

紅子は高円寺に頭を下げ、願いを考える。

 

 

「……決めました。1つ目は毎月慰謝料として、10万ポイントを支払うというものにします。できないとは言いませんよね?なんでもと言ったのはあなたですから」

 

 

「ああ、もちろんだとも。それくらいお安い御用さ」

 

 

そんなやり取りのあと、紅子は2つ目の願いを告げる。

 

 

「2つ目は……そうですね、2つ目はもし私が助けを求めた時、あなたは必ず私を助けて下さい。それが金銭的な理由であれ、学校の決まり後によるものであれ、関係なく私を完璧に救済するのです」

 

 

「ほう……君は、ウチのクラスの生徒とは違って、頭は回るようだね。よいだろう。私は君のその願いを必ず叶えよう。ただし、私からも条件がある。有り得ないことではあるが、この世に私以外で絶対的なものは存在しない。もし私が窮地に立たされた時は、君も私を救わなければいけない」

 

 

高円寺の答えを聞き、紅子は満足そうに頷く。

 

 

「分かりました。もしあなたの身に何かあれば、あなたは私の金蔓なのですから、当然、最前は尽くします」

 

 

「ああ。契約書は後程私が君の連絡先へ送っておこう。その為にも、連絡先を交換しようじゃないか。シリアスガール」

 

 

2人はそんなやり取りのあと握手をし、図書室でそれぞれの時間を過ごしてから、チャイムが鳴ると教室に戻っていった。

 

 

「はぁ、金髪ロン毛くっそダルい」

 

 

紅子は、金髪ロン毛の高円寺六助に簡単に丸め込まれてしまった。他人を信じない紅子が見ず知らずの赤の他人に敗北してしまうだなんて、彼女はとてもちょろすぎる。

 

 

無料商品に敗北し、ラタトゥイユモドキに敗北し、金髪ロン毛に敗北するだなんて、紅子は始まりの村の山賊に襲われる老人程度の力しかない。彼女はとても弱すぎる。

 

 

「……ザッコ」




明日投稿する分を今日投稿しました。
なので明日は多分投稿しません。

紅子は今回、沢山敗北しました。
ラタトゥイユに敗北し、ブランド米『ひたち』に敗北し、高円寺に敗北し、もう身も心もボロボロです。

紅子は不敵な笑みを浮かべて強者ムーブをしていますが、彼女は現在ただの小物と言わざるを得ません。
紅子は本当に雑魚いです。

しかし、彼女はそんな状況でも前を向き、自分の利になるよう行動し、高円寺から多額のポイントと協力を得ることができました。
流石はBクラスに選ばれるだけありますね。

ちなみに体育の出席を買ったのは、紅子が運動嫌いだからです。
なので出席を買うにはポイントが必要なので、高円寺との取引でポイントを要求しました。
こういうところはちゃんと狡賢いんですよね。

紅子は絶対ハリポタ世界ならスリザリンに選ばれるでしょう。
だって彼女、狡猾で性格の悪い屑ですから。

直江紅子は実は本来、Bクラスに組み分けられる予定ではありませんでした。皆さんはどのクラスに組みわけられる予定だったと思いますか?

  • Aクラス
  • Cクラス
  • Dクラス
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