菅野が空から奮戦を続ける中、地上では安倍晴明らが馬車での脱出を図っていた。すでに街に侵入したコボルトたちは、どこからか指令を受けているのか、執拗に馬車に詰め寄ってくる。
「これもうやっていいよな?」とブッチが鋭い視線を向ける。
「弾少ないから気を付けろよ。」とキッドは慎重に言ったが、それを気にする様子もなく、ブッチはコボルトに拳銃を放ち始めた。
コボルトたちは何に撃たれているのか理解できずとも、黒王の命令を果たすべく、必死の突撃を続ける。それでも、ブッチがキッドの名前を叫ぶと、キッドはガトリング砲を操作し始め、大群を押し返し殲滅していった。
その圧倒的な火力を目の当たりにしたハンニバルは、興奮気味に「なにこれすごい、ちょっとローマ滅ぼしてくる。」と発言し、同乗していたスキピオは「言ってろジイ!」と呆れ顔を見せた。
ブッチはガトリング砲の威力に叫び声を上げながら、コボルトを撃ち抜いていく。しかし、彼らの前にひとつの大きな脅威が立ちはだかった。それは空から迫る飛竜だった。
「ちっ!キッドいけるか?」とブッチは焦りを隠し切れずに尋ねる。
「すまん、弾倉交換の時間だ。」とキッドは申し訳なさそうに返す。
「仕方ねぇ、目ぇ狙うか。酒瓶よりかはデカいから、、」ブッチはしぶしぶ飛竜の目を狙おうとする。しかし、その瞬間、紫電改が空から助けに入った。菅野の機体からの弾幕が飛竜を襲い、顔を貫いていった。
「戦果、飛竜2匹目!!ワレ突撃ス!301新選組菅野!」と誇らしげに報告し、菅野は空を駆け巡った。彼は飛竜を次々と撃ち落としながら、「お前ら好き勝手ボーボーしやがってムカつくんだよコノヤロウ。」と叫び、飛竜への怒りをそのまに、逃げ惑う人々を守ろうと尽力していた。「なんか知らねえが、落ちろバカヤロウコノヤロウ。」
それを見ていた安倍晴明は、飛竜の危機から馬車を救ってくれた菅野を見て歓声を上げる。「ドリフだ!ドリフだった!」と。
ドラゴンの危機を脱した馬車は、無事に砦から脱出することができた。長い昼下がりの騒動から解放された彼らは、後方から追いかける敵から距離を稼ぎ安堵を得ていた。
晴明は息を整えながら、去りゆく砦を見つめ、「黒王よ。お前の好きにはさせん!必ず間違いは正す!!」と、静けさの中にも強い覚悟を込めて誓った。
光差す道を馬車は走り去り、彼らは新たな地平を目指していった。先には何が待ち受けるかまだわからないが、彼らの決意は固く、自分たちの運命を切り開こうとしていた。
晴明「廃城の彼らと合流すればまだ勝機はある。」
廃城にいるオルミーヌは、連絡の取れない安倍晴明を心配しながら、豊久たちドリフの動向を監視していた。思わぬ展開で北壁の砦が落ちたのではないかという不安に駆られる中、彼女の愚痴は止まらなかった。「大師匠と連絡取れないし、まさか北壁の砦が落ちたのか、、あの4馬鹿はめちゃくちゃしてるし、、。」
その時、信長、与一、豊久、そしてユウスケが彼女を取り囲み、不意に声を上げた。「ぎゃおー。食べちゃうぞ。」ユウスケが言うと、信長も「サバーん!」とぶっきらぼうに声を掛けた。
与一は「ばぁあーーー。」と声を張り上げ、豊久は目を細めて言った。「なんか見られとる思うたら、なんだお前?」
その状況にオルミーヌは涙目になり、恐怖を感じて震えた。「ひっ、、うわっ。」
豊久が一歩近づくと、「ギャー、妖怪首置いてけだ。助けて〜。」と叫び声とともに、まともに立てない体を震わせ逃げ出そうとした。しかし、豊久は彼女を黙らせようと、軽く手刀を彼女の頭に当てた。
与一が静かに言う。「敵の偵察ですかね?」
信長は首を傾げながら答える。「にしてはマヌケなような。」
ユウスケも不思議そうに言った。「この人の言葉、日本語なのか何故か普通に分かりますね。」
豊久は興味深げに尋ねた。「おい、お前何故日ノ本言葉話せる?」
オルミーヌは泣き始めたが、豊久が話さぬと脅し信長を指差した。
信長は威勢よく、「おっす!オラ第六天魔王!!趣味は焼き討ちや皆殺しだ。殺した相手のどくろで杯にすることもあるぞ!」と自己紹介もかねて脅しを入れた。
ユウスケは冗談めかして言った。「なんなら家臣の母親や妹がいる城を問答無用で攻めてるぞ。」
オルミーヌは恐れおのき、貞操が奪われるのではと信長に目を向け、豊久に訴え始めた。「私は十月機関の魔術師オルミーヌと申します。お師匠様の命令であなた達ドリフを監視していました!!」
だが、豊久はきっぱりと答えた。「さっぱり分からぬ。」
与一はユウスケを見て聞く。「ユウスケ殿、知ってますか?」
ユウスケは首を振って答えた。「日本人でないのは確かですが、少なくとも知ってる範囲でそのような名はないですね。」
信長は一瞬考え込んだ後、強い口調で命令した。「おいお前、ユウスケも知らないなら1から全部話せ!馬鹿でも分かるようにな!!」
豊久も負けじと反論して言った。「誰が馬鹿か信長。首取るぞ。」
信長は笑いながら返した。「お前、やっぱり妖怪首置いていけじゃねぇか。」
オルミーヌは必死に説明を続けた。「あなた方のように向こうの世界から来た人達をこの世界ではドリフターズ(漂流者)と呼びます。その人達を集めて監視することが十月機関の仕事です。そして貴方がたはエンズ(廃棄物)と呼ばれる人達と戦うためにこの世界に来ています。」
彼女の説明に対し、四人は理解しているのかどうか、「勝手に決めるな。ソーダソーダ!やだ!」と反論し、オルミーヌは驚いた。
ユウスケは少し真剣な顔をしながらオルミーヌに問いかけた。「一応確認のために聞きますが、我々ドリフはエンズと戦うためにこの世界に呼ばれ、あなた達十月機関はそのドリフを集めるための組織ということでいいですか?」
オルミーヌは力なく頷き、「まあ、概ねそのとおりです。とりあえずほどいてくれません?」とお願いした。
しかし、豊久は首を振り、「ダメだ。何しでかすか分からん。」と述べた。
信長は得意の笑みを浮かべ、「ふ、オルミーヌとやら、勘違いしてるな。」と笑い始める。「この第六天魔王、織田信長様にエンズやらドリフターズやらの説明とは面白い。俺は我こそ絶対悪、エンズゥである!」
豊久が呆れた顔で遮った。「まだそれやったんか。殺された癖に恥ずかしくないのか。」
信長は真顔でさらりと言い放つ。「全然。」
豊久はその態度に苦笑し、「さすが傾奇者。」と肩をすくめた。
オルミーヌは首を傾げながら、「いえ、エンズではないと思います。」と再度説明を始めた。
与一が疑問を持ちつ尋ねる。「どうして?」
オルミーヌは続けて説明する。「彼はエンズ、もはや人ではなく、そういった冗談はしません。彼らはただひたすらにこの世を憎んでいます。すべてを滅ぼすほどに。そして、彼らが行うのは破壊と殺戮のみです。」
「彼らは北方に化け物たちをまとめ上げ進軍しています。そのために、あなたがたドリフの力を借りたいのです。」彼女の訴えは真剣だった。
信長は少し考え込んだ後、静かに尋ねた。「して、お前らが持っている兵は?」
オルミーヌは一瞬戸惑い、「えっ?」と返す。
信長は鋭い目で問い詰める。「化け物だかハゲだか知らねぇが、そいつらは軍勢なんだろ?お前らはどんだけ軍勢を持ってるんだ?」
オルミーヌは神妙な顔つきで答える。「私たちは魔導師の集まりです。そのような物はなく、各地の領主などから軍の指揮権をもらい受けようと…」
信長は笑いを含みつ、「バーカバーカ、支配者が余所者に指揮権渡すわけねーだろ。」と指摘する。
「そのエンズがどれだけ強大だろうと、領主、いや人間は自分が一番可愛い生き物だ。最後の城が落ちる寸前まで指揮権なんか寄越さねえよ。」
オルミーヌは困惑しながらも、「じゃあ!どうすれば!!ドリフでなければ奴らに勝てません!」と叫ぶように求めた。
信長はゆるりと微笑みながら、「そんなの簡単さ。ドリフが国を盗ればいい。」
予想外の返答に驚いたオルミーヌは、思わず顔を引きつらせた。
信長は力強く宣言する。「俺たちはこれから豊久を筆頭に国盗りを始める。それにお前らが手を貸せ。お前らの平和な世界のため、この帝国を滅ぼす。」
豊久は驚き怒った顔で「ちょっと待てい!信長!なぜわしが頭なんじゃ?」と抗議する。
与一は微笑みを浮かべ、「だって、この前真ん中座ってたじゃないですか。」と。
豊久は当惑し、「おいはその意味など知らんかった。」とぼやく。
ユウスケは肩をすくめ「総指揮をしたことない故の弊害ですね。」と補足するように言った。ユウスケの言葉に、豊久はさらに不満を募らせた。
信長はそのやり取りを見て楽しむように笑みを浮かべ、「お前は本当に残念な子じゃの。」と豊久をからかう。
オルミーヌはその様子に困惑しつも、再び信長に問いかける。「つまり、あなた方は国を奪い取ることで、エンズを倒す戦力を得ようとしているということですか?」
「その通り!」信長は拍手をして答える。「お前にもそのくらいの理解はあったようだな。ただし、俺たちはただ単に国を盗るだけじゃねぇ、国を支配する力が必要なんだ。そうすれば、お前らもこの世界で生き延びられる。」
オルミーヌ
PSお師匠様
大変です。お師匠様。奴らの考えは常軌を逸しています。だが、前例がないほどのエンズの危機、それ故か惹かれます。
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