ドリフターズに迷い込むもの   作:四国の探索人

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さくせんかいぎ

カルスの砦が陥落した後、ラスプーチンは黒王へ被害報告を行っていた。

 

「損害は?」黒王が訊ねる。

 

「ゴブリンが245、コボルトが345、竜騎兵4機にございます。」ラスプーチンは報告する。

 

「そうか、傷を負った者を集めよ。」黒王の命令に、ラスプーチンは一瞬驚きを見せる。

 

「なさるのですか?」ラスプーチンが確認する。

 

「当然だ。ゴブリンもコボルトも全て皆同胞だ。救えるものは一人残らず救う。」黒王の返答には、揺るぎない決意が感じられた。

 

「おやさしい。」ラスプーチンは彼の慈悲に感動しながらも、その裏に潜む恐ろしさを感じ取る。

 

黒王が集められた負傷兵の元へと赴き、手をかざすと、どんな重傷でも傷がたちまちふさがり、兵士たちは回復していった。この奇跡の御業を目の当たりにした兵士たちは、驚きと感謝の念を込め頭を下げ、黒王に礼を言う。

 

「ラスプーチンよ。砦が落ちたこと多く広げよ。さすれば様子見していたもの、人間を恐れていた者たちが多く参加しよう。」黒王は続けて言った。

 

「人を救おうとしたが、拒絶された。ならば人ならざる者を救い人を滅ぼす」黒王の言葉には深い執念が滲んでいた。

 

「怖ろしい。」ラスプーチンは恐怖混じりに呟く。

 

「ドリフが脱出しただろうが探して殺せ。なんとしても合流させてはならん。」黒王は鋭く命じ、エンズたちは各々行動を開始する。

 

その中で、一人源義経だけが気まぐれのように「面白いことないかな」と様子を見回していた。

 

一方、その頃エルフの村では、これからの方針を巡って会議が紛糾していた。

 

「どうすりゃえんじゃ」と村人Aが叫ぶ。

 

「どうもこうもあるか、やってしもうたんだから殺るしかない!後戻りは出来ない。」と村人Bは言い返す。

 

「あれはドリフ達が…」と村人Cが呟くと、「そんなこと聞いてくれるのか…」と村人Aが答える。

 

「第一畑が燃えて治める税金もない。」村人Bは危機感を露わにする。

 

シャラが決意を込めて言った。「もう蜂起するしかねぇ!こうしてる間にも討伐軍は向かってきてる!」

 

村人Aは絶望的な反論をする。「馬鹿を言え、勝ち目なんてあるわけない!」

 

そんな終わりのない議論が続く中、勢いよく扉を開けて入ってきた与一が話し始める。「アルヨー。カチメカルヨー。コチラドリフミンナツヨツヨ、イッキオコスステキアルネ。」

 

村人Aが戸惑って言う。「何言ってるか分かるか?」

 

村人Bも眉をひそめる。「いや、主語も順番もめちゃくちゃで分からん。単語だけ聞き取れる。」

 

場内がざわつく中で、豊久がオルミーヌに詰め寄る。「お前、なんで俺らの言葉がわかる?」

 

オルミーヌは落ち着いて答えた。「私達、ずっとあなた方の研究をしているのでこういう会話できるお札があるんですよ。」と言って小さな札を見せた。

 

その言葉を聞くと、与一は静かに倒れて、「そんな便利なものがあるなんて、」と涙目になり、これまでの努力が無意味だったことに泣き始めた。

 

 信長は与一の様子を見て苛立ち、「おい、謝れよ!与一が今までどれだけ苦労してこいつらの会話を理解しようとしたのか、分かるのか?」と語気を強めた。

 

オルミーヌは困惑しつも、「え?私がですか?」と戸惑った声を漏らす。

 

「謝れ!いいから可哀想だ。」信長は強引に言う。

 

オルミーヌは仕方なく呟く。「分かりましたよ。すいません、すいませんすいません。」そう言って、オルミーヌは会話用の札を取り出し、与一の額に貼り付けた。

 

与一はしばらくしてから、その場に応じて両手を前に出し、ぴょこぴょこと跳ね始める。

 

豊久がそれを見て笑いをこらえきれずに言った。「おい、これじゃあキョンシーみたいじゃないか。貼る位置を考えろ!」

 

オルミーヌは慌てながら、「分かりました。すいません、すいません。」と言いながら、札の位置を調整した。

 

 

 

 信長はオルミーヌが謝る中、札をじっと見つめながら考えを巡らせた。京の陰陽導者たちの札に似ているな。十月機関の長とは一体どのような者なのか…。そんな疑問を抱えつ、信長は豊久に指示を出す。「おい、豊久。俺が言う通りこいつらに言えよ。こういう時はお主が言わんとダメだ。」

 

続けてオルミーヌに向けて、「おい、おっパイメガネ」と声をかけた。

 

「オしか合ってないですよ。」オルミーヌがツッコミを入れる。

 

信長は意気揚々と続けた。「このエルフたちの特徴を教えろ。」

 

オルミーヌは少し困惑しながら答えた。「彼らはエルフ族と呼ばれる種族で、数十年前に人間達によって滅ぼされ、以来農奴として生きています。長命で自尊心が高い種族です。」

 

信長はその説明を聞くと笑顔を見せ、「ありがとう。お前の話、役に立つわ。」と感謝した。

 

信長は台詞を考え、豊久へ内容を伝えた。豊久は信長に向かって「お前は本当に嫌な奴じゃの!」と大声で怒鳴ると、エルフたちに話し始める。

 

「お前ら、恥ずかしくないのか?祖先に恥ずかしくないか、子孫に向けてどうする気だ?」

 

場の空気が緊張し、エルフたちの目が豊久に向けられる。彼は続けた。「お前ら、国は欲しいか?」

 

「地に這いつくばって死ぬか、夢見て死ぬか、どちらにする?決めろ!」

 

エルフたちが動揺する中、一人のエルフが声をあげた。「国が欲しくないわけないだろ!奴隷でいいわけないだろ!」

 

豊久はその言葉に頷き、「良か、ならば皆で国盗りじゃ!」と力強く言った。

 

信長は物事が思うように進んでいることに納得しつ、豊久を見つめて言った。「良いぞ、豊久。ただし、俺はお前の親父じゃねえ。お前の息子は光秀に殺された。おいは島津豊久ぞ。」

 

信長の返答に、豊久は不快感を覚え、彼を殴りつけた。信長はそれに反撃し、すぐに喧嘩が始まった。拳が飛び交い、二人の強情な意志がぶつかり合う。「お前が親父を語るな!何も分かりゃしねえ!」

 

周囲のドリフたちがその様子に目を見張る中、ユウスケは与一に向かって叫ぶ。「止めてくれ!このバカ二人!」

 

しかし、与一は笑いながらその喧嘩を見守り、「友や家族との喧嘩を懐かしむ気分だな!」と言い、逆に参加し始める。

 

ユウスケは見かねて喧嘩の中に飛び込む。「やっぱり俺もやるぞ!」巻き込まれながら彼も戦闘に加わり、場はます混乱していった。

 

豊久が拳を振るい、信長を押し返すと、信長は「お前、調子に乗るなよ!」と叫び返す。彼の脚が豊久に当たり、体勢を崩した豊久は思わず後ろに下がる。

 

「この野郎、今度は離さないぞ!」豊久は再び前に出ていく。

 

周囲のエルフたちは、これが戦いの合間に起こっているとは信じられず、驚きの目で彼らの様子を見守っていた。どこか夢の中にいるかのように、彼らの争いは過酷な現実の中で発生している戦闘とは別の次元のものに見えた。

 

信長は豊久の攻撃を避けつ、「おい、お前も本当に鬱陶しいな、島津豊久。そんなに強気でいたいなら、まずはその動きを見せてみろ!」と挑発した。

 

豊久は、その挑発に乗る形で、全力で信長に向かって突進。拳を振りかざし、怒りのエネルギーを集中させる。「来い、信長!俺の力を思い知れ!」

 

その瞬間、周囲の仲間たちは一斉に反応し、ノリノリで戦いに参加する雰囲気になった。ユウスケは「行け、豊久!頼むぜ!」と応援し、与一も「もっとやれ!俺も入りたい!」と盛り上がる。

 

信長はそれを見て、苦笑いを漏らしながらも、「お前ら、ワイワイやってんじゃねぇよ!こんなことで戦に勝てると思ってんのか?」と心配になりつ、そして興奮を感じていた。

 

その間に、豊久が信長の側に飛び込んできた。「お前との戦いができるのが楽しみじゃ!死ぬか生き残るか、それがわしの運命じゃ!」

 

豊久はその言葉に乗り信長と交差する。互いの拳がぶつかり合い、音を立てる。周囲にいる他の仲間たちも、この小さな戦いを盛り上げるように叫び始めた。「おー!頑張れ、信長!」「やれ、豊久!」「勝て、エルフの守り手たちよ!」

 

 喧嘩が盛り上がる中、現実を見据えたシャラが叫んだ。「止めてくれ!こうしている間にも領主の軍は迫ってきてるかも知れないんだ!」

 

その言葉に喧嘩していたみんなは手を止めた。信長は毅然として言った。「かもじゃねーよ。確実に来てる。お前らがブチのめした巡察隊が帰ってこない。一体どうなってると思う?」

 

与一が冷静に分析を始める。「4日でしょうか、でもあのアラムという騎士は優秀そうでしたね。予め指令を出していたら3日でしょうか。」

 

「島津なら翌日ぞ」と豊久が即答する。

 

ユウスケは「それは島津がキチガ…」と口にした途端、豊久にふっ飛ばされた。他の者たちはその様子を見て只々呆れるばかりだった。

 

「つまりはまあ、明後日くらいということだ。」信長が結論づける。

 

シャラは必死に頼み込み、「頼む、力を貸してくれ。俺たちは武器を持って戦ったことが無い。四十年前は子どもで、あの時戦った父兄は殺された。だから、お願いします。」と深く頭を下げた。

 

周囲のドリフたちは思わず顔を見合せ、「おかしくね?」と口を揃えた。

 

信長は興味を持って訊ねる。「お前、いくつだ?」

 

「106です。」シャラは恥じらいもなく答えた。

 

豊久は目を見張り、「お前ら年は?」と初めに救った少年たちに聞く。

 

「36です。」一人目の少年が答え、もう一人が続けて「39です。」と答えた。

 

「年上か…」豊久は首を振る。

 

信長が驚いた顔で言った。「どういうことだ?オルミーおっパイ。」

 

オルミーヌはすぐに頭を振り、「オルミーヌだ!さては名前覚える気ないな!エルフは長命なんですよ。寿命が人間の5、6倍あります。成長も遅いですけど」と説明を始めた。

 

「元々ここいらはエルフの国でしたが、オルテによって滅ぼされています。オルテはエルフだけでなくドワーフや他の種族を虐げ、人間優生の国家を敷いています。」

 

信長は状況を整理するように訊いた。「今も戦っているのか?」

 

オルミーヌは頷き、「ええ、一進一退ですが。」と続けた。

 

「なるほどな、納得いった。」信長は思索に沈んだ。「オルテが半端な侵攻をしても、抑えつけている。それに四十年も経つとなれば、占領地では怨嗟が溜まり、反乱がいつ起きてもおかしくない。だからアラムのように強引な見せしめをするのか。」

 

信長はしっかりとした口調で言った。「これは反乱の芽を潰すために確実に来るな。どうする、大将?島津の軍法見せてくれ。」

 

豊久は一瞬考えを巡らせ、「敵兵を引き入れる…」と呟く。

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