ラスプーチンが不敵な笑みを浮かべながら言います。「驚きか、人間。黒王様は傷を癒やすだけでなく、生物なら全ての物を増やす事が出来る。未来の人間なら知っているんじゃないか?」
黒王は冷静に彼を制止し、「止めろ、ラスプーチン。さて皆の物、解散だ。ユウスケ、お前はコボルトに任せると食べられそうだから、ジャンヌの所へ行け。」と指示します。
ジャンヌは顔をしかめ、「なんでこんな奴を」と呟きつも、ユウスケを自室へ引き連れて行きます。
ジャンヌはユウスケをベッドに投げ飛ばし、机に座ります。「あの場でラスプーチンにあんな事を言うなんて、命が惜しくないのか?」と問いかけます。
ユウスケは淡々と答えます。「ああしてなければ、直ぐにコボルト達に食われてた気がする。」
ジャンヌは彼の言葉を半分聞き流し、紙に筆を走らせます。ユウスケはその手元に興味を抱き、「何書いてるんだ?」と尋ねます。
ジャンヌは冷たく言います。「お前には関係ない。見たら殺す。」
少しずつ起き上がったユウスケは、ジャンヌの描いているものを覗き込みます。「絵か。これはフランスのどこだろう。」
ジャンヌは少し驚きながら言います。「流石にこれは知らないか。私の故郷だ。ジルドレの墓に置いてやろうかと思ってな。」
ユウスケは思い出しながら、「そういえば、ジルドレから貴方への預かり物が」と言います。
ジャンヌはこちらを振り向き、「ホントか?」と期待を込めて尋ねます。ユウスケは以前預かっていたペンダントを取り出して渡します。
受け取ったジャンヌは、ペンダントを慎重に開きます。「この絵、本物だな。リシュモンにジルドレに私。イギリス相手に戦っていた頃の絵だな。一番楽しかった。ん?紙が挟まってるな。」と目を細めます。
ジャンヌは挟まれていた紙を広げ、読み始めます。そこにはジルドレからの愛の手紙が1枚、そしてペンダントを渡した者へのメッセージが記されていました。
ジャンヌは初めの手紙を普通に読み上げた後、2枚目のペンダントを渡す者への紙をユウスケに手渡します。ユウスケはその紙を見つめますが、フランス語のために理解できず、ジャンヌに朗読を頼みます。
ジャンヌは仕方がないなと思いながらも、紙を取り直し読み始めます。
「この手紙を読む者へ。私は黒王ではなくジャンヌに仕えている。故に敵対することになっても恨みからではない。端的に伝えよう。黒王はあの方ではない可能性がある。ただの疑念だが、合っていたらどうか、ジャンヌを救ってあげてくれ、、、」
その言葉がジャンヌの心に重く響きます。手紙はそこで終わっていました。
ジャンヌは深い思索に耽り、「あの方ではない、、、まさかな。」と呟きます。彼女の表情は不安と希望が交錯しているようでした。
ユウスケはジャンヌが考え込んでしまった様子に気づき、話しかけることを控えます。静かに彼女の思索を見守りつ、安心を求めて寝床に向かいます。
誘拐2日目、ユウスケは黒王に呼び出され、重い足取りで彼の元へ向かいます。
黒王はユウスケを見据え、「さて、気持ちの整理もついただろう。このまま殺してもいいが、人を滅ぼし文明を作る上で農業をさせる必要がある。」と告げます。
ユウスケは驚きつ反応します。「化け物が農業?」
黒王は微笑みを浮かべながら言います。「文字などはラスプーチンがやっているが、農業の出身は誰もいない。」
ユウスケは疑念を抱き、「俺に農業の経験はないですよ。」と首を振ります。
黒王はその反応に満足げに答えます。「それは構わない。だが、お前の時代なら知っているだろう。」
ユウスケは心の内で感じる不安を抑え、「何をさせようと?」と尋ねます。
黒王は力強く言います。「ハーバー・ボッシュ法。」
ユウスケはその名に言葉を失い、沈黙します。
黒王はその静けさを破り、「沈黙ということは知っているのだな。農薬をほぼ無限に作れる発明。あの時あれば平和を作れ、、、るわけないか、人間は愚かだ。」
ユウスケは静かに反論します。「愚かで欲があるから発展した。」
黒王は冷たい笑みを浮かべながら言います。「言い訳はいい。ハーバー・ボッシュ法で農薬をこの世界に作れ。それまでは生かしてやる。再現する方法は教えよう。」
ユウスケは深いため息をつきながら「分かりました。」と返事します。(ハーバー・ボッシュ法を再現してしまうと、本当に農業技術が容易く確立してしまう。)
黒王は満足げに命じます。「では戻れ。」
ユウスケは心の中で葛藤しながらも、ジャンヌの部屋へと戻って行きます。
「戻りましたよ。」と声をかけると、ジャンヌは壁に向かい、十字架を手に取りながら何かを呟いていました。
「お帰り。黒王様に殺されずに済んだようだな。」とジャンヌが言います。
ユウスケは軽く微笑みながら、「なんとか」と答えます。
ジャンヌは少し考えた後、「普通ドリフなら殺される筈だがな。」と言います。
ユウスケは肩をすくめ、「何もしてないのとただの人間なのが救われましたかね。」と答えます。
ジャンヌは真剣な表情で尋ねます。「そうか、1つ聞くが私はフランスでどうなった?」
ユウスケは答えを整えながら、「確かに火刑になった時、フランス王に見捨てられましたが、騎士や市民は感謝しています。その後は裁判にて間違いだったと無罪になりました。ジルドレがいたのなら、リシュモンたちフランス騎士が助けようとしてくれたのは聞いてないのですか?」
ジャンヌはその言葉に驚き、「聞いてない。何故だ、ジルドレ。」と疑念を抱きます。
ユウスケは少し考えてから、「彼は貴方に仕えるのに夢中だったからですかね。」と推測します。
ジャンヌは静かに頷きながら、「ジルドレが言わなかったのに君の戯言が本当かは私が後に判断する。今の内に寝ておけ。」と告げます。
ユウスケは「まだ昼ですが、、」と反論するも、ジャンヌは無言で彼に枕を投げつけ、「うるさい、寝てろ」と命じます。
夜になると、ユウスケはジャンヌに引っ張られて起こされます。
「鎧姿?今から処刑ですか?」とユウスケが驚いて尋ねます。
ジャンヌは真剣な眼差しで答えます。「お前の言葉はまだ信じていない。だが神のため、あの方が私の思う方ではなかった時のためお前を逃がす。」
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