ユウスケは不安を抱えつ、「こんなことしていいんですか?」と尋ねます。
ジャンヌ・ダルクはしっかりとした口調で答えます。「あの方のためだ。お前のためではない。」
彼女が自室の扉を開けると、アナスタシアが待っていました。「ジャンヌ、ソワソワしていたからまさかと思ったら、何する気なの?」と問いかけます。
ジャンヌは冷静さを保ち、「黒王を裏切る訳では無い。見なかった事にしてくれ。神のためだ。」と説明します。
アナスタシアは頭を振り、「出来ないわ。」と冷酷に返答します。
「なら悪いが、気絶してもらうぞ。」とジャンヌは腰のナイフに手をかけます。
アナスタシアは観念したように溜息をつき、「分かったわ。貴方も強情ね。折角出来た友達だから見逃してあげる。」と言います。
アナスタシアはユウスケを見つめ、「私にはリスクを犯してまでこの男を助ける必要があるとは思えないわよ。」と再度疑念を示します。
「この男の価値ではなく、正しいことかどうかだ。」とジャンヌは毅然と言います。
アナスタシアは苦笑し、「正しいことね。エンズの私達にそんな事が重要なのかしら。」
ジャンヌは真剣に言います。「黒王様の示す道は考えずとも正しいかもしれない。ただそれはあの方であった時のみだ。仮にそうでないとしたら。」
アナスタシアは少し考え、「私達は騙されていると?あなたもあの御業見たでしょう?」と尋ねます。
ジャンヌは力強く応じ、「万が一の保険だ。私もあの方でいると信じている。」
アナスタシアは頷き、「まあ、いいわ。頑張りなさい。今は北側なら守備兵は殆どいないわ。あっちは大河があるけど。」
「恩に着る。」とジャンヌは感謝の意を示します。
こうして、ジャンヌとユウスケは見逃され、部屋から駆け出していきます。
2人はコボルト達に見つからないよう警戒しながら移動し、壁の上まで辿り着きます。
「門は見張りがいるから、下の大河に飛び込め。」とジャンヌが指示します。
ユウスケは少し戸惑い、「スパルタ、、、」と呟きます。
「お前、助けてもらえるだけありがたいと思えよ。」とジャンヌは強調します。
「まあ、ありがとうジャンヌ。」とユウスケは心の中の感謝を言葉にします。
ジャンヌは厳しい表情で言います。「軽々しく礼を言うな。あの方が無実なら私とお前は殺し合う関係だ。その時は普通に殺しに行く。」
「その時は出来たら火刑は嫌だからサクッと殺してくれ。」とユウスケは冗談めかして言います。
「覚えていたらな。ほら、さっさと行け。これ、渡しておくぞ。」とジャンヌは没収されていた火縄を渡します。「弾薬は諦めろ。」
ユウスケはその火縄を受け取り、「ありがとう、ジャンヌ。幸あれ。」という言葉を残しつ、川に飛び込みます。
ジャンヌは彼が溺れていないか少し見つ、何者かに話しかけます。「誰だ?」
その瞬間、義経が現れ、「あれ?気づいてた?」と驚いた様子で言います。
ジャンヌは警戒しつ、「見られたか。」
義経は笑いながら、「驚いたね。ジャンヌがそんな事をするとは。」
ジャンヌは彼の意図を探り、「黒王様に報告する気か?」と続けます。
義経は首を振り、「いんや。あの人間が逃げた方が面白いから見逃してあげるよ。今夜は十月機関の連中が偵察に来てたから黒王も気付いてないさ。」と笑います。
ジャンヌは安堵しつも警戒を解かず、「それでも、私の行動を報告することはできるだろう。私は裏切り者になりかねない。」と口にします。
義経は肩をすくめ、「いいじゃないか。あの黒王がどんな反応を示すか、少し楽しみなんだから。もしお前が本当に彼を裏切るなら、その瞬間を見逃したくない。」と続けます。
ジャンヌは義経の言葉に微かに微笑みも浮かべますが、「私がするのは神の旨に従うことだ。」と毅然と返します。
義経「ふ~ん、俺は神とか興味ないけどね。」
義経はそう言いながら立ち去っていきます。
大河に飛び込んだユウスケは、思ったより深い水に驚きつ、大の字に流されながらゆっくりと川を下って行きます。
「泳げるけど、この大河はデカいから端までは無理だな。このま流れに身を任せよう。オルテはどっちだろうか。」と自分に言い聞かせます。心の中でオルテの存在を思い描きながらも、川の流れが身体に感じる圧力や冷たさを享受します。
水の中にいると、周囲の音が遠くなり、時折、子供の声や大人の笑い声がどこからともなく聞こえてきます。これが人間の街の音だろうかと思いを巡らせながら、流れに身を任せ続けます。
流されるのは不安でもあり、その一方で未知の場所へ向かうワクワク感もありました。やがて川の流れが緩やかになり、ユウスケの周りには岸辺に立つ人々の姿が見えてきます。
「ついに人の街に辿り着いたか。」心の中でつぶやきます。ユウスケは周囲を見渡し、明かりがともる街の景色に心を躍らせます。彼はこのま流れて岸に上がる決心をします。
岸に近づくと、周りの人々が彼の姿に気づきざわめき始めるのが分かります。「大丈夫か?」との声が聞こえ、何人かの者が助けようと手を差し伸べてきます。
「今助かる!」とユウスケは思い、勢いをつけて岸へ向かいます。両手を使って水を掻き、最後の一歩で岸にたどり着くと、思わずその場に倒れ込むようにして上がります。
水から上がり、周囲の人々に囲まれる中で、ユウスケは心の中で安堵しつも、これからの自分の運命を考え始めます。自由を手に入れたはずの彼には、まだ解決しなければならない問題が山積みであることを再認識するのでした。
ユウスケが目を覚ますと、知らない天井が広がり、知らない天井が見えます。
「黒王の拠点ではないが、何処だろうか。」と彼は内心で思います。不安が胸に広がりますが、冷静に周囲を観察することにします。
窓の隙間から外を見ると、人間たちが活動している様子が目に入ります。商人が道で叫んでいたり、子供たちが遊んでいたりする姿に、少し安心感を覚えます。「とりあえずは人間の街か。」
そんなことを考えていると、扉の音が響きます。少しの間を置いて、領主が顔を出しました。「おお、お目覚めですか。」と彼は優しい声で言います。
ユウスケは軽く頭を下げ、「治療ありがとうございます。」と感謝を述べます。
領主は続けて、「まさか川上から人が流れてくるとは、確か黒王の手に落ちたと聞きましたが…」と驚いた様子を見せます。
「そこからなんとか抜け出しました。」とユウスケは短く答えます。
「ほう、城の内部も見てきたので?」と領主が尋ねます。
ユウスケは冷静に、「見て楽しい者ではありませんがね。」と応じます。
領主は少し考え込み、「あっちの内情を見てきたのなら、これは上の所に連れていかないとな」と小さく呟きます。
ユウスケは好奇心を抱き、「上というと?」と尋ねます。
「グ=ビンネンの長達ですよ。まあそれまではお休み下さい。」と領主はニヤリと笑いながら答えます。
ユウスケは取り敢えず黒王の手から逃げられたのを安堵しつ、これからのことについて考え始めます。
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