ナイゼル·ブリガンテが微笑みながら言います。「聞きましたか、シャイロック。」
シャイロック八世は頷き、「ええ、ギルドの街に黒王の拠点からの生き残りが現れたと。」と返します。
ナイゼルは思慮深く続けます。「襲われたなどはよくいますが、城の中からの生還は初めてです。」
シャイロック八世は興味深そうに、「ああ、その男から情報を聞き、本物か判断しようか。」と提案します。
ナイゼルは即座に応じます。「今は鷹母を一隻向かわせ、早急にこちらに連れてきています。」
シャイロック八世は期待を込めて言います。「さて、労力に見合う情報だといいが。」
一週間後、鷹母に運ばれたユウスケは、ついにグ=ビンネンの首都に移送されます。彼は周りの様子に目を見張り、「ここが領主の言ってたグ=ビンネン。ここまで物に溢れ、豊かとはオルテとは比べ物にならないな。」と感心します。
鷹母の兵士に連れられ、領主の家へと案内される中で、ユウスケは様々な建物や商人たちが活気に満ちている光景を目にします。彼は心の中で、この新しい環境で何が待ち受けているのか想像を巡らせます。
案内された部屋にて用意された豪華な食事に驚きつ、ユウスケは舌鼓を打ちながら腹ごしらえをします。その後、椅子に座り相手を待ちます。
しばらく待つと、ドアが開き、数人が入ってきます。「準備が出来たから、こちらに来てください。」と、その一人が指示します。
中に入ると、警戒した兵士たちが見張っており、部屋の中央には二人の男が座っていました。一人はナイゼル·ブリガンテ、もう一人はシャイロック八世です。
ユウスケは彼らの表情を注意深く観察し、場の雰囲気を読み取ろうとします。彼はこの瞬間、彼らの質問や反応が自身の運命に大きな影響を与えることを理解しています。
「あなたが黒王の拠点から脱出した人物ですか?」と、シャイロック八世が興味深げに問いかけます。
ユウスケはしっかりとした声で答えます。「確かに脱出しました。だが、いたのは数日です。」
シャイロックは驚きの表情を浮かべ、「なんだ、2日か。その前は何をしていたのですか?」とさらに質問します。
ユウスケは心を落ち着けて続けます。「私はドリフでオルテにて火薬、火縄を製作していました。その後、オルテ首都にてクーデターを他のドリフたちと共に起こしました。そこで黒王軍と交戦中に捕らえられ、誘拐されてしまったのです。」
ナイゼルは眉をひそめ、興味を持ちます。「その後、どうなったのですか?」
ユウスケは続けます。「黒王の城において数日間過ごしましたが、2日後に脱出を決意し、そこから逃げ出しました。川に流され、最終的には海に着き、街の人々に救助されたというわけです。」
シャイロック八世はユウスケの話をじっと聞きながら、彼の顔色や言葉の抑揚を観察します。「ドリフでありオルテのクーデター、そして黒王の城からの脱出。あなたの経験は貴重な情報源になりそうですね。火薬はともかく火縄というのは?」
ユウスケはちょっと考え、「説明しても面倒なので、火薬と鉄の弾を用意していただいてもいいですか?火縄は私が持っていたのを返していただけるといいのですが。」と提案します。
ナイゼルが静かに手を挙げると、部屋は静まり返り、数分後にはユウスケが言った物が次々と集まります。「流石は商人の街。」とユウスケは感心し、一同で外に出て弾込めを開始します。
彼はゆっくりと火縄を点けた後、火薬と弾を込めた銃を構えます。「さあ、見ていてください。」と自信を持って言います。
ナイゼルは驚きの声を上げ、「これは、提督殿の言う銃ではないか。」
シャイロックはじっとユウスケに視線を向け、「これは君が?」と問いかけます。
ユウスケは自信を持って答えます。「ドワーフに仕様を言って作ってもらいました。」
シャイロックは深く考え込み、そして決断したように言います。「、、、そこのもの、提督を呼んできてくれ。私では判断に困る。」
言われた小間使いはすぐに走り去ります。待っている間、緊張感が漂う空間が広がります。
シャイロックはユウスケの目を見つめ、「どんな武器かは分かった。嘘はなさそうだ。」と告げます。「中で今度は黒王の拠点の現状について教えてくれ。」
ユウスケは再度、黒王の拠点についての情報をまとめ、注意深く話し始めます。「コボルトやドラゴン、巨人達が跋扈して文明を作り、人を食料にして食べていました。今は進軍を止めていますが、いつ再開するか」
シャイロックはうなずきながら、「ふむふむ、ここは予想通りだな。」と思いながらユウスケの話を聞いていると、小間使いから提督が到着したとの報告があります。
「到着したようだ。ユウスケどの、さっきの火縄をもう一度見せてくれ。」とシャイロックが言います。
全員が外に出ると、そこには大日本帝国海軍少将、山口多聞が立っていました。
ユウスケは驚いて声を上げます。「その顔ネットで見た。山口多聞さん?」
山口多聞はユウスケを見つめ、「私を知っているか。私は見覚えがないが、どうやら君もドリフなのかな。まあ、皆を持たせるのもよくない。火縄を撃ち給え。」と命じます。
ユウスケは言われるまに火縄を撃ちます。その音が響くと、周囲の人々が驚愕の表情を浮かべます。
シャイロックがゆっくりと口を開き、「多聞どの、やはり銃でしたか?」と尋ねます。
山口多聞は頷きながら、「うん、そうだね。間違いないよ。ちょっとこの子と話してもいいかな。」と許可を求めます。
「どうぞ。」とシャイロックが応じると、山口多聞はユウスケに向き直ります。「それで、ユウスケ。君はいつから来たんだ?」
ユウスケは正直に答えます。「貴方が死んだ70年ほど後です。」
山口多聞は驚き、「そうか、日本はどうなった?」と心配そうに尋ねます。
「連合艦隊が壊滅し、日本は占領地を次々に失い、その後敗戦。植民地はすべて失いましたが、アメリカの支援のもとで、世界3位の経済大国に復興しました。」とユウスケは報告します。
山口多聞は思わず感心し、「あの状況から復興したか。やるな。それで火縄は君が?改造している様だが」と問いかけます。
ユウスケは誇らしげに答えます。「ドワーフに仕様を伝えて作ってもらいました。僕だけでなく、他のドリフは織田信長や島津豊久、那須与一など、大物が揃っていますね。」
山口多聞は笑いながら、「偉人祭りじゃないか。こっちは一人で寂しいのに。さて、そろそろシャイロック八世に君を返そうか。また話そう。」と言います。
多聞とユウスケは握手を交し、互いに戻ります。
シャイロックは山口多聞の様子を見届け、「多聞どのとの話は終えたようだね。君は本物のようだ。多聞どのに初対面で握手をしてもらえるとは。」と満足そうに言います。
ナイゼルが少し考え込んだ後、「それでこの男、これからどうします?」と尋ねます。
シャイロックが答えます。「そうだな、情報は聞いたし、ウチで面倒見てもいいが、折角だ。明日にでも多聞どの所に送ろう。」
ユウスケは少し戸惑いながら、「オルテに帰還することは…」と口を開きます。
シャイロックはしっかりとした声で言います。「君には幸い情報の価値があったから希望を聞いてあげたいが、まだオルテとは戦争中でね。和平がなるまでこの街にいてくれ。」
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