山口多聞からの手紙を受け取った菅野は、急ぎ案内に従い大鷹に乗り込んだ。機体が揺れながら空を飛ぶと、菅野は不安そうに叫ぶ。「手綱寄こせ!操縦させろ!」
操縦士は焦りを見せ、「ダメだって言ってんだろテメェ!提督お連れしましたぞ。」と返す。
そのやりとりを見ていたスキピオは、驚きを隠せずにいた。「空、、、飛んだ。ありえない。」
犬族の一人が報告する。「着きましたよ、スキピオさん。」
やがて、菅野たちは騒ぎながら大鷹から降り立ち、山口多聞の前に姿を現した。菅野は再び興奮し、「マジかマジだ多聞丸だ。」と声を漏らし、じりじりと多聞との距離を縮めていく。
彼は敬意を込めて言った。「343空301飛菅野直大尉であります。僭越ながら相撲を一本!」
すると、菅野と多聞は互いに腰を掴み合い、軽快に相撲を取り始める。周囲の者たちの注目が集まる中、菅野が笑いながら言った。「ミッドウェーで死んでる筈なので亡霊かと思い一発ぶん投げて見ようかと。」
多聞は笑みをこぼしながら返した。「菅野か、、ユウスケ少年から名前はチラッと出たな。確か海軍の暴れん坊であり、腕はピカ一。」
菅野は興味を持って尋ねる。「ユウスケ?誰でありますかコノヤロ!」
多聞は異なる昭和の時代を背景に述べる。「君と同じドリフだ。大尉、君はいつこちらに来た?」
菅野は胸を張って答えた。「1945年8月1日!」
多聞は驚きと理解を込めて、「終戦2週間前か」と声を漏らす。
菅野はあっけらかんと、「やはり直ぐに負けましたか。先に死んだ人にその後を教えられるとは、日本はどうなりましたか?」
多聞は少し考えた後に穏やかな口調で言った。「詳しくは聞いとらんが、復興したらしい。」
菅野は興味を持ち、「へぇ、その話をした奴は戦後の人間なんすね。」と微笑む。
二人が相撲を続けていると、多聞は力を抜きながら後ろに退く。突然の動きに、菅野はバランスを崩し、そのま倒れ込んでしまった。
周囲は笑い声に包まれる中、菅野は立ち上がりながらも元気よく言った。「ワザと退くとは卑怯な!次は絶対勝つからな!」
多聞は優しく笑いつつ、「それも楽しみだな、大尉。次相撲をやるために今出来る事をやろうか艦長と航空兵、たった2人だが2航戦だ。」
菅野は興味深く尋ねた。「それで、何が残ってるんですか?」
多聞は答えた。「九九艦爆、九七艦攻、零式艦戦、二一式。それら全てが損傷機だ。だが、飛ぶのもある。」
菅野は強い関心を示し、「爆装や燃料は?」と続ける。
多聞は少し苦い表情をしながら言った。「ほとんど失墜した。しかし、幾らかは残っている。かつてのような戦は出来なくとも、この世界の場合、飛ぶだけで戦を変える。」
菅野はかつての愛機を思い出しつ、「しっかしまあ、本当に飛龍ですね。他の乗員は?」と問う。
多聞は肩をすくめて答えた。「分からん。ここに飛ばされた時は私一人だった。遺体すらない。ところで、そちらのローマの歌劇に出てきそうな人は?」
菅野は首を傾げながら言った。「知らないす、イタリアの芸人じゃないですか?」
すると、スキピオが大声で叫ぶ。「違ーーう!スキピオ・アフリカヌス!!」
多聞は興味深そうに言った。「スキピオとはポエニ戦争の?ハンニバルは聞いていたが、スキピオまで。」
菅野は呆れ気味に言った。「スキピオとか誰だよ。ローマならカエサル連れてこいよ。つか、お前の名前初めて聞いたわ。」
スキピオは苛立ちを露わにし、「何度も言ってるだろ!もうやだこの蛮人!」と叫ぶ。
多聞は二人のやり取りを見守りつ、冷静に口を挟む。「まあ、落ち着きなされ、ローマの英雄。」
スキピオは多聞に向かって尋ねた。「あんたは俺を知ってるのか、所で何だここは?」
多聞は堂々と説明する。「これは城ではなく、船、航空母艦。」
スキピオは目を丸くして言った。「船?これがか?」
多聞は笑いながら、歩き始めた。「見てもらいたいものがある。大尉、貴様は知ってるだろう。航空兵とはいえ海軍士官なら。」
多聞は進みながら話を続けた。「殆どは水に浸かっていたが、元の数が多いので幾らかは残っていた。」
彼が指し示したのは、三八式歩兵銃や弾薬たちが、残った塊として静かに並べられている場所だった。その姿は戦争の爪痕を物語り、過去の記憶を呼び起こすものだった。
菅野は、それを見つめながら思わず笑う。「そりゃあるよな、飛龍だもんな。」
スキピオは銃を指さし、困惑した表情で問いかけた。「一体、なんだこれは?」
多聞は嬉しそうに答えた。「銃です。そうですな、あなたがスキピオなら二千年後の武器と言った方がいいですかな。」
スキピオは驚きの声を上げた。「二千年!」
その様子を見た多聞は、菅野が犬族に無理矢理兵装を着せているのを見て注意を促した。「大尉、その犬族の人にコスプレさせるのは止めて上げなさい。」
菅野はその瞬間、犬族をコスプレさせる楽しそうな光景を見て笑っていたが、多聞の言葉に思わずストップをかけられた。
スキピオはその混乱の中で、多聞に真剣な眼差しを向けた。「提督、この二千年での歴史を教えてほしい。特に軍事的技術や思想、戦術に関することだ。」
多聞は少し戸惑いながらも、的確に答えた。「海軍士官のため、大まかにしか知りませんが。」
スキピオは目を輝かせ、「構わん。勝手に咀嚼する。勉強は得意だ。ハンニバルにも追いついた。二千年を追いついてみせる。」と自信満々に宣言した。
同じ頃のユウスケ。
ドワーフ工房の中で、ドワーフが息を切らせながら言った。「ゼェゼェ。もう二度とやりたくない。」
ユウスケは頷きながら、「流石、実物があれば作るだけはある。」と感心した。
ドワーフは手に持った部品を見て、眉をひそめた。「このなんじゃ?三八式歩兵銃、これの部品の鋳型じゃ出来たぞ!」
ユウスケは自信満々に答える。「これで溶かした鉄を流し込めば、大量生産が出来る。」
ドワーフは腕を組んで憤慨した。「儂らは火縄の製作があるから作れんぞ!火縄を作らないといけん!」
ユウスケは頭を悩ませながら、「ちょっとは多聞の所からパクって、いや借りてきたが、俺と、手の空いてるエルフの鍛冶とオルテの生き残ってる技術者でなんとか100丁だけでも用意せねば、、」と腕を広げた。
その時、シャラが周囲を見回しながら口を開いた。「俺は鍛冶はしてないが、手伝う事あるか?」
ユウスケは一瞬目を輝かせ、「筒を使ってここに線を引いてくれ。これで1回分の弾込めの火薬の量が分かる。」と指示。
だけどユウスケはその後、少し間をおいて語り始める。「避難民に荷車作らせて、いや。むしろ避難民から徴収して物資の移動を効率化させ、サン・ジェルマンの馬車も徴収して、、、ああ!!やる事多い!」
その声を聞いたサン・ジェルマンは、一歩下がりながら言った。「信ちゃん。あの子休ませないとヤバいわよ。」
信長は深く頷き、「効率化は分かるが、人を頼らんのが駄目だな。豊久、ちょっと気絶させてこい。」と冷静に指示。
豊久は即座に「分かった。」と言い、ユウスケに近づいて行った。
ユウスケはブツブツ呟きながら計画を練り続け、「三八式の部品を作り鍛冶をすすめて…」「火薬はどうしよう…」「ああ、頭が…!頭を爆発させてやるう!」と叫んでいた。
その時、豊久はユウスケの頭を軽く叩き、「はい、気絶。」と一言。
ユウスケはそのまふにゃっと倒れ込み、工房の中に静寂が訪れた。
信長は皆に向かって言った。「やっぱり、仲間には優しくしないとね…!」
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