ユウスケは暫く寝た後、ゆっくりと目を覚ました。彼は頭を手で摩りながら、自分の状況を完全に理解しきれていなかった。
信長が真剣な表情で声をかける。「正気?」
ユウスケは少しぎこちなく微笑み、言った。「お気遣いどうも。」
信長は続けた。「お前の用意した三八式歩兵銃なるものは、なんとか作らせておる。弾薬はフラメルとアレスタが過労しながら用意しておるぞ。」
ユウスケはほっとし、「良かった。僕の役目は果たせそうで」と胸を撫で下ろした。
しかし、信長は神妙な顔つきで、「だが、それまでよ。黒王の行軍を考えると、それ以上の武器の用意は無理じゃ。」と衝撃的な一言を放った。
ユウスケは驚いて「もうそんなに近く?」と問い返す。
信長は窓を指差し、「窓を見て外を見てみよ。避難民がわんさか来てやがる。今は門の外にいるが、いつ暴動になってもおかしくない。」と警告する。
促されるまにユウスケが窓の外を見ると、大量の難民が地を埋め尽くすほどの光景が広がっていた。
ユウスケは口を開けて驚愕し、「これが全部兵隊なら…」と呟いた。
信長は少し肩をすくめ、「槍なら持たせられるが民兵だからの、火縄は用意できて3000、お主の三八式も用意できるのは100じゃ。」と現実を突きつける。
ユウスケは顔をしかめ、「圧倒的に足りない、、、」と悲痛に叫んだ。
信長は頷き、「であるな。」としみじみと答えた。
その瞬間、サン・ジェルマンが勢いよく飛び込んできた。「ユウスケ!いる?」
信長は少し嫌そうに、「どうしたオカマ?」と返した。
サン・ジェルマンは息を切らしながら言った。「今すぐ来て頂戴!焼失した議事堂の壁が崩れてたから見に行ったよ!そしたら壁の中にアレがあったわ!とにかく来て!」
ユウスケはアレが何か聞かずに、サン・ジェルマンに引っ張られるようについて行った。
サン・ジェルマンは歩きながら、「アンタならどうせ知ってるでしょ?ヒトラーったらとんでもないもの隠してたわね。」と興奮した様子で話し続けた。
ユウスケは心の中でワクワクしながら、「これは、、、」とつぶやく。
その瞬間、ユウスケの目に飛び込んできたのは、鉄に覆われた装甲、大きな主砲とキャタピラがついた、当時としても最大の戦車だった。
思わず口を開いて、「超重戦車マウス、、、この世界に来てたのか」と驚いた表情を浮かべた。
信長が横から、「なんだこれ? 鉄の外装の様だが」と尋ねる。
ユウスケは指差しながら、「未来の動く大筒付き荷車ですね。」と答えた。
彼は興奮気味に中に入り込むと、ボタンをいじくり回しエンジン始動を試みた。製作後すぐに放棄され、完全に新品のままこの世界に来たため、エンジンは問題なく動いていた。
「よし、来い!」とユウスケが叫ぶと、エンジンが唸りを上げて始動。
ユウスケはニヤニヤしながら言った。「弾は予め車内にあり、エンジンも動く。これがあれば、巨人でさえ倒せる。」
信長は思わず笑い、「ちょび髭め!!こんな面白いもの隠しやがって!これで黒王にも立ち向かえる!」と共に興奮し始めた。
サン・ジェルマンも「何人か乗員を集めてあげるわ!!」とノリノリで言った。
与一「楽しんでる所悪いですが、大変ですよ皆さん。豊が避難民の前に行ってます。」
信長「不味い、あいつが何言うか分からん。止めさせろ」
避難民たちは豊久の目の前に集まり、その特異な雰囲気から彼を一目見て「ドリフだ。」「本物だ。」と呟き始めた。
族長が取りなすように言った。「アレが、ドリフ。どんな男だろうか、、。」
豊久は眉をひそめて、周囲を見渡し、「お前らは何故騒いどる。」と問いかけた。
一人の避難民が前に出て、切実に言った。「あんた、ドリフだろ?助けてくれよ。」
さらに別の避難民が続けて言う。「何の為にいるんだ?黒王に家を焼かれて。」
避難民たちはそれぞれ口々に自身の事情を述べ始め、声が次第に大きくなった。
豊久は冷静に問い返した。「何故そこで死なんかった?」
その様子を見ていた信長は、ついに「薩摩劇場が始まってしまった。」と呟いた。
豊久はさらに問い詰める。「何故ここで声を上げる。何故槍を持って故国に帰らん。」
与一が横から、「言うよね、言うと思った。」と呟いて笑いを堪えた。
サン・ジェルマンは状況を心配し、「最悪、暴動になるわよこれ。」と警告した。
豊久は強い口調で続けた。「ここは人里万里のどんづまり。逃げ場なんてどこにもない。」
「俺はただの戦餓鬼、あせいこうせいの才はない。」彼の声は徐々に高まり、避難民たちを意識させる。
「主らが黒王の首を取りに行くのなら、俺も行って取りに行く。」と宣言した後、一瞬の沈黙が訪れた。
「主らがエンズを殺すために行くのなら、俺もエンズを皆殺しにする。」その言葉は避難民たちの心に響く。
「主らがそれで死んだなら、おいも黄泉までついて行く。」豊久は情熱を強調した。
「共に行くなら何でも一緒にしてやる。共に行かんものはいらん。ここで死ね。」と指示するように告げた。
「ここはどんづまりのどんづまり。泣いて喚くならサパッと腹裂いて死ね。」最後に彼は力強く言い放った。
その言葉は、避難民たちの心に深く突き刺さり、静寂が訪れた。豊久の強い意志は、彼らに自らの選択を考え直させた。そして、彼の真剣な眼差しは、彼らに新たな道を示し始めた。
族長は力強い声で、立ち上がって言った。「私はエンズに国を滅ぼされた族長だ。我々は共に戦う。めそめそ死ぬのは嫌だ。」
その言葉に反応して、諸部族の指揮官も声を上げた。「ドリフの言う通り!自ら戦わずして何も手に入るまい。」
さらに別の指揮官が続ける。「追い詰められ、泣きながら死ぬより、故郷を取り戻すため前を向いて死のう!彼と!」
部族の一人が言ったその瞬間、皆が立ち上がり、一斉に声を上げた。
ユウスケはその様子を見てほっと息を吐き、「危なかった。」と呟く。
信長は満足げに頷き、「しかし、結果的にはうまくいった。アイツら全て兵に出来る。」と報告した。
さらに続け、「サン・ジェルマン、避難民を兵の経験者、指揮の経験、ズブの素人に分けろ。老若男女分けるな。」
サン・ジェルマンは驚き、「マジ?」と目を丸くする。
信長は真剣な顔で言った。「女子供でも腕のいいのはいる。こっちは防御戦だ。周到に作った防陣は素人も手練れに変える。」
その言葉を受けて、信長は計画を続ける。「避難民の中にはオルテ兵もいるだろ。そいつらはオカマの軍に組み込んどけ。」
サン・ジェルマンは理解した様子で、「まあ、その方が不満も出ないでしょうね。」と賛同した。
信長は会議の場を引き締めるように宣言した。「避難民の兵はトヨに賛同した最初の将に任せよう。出来るやつの匂いがする。そして与一連中をエルフ・ドワーフとは合わせるな。」
与一は眉をひそめ、不満げに「この期に及んでですか?滅亡一歩前ですよ?」と反論する。
シャラも加わり、「そうだよ。信長存亡の危機だよ?流石に反目しないよ?」と心配を口にした。
ドワーフは頷きながら、「幾ら儂らでも空気読むぞ?」と自分たちの立場を強調した。
しかし、信長は手を振り、「ダメダメ!絶対だめ!」と強く否定した。
「呉越同舟とか言うがな。戦になると、誰かがミスしたり功を上げるだけで軋轢が生まれる。これをほっとくと取り返しのつかないことになる。」と、信長は厳しさを滲ませた。
シャラは思わず、「そんな人間死ねとかドワーフクセェとか思っとらんすよ、、、」と反発するが、ドワーフは「そうじゃよ、そうじゃよ。」と同調した。
二人は目を逸らしながら答え、信長は少し苛立ちながら、「お前ら、思ってるな!やはり!」と指摘した。
その時、サン・ジェルマンが口を挟む。「ともかく迎撃するとして、首都が使い物にならないなら何処で決戦するかね、、、」
安倍晴明が静かに続けた。「首都駄目ですか?」
信長は明確に答える。「晴明か、駄目だよ。ここ京だよ。」
安倍晴明は理解を示し、「京なら仕方ないか」と納得した。
与一は微笑みを浮かべ、「よくご存知のようす」と指摘し、場に少しの緊張がほぐれた。
信長は地図を指さしながら言った。「街道の集まる地にて黒王の布陣が制限される場所、ここだな。サルサデカダン。」
サン・ジェルマンは思い出した様子で、「ここは確かオルテ建国前に関所があった場所。守るにはいいかもね。」と指摘した。
豊久は興味を持ち、「黒王との戦の場所を決めとるのか?」と尋ねた。
信長は頷き、「うむ。」と答えた。
豊久は少し考え込み、「似ているな。」と呟いた。
信長は不思議そうに「ん?」と問い返す。
ユウスケが口を開いた。「あー、関ヶ原?」
豊久はその言葉に反応して、「そうじゃの。」と同意した。
ユウスケはさらに言った。「待ち構える西軍が東から来る東軍を相手する。なんか縁起悪いな。」
豊久は軽く頷き、「それで、晴明何しに来た?」と話を戻した。
晴明は真剣な表情で説明した。「黒王のしたい事が分かった。奴らは意図的に避難民をここに集めている。」
与一は驚いて、「何故わざわざそんなことを?」と尋ねる。
信長は冷静に言った。「ゴミ掃除だ。」
晴明はそれを確認するかのように続けた。「そうです。避難民を一箇所に纏め全員殺す。本当に終わらせる気だ。」
与一は困惑し、「でもそんなに一気に攻める戦力。兵糧はどうしているんでしょうか?」と疑問を抱く。
ユウスケはしっかりとした目で答える。「実際に見た。黒王は何でも増やせる。」
信長はその話に驚き、「はあ?そんなの補給考えなくていいじゃねえか!」と憤慨した。
豊久は落ち着いた様子で言った。「何れにせよ。黒王を討てばこっちの勝ちじゃ。黒王さえ討てば全て終わる。」
彼の言葉には、戦いに挑む者としての覚悟が表れていた。仲間たちはその言葉を背に、戦に備える決意を新たにした。
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