ドリフターズに迷い込むもの   作:四国の探索人

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空気の変わる戦場

ドラゴンを次々と制圧し、おかげで制空権を敵に渡さなかった結果、コボルトやオークたちの被害は甚大だった。信長の火縄兵たちはその火力を駆使し、敵に対して容赦なく攻撃を続けていた。

 

「光秀、無駄よ無駄。」信長は冷静に戦況を見守りながら言った。「巨人の盾を失い、竜も失った今、ただの平押しで突破できるものか。」

 

火縄兵たちは、一の壕を必死に登ろうと試みていたが、顔を出すとすぐに待ち構えていた射撃によって次々と撃破されてゆく。その瞬間、彼らの恐怖を引き起こすのは、空から降り注ぐ火縄の雨だった。

 

 コボルトたちが前へ出て、壕の壁を押し上げようとする。「行け、行け!」と叫び、牙をむいた姿で突撃するが、火縄兵の射手たちが冷静に狙いを定めていた。

 

「あのコボルトだ!」と言いながら一人の兵士が引き金を引くと、激しい火花が飛び散り、コボルトは壁に叩きつけられた。さらに、隣ではオークが「我らが進むのじゃ!」と叫び、力強く仲間を引き連れて前に出ようとするが、火縄兵の銃弾が雨のように降り注ぐ。

 

「行け!行け!」と叫びながら彼らは進み続けるが、仲間たちが次々と倒れていく。オークの一人が誇らしげに槍を高らかに掲げ、「まだ戦える!」と吠えながら進もうとするが、直後に銃撃を受けてその場に崩れ落ちた。

 

後ろからコボルトたちが「行け、行け!」と執拗に前進を強いられるが、増えていく死傷者の中で彼らの士気も次第に削がれていく。

 

「高く飛び越えろ!」と一人のコボルトが叫ぶ。彼は仲間の援護を受けながら壕の縁をよじ登り、前方の火縄兵に向かって飛び込もうとするが、ちょうどその瞬間、火縄兵の銃口が彼の方を向いた。彼は絶望の中で振り返るも、無情にも弾丸が放たれ、再びコボルトの体が地面に叩きつけられた。

 

 信長は眉をひそめ、心の中で自問自答していた。「全く、俺の知ってる光秀なら、他の策を使うかと思っ、、、」

 

だが、ふとその考えを中断し、異変に気づく。「待てよ。いくら光秀といえ、考えなしにこんな事するか。」その瞬間、彼の心臓が一瞬高鳴った。「やべぇ。」

 

真剣な表情で周囲を見渡した瞬間、ハンニバルの伝言を持ったシャラが駆け寄ってきた。息を切らせながら彼女は叫ぶ。「爺さんが、何故こっちばかりで向こうの山には行かんのじゃー!って言ってるぞ。」

 

信長はその言葉を聞いた瞬間、さらに不安が募る。今、どこかで何かがおかしい。戦術の根底が揺らいでいることを感じ取り、彼は焦りを隠せなかった。

 

一方、ハンニバルは遠くの山影を見つめながら、孤独に思索を巡らせていた。「これはもうダメかもしれんの」と呟く。彼の脳裏には、これから訪れるであろう恐ろしい結果が浮かび上がる。一瞬の不安が心を蝕み、冷や汗が背中を伝った。

 

 

 

 難民連合陣地。周囲は緊張感に包まれ、重苦しい空気が漂う中、ラスプーチンは公子に向き直った。

 

「さて腹は決まりましたかな?幾ら悩んだ所で道は1つのような気がしますが、族長、いや公子様と呼んだ方がいいんですか。」

 

ラスプーチンの口調には、冷たい決意が見え隠れしていた。「もはや反対しているのはあなただけですよ。他将も部下も賛同しています。」

 

彼の言葉は続く。「それに慈悲深い黒王様が約束されました。今転ぶなら、国を与えると。」

 

公子は毅然として答える。「私はあの男に約束した。逃げ回って死ぬなら、戦って死のうと!」

 

ラスプーチンは冷静に彼を見返した。「あなたはそれでいいでしょうが、兵や部下はたまったものではないでしょうな。兵や将、そしてあなたの家族すら、私が保護しているのをお忘れなく。」

 

公子は一瞬苦悩の表情を浮かべるが、すぐに言葉を否定する。「そんな口からデマカセ言っても、信じられるか。」

 

ラスプーチンは静かに微笑む。「断ってもいいですが、お前は飲むしかない。今お前が断れば、妻も子供もオークの昼飯になる。これだけは保証しよう。」

 

その矢先、洗脳された部下が前に進み出る。「公子様、今なら許されます。寝返って下さい。」

 

別の洗脳された部下Bも急かす。「ご決断を!公子!」

 

公子は彼らの言葉に心が揺れる。「お前らも望むのか?」

 

考えあぐねた後、洗脳された部下たちが口を揃えて答える。「喜んで!」

 

公子はその言葉に重い息を漏らし、内心で思考が奔流する。「そうか…」と呟き、静まり返る陣地の中で、一歩踏み出す覚悟を決める必要があった。彼の心には、決断の重さがのしかかり、運命が動き始める気配がした。

 

 公子は深呼吸をし、全軍に向かって声を張り上げた。「全軍聞け!故あって寝返る!寝返るのだ!」

 

その言葉が響く中、洗脳されていない兵士達は混乱を抱えた。「公子様、本当にそれでいいのか…?」と、疑念の表情を浮かべながら周囲を見回す者もいた。しかし、公子はさらに力強く言葉を続ける。「今、寝返れば国が与えられる!他の将軍も賛同している!」

 

その宣言が波紋を呼び、多くの兵士が動揺し始めた。彼らは悩みながらも、国を手に入れる可能性に心を揺さぶられる。徐々に、士気の高まった兵士たちが「公子様についていく!」と声を上げていく。一方で、一部の士官たちは納得できずに頭を抱えたり、疑念を抱いたま静観を決め込む者もいた。

 

「化物と手を組めるか」とドリフに従う士官たちは、今までの信念を失うことに恐れを抱いていた。彼らの中には、運命を最後まで共にする決意を持つ者もいたが、多くは葛藤の渦に巻き込まれていた。

 

「俺は逃げる!」と叫び、ついには従えないま逃げ出す士官もいた。同時に、熱い思いを抱える者もいれば、冷静に状況を見つめ直す者もいる。軍がまとまりのない動きをする中で、たくさんの兵士たちがそれぞれの道を選び始めた。

 

その様子を見ていたドリフたちは、何か不穏な事が起きていることを確信した。難民連合の揺らぎは、彼らにとって大きなチャンスにも見えた。しかし、同時に戦況が不明確になる中、警戒を強めざるを得なかった。

 

 荒れ狂う戦場の中、竜に乗り暴れていた豊久は異変に気づき、晴明とともに本陣へと戻ることに決めた。

 

「やっぱりか」と豊久が呟く。

 

「何がやっぱりなんだ?」と晴明が疑問を投げかける。

 

「えらいことなっとる。本陣戻るぞ。」豊久はすぐに状況を把握し、急ぎ足で進む。

 

一方、与一も信長に難民連合の異変を伝えに行っていた。「ノブさん!向こうの山!」

 

信長は冷静に返す。「分かっておる。公子は多分、もう寝返りをうった。間もなく時を置かずしてこっちに攻めてくる。全軍が裏切ってなくても、一部だけでも来たら終わりだ。」

 

その場にいたユウスケが不安そうに言った。「さっきから水晶玉が五月蝿いが、何かあったのか?」

 

豊久は一言で答える。「難民が小早川になった。」

 

「マジかよ。挟み撃ちになる。」ユウスケはその言葉に愕然とする。

 

信長は怒りを抑えられず、地面を踏みつける。「クソッ、何処だ?何処でしくじった?」

 

「しくじっておらん。お主は何もしくじっておらん。」豊久は冷静に言った。「元々ただの寄り合いの軍。各々、自分の損得で判断しておる。」

 

「どんだけしくじりを潰しても必ず何か出てくる。それが戦ぞ。そろそろかの?」豊久が難民連合の方を見ると、こちらに進む旗が見えた。

 

「狙い、こちらに来る難民連合!当たれ!」とユウスケが叫ぶ。戦車の主砲弾が難民連合の前に着弾し、一瞬足が止まる。

 

「信長らしくもない。状況が悪すぎる、撤退しかない。」ユウスケは焦りを見せる。

 

「いや、まだだ。急な寝返りで動揺がある。その間に立て直せ!」信長は毅然とした態度で指示を出す。「山側から兵を引かせろ!矢の雨が来るぞ。」

 

「ノブ。今回はユウスケの方が正しいぞ。あれ。」豊久が指差す方向を見れば、同時にド派手な火炎を作るジャンヌ・ダルクと、氷の出城を作り上げているアナスタシアの姿があった。上からクロスボウの雨が降り注ぐ。

 

さらに、初めに倒した巨人までもが復活し、起き上がり始める。

 

「黒王の能力か。」ユウスケが冷や汗をかきながら呟く。

 

「1つだけなら対処できたが、全て同時か、、、」信長は焦燥感を隠せない。

 

「ノブ。はっきりせんかい!この戦は負けじゃ。全軍、廃城に退け!他の事に構うな。」豊久は厳しい口調で言う。

 

「ヴェルリナの都市は放棄してオカマに連絡せい。山道を通り南東側に迂回すれば退ける。エルフ衆に先導させよ。」豊久は冷静に作戦を指示した。

 

与一はその姿を見て思う。(この人、淡々と決めている。始めから負けを予見していたかのように。)

 

「そして、殿軍、しんがりは島津豊久。おいが務める。運命がおいにもう一度あれをやれと伝えておる。」豊久は決意を固め、全軍に向けて指示を出す。

 

 

 信長は焦りを隠せずに言う。「まだ撤退戦でもやればいい。」

 

だが、豊久はその言葉を即座に否定する。「そんな時間はねぇ。今は一刻が万金でごわんど。早く早く退きそうらえ。」

 

信長は必死に豊久の服を掴み、力強く言った。「お前、大将だぞ?お前が1番早く退けよ!!」

 

その言葉に、豊久は一瞬驚いたように見えたが、すぐに信長の腹部を強く殴った。「言い争ってる時でなか。これは総大将であり総大将でないおいにしかできん。」

 

豊久は冷静に続ける。「総大将のおいが突撃すれば、敵は主らなど構わずこちらに来る。さすれば主らは逃げられる。」

 

「おいはただの戦餓鬼よ。黒王倒す策や国獲りの知恵などなか。だが信長主は違う、頼むど。」

 

信長は豊久の言葉を聞きながら頭を冷やそうとしていたが、その心の奥には怒りが渦巻いていた。「ふざ、、けんなよ。」

 

 与一は豊久の頬を叩いたが、豊久はただ信長を頼むとだけ言い、何も動こうとしなかった。

 

「この人、最初からこうするつもりだったのか。」与一は気づき、全軍に退却命令を出す。「全軍に伝える!!退け!廃城へ!!」

 

説得を諦めた与一は、指示を出しながら不安を抱えていた。豊久は与一に向かって言った。「さて、お前も退けよ、ユウスケ。」

 

ユウスケは決意を胸に抱え、「、、、操縦士戦車を廃城まで頼む。」と答えた。彼は戦車から降り、戦車を廃城へ向かわせた。

 

「関ヶ原で死に損なった豊久が囮になるわけないだろ。豊久は義弘叔父ではないんだから。」ユウスケは心の中で葛藤していた。

 

豊久は微笑みを浮かべ、「今回は成功させてみせる。信長さえ無事返せたら、コチラの勝利よ。」

 

ユウスケはその言葉を聞き、自らの言葉を再確認する。「死ぬ気だよな?」

 

「もう会えんじゃろな。」豊久は静かに答える。

 

「どうせ、この戦は負けだ。豊久単騎で突っ込んでも他のエンズ達もいる。一人で無駄死にする気なら止めとけ、折角なら黒王に傷の1つでも受けさせよう。」ユウスケは必死に説得しようとしていた。

 

豊久は一瞬思考を巡らせ、「何か策でもあるが?」

 

ユウスケは決意をもって言う。「ここにサン・ジェルマンから奪った馬車が2つある。ガトリングを積んで、ダイナマイトも幾らか積んだ。戦では少数すぎて使用しなかったが、突破には役に立つ筈だ。」

 

豊久は興味を引かれた。「この馬車で黒王まで届くが?」

 

「自殺志願者よりかはマシだよ。」ユウスケは冷静に答える。

 

その言葉に、豊久は笑いだした。「黒王の所に着きさえするなら、敵兵は皆迫ってくる。十分じゃ!」

 

豊久とユウスケは、最後にハンニバルに声をかける。「じじどん。行くぞ。」

 

ハンニバルはため息をついて言った。「もう会えんか、2人とも。」

 

「おう。」豊久とユウスケは同時に答えた。

 

ハンニバルは心配そうな表情で言う。「死ぬんか?」

 

「、、、ああ、多分。」ユウスケは素直に返す。

 

「たぶん、だからじじどん目を覚ましてくれんかの。」豊久は笑顔を見せながら言った。

 

ハンニバルは力強く応じる。「よし、死ね!覚めたわ。」

 

その言葉は、彼らの心に少しの勇気を与え、戦場へと向かわせる原動力となった。

 

 

 豊久は、戦場の熱気をもう一度感じ取りながら言った。「さて、行くかの。」

 

しかしユウスケが急に「待て、豊久あれ。」と指差した方向を見ると、そこにはドワーフたちがいた。

 

「どしたお前ら、退かんか。」豊久は驚き声をかける。

 

ドワーフの一人が答えた。「二人では荷が重すぎるだろうが!誘わんかい!どうせ儂ら五十年前に死に損なったジイよ。若い連中はもう行かせた!それにその馬車、人いないと動かせんだろ。」

 

千々に散る命の中、共に戦おうとする意志がそこにあった。

 

そこへ、銃を携えた兵士たちも駆けつけてきた。「私たちもいますよ。ユウスケさん。」

 

ユウスケは一瞬の驚きを隠せなかった。「三八式を持たせたサン・ジェルマンの精鋭兵。お前らは廃城に行かないと。」

 

しかし、精鋭兵の一人が毅然と言った。「サン・ジェルマン様より貴方を死なせるなと言われてます。本当は廃城まで引っ張り帰りたいですがこの状況、仕方ありません。」

 

このようにして、仲間たちが集い、二人を忠実にサポートするため、全員の決意が一つとなった。信念を胸に抱きながらも、それぞれの理由で豊久とユウスケに同行しようとする彼らの姿は、皆で成し遂げようとする力強さと団結の証明でもあった。

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