ユウスケは黒王ユダの過去の語りに耳を傾けながら、彼の告白に心が揺れ動いた。黒王は、全てが変わった瞬間について語り出す。
「かつては私もただの人であった。だが、ある日イエス・キリストに出会った事で全てが変わった。当初は彼を単なるペテン師と見ていたが、彼は様々な奇跡を起こした。」黒王はその衝撃的な出会いを打ち明けた。
「聖書は本当の事だったのか?」とユウスケは恐る恐る尋ねた。
黒王は頷いた。「イエス・キリストは本当に神の子だった。それを疑う者はその場にはいなかった。しかし、私はその奇跡を利用してローマ帝国を倒し、人々を救済してくれると考えた。だが、キリストはそんな私を否定的に見てたのか完全には信用しなかった。」
沈黙が一瞬続き、ユウスケはその言葉に返す言葉を失った。
黒王は続けた。「キリストは、力がありながらもローマを倒すことはなかった。期待を裏切られ、私は次第に羨望よりも怒りが勝った。」
聖書の物語と重なることに、ユウスケは呟いた。「聖書通りか…」
黒王は思い出すように語った。「ある晩、彼は弟子たちの前で暴力での抵抗を否定した。他の弟子たちは納得したが、私は見切りをつけた。」
「ローマに捕まることで、イエスが目覚めることを期待したが、彼は捕まり、処刑された。だが、捕まる間際に3日後に復活するという予言を残していった。」
黒王の目はどこか遠くを見つめていた。「最初は半信半疑であったが、3日後、私はキリストの墓を訪れ、本当に彼が復活していることを確認した。」
過去の映像がユウスケの目の前に浮かぶ。
ユダは興奮と困惑の中で問う。「本当に復活されたのですか。」
キリストは静かに答える。「告げた通りです。」
ユダは訴えかける。「この奇跡を広め、ローマを打倒しよう。」
キリストは首を振り、「私は暴力に訴えません。」と告げる。
ユダは焦りを隠しきれない。「、、何故復活してもローマを倒さないのですか?何のための力ですか?もしあなたがしないというなら、私が民を救います。」
その言葉と共に、ユダは杖を手に取り、キリストを殴打する。キリストの額から血が流れるのを見て、ユダは驚愕しながらも行動を止めない。
「神の子でも血は流れるのか…」とユダは呟きながら、殴り続けた。
イエス・キリストは至って静かに祈った。「主よ、彼を赦し給え。」
ユダはキリストが動かなくなるまで、その行動を止めず、ついにはキリストは倒れてしまった。
ユダは、キリストを殺害した後、他の弟子たちにその罪が発覚するのを恐れ、遺体を切り分け、血痕を洗い流し自宅に隠した。その後、不安を抱えながら再びキリストの墓場に向かうと、すでにペトロ、ヨハネ、そしてマリアたちが集まっていた。
「何があった?」とユダは問いかける。
ペトロは怒りを顕にしながら叫ぶ。「お前!裏切り者の癖によく来たな!」
マリアが間に入る。「落ち着きなさい。キリストの墓が開かれ、周囲には血が流れているわ。」
ヨハネがクリアに状況を分析しようとする。「血はもしかしたら傷によるものかもしれないが、復活されたのか?」
ユダは内心の動揺を隠しつ尋ねる。「何故私たちの前に姿を現さないのか?」
マリアは考えを巡らせる。「多分、姿を現してしまえば、再び民衆とローマの対立を煽る結果になるのを避けたかったのよ。」
ヨハネはそう思っていた。「イエス・キリストは新たな民を救うために別の地へ行かれたのかもしれない。」
ペトロは新たな決意を固める。「この出来事を記録に残し、御業として伝えていこう!」
話し合いを終えた弟子たちは、それぞれの使命を胸に、その場を去っていく。ユダは一人恐る恐る自宅に戻り、隠していたイエスの遺体を再確認する。
ユダは自らの孤独な旅路を思い返しながら、キリストの肉体を喰らい力を得た瞬間を思い起こしていた。初めは罪悪感に苛まれたが、その奇跡的な力を体感すると、彼は笑いながら食した。
「これからは私が力を用いて人を救う。」ユダはそう誓い、新たな名を名乗らずに民衆の中に身を投じた。初めて病気の少年を癒したとき、少年は感謝から「イエス様ありがとうございます。」と叫んだ。その瞬間、ユダは自分の正体が誤解されていることに気づいたが、活動を続ける中で、その名を利用する道を選択した。
年月が流れ、ユダは病を治し、奇跡を行う姿で多くの人を救った。しかし、彼の姿が変わらないことへの不信が高まり、人々は徐々に彼を奇異の目で避けるようになった。失意の末、ユダは姿を隠す生活を始める。
「私が老いないのは奇跡なのか、それとも罪の報いなのか。だが構わない。奇跡を使い導く。」姿を隠しながらも、ユダは数世紀にわたり生き続けた。
時と共に、世界は変化し、宗教や信仰もまた変貌していった。ユダは現代に至るまでの長い歴史の中で、カトリックだのプロテスタントだの本来の宗教とは違う形に無関心が募り、次第に引きこもりがちになった。しかし、その中で彼は決断を下した。一般人として静かに生き、人知れず現代に至るまで歴史にはその名を刻むことなく過ごしてきた。
黒王ユダは自らの過去を語り終え、ユウスケに向かって冷徹な言葉を投げかける。「さて、こちらの世界の話もあるが死に行く人にはもういいだろう。死んで貰おうか。」彼は手をかざし、力を集中させる。
ユウスケは恐怖に震えながらも、抗いの意志を見せる。「震えで体が動かん。黒王の元に辿り着いただけで殿の仕事はしたよな。信長、与一、豊久。」彼の後ろに控える少数の銃兵たちも、同じく恐怖からか動けずにいた。
ユウスケは死を悟りつあったが、心の奥にはまだ微かな希望が残されている。「こんな形で終わるのか、みんな後は頼んだ。」
黒王は薄笑いを浮かべて言い放つ。「ここまで来たことは褒めてやる、死ね!」彼が手を閉じる瞬間、突如としてナイフが彼の手に突き刺さり、炎が燃え上がった。
動揺した黒王はすぐさま回復し、ナイフが投げられた方向に向き直る。「、、、、、どういう事だ?ジャンヌ。」
黒王は冷たくジャンヌの方へ向き直り、彼女の言葉に対して反応を示す。ジャンヌ・ダルクの目には強い怒りが宿っていた。「貴様をキリストと信じ!神の意志だと思い!ここまでついて来た!!それがユダだと?よくも私とジルドレを騙したな!!話は聞いたぞ!」
ユウスケは驚きの表情を浮かべる。「ジャンヌ?何故ここに?敵だろ?」
「うるさい!私は神の意志で動く!」とジャンヌは叫んだ。
ジャンヌは剣を黒王に向け宣言する。「黒王の正体がユダである以上、もうお前の指示は聞かん!!神よ!違えた道を歩んだ私に最後の仕事を与え給え!」
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