ドリフターズに迷い込むもの   作:四国の探索人

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豊久の運命

ユウスケが北へ脱出する中、豊久は敵の軍勢を相手に奮闘していた。彼の決意は揺らがず、自らの仲間、ドワーフたちと共に敵をなぎ倒していく。

 

「まだおるか!」豊久の声が響く。

 

「まだいるぞ!!」ドワーフたちも気合いを込めて応じる。

 

その一方で、コボルト兵たちは必死に自分たちの救世主、黒王を守るために突っ込み、彼らの命を懸けた攻防が続いていた。片手を切り落とされてもなお、彼らはドワーフにしがみつき、後続の兵に繋げる姿勢を崩さなかった。

 

「少しでもいい、止めろ!止めれば囲んでしまうぞ!」コボルトたちの叫びが響く。だが、ドワーフたちの勇猛な突撃も敵の犠牲を厭わぬ攻撃に徐々に削られていく。

 

「後方脱落!四方皆敵!」ドワーフの声が焦りを増していく。

 

「元より承知!走れ!」豊久は後ろを振り返らず、前へ突進する。

 

気がつけば、一人また一人と仲間が落伍してしまう中、ドワーフたちはついに開けた場所に辿り着く。

 

「何故、敵が追ってこんなった。回りに少しおるだけじゃ!」ドワーフたちが疑問を抱く中、前方から土方が歩いてきた。

 

「敵兵が追ってこないのは俺がいるからさ。」土方は不敵な笑みを浮かべる。

 

「ユウスケがやったんか?」豊久が訊ねる。

 

「無事、黒王の元まで行ったらしい。その後は殺されたと思うが。」土方の言葉に、豊久は残念そうに頷く。「そうか、やり切ったんか。」

 

「アイツと同様、お前もここで終わりだ。薩摩っ子。決着をつけるぞ。」土方は刀を構えた。

 

「お!えぞ。えぞ。今ぶっ飛ばして…」豊久は意気込んで歩き始めたが、疲労により膝が崩れ落ちる。

 

「すまんのう。手足がゆうこと聞かん。」豊久の声が弱々しい。

 

「テメェは何を言ってんだ!!」土方の声には強い苛立ちがこもっていた。

 

「すまんが、腹切りたくても刀ば折れてしもうた。脇差貸してくれ。」豊久は懇願する。

 

「お前ら薩摩っ子はどの時代でも同じなのかよ。末期の末までクソ野郎だな。」土方の表情は怒りと呆れに満ちていた。

 

「誰が貸すかよ。そのま斬られて死ね。」土方は周囲に煙の新選組を召喚する。

 

「まあ、戦場なら仕方なか。」豊久はどこか諦めたように呟く。

 

「トヨに手出すな!!」動けるドワーフらは一斉に武器を構え、土方に立ち向かう。

 

「主らもボロボロだろう。もうゆっくりしとけ。お先にの。」豊久は最後の言葉を送った。

 

「さて、終いだな。」土方は刀を再び構え、その時、声が響く。

 

「本当にそれでいいのかい?」沖田の声が耳に届く。

 

「総司?」土方の表情が一変する。

 

「そいつを殺してしまったら本当にもう新選組が戦う相手はいなくなるよ。こんな終わりが嫌で向こうから流されてきたんだろ?」沖田は言葉を続ける。

 

「総司!でも俺は!!」

 

沖田の姿が消えた時、次に近藤勇が現れた。

 

「歳。」

 

「勇さん!あんた。あんたらを何度呼び出そうと思ったか!!」土方は近藤勇の姿を見て、感情を抑えきれずに叫んだ。

 

「歳。あの最期を辿ったお前がここまで来たんだ。黒王からのやらされじゃなくて、自分で決めていいんじゃないか。」近藤勇の言葉は土方に重く響いた。

 

「勇さん、、、。」土方は言葉を失い、自身の過去を振り返る。

 

その瞬間、近藤勇の姿もまた消えていった。土方は立ち尽くし、周囲の戦場の喧騒が耳に残る。

 

「どがいした」豊久が土方の様子を察知し、問いかける。

 

「うるせえ」と土方は声を張り上げたが、自分の心の動揺を隠しきれなかった。

 

「はよ切らんか。お化けと話してる暇はないぞ。」豊久が口を挟む。

 

「うるせえ」土方は怒鳴るが、その心は去りゆく声に乱され続けていた。

 

「なんだお前、泣いとるのか?」豊久が気づいたように言った。

 

土方は怒りながらも、自分の心の内にある羨望を隠しつ、豊久に掴みかる。「テメェはテメェは!!この野郎!」

 

土方(なんて羨ましい。お前が薩摩でないなら一緒に来たかった。)

 

 豊久の目には土方の姿が映り、二人の間に緊張感が走る。周囲のコボルトたちは、二人の対峙に気を取られた隙を逃さずドワーフたちに襲い掛かる。

 

 コボルトたちが土方に襲いかる中、彼は刀を取り構えた。

 

「テメェら!この野郎!何勝手にしてんだ!」土方は怒りをぶつける。

 

味方であるべきコボルトの一体を切りつけ、その行動に対する不満を口にするコボルトたち。しかし、土方は構うことなく次々と切りつける。その冷徹な姿勢が仲間たちに緊張をもたらす。

 

コボルトたちは抗議の声を上げるが、混乱は拡大する。「問答無用だ!」と、土方を取り囲むように形成する。ドワーフたちも危機感を抱え、武器を構え直す。

 

その瞬間、空から不気味な機械音が響いてきた。全員がその音に耳を傾け、直感的に危険を感じ取った。

 

「何だ、あの音は?」豊久が周囲を見回す。

 

 皆が空を見上げる中、菅野が運転する零戦が風を切り裂いて飛んでいた。その姿は、戦場の混乱の中にあっても異彩を放っていた。

 

「きしゃーの窓から手を握りー送ってくーれた人よりもー!ホームの陰で泣いていた可愛いあの子が忘れぬ。ズンドコズンドコズンズン!」菅野の声がエンジンの音を越えて響き渡る。彼は陽気なメロディーを口ずさみながら、緊迫した状況をまったく気にしていないようだ。

 

「なんだこの戦場バカ野郎!何か面白そうじゃねえかコノヤロウ!301新選組、菅野1番吶喊!」菅野の叫びが戦場の空気を一変させる。

 

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