敵兵と対峙したユウスケは、心の中でふつふつと湧き上がる恐怖が薄れているのを感じた。これは、先ほどの豊久の戦闘を目の当たりにした影響かもしれない。彼は自分の手に握られた丸太に視線を落とし、覚悟を決めた。
敵兵が剣を構え、こちらを目を光らせて睨みつけている。しかし、ユウスケは一歩も引かずに丸太を大きく振り下ろす。敵兵も負けじと剣を構えて防御するが、ユウスケの攻撃力に少し後ずさる。
激しい睨み合いが続く中、信長が少し苛立ちを見せながら叫んだ。「おい、ユウスケ。いつまでにらめっこしておる。俺の言葉を思い出せ。」
その言葉にハッとしたユウスケは、咄嗟に敵兵の左足を狙い、素早く蹴りを繰り出した。その隙に手近にある新たな丸太を拾い上げた。
ところが、敵兵は思った以上に激しくよろけ、剣が丸太に深く食い込んだ状態で動きが鈍くなる。「くっ…!」と焦る敵兵の様子を見て、ユウスケは新たな丸太を再度振り下ろした。その攻撃は見事に命中し、敵兵は気絶して地面に崩れ落ちた。
初めての戦闘を乗り越えたユウスケは、少し息を整えながらも、なんとか敵を撃退できたことに安堵した。信長は満足気に「やるではないか」と褒める。その言葉にユウスケは少し照れくさそうに微笑み返した。
そんな彼を見て、周囲の緊張も少しだけ和らいだが、エルフの少年が戸惑いの色を浮かべながら話しかけてきた。場の空気には依然として緊迫感が漂っていた。
ユウスケが初戦闘を終えた安堵感に包まれていると、エルフの少年が不安げな表情で自分に近づいてきた。「あの…」と、少年の声が震えているのが感じられた。ユウスケはその目に宿る恐怖心を理解し、彼に寄り添うようにその場に留まった。
その時、島津豊久が後ろから声をかけた。「おっ、忘れとった。無事か?」彼の大きな体が少年の前に屈みこみ、優しい眼差しを向けた。しかし、エルフの言葉は豊久には通じず、眉をひそめたままである。「えるふの言葉は分からん。日本の言葉放せ。タスケテータスケテー」と、彼は思いっきり大声で話した。
与一はその様子を見て、口を開いた。「ソノムシャノコトバヲハナスノダ、デナイトオマエタチヲコロス。」威圧感のある声に、エルフの少年たちは一層緊張するが、彼らはかすかに口を開く。「タスケテタスケテタスケテー」と、切羽詰まった声、それは助けを求める叫びだった。
ユウスケはその様子を見て、彼らを助けたいという気持ちが高まった。「どした?何があった?」尋ねると、エルフの少年は涙目になりながら言葉を続けた。「ムラが…ムラが襲われている。私たちの村が…みんなが、危険だ!」
それを聞いた与一は、やはりなと思いながら皆に伝える。「村を助けないと…」と、思いを巡らせるが、信長が冷静に言葉を続けた。「では、まず状況を把握せねばならぬ。お前らが安全に俺たちと一緒に行けるように手続きをしよう。」
豊久はすぐさま「村への道を教えろ!急がねば!」と捕まえた少年の腕を優しく掴む。「我々はお前の導きに従う!」
エルフの少年は恐れつも、彼らの真剣な眼差しに心を好転させ、その村への道を教え始めた。「この道をまっすぐ行って、森を抜けると…」彼の声の先には、今まさに迫り来る新たな危機が待ち受けているという予感が漂っていた。
ユウスケは信長、豊久、与一の後に続き、もう一度しっかりと丸太を握った。この新たな戦いに向けて、彼は心の中で決意を固めた。彼らの力を合わせれば、きっと村を救える。自らの使命がこれから待ち受けている事を感じながら、ユウスケは少年に続いて歩きだした。
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