ドリフターズに迷い込むもの   作:四国の探索人

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飛龍にて

豊久は大きなあくびをしながら、「グーカーグーカーzzz」といびきをかいて寝ていた。

 

菅野はその声音にキレて、「うるせぇんだよ!バカヤロウ!寝るか死ぬかどちらかにしろバカヤロウ!」と叫ぶ。

 

「ん?叔父どん、戦か、」と豊久は寝ぼけ眼で起き上がる。

 

菅野は嬉しそうに言った。「おっ、生き返った。」

 

「何ぞ貴様。」豊久は混乱しながら周りを見回す。

 

「おっ?テメェ命の恩人忘れたのかコノヤロウ!!」菅野は不快そうに指を指す。

 

豊久は自分のいる空母の中をじっと見回した。「ここは何処ぞ?」

 

菅野は豊久に一発蹴りを入れる。「テメェ!助けてもらって一言目かコノヤロウ!!テメー親から教わらなかったのか!」

 

豊久は軽くムッとして、「ムッ!思い出した。助けてもらいありがとうございました。」と素直にお礼を言う。

 

菅野はその反応に満足し、「おっ、やれば出来るじゃねーか。」と述べる。

 

豊久は照れくさからか、菅野を殴り返した。「だけど殴られたら殴り返せと叔父どんになろうた!!」

 

 2人が激しく殴り合っていると、司令官が訪れてきた。

 

「何しとるんだ、君らは」と山口多聞が眉をひそめて注意する。

 

菅野はすぐに言い放つ。「コイツが恩知らずなんですよ多聞!」

 

豊久は反論する。「殴ってきた主が悪かろう!!」

 

二人が言い合う中、犬族たちが必死に止めに入っていた。

 

多聞はため息をつきながら、「全く、君らは子どもか。それで、そこの彼は誰だ大尉。戦場で拾ってきたとは聞いたが、服装や言葉遣いをみるに日本人だな。」と指摘する。

 

豊久は胸を張って名乗った。「島津家久が子。日向佐土原の領主、島津豊久。」

 

菅野は驚いて、「やべぇ、俺大名を殴っちまった。」と焦る。

 

多聞はその反応に冷静に答える。「大尉、君は既にローマの救国英雄を何度も蹴り飛ばしているではないか。」

 

豊久が周囲を見回しながら尋ねる。「ところでここはどこぞ?」

 

「ここは飛龍、四方を守る黒鉄の城だ」と多聞は説明する。

 

豊久は首を傾げながら言った。「なんぞ、よう分からんが腹が減った。」

 

多聞は笑みを浮かべ、「食事は勉強の後だ。大尉、逃げるなよ。」としっかりとした口調で告げた。

 

 菅野は顔をしかめ、「ていとく、わたしはもうべんきょうしたくないであります」と嫌がってみせた。

 

多聞は冷静に言い放つ。「そうか、ならば飯はない。死んでしまえ。」

 

菅野は思わず口をあんぐりさせた。「それはひどいってば!」

 

多聞は続ける。「そして君もだ。島津君、ここでは武将でもパイロットでも同じに扱う。」

 

「ぐぬ。おい島津、本当にやらないとこの人は飯くれないから気をつけろよ。」菅野は豊久をじっと見つめて言った。

 

その時、スキピオが割り込んできた。「先生!こんなバカどもは置いておいて勉強を始めましょう。バカどもの相手で時間を使うのは無駄です。」

 

「アッ!ガリ勉野郎が調子乗ってんじゃねえよ!コノヤロウ!」菅野は反論する。

 

「もしかしておいの事も入ってるのかコラ!」豊久は同調し、二人は言い合いを続けた。

 

この日の勉強は、関ヶ原について触れた。しばらくして、勉強が終わる頃、見計らったようにシャイロック8世が部屋に入ってきた。

 

「提督、海図船が見つけましたよ。海鳥の糞島を」とシャイロックが報告する。

 

多聞は頷きながら言った。「やはりありましたか、硝石島。」

 

シャイロックは険しい表情で続ける。「もはや、オルテは壊滅しました。これでは火薬が手に入らない。ここからは我らで火薬を用意しましょう。」

 

「前々から聞きたかったことがある。行動が早くて素晴らしい。だが焦りを感じるな。」多聞は警告する。

 

「焦りですか?」シャイロックが尋ねる。

 

「そうだ、商人としてではなく敏として焦っている。」多聞は鋭く指摘する。

 

「それは焦りますよ。」シャイロックは否定しなかった。

 

「グ=ビンネンは四方を海に囲まれた小島。幾らか国王が大陸を支配しようが、海を渡る必要がある。もちろん、我らはこれを沈める自身はあります。しかし、ここに古い文書があります。」シャイロックは続けた。

 

「それは?」多聞は興味を示す。

 

「昔のドリフが持っていたものらしいです。」シャイロックは資料を示す。

 

多聞は思い当たる部分があった。「(欽定訳聖書か)」

 

「この本の中にまさに黒王が起こしたような奇跡が書かれていました。そして、この本が本当なら黒王は海を割ることができる。」シャイロックは説明を続ける。

 

多聞は心の中で考えた。「(モーセ出エジプト記か)」

 

シャイロックは重苦しい表情で言った。「黒王が海を割り攻め込んできたら本当に終わりです。」

 

部屋の空気が一瞬凍る。皆がその可能性の重さを感じ、次なる行動を考えざるを得なかった。

 

 多聞は豊久の決意に対してじっと見守り、「豊久君。君はこれからどうするつもりだ?」と尋ねた。

 

豊久は毅然とした表情で答えた。「廃城へ戻る。野戦ば負けたなら黒王は城へ押し寄せる。こがいなところにおられん。」

 

その話を聞いていた鷹騎を操る者が口を開いた。「戻せるかどうか分からない。囲まれているから鷹騎で降ろすしかないが、黒王が囲むなら警戒の竜がいるはずだ。」

 

多聞は冷静に言った。「それに君はどう見ても守戦向きではないだろ。城を守ったことはあるのかね。」

 

豊久はきっぱりと否定する。「そげな事なか。それでもやればできっど。」

 

菅野は呆れたように続ける。「出来ね〜だろ。バカ。お前どう見ても野戦バカ丸出しじゃん。」

 

スキピオも口を挟む。「籠城にて必要なのは外部軍。それがなければ必ず負けるよ。」

 

「でだ。城に戻るより有益なことをやろう。二千年後の戦を。」スキピオは真剣な表情で提案した。

 

豊久は考え込み、周囲の意見を受け入れながらも、自分の役割を果たそうとしていた。戦うべき場所がどこであれ、彼は決して一人ではなく、共に戦う仲間たちと共に新たな選択をしていくのだ。

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