ドリフターズに迷い込むもの   作:四国の探索人

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戦の前

豊久は険しい眼差しでジャンヌを見ながらつぶやく。「そこの長髪女は見たことないけど、お前じゃお前。廃城で儂が頭かち割った女じゃろ?女が戰場なんか来るな。」

 

ユウスケは穏やかに、豊久をなだめようとする。「落ち着けよ、豊久。」

 

しかし、豊久は怒りを抑えきれずにユウスケを一喝する。「お前は黙っとれ!」

 

そのやり取りを見ながら信長は、やれやれといった感じで口を挟む。「あーあ。始まった。戦力になるんだから女でもいいじゃないか。」

 

ジャンヌは冷静に応じる。「別に戦は化物が勝とうが、人間が勝とうが興味はない。だが、黒王はキリストの敵だ。必ず切り捨てる。」

 

豊久はその言葉に反応する。「敵討ちか?」

 

ジャンヌは力強く頷く。「そうだ。」

 

すると、アナスタシアも静かに賛同する。「私も。」

 

豊久は少し考え込むように頭をかしげた。「敵討ちならセーフ、、、か。」

 

その様子を見ていた与一は、笑いをこらえながら言う。「トヨさんの基準はどこなんでしょうね。」

 

豊久は納得したように刀から手を離しかけたとき、後ろから突然「ダメだ!」と力強い声が響いた。

 

皆が振り返ると、そこには安倍晴明が立っていた。彼の登場に場は一瞬静まり返り、彼が何を言うのかに注目が集まる。

 

 信長は少し呆れながら、晴明に声をかけた。「なんだ坊主?廃城には来なかった癖に俺らのやり方にケチつけるなよ。」

 

晴明は険しい表情で反論する。「貴方は分かっていない!この2人はエンズだ!殺さねばならない!」

 

その言葉に対して、アナスタシアは冷静に返す。「私達はもう貴方達に興味はないわ。黒王とラスプーチンを倒したらもう手を出さない。」

 

しかし晴明は喰い下がらず、「嘘だ!貴様らエンズの言葉など信用出来るか!」と激しく言い放つ。

 

その激しさに、オルミーヌは心配そうに晴明に声をかける。「お師匠様、、、」

 

晴明は、エンズの2人に対する反対を強くし続けるが、周りの者からは困惑と戸惑いの目で見られてしまう。

 

 与一は困惑しながら尋ねる。「彼女達は先の廃城でもちゃんとこちらに協力してました。何故そこまで目の敵にするんですか?」

 

晴明は苦悩を抱えたま、必死に答えようとする。「エンズがエンズでなくなるなんてない!そうでなければ、、、」

 

その言葉を聞いたユウスケは、晴明の心の中を探るように問いかけた。「なければ?」

 

晴明は突然、感情を爆発させる。「私は何の為に、、何の為に友を!!!」

 

彼は頭を抱え込み、叫び声を上げる。その姿に、周囲からは特別な眼差しが向けられた。

 

 豊久は落ち着いた声で晴明に語りかける。「主の過去は知らんが、今は誰を倒すべきか考えよ。目の前の敵意なき相手か?かような敵を切ってもなんにもならん。」

 

その言葉に、晴明も自分の中での葛藤を再確認し、考え直すきっかけを得る。

 

---

 

一方、黒王軍では、厳しい状況が続いていた。

 

ラスプーチンが報告する。「連日の鷹による空爆と北方地域の失陥により脱走兵が相次いでおります。化物が一人で何が出来るのやら。」

 

黒王は深い溜息を吐いて語り始めた。「人に拒絶されたため、化物なら救えると考えたが、ここでも拒絶された。何故分からない。人を救おうとした時も今回、化物を救うのも私にしか出来ない。」

 

ラスプーチンは皮肉交じりに応じる。「恩知らずな連中が多いようで。」

 

この時、コボルト兵の隊長たちが緊迫した様子で現れた。

 

黒王は彼らに問いかける。「何かあったのか?」

 

コボルト兵は切実に訴える。「黒王様、北に進軍し家族をお救い下さい!進軍どころではなく家に帰りたいです!」

 

黒王は構えを崩さずに言った。「私の指示に従え。目の前のドリフを倒せば一時帰宅させる。」

 

しかし、コボルト兵はなおも抗議する。「いや!今です!今北に行きましょう!避難民をみたでしょう。補給路は途絶え飢えて、もう生活すら出来てない筈だ!」

 

ラスプーチンが冷徹に応じる。「それをしている連中を倒すために留まっているのだ。」

 

見て取れる不満から状況が急変しそうだった。黒王はラスプーチンに決意をもって話しかけた。「ラスプーチンよ。決めた。従わぬなら従わせる。理解出来ぬなら我らが示す。皆最後は私の行動を理解する。」

 

ラスプーチンはその覚悟を受け止めて答えた。「御意。不満分子どもを連れて参ります。」

 

数時間後、不満を持つ兵士らが集められた。

 

ラスプーチンは報告する。「脱走兵寸前の兵士達を全て集めました。」

 

その瞬間、黒王は動き出し、軍の統制を維持するために、恐ろしい行動に出た。黒王は呟き、一人の兵士を掴んで食べ始めた。

 

その光景を目の当たりにした兵士らは驚愕し、恐怖にかられたが、ラスプーチンの力により動くことが出来ずにいた。

 

「逃げてしまうならせめて黒王様の糧となり役に立て。」と、ラスプーチンの言葉が冷たく響く中、兵士たちは次々と自分達の大将である黒王に食べられていった。

 

絶望的な状況の中、黒王はかつての仲間を糧にせざるを得なくなり、戦場の悲惨さが一層深刻に浮き彫りになった。これは黒王が自分の信念と苦悩の深淵に背を向けられないことを浮き彫りにする痛ましい瞬間であった。

 

 黒王はすべての不満分子を食べ終え、しばらく静かな時間を過ごしていた。

 

ラスプーチンは淡々と問いかけた。「ゲテモノですが、体調は変わりないですか?」

 

黒王は短く答える。「問題ない。多少であるが回復した気がする。しばし休憩する。」

 

ラスプーチンはその答えに満足げに応じる。「御意。」

 

その頃、一方では、集まりつあったドリフターズたちが、黒王軍の異変について話し合っていた。

 

ユウスケは首をかしげつ言った。「昨日までいた脱走兵が今日はピタッと止んだな。何かあったのか。」

 

信長は推測を語る。「分からんが、もう残った兵士らは忠誠を誓ったんだろ。」

 

豊久も納得した様子で言う。「うむ、逃げ出さなぬよか兵じゃ。」

 

しかし、与一は依然として何かが腑に落ちない様子だった。「おかしいですね。」

 

信長は気になって与一に尋ねる。「何がおかしいんだ与一。」

 

与一は疑わしそうに返した。「それが、黒王の天幕に入ったコボルト兵らが出て来ない。結構な数だったんですけど。」

 

信長は考え込む。「作戦会議、、、にしては長いな。」

 

その状況に、ジャンヌが直感的に口を開く。「黒王、食べたな。」

 

 ユウスケは疑問を残しつも言った。「でも黒王は化物の味方だろ?」

 

アナスタシアも続けて、やや疑いを持ちながら応じる。「それに黒王は味方にそんな事しないわよ。私達エンズの前でも一度も」

 

すると、ジャンヌが深い確信を持って口を開く。「いや、声が教えてくれた。黒王の罪が増えたと。」

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