ラスプーチンは、ユウスケに蹴り飛ばされた後、這々の体で黒王の元へ逃げ出していた。その口からは愚痴が漏れた。
「クソが!あの小娘!どうせ殺されるんだから、さっさと抵抗するなよ。僕の髪が崩れたじゃないか!」
急ぎ足で黒王の元に向かったラスプーチンは、到着する頃には、未だジャンヌ、信長、豊久と対峙している黒王を目にした。
黒王はラスプーチンを見つけ、彼を迎え入れる。
「ラスプーチンよ。ちょうど良かった。そちらは片付いたか?」
ドリフたちも、その様子が気になったのか、攻撃を一時中断して話を聞く。
「いっ、いえ。裏切り者のアナスタシアだけは殺りました。しかし、黒王様の方もまだ時を要しているようです。」
信長は冷やかな目でレスプーチンを見つめる。
「勝てずに逃げ出したってわけか。」
「負けてない!状況判断で来ただけだ!」ラスプーチンは言い返すが、自身の弱さに内心もやもやする。
黒王は少しの間考え込んでいたが、その後言葉を続けた。「すまぬな。ラスプーチン、こちらも不利な状況だ。」
ラスプーチンは戸惑いながらも、黒王の言葉に耳を傾ける。「どういたします?」
黒王は冷たい視線を向けながら、「ラスプーチンよ。お主とも長い付き合いになる。」
その唐突な話題にラスプーチンは疑問を抱きつ、渋々「ええ。」と納得した。
黒王はさらに続ける。「向こうの世界で助けた恩を今返してもらおう。」
「黒王様、今しばらく猶予を、、、」
「ダメだ。我が一部となりてその身で尽くせ。」黒王はラスプーチンの頭を掴み、力を込め始める。
「止めっ!止めて、、くだ、、さぁい。」ラスプーチンは必死に救いを求めて黒王の手を掴むが、黒王はその力を緩めることがなかった。
ジタバタと抵抗を試みるラスプーチンだが、黒王は容赦なく彼の首筋へと牙を立てた。瞬間、ラスプーチンの身体は塩へと変わり果てた。
ジャンヌは驚いて目を見開く。「裏切り者だけでなく、味方をも食べるとは。」
黒王は冷静に答えた。「奴への恩を返してもらっただけだ。待たせたな。全ての血となり肉となった。生物達よ。貴様らの望みは果たす。」
黒王の声が響き渡り、場は緊張感に包まれる。「これより、全ての力を引き出し、戦いの幕が上がるのだ。」
過去の現実世界、ラスプーチンは静かな教会の一角で思索にふけっていた。目の前に横たわるのは、持ち込まれた子どもの亡骸。彼の心は痛み、無力感に苛まれる。
「医者というものはいい加減だ。免許もなしに自分が名医だ腕利きだの名乗り、テキトウな薬草を渡す。」
彼は自らの力不足を嘆き、もし自分に治す力があればと願った。
外からは、子どもの親が心配の声を上げる。「子どもは良くなるんですか?医者に見せてもダメなんです!どうか神の慈悲を!!」
ラスプーチンはどうしたものかと悩む。亡骸を前にしながら、彼は聖書を広げ、「神の祝福という名のただの言葉」だけしか授けることができなかった。
(やはり何も起きないか。聖職者の私も救えないのでは医者と同じか。親には祝福を得る年齢ではなかったと伝えるか。)
心の中で葛藤しながら、ラスプーチンは親に子どもに祝福はなかったと伝えるため、扉に手をかけた。その瞬間、横から誰かに腕を掴まれる。
驚いた彼が横を見ると、フードを深く被った人物が立っていた。
「私しかいない筈でしたが、どこから。いや、その前にどなたですか?」
黒王は静かに問いかける。「神を信じるか?」
「聖職者ですよ。勿論信じます。(信じても奇跡も何も起きない。神などいるものか)」
黒王は頷く。「そうであるな。奇跡を起こさぬ神など神ではない。」
驚いてラスプーチンは問い返す。「何故心の声を!?」
黒王は指を伸ばし、子どもの亡骸に手をかざした。「まずは見よ。」
「その子はもう死んで、、、。」
「正確には息はしていないが、心臓は鼓動している。」と黒王が言うと、手をかざした瞬間、子どもは息を吹き返し、みるみる回復して起き上がった。
子どもは元気に外の親と再会し、親は涙を流して感謝を述べ、その場を去っていく。
ラスプーチンは驚愕する。「あなたは一体?その御業は。」
黒王は誇らしげに答えた。「私は真の神である。これまでの神達は世界に無関心すぎた。これからは私が導く。」
その言葉を聞いたラスプーチンは心が揺れ動いた。彼は初めて、奇跡を目の当たりにし、神の存在を信じる気持ちが芽生えた。
「これまでの神は何もしてくれなかったが、彼なら人を導ける。これまでの神を信仰する異教の民を救い、何もしない神を信仰させる既存宗教を潰してやる。」
ラスプーチンの心には、新たな決意が宿り、その日以降、彼の道は大きく変わることになるのだった。
ラスプーチンは黒王と共に病人を救う活動を続け、信者たちの間で名声を高めていった。しかし、ある日彼は姿を消し、再び目の前に現れた時、黒王の存在を忘れてしまったかのように思えた。
「帰ってこれましたが、黒王様とは離れましたね。治療活動はここまでか」と考えるラスプーチン。しかし、その静けさを破るように、治療の頼みが彼の元へと訪れる。
始めは断ったものの、病気に苦しむ子どもの親が何度も懇願する姿に、彼は心を打たれた。「どうか助けてやってほしい」と泣き崩れる親の願いに、ラスプーチンはついに能力を発揮し、病人を操作して回復したように見せかけた。
病気が治ったと信じた家族は感謝の涙を流し、彼に深く礼を述べる。「祈祷のみで治ったと思い込んでいた、、、。」
その瞬間、ラスプーチンは疑問に駆られた。「もしかして、治さなくてもこの活動を続けられるのではないか?」
彼は自らの能力が、人々の信仰を利用する手段となることに気づき、その日から治療したように見せる操作や洗脳にのめり込んでいった。ラスプーチンは次第に、自らの力を使ったことで人々の信頼をさらに深めていくことに快感を覚え始めた。
彼の評判は高まり、やがてロシア皇帝の息子アレクセイの治療を頼まれる日がやってきた。皇族という特別な存在に関わることで、ラスプーチンの影響力と地位は一層強固なものになりつあった。
「ついに、私の力が試される時が来た。」彼は心の中で高揚し、この大きなチャンスを利用して一層の栄光を手に入れる決意を固めた。
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