炎が巻き上がり、麦畑がその赤く燃え盛る炎に包まれる中、信長はかつての戦の記憶を蘇らせ、満足そうな笑みを浮かべた。「フハ、やっぱ火はいいのう!伊勢長島を思い出す。」
ユウスケは躊躇しつも、指示に従い火を放った。「豊久さん。後は頼みます。」彼は手近な燃えさかる畑を見ながら、彼らこそが今のエルフの村を救う唯一の希望であると感じていた。
兵士たちは混乱に陥り、誰かが手違いで火をつけてしまったのだろうと顔色を失う。その中には、収穫前の麦が焼けてしまうことで税金が減ると嘆く者もいた。この中で、彼らが次にどうするべきかを考えあぐねている様子が伺えた。
その時、炎の向こうから疾走してくる人影をアラムは見逃さなかった。「あれは、、、ドリフ!」彼の視線がその人物に定まるやいなや、気付けば豊久の姿が煙の中から現れて何人かの兵士を瞬く間に斬り伏せていた。
兵士たちは混乱の中、豊久を追いかけようともがく。しかし豊久は、煙を巧みに利用し、目に見えぬ稲妻のように次々と攻撃を仕掛けては影のように消え去る戦法を繰り返した。
豊久の刀捌きはまさに流れるような動きだった。戦場の喧騒の中でも、彼の動きは迷いがなく、決然としていた。刀を握る手は力強く、しかしその動きは柔軟で、敵のわずかな隙を見逃さない。彼が炎の合間を縫うようにして接近すると、その速さと鋭さに兵士たちはなすすべもなく斬り伏せられた。
一人の兵士が豊久を見つけた時、その反応は常に遅すぎた。豊久の刀が空を切った次の瞬間には、兵士はその場に崩れ落ちる。素早く、力強く、しかし無駄のない動きで、豊久は次から次へと兵士を屠っていく。
煙と炎が支配する混乱の中で、彼は何よりも速く、何よりも大胆に動く。まるでその場のすべてが彼のために用意されたかのように、豊久は無数の刃の雨を降らしながら、その場に恐怖の旋風を巻き起こした。兵士たちの恐怖と絶望が、一瞬ごとに豊久に斬り伏せられていく様は、まさに戦場の鬼神のごとき光景だった。
戦場において、兵士たちはこれまで仲間が倒れる様を何度も見てきた。しかし、目の前で刀を振るう豊久が、「ひとぉつ!」「ふたぁつ!」「みっいっつ!」と数を数えながらテンポよく、まるで楽しんででもいるかのように敵を斬り伏せる様子は異様な光景だった。彼の気迫は凄まじく、敵を倒すこと自体を喜び、競い合うかのように見えた。
豊久の圧倒的な威圧感に飲まれた兵士たちは、目の前の恐怖から逃れるため、まるで何かがはじけたように己の指揮官であるアラムすら頭から追いやり、我先に逃げ出していった。
軍の崩壊を恐れたアラムは、「逃げるな!殺すぞ!」と大声で喝を飛ばしたが、誰一人それに耳を貸さなかった。
その様子を見ていた豊久は、アラムに向けて鋭く指を差しながら声を上げた。「大将首だ!大将首だろ!?なあ大将首だろお前。首置いてけ、なあ。」
その声でアラムの目線を捉えた後、豊久は村の惨状を目の当たりにした。
無惨に殺された村民たちの散らばる死体。生存者たちは怯え、縮こまり、何もすることができずに座り込んでいる。彼らの手には何も握られておらず、生命の息吹すらもう感じられない。
豊久は兵士たちの虐殺の爪跡を確認し、アラムに再び冷やかに語りかけた。「ようも、やってくれたのう。お前みたいな糞の首はいらぬ。」
彼の言葉には、怒りと軽蔑が込められていた。
アラムはそれを聞いて苛立ちと共に戸惑った。「これがドリフか?一体何を言っているんだ蛮族?」彼の言葉には、豊久のような戦士の振る舞いについての理解が欠けていた。
この言葉を皮切りに、アラムと豊久の命がけの戦いが始まろうとしていた。そのころ、少し離れたところでは信長、与一、そしてユウスケが戦略について語り合っていた。
与一は疑問を口にした。「やった後に聞くのもあれですが、本当によかったんですか?ノブさん。」
信長は少しの間を置いて答えた。「おう。尊厳がなくとも飯が食えれば人は生きていける。飯がなくとも尊厳があれば人は耐えられる。だが、両方なくなるともはやどうでもよくなる。そして、なんでも頼る。」
ユウスケも不安を口にした。「むしろ村人怒ってこないですか?」
信長は微かに笑いを浮かべながら、「いや、むしろ逆になる。散々俺が一向一揆にやられた手じゃもの。国をかっぱらうには一番よ。」と答える。彼の口調には経験から来る確信があった。
その信長の計画がエルフの村にどのような影響を与えるのか、そして彼らが目指す未来がどのように変わるのかは、まだ誰にも分からなかったが、彼らの決断は新たな道筋を刻み始めていた。
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