終末の向日葵   作:トシチ

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「いつまでこんなことが続くんだろうなぁ…」

1人の兵士が呟いた

「死んだ方がマシとすら思えるよな?」

「違ぇねぇや」

連なるように周りの兵士も不満の声を漏らす

戦争が始まって、祖国から遠く離れた中継拠点となりそうな島に配属されて何年か殺し殺されを続けている現状にみんなうんざりしていた

「制圧だとか勝利だとかじゃなくていいからもう終わってくれよ」

「ボヤいたって仕方ねぇだろ祖国のためだ。ほら、見回り行くぞ」

兵士2人は暗い森の闇の中を進んでいく

「夜の見回りなんて祓魔部隊の奴らだけでいいだろ」

「馬鹿、祓魔師どもは戦争に参加出来ねえから無線の周波数すら共有されてねぇんだ。面倒な条約を作ってくれたもんだ」

戦争は多くの負の感情が渦巻く、故に界異も発生しやすくなっている

それに対処すべく祓魔師達も戦場へ送り出されているのだが『祓魔師達の戦争の加担及び祓魔師へのあらゆる攻撃を禁ずる』という条約により情報の共有すら禁じられているのだ

「界異の現状報告だけはいいってのにねえ」

「そういえば最近は界異が異常に増えてたり強いのがいたりでだいぶ祓魔師どももこたえてきてるみたいだ。もしかしたら祖国へ帰れる時が近いかもしれんぞ」

「逃げてきた軟弱者って石投げられなきゃいいんですがね」

「嫌なことを言うな…なんだあれは」

指を刺された方向へもう1人の兵士が注視する

「でかい俯いた花…?」

 

 

1944年8月3日

ある航空施設にて選りすぐりの祓魔師達が緊急招集された

絢爛な祓魔衣装に身を包んだ長髪の女祓魔師、藤原三常(ふじわら さんじょう)は柱を背に瞑想していた

そんな中声を掛けてくる人物が1人

「あんたも呼ばれたのね」

「む、その声は天清か」

目を開き声の方向を見る

赤に極めて近い茶髪を左右対称に結んだ面妖な髪型の少女、平天清(たいらのあまきよ)がそこにいた

「相も変わらずへんてこな髪を…」

「ひと目で私だと分かるでしょ?それに可愛いと思わない?」

「その髪色だけでも十分と思うが…」

他愛のない話をしつつ集まった祓魔師たちを確認する

(あれは久瀬の爺さんか。それに神域作りの西園寺までも来ているか)

久瀬の爺さん、久瀬政蔵(くぜ せいぞう)は式神術に秀でた祓魔師で場面に応じた式神とその指揮能力の高さで有名な祓魔師だ

だが多少…いや大分助平な趣味をしている

なんで式神がわざわざ人型の肉付きがいい造形ばかりなんだ?私には分からない…

そして西園寺孤音(さいおんじ こおん)は結界術に秀でた大人しめの女祓魔師だ

生成速度、強度、浄化力とも高水準で神域という2つ名で呼ばれている

他は…と辺りを見回すがこれと言った言った祓魔師は見当たらない

選りすぐりと聞いていたが何人かは自身の霊力に胡座をかいているだけと見える者がちらほらいる

「聞いてるの!?」

「ん、悪い聞いてなかった。で、なんだって?」

「あ、あんたねえ…!今回は私があんたより成果を出してやるって言ってんの!」

「そうか、頑張れ」

「はぁ…張合いがないわねえ」

そうだ、天清も私が一目おく祓魔師だ

16歳にして十人掛りで行う対高等級火葬儀術を1人で成立かつ、威力も申し分ないという実績を残している

さすがにそれの行使は1人だも時間を食うそうだが通常儀術でも申し分ない出力をしている期待の新人祓魔師だ

「そういえば今は20だったか。あの頃よりは背丈も伸びたんじゃないか?」

「ふふん!体だけじゃなく祓魔師としても成長したんだから!目にもの見てなさいよ!」

「ふふ、それは楽しみだ」

「お話のところ失礼」

突如隣から声を掛けられる

「おっ!?いつからそこに?」

「天清と一緒に来てたのですが…やはりお気づきになられてませんでしたか」

今目の前にいるのに気配を薄く感じる程の存在感が希薄な青年がいた

「どことなく…天清と似ている…?」

「ええ、双子ですので」

「そう、こちら兄上の清影。決して景清じゃないから間違えないでね」

紹介された清影(きよかげ)はきちっとした敬礼をし

「平清影軍曹であります!妹がお世話になっております」

「双子…ということは兄上は」

「ご明察の通り、自分には霊力がほぼないような人間です」

祓魔師の双子は不吉とされる

それは力を2つに分けて生まれるか、片割れが力を持たず生まれるからだ

平兄妹は後者であろう

「そろそろお時間なので、整列をお願いしたく」

気がつけば集合時間がもうすぐだ

「すみませんが軍曹殿、最後にお聞きしたいのだがミワシの連中からは来ないのか?」

「ミワシ部隊の方々ですか?彼らには彼らの任務を優先させる、との事でしたので来られませんね」

「そうか…いや、ありがとう」

天清と共に所定の位置へ向かう

(ミワシのとこの猛者が1人でもいてくれれば多少は安心出来ると思ったのだかな…)

誘導に従い、20名の祓魔師が整列し、清影が声高らかに宣言する

「これよりドイツ、イタリアとの合同祓魔作戦を開始する!」

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