「ムギちゃん……来てくれるかなぁ」
私がそっと呟く。
「そうねぇ。絶対忙しいものねー。あの年で社長だなんて……よくやってるわよ」
「へへ、さわちゃんよりも稼いでるもんね」
「それは言わなくていいのっ」
ムギちゃんとはあれから一度も連絡がとれていなかった。
電話しても、メールしても応答はなかった。
なにが理由かは分からない。けど、本当に忙しいんだと思う。
そんな、私たちと連絡もできないくらいまで。
「そういえば、唯ちゃん、なんでここにいるの?」
「………へ?さわちゃん知らないの?」
「え、ええ。知らないわ。なに?また私だけハブいたの?」
「そ、そんなつもりはないよぉ?」
あっれぇ。りっちゃん、軽音部部長として責任持って全員に連絡するって言ってたのになぁ。
一人に連絡がいってないとなるとちょっと不安になってくる。
「実はね、私たち、ここでまた集まろうって話し合ったんだ!」
「え!?そうなの?」
さわちゃん……本当に知らされてなかったんだね……。
「澪ちゃんとりっちゃんは来るのは確実なんだけど……ムギちゃんとあずにゃんは…ちょっとわからないんだぁ」
「ムギちゃんはともかく……梓ちゃんまで?」
「うん。あずにゃん……今なにしてるのかなぁ」
私たちが少し考え始めて静かになった音楽室に「「ばたん!!」」という音が聞こえた。
私もさわちゃんもビクン!ってなったけど、扉が開いた音だというのは分かっていた。
「よぉ!久しぶりだなぁ唯!」
「り、りっちゃん!!本当に……久しぶりだねぇ」
私がりっちゃんに飛びつくと、
「やめろって」
べちんと頭を叩かれた。
「もう。唯は変わってないなぁ」
「み、澪ちゃんも!久しぶり~!」
「うん。久しぶりだな。何年ぶり、くらいにはなるよなぁ」
澪ちゃんとりっちゃんと感動の再会をした。
「澪ちゃん。りっちゃん。久しぶりね!」
どこに隠していたのか帽子を深々とかぶり探偵っぽい服装をしていた。
「あ、もしかして……さわこ先生?」
澪ちゃんが先に気づく。
「そうよ!懐かしいわね!二人とも!」
「さわちゃん……老けた?」
「ガハッッッ」
「さわちゃんっ!!!気を確かに!さわちゃぁぁん!」
「私のことはいいの……。それより、二人を……! 席に座らせてあげて」
「あ、はーい」
冗談、という風に流したさわちゃんだったが、顔はどんよりとなっていた。
「さ、こっちこっち!」
「おお。変わらないな~。あの時と」
「そうだな。ティーカップまであるぞ」
私が来たときと同じような感想をもちながら二人は中にはいっていく。
「ちょっとまっててね、今お茶淹れてくるからね~」
「あいよ~……………………なっ。唯がお茶だと!?」
「落ち着け律」
「あいたっ」
どうやらこの関係は相変わらずらしい。
ほんとにこの二人はラブラブだよねぇ。
私がお茶を二人の前に置いたとき、拍手までされた。
褒められてるの類にはいるのだろうが全然うれしくない。
「私だってお茶くらい淹れられるようになったんだからね!」
「わかったよ!だから拗ねるなって。……それから、さわちゃんもごめんって~」
「うん。じゃあ……私の服着てくれる!?」
「このやり取りも懐かしいな!!」
二人が来てから一気に明るくなった気がする。
やっぱり……すごいや。
私には…真似できないよ。