「おほん、まぁとにかくだ。梓、そういうことがあって、それからずっと外にでてないらしいぞ」
「そうなんだ」
「あずにゃんの家どこだっけ」
「唯?」
「あずにゃんの家に行こう」
私が言うと、みんな目を丸くしている。
「どうしたの?」
「いや、唯らしいな。うん。昔からそうだった。変わってないな、唯も」
澪ちゃんが妙に納得したような顔で縦に顔を振っている。
「先生!」
「うん。わかったわ!10年前に卒業した生徒の紙なんて残ってるか分からないけど探してみる!」
バン!と勢いよく扉を開きさわちゃんはでていった。
「でもさ、唯。行ってどうするんだ?なにか策みたいのがあるのか?」
「え?ないよ?」
「おいおい」
「けどさ……とにかく行かなきゃ。そんな感じがする」
自分で言っていて寒いセリフだなって思った。
こんなこと言うのなんて、マンガくらいじゃないかな。
でも、本当にそんな感じがする。今行かなきゃって。
「唯……」
ふと、外からすごい轟音が聞こえてきた。
「なんだ!?」
やがて音は上の方へ昇っていった。
「屋上だ!行ってみよう!!」
りっちゃんの好奇心スキルを発動した。
「空いてるかなぁ?」
私は、あずにゃんのことが心に残りながらも、前を走るりっちゃんを追った。
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屋上へ続く階段を登り切り、扉のドアノブをひねる。
音は、まだ続いていた。が、確実にその先にあるとわかった。
「行こう!」
りっちゃん隊員という昔のキーワードを思い出しながらも「うん」と答える。
ぎぃぃぃぃという油のきれかかったドアを開けるとそこにはヘリコプターがほ、ホバリングしていた。
「な、なんでヘリがこんなところに?」
澪ちゃんは驚きで口が開いていた。
「も、もしかして、なんかの事件とか!?」
「いや、それはないから」
すかさずりっちゃんが突っ込みをいれる。
だが私は少し……気づいていた。
「もしかして……ムギちゃん?」
その声は小さく、おまけにヘリの音で二人の耳には完全に届かなかった。
「とうっ」
なにかのセリフとともに人影が、ヘリから降りて、いや落ちてきた。
「えっえっ。人が降ってきたぞ!?ど、どうしましょ!!」
りっちゃんがパニックになっている横にその人影は、すっ、と着地した。
とても滑らかな着地であった。がそれ以上に思ったことは。
「やっぱり……ムギちゃん!!」
「え、ムギ!?」
「すげーな!ムギ!!」
「久しぶりよね、みんな」
久しぶりに会うムギちゃんは服装こそかなり変わっていたが、あのふんわかな感じの雰囲気は変わっていなかった。
「みんな……あのときは、その、ごめんなさい。あのあと、みんなとも連絡できないし会えないし。その、本当に……」
「もういいってムギ。」
「そうだよ。ムギ、私たちよりも………一番大変だったのは、ムギなんだから」
それぞれに思うことはたくさんあって。それでも今は、再開できたことが嬉しくて。
「……ムギちゃん……おかえり」
私は、それしか言うことができなかった。
「ただいま!」
ムギちゃんの顔からは、涙がこぼれていた。