ムギちゃんはハンカチで涙をぬぐって、
「梓ちゃんは、まだいないの?」
「あー、うん。そのことなんだけどな」
りっちゃんが話し始めた。
私たちは先ほどのことを思い出しながらそれを黙って聞いていた。
「ってことなんだけど」
みんなで行こうという話しになった理由をまとめ、ムギちゃんの反応をみる。
「それは……。行きましょう!」
「えっ、でもまださわちゃんが調べてる途中……」
「もし、家が変わってないんだったら私、分かるよ!」
「本当か!?」
「うん、私の家に勤めてる、って言うとおかしいかな、う~ん。まぁとにかく私の妹みたいな娘が梓ちゃんのところに遊びに行ったことがあって、私も場所覚えてるの」
「それなら、行こう!」
「え、先生は」
「行こう!」
「行こー!」
なんだか懐かしい感じを、今日何回目かわからないくらいに感じながら私たちは屋上から降りようとした。
すると、下のほうから、
「なんだこの音は。ヘリか!?」
「まったく。授業中だぞ。誰だ一体」
考えてみれば当然か、先生たちが階段を登ってきた。
「まずいよ!先生たちがきた!!」
私が叫ぶと
「どうしよう。今捕まったら梓にゃんの家に行くこともできないんじゃ」
「じゃあ、ヘリに乗っていきましょ?」
ムギちゃんが提案した。
この際、そんなに時間があるわけではない。
「行けるならそれで行こう!」
りっちゃんが先導をきって威勢よくヘリに向かっていった。
バタンと屋上の扉が開かれたとき、私たち4人は、既に上空にいた。
「なにか言ってるぞ?多分」
「う~ん、怒鳴ってるの間違いなんじゃないかな」
「どっちでもいいだろ」
「ふふふ。相変わらず仲いいのね、みんな」
「あたぼうよ」
バババババババババババババ
ヘリはさらに上に行く。
「とりあえず見えないところに行かなきゃね」
「ところでさ、ヘリで住宅街みたいなところいったら目立たない?」
「それもそうだな」
「第一私ら、ムギみたいに跳び降りれないぞ?」
「「それだよ」」
「う~んどうしよっか」
ムギちゃんは少し考えて、ヘリの運転手に
「ここら辺で一番近いヘリポートにとまってくれない?」
「近く、となりますと電車で5駅ほどとなってしまいますが?」
「それでいいわ。そこにして」
「はっ」
私はそれを傍観してしまっていて、心のなかでなんかすごいと考えてしまっていた。
5分ほどでヘリは到着した。
みんな少し緊張のような顔をしている。
駅に向かってる途中、りっちゃんが話を切り出した。
「なぁなぁ、ムギは男とかできたか?」
「お前には緊張とかないのか!?」
澪ちゃんが突っ込んだ。
澪ちゃんが突っ込まなければ多分私が突っ込んでいたと思う。
「まぁまぁ、緊張しすぎは体に悪いぞ、な、唯!」
「え、うん」
おもわず答えてしまった。りっちゃんパワー恐るべし。
「で、どうなんだ?」
「できてないわよ。会社の関係とかでお見合いとかは何度かしたんだけど~」
「もったいないな~。そんなにチャンスあるのにさ~」
「う~ん、でもなかなか気に入る人がいなくてね」
「まぁ、焦ることないさ」
澪ちゃんはあくまですまし顔で答える。
「ま、まぁな、私ら、まだまだだしな!」
りっちゃんも同調する。
「でも、憂は結婚したよ?」
「なんだと」
「うん、1年前だけどね~」
「くぅ。憂にまで先を越されたか」
「憂が、恥ずかしいから身内だけで、って言うから、そっか。みんな知らなかったんだね~」
「でも、憂なら安心だよな」
「そうよね~、憂ちゃんだもの」
私はこのとき、憂って信頼されてるんだなぁって改めて知りました。