離れた人。
側にいた人。
どちらも大切な人を想う気持ちは一緒だろうが……!!
いつも通り文字数が増えました──済まぬ。
市丸ギン相手に生き残った。
ヨシ! 勝ったな!!
茶屋で解散した後、すぐ十三番隊に戻って相即不離に泣きついたよ。刀を抱き締めながら泣きわめく成人男性の出来上がりだ。優しく殺して──
冗談はここまでにして、俺はギンと友達になった訳だけどさァ、ぶっちゃけ敵地に近寄る行為だよね~コレ。
相即不離に言ったら叱られちゃった。すみません……でも一応考えはあるんだよ?
彼と話す
……全部嘘かもしれないけれど、別に裏切られたって良いんだよ。それ込みの共犯、同盟だからね。
まあ、俺がギンの事を諦めたくないってのもあるんだけどさ。俺は一人の為に死を賭した彼の献身を認めてやりたいし、叶えてやりたい。俺ごときが何言ってんだって話だけど、でも、頑張った人は頑張った分だけ報われて欲しいと思うから。
【……無茶だけはしないように】
モチ! 死ぬ気はないね。これっぽっちもない。
深いところまで踏み込むつもりはないし、踏み込ませる気もない。俺もギンも勝手に行動するだけだ。
……俺がぼんやりとしている間にも、時間は進んでいる。原作に近づいている。隊首会のメンツがほぼ原作で見知った彼らだった。まだちょいちょい知らない人は居たが、あと数年もすれば記憶通りの護廷十三隊が揃うのだろう。
あー怖いな、ヨン様が天に立つ日が近寄ってきてる……マジで怖い。何よりそのヨン様に俺が目をつけられてるってのがいっちゃん怖い。マジでなんかした俺? 顔似てるぐらいじゃん。そんくらい許してよ!!
今から十一番隊にカチコミしてくるよ。
冗談、するわけないだろそんな自殺行為。
詫び入れに行くんだよ……!!
いやあのね、うちの隊士が十一番隊の隊士をボコっちゃって。
何でそんな突飛な行いをしたのか理由を問い詰めたら、俺のことをバカにされたからとか言うの。そこで俺の名前が出てくるとは思わなかったわ……
んなモンいちいち気にしてたらキリ無いし、それを暴力で返すのもダメだろって話だよね~。まあ、気持ちはありがたいよとだけ伝えた。
……ああは言ったけど、暴力で解決したくなる気持ちは分からんでもない。
本当に酷いんだよあのチンピラ集団。俺も何度か絡まれたことあるけどさ、テンプレのようにオラオラウラウラと。八十年代かってーの。*1
特に四番隊への当たりが強い。この間、虎徹勇音が絡まれているのを見掛けてさ、辛抱たまらずつい間に入っちゃった。それ以来かな~よく絡まれるようになったのは。
四番隊を見下してる人達、自分が傷ついた時に治してくれるのも、寮の食事を用意してくれてるのも四番隊だって事が分かんないのかな。文字通り命を握られてるのにね俺達。分かんないか~……
まあとにかく、その隊士の代わりに俺が詫びを入れに行く事になったワケ。ヒーンヒーンコワイヨー! でも副隊長代理なのでやります。
あっ着いた。よ~し覚悟決めるぞ。
すみませ〜ん、十三番隊の可城丸秀朝です! 部下の代わりに詫び入れに来ました〜! お菓子ありまーす! ゆるしてくださぁ〜い!
「カチコミかぁ!?」「舐めてんのかテメェ!!」「いてこますぞ!!」「ぶっ殺すぞ!!」「やんのか? やんのかてめぇ!」
話聞いてた?
顔の距離が近い。唾がとんでくる。視界全部がむさ苦しい。分かっていたけどやっぱりこうなるのね。お菓子だけ渡してさっさと帰りたい!
いやですから、詫びを入れに来たんですよ。御宅の隊士さんに怪我させちゃったんで。だからお菓子だけでも受け取って貰えませんか? そうしたらさっさと帰るんで。
「カチコミかぁ!?」「舐めてんのかテメェ!!」「いてこますぞ!!」「ぶっ殺すぞ!!」「やんのか? やんのかてめぇ!」
そんなくだらない押し問答を繰り返していた俺たちに、ふいに大きな影が差した。……はえ、このウニみたいな影の形。まさか。
恐る恐る見上げると、──更木隊長がこちらを見下ろしている。やっぱりね……!
思わず逃げ出しそうになったが、どうにか声を振り絞った俺は、軽い謝罪と詫びの品を押し付ける。そうして、さっさとずらかろうとした──その瞬間。何故か更木隊長が、俺の肩をがっちり掴んだ。
「テメェだな? あの人が言ってたおもしれェ男って」
……? 人違いでは?
「あ? テメェだろ、可城丸秀朝ってのは。さっき名前言ってたよな」
……すみません、いつ誰がどこで何を貴方に吹き込んだんですか???
本当に何事? 俺が知らないうちに何が起こってたの? え、もしかしてヨン様? ヨン様のせいかな?
ヨン様のせいってことにしていい?
置かれている状況の意味がまるで分からず、呆然とする俺をよそに、更木隊長は刃こぼれだらけの斬魄刀を突きつけてくる。……え?
「御託はいい、さっさと殺ろうぜ」
は?
あーん、ズタボロにされましたぁ~><
……ふざけて誤魔化していないと傷口が痛んで泣きそう。くそっ、何でこんなことに……まだメタスタシアの傷も完全には癒えてないんだぞ? どうしてくれるんだこのッ! 卯ノ花隊長に殺される……
というか、更木剣八、本当に怖かったな……
遠距離からチマチマ斬撃を撃っても、並みの威力じゃ弾きとばされるし、かといって距離を詰めて鍔迫り合いに持っていっても、霊圧で吹き飛ばされるし。一振一振が重いし! 薩摩藩かな?
逃げたくても血に飢えた獣に睨み付けられた状態で背中を見せられるかって話だよ。結局チマチマチマチマ攻防戦して俺の霊圧が尽きて~終~になりました。
「逃げ回ってばかりだったなテメェ……まあ、それなりに愉しめたぜ」
無様に地面へと這いつくばる俺を見下ろして、更木隊長はどこか満足げにそう言っていた。
たのしかった? よかったね♡くそが!!
……まあいいさ、これも修行の一環。経験値をゲットしたってことにしておこう……待てよ? 負けたら経験値入らないんじゃなかったっけ? ちくしょう、有り金全部置いていかなきゃじゃん。
そんなこんなで、心身ともに疲れ果て、満身創痍の体を引きずりながら歩いていた俺の前に、突如として目を引く赤髪が現れた。
──阿散井恋次だ。はえ~見事に実った赤パイン。栄養価高そう。……ん? 原作より刺青の量が少ないような……俺の実家でも紹介しようか?*2
てか、なんでこんなところに居て……? ……ああ、そうか。まだ十一番隊の隊士なんだっけ。え、じゃあ俺が更木隊長にボコボコにされる姿を見られたってこと? 恥ず……
「……」
……
なんだ、この沈黙。阿散井くん、ただ無言で俺の前に立ちはだかっているだけなんだけど……これ、横を通り過ぎていいのかな? うーん、一応ひと言だけ声をかけておくか。ちょっと通りますよ……(AA略)
そうして脇を抜けようとした俺に、──彼はぼそりと耳元で低く囁いた。
「……俺、アンタのコト、尊敬してます」
……?
「──けど、アイツの事に関しては負けないんで」
──……?
その言葉の意味を考える間もなく、阿散井くんは呆ける俺を置いて走り去ってしまった。
……え、何の話?
・
・・
・・・
・・・・
・・・・・
Side 可城丸秀朝の同級生
あ? 可城丸秀朝について?
何だお前急に……つったって、俺が知ってんのは霊術院の時ぐらいだぞ?
はあ……まあ良いけど。
可城丸はアレだな。典型的な優等生ってやつだった。成績優秀、人当たりも良し、先公からもスゲー気に入られてよ。流魂街出身であそこまで良い成績なんだもんな、すげェと思うぜ。
女にモテてたぜ。それはもうめちゃくちゃモテてた。
俺達の時には、授業の息抜きのつもりなんか、餅をつく催しがあったんだよ。それを調理して食べるみたいなヤツ。そん時にゃ可城丸は女共に餅を貢がれてたぜ。困った顔して受け取ってた。あれ食いきれねぇだろ……
そういやその行事、お前の時もあったんか? 今はチョコを作る? はー、洒落てんのな。
他? んなこと言ったって、ああ、そういえば、志波と良くつるんでたな。そうそう、その志波だよ、五大貴族の志波海燕。確か寮室が一緒だとかなんだとか……それきっかけでつるむようになったんかな。よく知らねぇわ。
……あ、一回だけとんでもねぇことがあったぞ。志波が霊術院の建物をぶち壊したやつ。壊したって言っても、一部だけどな。イヤでもアレは酷かったぜ。吹き荒れる霊圧、粉々になる机、怯えて漏らす生徒……地獄絵図だったな。
理由なぁ……俺も詳しくは知らねぇんだけどよ、噂によれば、五大貴族とつるんでる事に妬みもった奴らが、複数人で可城丸の事をリンチしたらしい。
昔は霊術院の治安が今よりも悪かったからなぁ。ほぼお貴族様の繋がりで、流魂街の奴らなんかは半数以下だったし。
だから尚更だろうな、五大貴族の志波家にすり寄ってる! ってバカなこと考えた奴らが徒党を組んで暴走したんだよ。
ちょうどそん時、俺は授業をサボって救護室の寝台で寝っ転がってた。そしたらよ、ドタドタドタガシャーンッ! なんてドアが開く音がして、「センセェ!! コイツを、秀朝を助けてください!」なんて聞こえてきたんだわ。
興味が出た俺はこっそりカーテンの隙間からその様子を覗いたんだ。そしたらよぉ~ボロボロの男が志波に背負われてぐったりしてんの。良く見たら背負われてんの可城丸でな。「うわーグロ!」って思ったぜ。「あれ生きてんのか?」って。そんくらいボロボロだった。鬼道とか使われてボコられたんじゃねえかな。
んで、ガーゼだの包帯だの回道だのなんだのって先公も大慌て。で、自分一人じゃ無理だと判断したのか、連絡とるために救護室から先公が出てった。
暫くしたらよ、可城丸が目を覚まして、志波と話し始めたんだよ。めちゃめちゃ気まずかったぜ、俺無関係だし。あ? 内容? ……お前これ、他人に言うなよ?
志波が、こんな目に遭うなら俺と関わんない方が良いんじゃないかって言ってた。まあそりゃ思うよな。自分のネームバリューのせいでこんなんになったわけだし。そしたらよ、可城丸は一言だけこう言ったんだぜ。
「やだね、
「他人にどう思われようが構うものか。
イヤーしびれたね。端から聞いてた無関係の俺ですらグッと来たんだ、真正面から言われた志波なんてもうヤバいだろ。
その後……? 志波が可城丸をリンチした奴らを見つけ出して建物ごとブッパだよ。授業中にだぜ? 他の生徒ガチビビりな。まあその後志波は先公に叱られてたけど、霊圧の調整ミスりました~って流してたわ。
可城丸はケロッとしてたぜ。次の週には教室に来て、何にもありませんよ~みたいな面して志波と話してた。図太いのなアイツ。
まあ志波海燕も建物ぶち壊しといてケロッてしてたけどよ。怖いよアイツ。
あーいうのをホントの漢って言うんだろうな。
……つかなんで急に可城丸のことを聞きに来たんだお前は? は? ルキアが……? はーん、さてはお前、自分の想い人が可城丸に惚れてるのか! ガハハ! 笑えるぜ!
まーなんだ、強敵だろうが頑張れよ。阿散井も良いトコあんだからそこアピールしてけ! ……え、具体的に? あー……眉毛とか?
卯ノ花「……」
次回
卍解……? 強化……?
斬魄刀異聞篇を書くにあたり、アンケートというより質問があります。本エピソードは破面篇の途中で挟まれたアニメオリジナルですが、私の執筆技量ではそのような高度な構成は難しいと感じています。そこで、尸魂界篇の後、破面篇の後、あるいは物語完結後の番外編として書く案を考えているのですが、読者の皆様としてはどのタイミングが最適だと思われますか? ぜひご意見をお聞かせいただけると幸いです。
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尸魂界篇後
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破面篇後
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本編終了後
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斬魄刀異聞篇を書かない
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他に何かご意見があれば活動報告の方へ