ジェネリック藍染が生き足掻く話   作:榛眞

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朝日がでない限り今日! というわけで投稿です。
前回に書かれていた文を削り、今回にまわしています。

刺青について調べていたら、火葬灰をタトゥーインクに入れるとか出てきてビックリしました。愛の形は人それぞれですね。




松の木は「神が宿る木」と称されている事は知っているね?

 

 ただいまナス~!

 

「おかえり秀朝。職場で何か苦しいことはない?」

「おかえり秀朝。職場で何か辛いことはないかい?」

 

 ああ~^両親の愛~^ 疲れた心身に染みる……

 

 

 社会に圧されている皆様~! 護廷十三隊に有給って概念があったことをつい最近知った俺君だよ。

 

 まじで鬼のように有給が貯まってて笑っちゃった。俺そんなに休んでなかった? 確かに、卍解会得してから今何連勤目でしたっけ? って感じだけど……

 まあ、それを上から指摘されたので急遽、有給消化に実家へと帰省したわけです。

 

 副隊長の不在とか良いのかな~と悩んだけどさ、浮竹隊長に「上が休まないと下が休めないぞ」って言われて我に返った。おっしゃる通りですね……

 

 書類仕事も全部終わらせてきたし、浮竹隊長の事は四席の二人が支えてくれるだろうし、海燕もいるから大丈夫だよね。……大丈夫だよね? 不安になってくるな。

 

 まあそんなこんなで久しぶりに両親に会った訳だけどさ、イヤ~二人共変わらずお若いままっすね、尸魂界って年齢バグるよ。

 

「あら、嬉しいこと言ってくれるわね」

「そうだな。秀朝の言う通り、母さんは美しいままだ」

「父さん……♡」

 

 ……二人の仲も変わらずお熱いままですか。まあ、両親の仲が良いのは良いことだからね、うん。

 帰省早々見せつけられるイチャツキに溜め息を吐きながら、俺は懐から目的のモノを取り出した。ちゃぽんと小さな音が鳴るそれを、両親の前に掲げる。

 

「実は、二人に頼みたい事があるんだ」

 

「「何?」」

 

 俺はそれを母に手渡す。

 母の両手に収まる小瓶。その中では黒く光る液体が波打っている。不思議そうに瓶を見つめる二人へ、俺は努めて軽快にお願いした。

 

「この顔料で、()()()を彫って欲しい」

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 ──数週間前。

 

【刺青? それまたどうして】

「もちろん霊圧を増やす為さ!」

 

 

ピーヒョヨロ……

 

 俺達は社殿で寛いでいた。ガラリと開けられた木製の扉からは柔らかな風が流れ込んでくる。暖かな日差しが木々の間から漏れ、落ちた影が地面で揺らいでいる。

 

 最近、相即不離との密談場所は専ら精神世界になっている。自分の精神世界が一番落ち着くというのは少し恥ずかしいが、まあ監視の目も防げるしお手軽だから……と、そんな理由だ。

 

ピーヒョヨロロ……トントコ……

 

「俺ってば天才的な発想に至ったんだよね」

【うん……?】

 

 不思議そうに首を傾げる相即不離。俺はその場で立ち上がると、ドヤ顔で告げた。

 

「先ずね」

 

ピーヒョヨロロロ……トントコドンドコ……

 

「……その前にちょっといい? ずっと疑問に思ってたんだけどさ、さっきっから祭り囃子みたいな音しない?」

 

 いよいよ耐えきれず質問する。

 絶対におかしい。前来たときは、風の音と葉っぱが揺れる音ぐらいしか聞こえなかった筈で、こんな陽気な音は鳴っていなかった。最初から聞こえてたよねこれ? 相即不離が全く反応しないから俺の幻聴だと思ってたよ。

 相即不離は俺の言葉にきょとんとした後、苦笑しながら答えた。

 

【ここは君の精神世界だからね。君の精神状態に左右されているんだよ】

「はーん、なるほど。……ん? つまりそれって──」

 

 この祭り囃子は俺のテンションに合わせて鳴ってるってコト? 

 

 ……バカ恥ずかしいじゃん!? 

 

 頬、というか顔全面が熱い。自分でも顔色が真っ赤になってることが分かる。信じられない羞恥心に襲われて思わず後ろへ倒れこんだ。後頭部と床とで鈍い音がなったが、今の気持ちに比べたらそんな痛みは些事である。マジではずい。

 

「俺の精神世界、俺が調子乗ったらこんなお祭り騒ぎになるの!?」

 

ピヒョ────ッ!!! 

 

「うるせぇッ! 煽ってんだろあの笛の音!!」

【どうどう、落ち着いて落ち着いて】

 

 荒れ狂う馬を宥めるように、俺の顔の前で手を振る相即不離。グルルルル……!!

 

「相即不離はうるさくないわけ!?」

【賑やかで良いじゃないか。僕は好きだよ】

 

 ぐぅ……ッ! 聖人……ッ!!

 

 

 

 

 

~閑話休題~

 

 始解は、霊子を霊圧に変換する能力。卍解は、刀身を当てたものを千切り、刀身を突き立てたものに契る能力。どちらも行使するには俺の霊圧が不可欠。

 これらの能力を踏まえて、条件さえ満たせば、千切ったものを霊圧に変換し、直接俺に契る事が出来ると考えたのだ。

 

【なるほど、確かに可能かもしれない。……しかし、その都度、僕を自分の身体に突き立てるつもりかい?】

 

 サラッと恐ろしいこと言うなコイツ。んなサイコパスみたいな真似はしません。

 ……要するにさ、刀を身に刻めば良いんだよ。

 

【……まさか!】

「そう! そこで刺青ってワケ」

 

 相即不離の刀身の一部を、粉末状にして既製の顔料に混ぜ込み、それを使って刺青を彫る。

 鉄粉入りの顔料を使うのは、身体にどんな影響があるのか分からないが、まあ斬魄刀は俺の魂を写し取ったモノだし、元々俺ならそう悪いことは起きないだろ! と適当に考える。

 

 それに、昔は刺青の顔料に酸化鉄が含まれていたらしいからね。まあそのせいで、MRI検査時に火傷の危険性があったみたいだけど。今の時代……じゃなくて、令和の時代には金属成分を含む顔料は少ないと聞いたな~。……ん?

 

「……あれ、そもそも斬魄刀って鉄で作られてるのか?」

【えっ】

 

 斬魄刀自体は持ち主である死神の霊力で出来ていて、折れたりヒビが入ったりしても普通は回復するんだよね。なら鉄じゃない? いやでも、支給された浅打は普通の刀だったし……確か、日本刀って玉鋼で作られるんだよな。……浅打もそうなのか?

 

「……」

【……】

 

 まあ、分からないことを考え続けたって無駄だわな。ほっとこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・

・・・

・・・・

・・・・・

 

 

 

 

 

 ──とある茶屋にて。

 

 陽光が射し込む軒下で、可城丸秀朝と市丸ギンは、久方ぶりに顔を合わせていた。

 二人の間には艶やかな団子と香り立つ緑茶が置かれ、時折舌鼓を打ちながら、二人は会話を楽しんでいる。

 

「そういえば秀朝クン、刺青入れたんやね」

「え? ああ、うん」

 

 ギンの言葉に、可城丸は一瞬戸惑いを見せた。

 暑さのせいで緩めた胸元から覗いてしまったのか。別に隠しているつもりはないが、何となく恥ずかしく思った可城丸は、無意識に胸元を正す。そんな彼の仕草を視界に入れながら、ギンは疑問を口にした。

 

「何を彫ったん?」

「松の木だよ」

「へぇ」

 

「……印象変えるためにそっち方面に走ったんやね、健気やなぁ」

 

 「可哀想に……」──そんな悲壮感を帯びた声色だった。ギンの細い目には、憐憫の色が滲んでいるように見える。……どうして糸目のくせに、あんなにもはっきりと感情を滲ませられるのだろうか。そう疑問に思いながら、可城丸はギンの勘違いを訂正した。

 

「違うからね? 藍染隊長化をくい止める為じゃないから」

「大丈夫や。ボクはよう分かっとる」

 

 ギンはゆるゆると首を振りながら、同情するように可城丸の肩をぽんぽんと叩く。「だから違うっ……!」と声を荒らげた可城丸は、はたと気づいた。

 

(これ、からかわれてるな?)

 

 ギンの狐のような笑みを見て、可城丸は肩の力を抜く。結局、いつも通りギンのペースに飲まれてしまったのだ。

 可城丸は大きくため息をつくと、苛立ちを紛らわせるように団子を口いっぱいに頬張った。

 

 ──ギンは可城丸の大きな反応が好きなようで、よく彼をからかっては弄んでいる。「こいつ、俺のことを音の鳴るおもちゃとでも思っているんじゃないか?」と、可城丸は日頃から訝しんでいた。

 

「で。実際、どうして刺青なんか入れたん?」

 

 興味深そうに聞いてくるギンへ、可城丸は苦笑しながら答えた。

 

「願掛けかな。松の木は生命や不死を意味するんだよ」

 

 一年を通じて緑色の葉を持ち、寿命が長い松は「神が宿る木」とも称され、縁起のよい木として知られている。二本一組となった葉は枯れ落ちても離れ離れにならないことから夫婦和合の象徴ともされているのだ。

 

「へぇ~、知らんかったわ。流石彫り師の息子やね」

「ハハハ……」

 

「松、ねぇ……そう言えば、秀朝クン。最近、乱菊とよう話しとるよな」

 

 唐突に飛び出たその言葉に、可城丸はピクリと肩を動かす。「(出たよ)」と、思わず心の中で呆れ返る。「いつもなに話しとるん?」と続けられるギンの問い掛け、それに答える為、彼は口の中の団子を無理矢理飲み込んだ。

 

「何と言っても……仕事のことぐらいしか……」

 

 そうして伝えた乱菊との事。

 嘘である。いや、嘘ではないが、本当の半分しか伝えていない。確かに、乱菊との会話は仕事の話題が大半を占めているが、時折ギンのことについても話しているのだ。当初の乱菊はコッソリと周りを気にするように小声で尋ねてきていたのだが、最近ではその興味を隠そうともせず、ぐいぐいと聞き出してくるようになっていた。

 

「……へぇ」

 

「(へぇ、じゃねぇよ)」

 

 可城丸は思わず口角をひきつらせた。その反応は飲み会で乱菊が見せたものと全く同じだったからだ。

 

「(コイツら二人揃って! ……というより、この二人に限った話じゃなくて、この世界の人達自体が大体こんな感じか。いじらしいというか、めんどくさいというか、不器用な人達が多いよなぁこの世界)」

 

 頭の中に浮かぶのは例のオニイサマ。どうして皆こぞって自分を通して情報を得ようとするのか、常日頃から伝書鳩のように扱われている可城丸はずっと疑問に思っていた。

 可城丸は小さく溜息を吐くと、湯呑みへと手を伸ばす。波打つ陶器の手触りを楽しみながら、茶に映る自分の顔をボンヤリと見つめていた。

 

 そうして流れていく会話の中で、ギンは「ああ」と態とらしく声をあげると、()()()()()声色で可城丸に言う。

 

「そう言えば、知人に子供が出来たんよ」

「肌が()()()でな、とっても()()()子や。あれは()()()()に育つやろなァ」

 

 ──……!

 微かに震えた指先が、湯呑みへと伝わり茶を揺らす。なるほど、確かに彼は遠回しに真実を伝えてくれている。ギリッと音がなるほどキツく握りしめた指をほどき、可城丸はひとつ深呼吸をした。

 

「……それは、めでたいね」

 

 努めて冷静にそう吐き捨てて、彼は冷めたお茶を飲み干したのだ。

 

 

 

 

 






「半透明な歯車も一つずつ僕の視野を遮り出した」


『刺青』
千切ったものを己の糧にする能力。主人公が斬魄刀の解釈を広げ、流用したもの。
自身の身体を契約書と見なし、契約内容を身体に刻む(刺青を彫る)ことで己の斬魄刀と契りを交わしている。これにより、千切って変換した霊圧を自身の身体に直接流すことが出来る。
主人公は魂魄が強靭なおかげで何とかなっているが、他の死神がこれを行った場合、魂魄が弾け飛ぶ。(おもちゃに高電圧を流して早く動かそうとするようなもの)

他の霊圧を通す為に、回路を作るところから始めるので、使い始めはめちゃくちゃ痛い。例えるなら、身体に無理矢理太い管をねじ込まれるみたいな激痛。主人公は死ぬ(気絶する)。

斬魄刀異聞篇を書くにあたり、アンケートというより質問があります。本エピソードは破面篇の途中で挟まれたアニメオリジナルですが、私の執筆技量ではそのような高度な構成は難しいと感じています。そこで、尸魂界篇の後、破面篇の後、あるいは物語完結後の番外編として書く案を考えているのですが、読者の皆様としてはどのタイミングが最適だと思われますか? ぜひご意見をお聞かせいただけると幸いです。

  • 尸魂界篇後
  • 破面篇後
  • 本編終了後
  • 斬魄刀異聞篇を書かない
  • 他に何かご意見があれば活動報告の方へ
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