ジェネリック藍染が生き足掻く話   作:榛眞

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⚠挿し絵あり

挿し絵描いてたら更新遅れました。





BLEACHに登場するメガネキャラは総じて強いという事を知っているね?

 

「生も死も、喜びも悲しみも、世界の遍く事柄には、必ず意味があるのです」

 

 諭すように告げられたその言葉に、俺は思わず息を呑んだ。

 ──意味? 貴方の結末に意味があると? 俺には分からない。俺には理解できない。いや、本当は、理解したくなかったのかもしれない。

 

 どちらにせよ、その人の言葉が俺の心に深い傷跡を残したのは事実だった。

 

 正直、全てが無意味なのだろうと、どこかで悟っていた。それでも、惨たらしい結末を迎えるその人をこのまま見過ごすわけにはいかないと、ただその一心で俺は声を掛けたのだ。しかし、その行いは、所詮俺の身勝手な思い上がりに過ぎないのだと、その人は優しさと残酷さをもって教えてくれた。

 

 俺の言葉も、俺の行動も、全ては我儘で独りよがりで傲慢なもの。そして、その欺瞞こそが最も残酷で惨たらしいものであると、その人の穏やかな微笑みを見て、俺は初めて自覚したのだ。

 

 

「どうか、解ってくだされ」

 

 やんわりと握られた両手。深い皺が刻まれた小さな手。それでも確かに、その掌には生命たらしめる温かさが宿っていた。

 

 

 

 

 誰も彼も救えるなどと考えていたわけではない。しかし、差し出した手が掴み返されることを疑った事が無かった。それに気が付いたとき、その自分の未熟さが、驕りが恥ずかしくて仕様がなかった。

 

 この人は救いなど必要とせず、俺もまた、必要とされていなかったのだ。

 

 アスファルトから登る陽炎に呑まれ、遠退いていくその背中を見送る。俺はあの人を見棄てた。いいや、見棄てたのではない。あの人が望まなかったから、俺は何も出来なかったのだ。

 

 あの人は、自らの信念、そして愛する家族、未来への希望のために、全てを捧げ、殉じたのだ。

 

 

 

 

 1993年 暑い、夏の日のことだった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 志波家、引っ越すってよ。

 俺とルキアはその手伝いの為に志波家に訪れてる。

 

 うーん、やっぱ何度来てもインパクトあるなこの家。人の足を模したオブジェが「志波家」と書かれた旗を支えている……スケ◯ヨかな?

 

「引っ越しには慣れてるんだけどな。まあ、人手が多いに越したことはねぇから、お前らが来てくれて助かったわ」

 

 快晴の中、汗だくの海燕は笑いながらそう言っていた。……まあ、原因の大半は俺が担ってるんでね、こういうことでしか贖いようが無いって言うか……(ルキアは単純な善意で来ている)。

 

 ──実のところ、この引っ越しは俺の一言が発端だった。

 

 俺と綱彌代時灘との一件を志波家の人たちに伝えたところ、「じゃあ引っ越しすっか」と、彼らは驚くほどあっさり言い出した。

 そう。つまるところ、この引っ越しは、ちょっかいをかけてくるかもしれない連中への事前対策ってワケよ。

 

 貴族に逆らう人間はそう多くはない。──しかし、その地位が失われた今、どんな連中が、どんな手出しをしてくるか分からないのだ。

 志波家の人間は、誰かに恨みを買うような真似をしてきた家でもない。けれど、この世界の上層部には、思考回路がバグったような、訳の分からないロジックで因縁をつけてくる暇人がやたらと多いからね……

 

 実際、つい最近、そういう暇人が存在することを知ったばかりだし。というより、そんな相手に俺が言い返してしまったから、こんな事態になっているわけでェ……! カッとなった俺が本当に馬鹿だった。

 

 岩鷲くんにはちょっとだけ叱られて、空鶴さんには「あの綱彌代に喧嘩売るとは、秀朝おまえホントおもしれぇな!」なんて言われながら背中をバシバシ叩かれた。言い返しはしたけど、喧嘩は売ってないよ?

 

 「まあ元々、没落をきっかけに引っ越しを考えていたからな。そう気にすんなよ」と海燕は言っていたけれど、それでも俺のせいで計画が早まってしまったことに変わりはない。本当に申し訳ない……

 

 

 

 

 

~閑話休題~

 

 ルキアは荷物を纏める係。俺は纏め終えた荷物を引っ越し先に運ぶ係。

 こういう時、瞬歩って楽だよね~、めちゃくちゃ疲れるけど。

 

「ルキア~、あの四角いヤツどこ置いたー?」

「四角いヤツ……ああ、それはあちらの棚の方に!」

 

 原作とは異なり、ルキアと志波家の人々の間にはすでに良好な関係が築かれている。

 

 ルキアを慰めた日の翌日、決意を固めた彼女はケジメをつけるため志波家を訪れ、俺はそんな彼女の付き添いとして同行した。

 まあ結局、ルキアだけが家に入り、邪魔者扱いされた俺と海燕は外に追い出されたんだけど。

 そんなこんなで外で待機していた俺達の耳に、何かを強く叩きつけるような音が聞こえてきた。思わず肩を跳ね上げた俺と海燕は、うろうろと右往左往して……あの時の情けなさといったら。

 

 扉から現れたルキアの頬は真っ赤に染まっていたが、その表情はどこか晴れやかだった。中でどんなやり取りがあったのかは分からないが、彼女なりにケジメはついたのだろう。

 

 そんなことを思い出しながら俺は荷物を抱える。原作ではあまり見ることの無かった岩鷲くんとルキアのやり取りは心が和むね。

 ……あれ、これ、尸魂界篇でのチャンイチ達と志波家の面々とのやり取りどうなるんだろう? ……まあいっか。

 

 

 

 さて、引っ越し作業も一段落がつき、大体の荷物を運び終えたは良いが……このオブジェどうするんだろう。まさか持ってくのか? 流石にこのデカさは無理だぞ?

 

「いや、ここで壊してく」

 

 ですよね。 ……てか、これ引っ越し先にも作るの? 

 

「おう、作るぜ」

 

 マジか。これと似たようなの造ったら引っ越しをした意味が無いんじゃ……因みに次は何をモチーフに?

 

「あー、何にするかな」

「兄貴~、手はどうだ?」

「おっイイネ。採用」

 

 あっ、そんな軽い感じで決めるんだ。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 最近すごく困ってることある。マジで、ガチで、すごく困ってる。

 

 めちゃくちゃ剣八さんに殺り合いのお誘いされる事です。それもかなりの頻度で。ドボヂデ。

 というのもこの誘い、俺が卍解を会得してから始まったんだよね。卍解会得したのバレた!? って最初は焦ったけど、更木隊長は勘で言ってきてるみたい。

 

「なんかオメェ変わったな? ……殺ろうぜ」って。

 

霊圧探査もろくにできない癖にどうして分かるの? 野生の勘って言っても限度がありませんかねぇ!?

 

 

 まあそんなこんなで十一番隊を徹底的に避けて、彼らとの遭遇を回避しているのだ。情けないかもしれないけど、ヨン様が見てるかもしれないこの状況で手の内を明かせるわけ無いし! 

 あ~、霊王様、霊王様! どうか今日も更木隊長に会いませんように……!!

 

「あっトモチンみっけ!」

 

 アイエエエ!? ヤチル!? ヤチル=フクタイチョウナンデ!? 

 

 しまった! 警戒しなければならないのは更木隊長だけではない、やちる副隊長もなのだ! むしろこっちの方が厄介で、俺の行く先々に現れては更木隊長の目の前に引き摺って行こうとする。こんなのちっさいモンスターだよ!ポケッ◯モンスター!!

 

「ねぇねぇトモチン! 剣ちゃんと戦ってあげてよ! いいでしょー? 減るもんじゃないんだし! ねっ? ねっ?」

 

 諸々減るぜ!!

 

 容赦なくグイグイと裾を引っ張られて、思わずたたらを踏む俺。この小さな体からどうやってこんなパワー出してんだ?

 ちょっと離して下さい、裾が千切れちゃうから、ちょっ、マジで離し、すごい力だ……!

 くそぅ、こうなったら……エ゛エーイ!

 

「ん? なあにこれ?」

 

 やちる副隊長に渡したのは皆様お馴染みのヤン◯ドーナツ! 現世に出張した時にたまたま見つけた駄菓子屋で買った俺の秘蔵お菓子だ。オレ、コレ、ダイスキ。

 尸魂界ではなかなか手に入らないレア物……これを献上致しますからどうか慈悲を……! 

 

「へー。パクッ……おいし~! これ全部貰っていいの?」

 

 勿論良いっすよ! だから~俺のこと見逃して欲しいな♡

 

「やったー、トモチンありがとう! ん~美味しい!」

 

 いえいえ、お口に合ったようで何よりです。

 ……あの~やちるさん? 俺の手を引いて一体何処に行くつもりなんですかね? こっちって俺の気のせいじゃなければ十一番隊の方だと思うんスけど……

 

「うん、剣ちゃんのところに連れてってるんだよ!」

 

 ファ!? お菓子をあげる代わりに見逃してくれるって約束じゃないですか!! 

 

「見逃す……? そんなこと言ってないよ? 私は貰ったお菓子を食べただけだもん♪」

 

 都合の良い解釈してる……!

 

 ウワーッ! イヤダーーーッ!!HA☆NA☆SE*1

 

 

 

 

 

 

 

 

・・

・・・

・・・・

・・・・・

 

 

 

 

 

「初めまして、石田宗弦さん。私は可城丸秀朝と申します。本日は、貴方に用があって参りました」

「これはこれは、ご丁寧に。一体、どのようなご用件でしょうかな?」

「──貴方に、忠告と助言をしに」

「──ほう」

 

 

 

 

「有事の際は、この護符に霊圧を込めてください」

「これは?」

「込められた霊圧によって、私に連絡が届く仕組みになっています。これさえあれば、貴方の身に危険が差し迫った時、すぐに駆けつけられますから」

 

 

「おお、ありがたい! ……いやはやしかし、申し訳ない。これはお返しします」

「……何故です? もしや、死神である私から渡されるものは信じられませんか?」

 

 

「いいえ、そういうことではないのです。ただ、わしに関わること自体、あなたにとって危険なことでしょう? あなたに、迷惑は掛けられませんから」

「──石田さん、貴方も気づいているでしょう? 滅却師は、死神に常に監視されている。そして残念ながら、死神の中には、貴方たちを陥れようと計略する者もいるのです」

 

 

「ですから、どうかこれを受け取ってください。そうしなければ、僕は貴方を──」

「……可城丸殿は、まるで、未来を識るかのように仰るのですな」

「──ッ!」

「おや、図星でしたかな?」

「……」

「ほっほっほっ、可城丸殿は正直な御方のようで」

 

 

 

 

「─もし、もしですよ。貴方の言う通り、私が未来を識っていたとして、貴方の結末を変えに来たのだと言ったのなら、貴方はどう致しますか?」

「ふむ」

 

 

「──それなら尚更、わしは貴方を頼れません」

「どうして……!」

 

 

「可城丸殿、この世に起こる全ての出来事には、必ず意味があります」

「──意味?」

 

 

「生も死も、喜びも悲しみも、遍く事柄に何かしらの意味がある。それは誰にも覆せない、この世界の不変の理なのです」

「……貴方の結末が、惨憺で惨たらしいものだったとしても?」

 

 

「ええ、きっと」

「まさか……石田さん、貴方──」

 

 

「わざと、死神に捕まるつもりなのですか?」

「──……」

 

 

「ッそれがどういう意味か解っているんですか!? 死神に捕らえられたら、どんな惨い目に遭わされるか、滅却師の貴方なら良く知っているでしょう……!」

「ええ、承知の上です」

「承知の上って……! 貴方のご家族の気持ちは、残される者の気持ちはどうなるんです!?」

 

 

「──本当に優しい御方ですな。あなたのその優しさに応えられないことが、本当に心苦しい」

「ならッ──」

「しかし」

 

 

「これが()の本望なのです」

「─ッ!」

 

 

「奴らに一矢報いる為の鏃となる。これが数百年生き続けた、私の最後の役目だと、己自身で定めたのです」

 

 

「……ですからどうか。ご理解くだされ、可城丸殿」

 

 

 

 

 

*1
この後ボコボコにされた事はもう解っているね?






「私たち人間の住むこの世にはさまざまな矛盾や欠点があるように見えるけれども、回り回ってすべてのことには意味がある」

おじいちゃん、本当にどうしようか悩んでこうするしかなかった。

次回
6月17日、雨、親子。

斬魄刀異聞篇を書くにあたり、アンケートというより質問があります。本エピソードは破面篇の途中で挟まれたアニメオリジナルですが、私の執筆技量ではそのような高度な構成は難しいと感じています。そこで、尸魂界篇の後、破面篇の後、あるいは物語完結後の番外編として書く案を考えているのですが、読者の皆様としてはどのタイミングが最適だと思われますか? ぜひご意見をお聞かせいただけると幸いです。

  • 尸魂界篇後
  • 破面篇後
  • 本編終了後
  • 斬魄刀異聞篇を書かない
  • 他に何かご意見があれば活動報告の方へ
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