3000前後…3000前後…!
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ウワーッ!
というわけで前編と後編で分けてます。
──6月17日。
「うっし、やるぞ」
十三番隊の管轄である空座町。副隊長代理である俺は、その地理についてある程度把握している。念には念を入れて地図も徹底的に読み込んできたし、道に迷うことはない。
持ち物は二つ。愛刀・相即不離と、石田パパ宛の手紙だ。
手紙には真咲さんと片桐さんの銀の血栓の除去を頼む旨を書き記した。詳しい事は既に宗弦さんに聞いているだろうし、頭のキレる石田パパならすぐに理解してくれるだろう。
肝心の霊圧についてだが、俺には始解で千切って、卍解で契って、地道に溜め続けてきた霊圧がある。始解の時は霊圧補給が出来ないけれど、溜めてきた霊圧を使うことは出来るからね。これだけあれば大丈夫! ……だと思う。
そして、今回は何と特別に……じゃじゃーん!
ヨン様一行が浦原喜助からパクったやつだね。これって盗んだのかな? それとも新しく作ったのかな……? まあ良いや、ありがたく使わせて貰いましょう。
……「どこで手に入れたのか」って? フフフ……ギンに借りた。
「有給申請ヨシ、霊圧ヨシ、斬魄刀ヨシ、地図ヨシ、手紙ヨシ、外套ヨシ」
指差し声出し確認完了。うん、忘れ物なしっと。
それじゃあ早速、空座町にイクゾー!
【はじめてのおつかいみたいだね】
シャラップ!!
「ヤバいヤバいヤバい間に合わない! 間に合わないよぉ!!」
空座町に降り立ったは良いものの、何故か行く先々で虚に遭遇しまくった俺は、件の河原へと全速力で駆けている。
流石に目の前に現れた虚を見過ごす訳にもいかず、最速で片をつけてきたが、それでもやはり時間は押していた。
大体このくらいの時間帯だろうと予想をつけたから、その時間前に張り込もうとしたのに……なんなら先にグランドフィッシャーを倒しておこうと思ったのに、
何でこういう時に限って虚と遭遇するんだよ……!
「~やっと着いた!」
瞬歩を駆使して行き着いたのは原作で良く見たあの歩道。
地図でも確認したし、実際に黒崎親子がこの道を通っている姿をこの目で見たからね、場所はここで間違いない。
親子は道に……いないな、よし間に合った!
【いや、待ってくれ……歩道じゃなくて既に河原に立っているぞ!】
「マジか!?」
相即不離の言葉を聞いて、慌ててガードレールの側へと駆け寄る。
そうして見えたのは、グランドフィッシャーの疑似餌に走る黒崎一護と、それを追いかける黒崎真咲の姿。
もうクライマックスじゃん!?
今から駆けても間に合わないぞ……!? くそっこうなったらッ──!
「破道の一 衝!」【嘘だろ君!?】
青白い煙を立てながらゴロゴロと河川敷を転がっていくチャンイチ。……あれ頭ぶつけてないよね?
【いくらなんでも人間の子供に鬼道は……】
しっ仕方ないだろう!? 咄嗟に思い付いたのがこれだったんだよ! それに霊圧だってかなり抑えたし……まあチャンイチ盛大に転がってったけどゴニョゴニョ……
うう~予定ならそっと回収した後、首裏に手刀を打ち込んで気絶させるつもりだったのに……済まぬチャンイチ。
【あっ聖別来た、聖別来たよ!】
今このタイミングで!?
相即不離を抜刀し構える。
良く目を凝らすと、筒状の光の奔流が空に向かっていく様が見えた。くっそ、チャンイチの安否確認したいのに……忙しすぎる! いつ光を断ち切ればいいんだ? 今? 今なのか!?
【まだだ、まだだ……!】
天上へと昇る光の束を見つめながら、相即不離を握り締める。まだ? いつまで待てば良いの!? 下の真咲さん達ピンチなんだけど!!
【──今だ!】「──千切れ、相即不離ッ!」
解号からの流れるような始解。
掲げた相即不離に応じ、天に昇る光の筒に刃を当て、霊圧を込める。胸に刻まれた刺青から霊圧が全身を巡り始め、ビリビリとした痛みに苛まれる。思わず顔をしかめるが、それでも柄を握り締める手に渾身の力を込めた。
(霊圧が大量に持っていかれる……!)
刃を当てた部分からキチキチと硝子を引っ掻くような耳障りな音がする。血管を焦がすような熱が全身を蝕む。目の前で輝く青白い光を忌々しく思いながら、それでも俺は力を込め続けた。畜生、本当にかったいなぁッ〜! 更木隊長の相手をしてるみたいだぞ!
パキンッ
「……ッ!」
刃と光の隙間から何かが決壊するような音が鳴る。それと同時に、目の前にキラキラとした青白い粒子が舞い散った。
「【千切れた!】」
千切り取った力の奔流が、青白い粒子をも巻き込みながら相即不離へと流れていく。何時間にも感じられた鬩ぎ合いがついに終わりを迎えたのだ。
その幻想的な光景を眺めながら、俺は全身でガッツポーズをした。
やったー! 霊圧は大量に持ってかれたけど、真咲さんの力を千切れたぞ!!
【喜んでいる暇はないよ、グランドフィッシャーを倒さなければ……って】
ああそうだった、真咲さんたちを助けなきゃ……ヒェッグランドフィッシャーが真咲さんたちに急接近してる!?
待ってくれグランドフィッシャーちょっと、ちょっとだけ待……ッ間に合わない!! エ゛ェイ月牙天衝!!(パチモン)
「……」
「……」
【……一応聞くけど、どうして無言で見つめあっているんだい?】
フフフ、相即不離……どうしよう、
【ハハハ! ……頑張れ】
自分の斬魄刀に見捨てられた!?
グランドフィッシャーを倒したまでは良いんだけど、何を言えば良いのか分からず、真咲さんの目の前で跪いたまま動けずにいる俺くんです。無様だね。
あらかじめ説明は考えていたんだけどね、いざこの瞬間になったらぜ~んぶド忘れしてしまった。こういう経験みんなもあるでしょ? 研究発表とかプレゼンとか……まさにそれだよ。
内心大パニックの俺を不思議そうに見つめる真咲さん。
そんなに見ないでくれ、俺もどうすれば良いのか全く分からないんだ……
いや真面目にどうする? 一から十まで全部説明すれば良いのか? どこからどこまで言えば……ヤバい思考が全然纏まらない。真面目に絶体絶命なんだけど。
どうするどう、なに、何を言えば……えーと、僕は可城丸秀朝です……いや、名前を言うのは不味いか? えーとえーと、どうしよう……ぼ、僕、僕は、僕を──
「──僕を、信じて欲しい」
【……新時代?】
誰が歌姫じゃい!!
しょうがないだろ咄嗟に出た言葉がこれなんだから! 自分でもどうかしてると思ってるよ!
弁明しようと頭をぐるぐる回転させても、やっぱり何も思い浮かばない。つ、詰みだ……助けて霊王~!
「信じる、貴方を信じる。だからお願い……助けて……!」
【!?】
いよいよ神頼みをし始めた俺に、真咲さんはそう懇願してきた。良く分かんないけど何とかなったっぽい。
……これも霊王様のおかげかな? サンキュー霊王サマ!
というわけでろくに説明もせず真咲さんに相即不離を突き刺した。急所は外してるとはいえ痛いですよね。なるべく身体の中心に契らないと効果が薄まるからさ、本当にごめんなさい……
色々と限界だったのだろう。気絶するように倒れ込んできた真咲さんをその場に横たわらせ、刀傷に回道を当てる。
呼吸は……安定している。相即不離、これは成功したのかな?
【うん、きちんと契られているよ。滅却師としての力はかなり弱まっているが、生命力に関しては問題ないと思う】
「──良かった」
治し終えた傷から手を離し、俺は安堵の溜め息を吐く。良かった、本当に良かった。銀の血栓という不安は残るけれど、それでも命を繋げたんだ。
「よしっ」
緩んだ頬を直して俺は立ち上がる。安堵してる場合じゃない、片桐さんの元に急がなければ。
真咲さん達には軽い虚避けの結界を張り、後ろ髪を引かれる思いでその場を後にした。次の目的地は石田邸だ。えーとここから大体10km……ハードスケジュール過ぎるだろ。やることが、やることが多い……!
……あっチャンイチの事確認し忘れた。まあ、真咲さんは何も言っていなかったし、大丈夫だよね。うん、きっと大丈夫!
【……彼、僕達の事を見ていた様な──】
えっ、何か言った? 雨のせいで聞こえなかったわ。
【──いや、何でもないよ】
え〜、なになに? 焦ってるときに思わせぶりなこと言うのやめてよね~
アッさっきの曲がり角右だった。ヤバいヤバいヤバい。
グランドナレ死ャー「誠に遺憾です」
斬魄刀異聞篇を書くにあたり、アンケートというより質問があります。本エピソードは破面篇の途中で挟まれたアニメオリジナルですが、私の執筆技量ではそのような高度な構成は難しいと感じています。そこで、尸魂界篇の後、破面篇の後、あるいは物語完結後の番外編として書く案を考えているのですが、読者の皆様としてはどのタイミングが最適だと思われますか? ぜひご意見をお聞かせいただけると幸いです。
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尸魂界篇後
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破面篇後
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本編終了後
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斬魄刀異聞篇を書かない
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他に何かご意見があれば活動報告の方へ