ジェネリック藍染が生き足掻く話   作:榛眞

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明けましておめでとうございます。
そして更新が遅れてしまい大変申し訳有りませんでした。

前回の予告で「藍染惣右介 死す」と言ったな。アレは鏡花水月……にしてたまるか!!
新年早々ウソつきにはなりたくないので、今日中に二話上げて連続放送ということにします。許してください、なんでもしますから!




恋バナで盛り上がるのは男女共通だという事は知っているね?

 

 夕暮れが迫る中、西方流魂街の外れに位置する志波邸から、瀞霊廷内を駆け抜ける。

 途中、副官章を受け取るため十三番隊舎に立ち寄りながら、ようやく二番側臣室へと到着すると、すでにほとんどの副隊長たちが集まり、和やかな雰囲気で談笑を楽しんでいた。

 額に浮かぶ薄い汗を拭いながら、「やっぱり流魂街からじゃ遅刻ギリギリだったか……」と可城丸は心中で嘆く。

 

 

「あっ、可城丸さん……!」

「ん?」

「あら……可城丸さん、こっちよ、こっち!」

 

 

 扉付近で立ち往生していた可城丸に、雛森桃と、虎徹勇音が声を上げ、松本乱菊が手を振って明るく声をかけた。ほっとした表情を浮かべた可城丸は、軽く会釈して彼女たちの元へと歩み寄る。

 

 

「珍しいじゃないですかぁ、可城丸さんが遅れるだなんて」

「こんにちは可城丸さん。……いえ、もうこんばんは、ですかね?」

「あはは……こんばんは。すみません遅れてしまって……流魂街に出向いていたものですから」

「流魂街から……それは大変でしたね」

「召集を掛けられたのが大体昼頃でしょ? むしろよく間に合いましたね~」

 

 

 感嘆したように言う彼女たちに、可城丸は頬を掻きながら苦笑いを浮かべる。

 実は、十三番隊舎へと立ち寄った際、ついでに寮へと足を運んでいた可城丸は、相即不離を用いて、一番隊舎の敷地内の人目につかない場所へ空間転移していたのだ。その後、その千切った空間を通して自室に相即不離を投げ込んで証拠隠滅をはかった。

 千切った空間は、霊圧が十分でなければ自然と閉じてしまうので、その空間の修復を確認した後、側臣室へと急行したのである。

 

 そんな裏事情を思い返しながら、可城丸は誤魔化すように話題を変えた。

 

 

「隊首会はまだ始まっていないんですか?」

「はい、十一番隊の隊長と、三番隊の隊長と、八番隊の隊長が来ていないらしくて」

「伊勢さんは京楽隊長を探しに、可城丸さんと入れ違いの形で先ほど出て行かれましたね」

「アタシなんて初めの方に来て、ここで半日も缶詰ですよ? もう本当に嫌になっちゃう」

 

 

 やれやれと首を振る乱菊に、可城丸と勇音、雛森は苦笑いを浮かべる。

 

 隊首会──それは隊長格を集め、有事の際の方針決定や新隊長の任命などを行う、護廷十三隊の要となる極めて重要な会議だ。

 隊長だけが出席する場合、副隊長たちはこうして側臣室で待機する。

 

 副隊長が別室に待機する理由は複数あり、会議中に緊急事態が発生した際、隊長からの指示を迅速に受け取るための即応態勢を整えるためである。また、特定の議題について意見や情報を求められた場合、そのタイミングに合わせて入室するためでもある。

 

 令和の価値観を持つ可城丸は、「技術開発局に頼んで、リモート会議で済ませれば良いのではないか?」と常々考えていたが、伝統を重んじ、変化を好まない尸魂界の風潮を前にしては、そんな提案は一笑に付されるに違いないと、早々に諦めてしまっていた。

 

 

 

 そうして、穏やかな会話に身を委ね、つい先ほどまでの慌ただしさを忘れかけていた矢先──静寂を破る大きな音が辺りに響き渡った。

 

 

「トッモチーン♪」

 

「えっ、グフゥ!

「きゃあっ!」

「ちょっと、やちる!」

「か、可城丸さん、大丈夫ですか!?」

 

 

 扉が勢いよく開き、何かが閃光のごとく室内に飛び込んで来る。

 可城丸の背後をめがけ、ミサイルさながらにダイブしてきたのは、十一番隊副隊長の草鹿やちるだ。

 反応が遅れた可城丸は、後ろを振り返った瞬間、やちるの丸い頭が彼の鳩尾へと絶妙なタイミングでめり込み、悶絶する。

 

 

「ゴホッゴホッ!」

「やちる副隊長、急に人に飛び掛からないでください! 危ないですからぁ……!」

「きゃはは、ごっめ~ん!!」

 

 

 痛む鳩尾を押さえながら激しく咳き込む可城丸。そんな彼の背を優しく擦りながら勇音は咎めるように苦言を呈した。

 やちるは悪戯を楽しむ子供のように、はしゃぐ声で返す。

 

 この光景は、周りの副隊長たちにはすっかりお馴染みとなっており、呆れ顔で首を振る者、苦笑いしながら目を細める者、中には密かに面白がっている者まで様々だ。

 

 そんな騒がしい光景を眺めながら、乱菊は片眉を上げ、やちるへと軽く問いかけた。

 

 

「やちる、あんた遅かったわね」

「剣ちゃんが迷ったの!」

「またぁ? アンタらそろそろ地理を覚えなさいよ。というか、こんなに霊圧が集中してるなら何となく場所くらい分かるもんでしょ? 探知能力も相変わらずひっくいわねぇ……」

「むっ、いいもん! トモチンの居場所は何となく分かるから!」

「え、なんで……?」

 

 

 少し叱るような口調で言われた言葉に、自分は悪くないといわんばかりの表情で答えたやちる。そして得意げに胸を張りながら放たれた言葉に、痛みから少し回復した可城丸は困惑した表情を浮かべる。

 

 

 

 そんな女性たちの輪に馴染む可城丸の様子を、檜佐木修兵と射場鉄左衛門は、羨ましそう……というより、どこか恨めしげな目を向け、眺めていた。

 

 

「可城丸サンって乱菊サンと仲が良いですよね……」

「じゃのお。……もしかして、懇ろの仲じゃったりするんか!?」

「え゛っマジで!? お、おい吉良は何か知らねぇのかよ!?」

「ええっ、知りませんよ……!」

「恋次、オマエは? 先々週くらいに可城丸サンと何か話してたよな?」

「先々週? ああ、それはルキアのコトで……そういう話はしたこと無いっスね」

「ルキアって──、……ああ」

「……てか、あの人って藍染隊長に似てません? 雛森が前に言ってて」

「あー、言われてみれば。確か、雛森は藍染隊長のコト敬愛してたよな? てことは……」

「え゛」

 

 

 小さく、しかし熱を帯びた口調でヒソヒソと話し出す男衆。

 

 実際のところ、可城丸にとって乱菊は共通の友人を持つ単なる酒飲み仲間に過ぎない。酒席で交わす軽口も、翌日になれば霧散する程度の関係だ。

 雛森に対しては、むしろ少々の苦手意識を抱いていた。決して嫌悪しているわけではないが、どんなに愛らしいポメラニアンでも、その飼い主が血に飢えたジェイソンならば近寄りたくないのと同じように……つまり雛森の後ろに居る藍染惣右介が怖くて近寄りがたかったのだ。

 ルキアに関しても、可城丸にとって彼女は可愛い後輩であり、それ以上でも以下でもない。彼女の義兄が脳裏にちらつくので、そういった感情を抱くことはないと言ったほうが正しいだろう。

 

 ……なんなら可城丸には気になる女性が別に居るので、これらの問答は全くの見当違いである。が、真実を知る由もない男たちは、勝手な想像を膨らませ続けていた。

 

 そうして各々が雑談に暮れていた最中──

 

 

「緊急警報!! 緊急警報!!」

 

 

 平和な空気を引き裂くように、甲高い警報音が鳴り響く。

 

 楽しげだった談笑は一瞬にして凍りつき、ピィンと空気が張り詰める。

 

 

「瀞霊廷内に侵入者有り!! 各隊 守護配置について下さい!!」

 

「緊急警報!?」

「なんなのよ一体……」

「件の旅禍か?」

「とにかく、配置につかないと!」

 

 

 騒然とする周囲。隊員たちはお互いに顔を見合わせ、緊張感を帯びた表情でそれぞれの持ち場へと急いで向かう。廊下には慌ただしい足音が響き、命令を飛ばす声がこだましていた。

 

 立ち竦んでいた可城丸は、目を閉じると、深く息を吸い込み、大きく息を吐き出す。そして再び開かれた彼の目には、いつもの柔和な色とは打って変わり、酷く冷たい色を宿していたのだった。

 

 

 

 

 






尸魂界篇の今後の展開について。
主人公の視点外で起こった戦闘について、原作キャラクターの視点で書くか、尸魂界篇を書き終えた後に掲示板の住人の視点でダイジェストとしてお送りするか迷っています。アンケートを用意しましたので、ぜひご投票ください。

斬魄刀異聞篇を書くにあたり、アンケートというより質問があります。本エピソードは破面篇の途中で挟まれたアニメオリジナルですが、私の執筆技量ではそのような高度な構成は難しいと感じています。そこで、尸魂界篇の後、破面篇の後、あるいは物語完結後の番外編として書く案を考えているのですが、読者の皆様としてはどのタイミングが最適だと思われますか? ぜひご意見をお聞かせいただけると幸いです。

  • 尸魂界篇後
  • 破面篇後
  • 本編終了後
  • 斬魄刀異聞篇を書かない
  • 他に何かご意見があれば活動報告の方へ
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