ジェネリック藍染が生き足掻く話   作:榛眞

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沢山の投票ありがとうございます!
投票の結果、どちらも書くことにしました。
ただ、テンポ良く進みたいので原作キャラの戦闘シーンは短めに書くことにします。約2000文字が短いに当たるのかは置いといて……




叶わぬ高望みを意味する言葉に「犬が星を見る」というものがある事を知っているね?

 

side 阿散井恋次

 

『なんでそこまでして、アイツのことを助けようとするんスか?』

『それは──……

 

 

 

 

 

 

 一閃、二閃、三閃。

 

 幾度となく、刃と刃を交錯させる。

 摩擦で生じた火花が、目の前を埋め尽くすように散り、震えるような衝撃が、骨の髄まで染み渡る。

 

 死闘の中、ヤツの死覇装は血で染まり、見るも無残なボロ切れと化していた。上下する胸から漏れる荒い息が、汗と血とが混じり合った流れとなって、その険しい顔を伝い滴り落ちている。

 

 傷だらけの体、深々と切り裂かれた腕。

 誰が見ても満身創痍なそのナリで尚も、相対する瞳はギラギラと勝利への執着を燃やしていた。

 

(畜生、何でてめぇは、まだそんな目が出来んだよ……!)

 

 苛立ちと嫉妬が、胸の奥底で渦を巻く。

 

「ッオラァ!!」

「ッ……!」

 

 怒りを込めた雄叫びを上げ、蛇尾丸を激しく振り回した。周囲の瓦礫が、俺の意志に従うかのように、勢いよく巻き上げられ、襲いかかる。

 

「ウオオオオオッ!!」

「なっ……!」

 

 予想外の行動に、俺は思わず目を見開いた。

 ヤツは瓦礫を避けるどころか、それを足場として利用し、空へと駆け上がって行ったのだ。

 

「──フッ!」

「チィッ!」

 

 舌打ちを漏らす。上空に達した相手は、一瞬の間を置いて、鋭い眼光を俺に向けた後、刀を振るった。次の瞬間、青白い線を引きながら空気を切り裂き、無数の斬撃が、地上にいる俺へと襲いかかる。

 

 

「ウラァッ!!」

「ッ!」

 

 斬撃の雨をかわして、捌きながら、俺は千載一遇のチャンスを掴む。

 瞬間的な判断で、ヤツの斬魄刀に蛇尾丸を絡ませた。金属が擦り合う音が、緊迫した空気を切り裂く。

 

「これで終わりだァァァァ!!」

 

 俺は柄を力強く引き、そのまま相手を地へと叩きつけようとした。勝利の確信が、心を満たす。だが、その刹那──

 

「破道の一 衝!!」

 

 詠唱された鬼道が、轟音と共に響き渡り、眩い爆撃が蛇尾丸の接合部を破壊する。

 散らばる銀線が、赤い夕焼けの色を反射し宙を舞う様を見て、俺は絶句した。

 

 破道の一? 

 いや、あれは、鬼道なんてもんじゃねえ。それは、鬼道の体を成していない、鬼道と言うには烏滸がましい。というより、もはや制御を失った霊圧の暴走だった。

 

「ハァァァッ!!」

「!」

 

 腕に巻き付いていた蛇尾丸の残骸を振り払い、引き摺り落とされた勢いのまま、俺へと刀を振り下ろしてくる。

 

(避けるか…ッ?! ──いや、間に合わないッ!)

 

 そう直感した俺は、蛇尾丸の残骸にありったけの霊圧を込め、上空から振り落とされる刃を受けとめようと構え──

 

 

「月牙天衝ォォォォォ!!」

 

 

 次の瞬間、青白い斬撃の前に蛇尾丸は砕け散り、鮮血と共に宙を舞った。

 

 

 

 

 

 

 鈍い音を立てながら、足元に血溜まりが広がっていく。額から流れる汗が、滴る血が、混ざり合って口の中に入り込む。

 汗と血が目に入り視界がぼやける中、俺の脳裏には、過去の記憶が蘇っていた。

 

 

 野良犬のように這いずり回った流魂街での日々。

 アイツに初めて出会った時の空。

 無力と絶望を味わったあの日の実習。

 俺の答えに顔を伏せ、俯いていた朽木。

 総隊長の前で頭を下げ続ける、あの人達の背中。

 隊長の机上に置かれた、減刑嘆願書。

 そして、最後に見たルキアの横顔──

 

 

「──はっ、畜生……」

 

 口内に広がる塩辛くて鉄臭い味に咳き混みながら、俺は震える片足を前に踏み出す。

 額から、胸から、止めどなく血が溢れる。その一滴一滴が地面に落ちる音でさえ、今は酷く耳障りに聞こえた。

 

「星に向かって吠えるばっかで 飛び付く度胸もありゃしねえ……」

 

 血溜まりに足を取られながら、それでもふらつく四肢を必死に動かし続ける。背後に延びる血の轍は、逃げ場のない現実を突きつけられているような。

 

(分かってんだよ。俺はビビってた。俺は本当は怖かったんだ)  

 

 骨の髄まで染みついた野良犬根性が、今になって、俺の咽を焼き尽くそうと、燃えている。

 

(それでも……)

 

 ヤツの、黒崎の胸ぐらへと伸ばした手を見て、自嘲する。今更、俺がルキアに何をしてやれるんだ? 

 

(それでも、俺は──……!)

 

 

『大切な人を失ってから、後悔したくはないだろう?』

 

 

「黒崎、恥を承知で頼む……! 俺も──

 

 

 

 

 

 

 

 

・・

・・・

・・・・

・・・・・

 

 

 

 

 

 ──十三番隊舎にて。

 

 

 ギンのせいでとんでもない目に遭ったんですけど!?

 

 藍染隊長の騒動中、怒り狂った雛森副隊長は、衝動のままに始解を解放して、俺たちに向かい火球をぶちこんできた。

 一直線に放たれた火球は、咄嗟に断空を発動して何とか凌いだけどさ、ギンのこともついでに庇っちゃったもんだから、余計に俺とギンが共謀してる感出ちゃったよね。

 

 仕方ないだろ!! 目の前に火球が迫ってきてボケッと突っ立ってるわけにもいかねぇし、咄嗟だったんだよ咄嗟!! 

 

 まあ、その後は原作通りに吉良副隊長が雛森副隊長とバトって、二人とも牢にぶちこまれたんだけどさ。何故かあの一件以来、俺は他の隊長格からも、疑惑の目を向けられるようになりまして……特に日番谷隊長からの視線が痛い。

 何でよ、俺被害者じゃん!!

 

 ……しかし、なぜあの時に限ってギンは妙に距離を詰めてきたんだろう? あいつは普段、意味もなくそういうことをしてくるタイプじゃないのに。

 

【彼こそ、そういうことをしてくるタチじゃ……?】

 

 うーん、俺もアイツの事を完全に理解しているわけじゃないけどさ、からかうことはあっても、命に関わることを何の意味もなくしてくるとは思えないんだよね。

 それに、あの行動に違和感があるんだ。ギンは、他人の前であれほど俺に近寄ってくることはなかったし。確かに、廊下で話したりすることはあったけど、ここまで露骨な「友達」アピールは今までされたことは無いんだよ。

 

 つまり、あのタイミングでわざとらしくすり寄ってきたのは、「俺とギンは仲間ですよ」って、そう他者に見せかける必要があったからだろ?

 

【──まさか】

 

 ……うん、多分ヨン様の指示だと思う。

 不確定要素(だと多分認識されている)である俺を抑えるための計略の一つなんじゃないかなこれ。……嫌がらせと一緒に牽制までしてくるとは、流石ヨン様。

 

【……嫌がらせというより、仕返しが八割なんじゃないかな】

 

 仕返し? あっ、あの書類仕事の押し付け? アハハ、そんなまさか……やっぱり相即不離もそう思う?

 でもさぁ、ちょっと事務仕事を押し付けただけじゃんね。伝票処理とか、データ入力とか、経費精算とか頼んだだけだし。

 

 なんでこんなちょっと(?)の嫌がらせで、ガチの嫌がらせが帰ってくるの?

 

【君の自業自得かな】

 

 ええ~??

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 藍染惣右介(偽)の死体が壁から下ろされ、卯ノ花隊長の慎重な検視が行われている最中、瀞霊廷内は旅禍の襲撃により混沌の渦に巻き込まれていた。

 

 かくいう俺も、いよいよ現場へと駆り出されてます。書類仕事は終えたので悠々と見回りが出来ますね。いやー、俺天才、最高!

 ……なんて喜んでる場合じゃない。

 原作通りなら今日、更木隊長と一護が戦う事になるのだ。

 

 阿散井副隊長が行方不明というイレギュラーが発生しているこの状況下で、原作通りに話が進む保証は無い。最悪の場合、本当に嫌だがめちゃくちゃ嫌だが、二人の戦いに介入しなければならないだろう。マジで嫌。

 

 

 と、言うわけで。

 部下に指示を出しつつ、戦力の分散を装って一人、見回りに出ることに。

 瀞霊廷の石畳を踏みしめながら、懺罪宮付近へと向かう最中──突如、目の前に小柄な人影が現れた。

 

 ──日番谷隊長? 何故ここに……

 

 思わず漏れたその呟き。十番隊の管轄ではないはずのこの場所に、何故彼がいるのか。頭上に疑問符を浮かべる俺に対し、彼は毅然とした態度で答えた。

 

「少し、聞きたい事があってな」

 

 聞きたいこと? 何だろう。

 再度頭に疑問符を浮かべる俺。しかし、気のせいかな。妙に嫌な予感がするような……

 

「まどろっこしい御託は無しだ、ハッキリ言え。……テメェら一体、何を企んでやがる?」

 は?

 

 背筋に走る寒気に身震いしていた最中、剣呑な口調で投げかけられたその言葉に、俺は思わず素っ頓狂な声を漏らす。

 企む? 誰が? 何を……? 俺の困惑した表情を見て、日番谷隊長は苛立ったように声を荒らげた。

 

「惚けんなよ、市丸とグルなんだろ?」

 …………

 

 俺と、ギンが、グル?

 アイツと、俺が、グル!?

 

 いや、それは勘違いッ……でもないな?

 いやっいやいやいや! 隊長が思うような悪事は働いてないからね? 俺、そこまで怪しまれるような事してました!?

 

【君、傍目から見るとかなり怪しいよ】

 

 え、そんな……

 

 相即不離の言葉に泣きそうになりながらも、必死に思考を巡らせる。すぐにでも誤解を解きたいが、今の状態の日番谷隊長には何を言っても、焼け石に水な気が……

 緊張感漂う空気の中、取り敢えず何か弁明しようと、口を開いたその瞬間──

 

 

 ──ピィン

 

 ……ッ!

【この霊圧は……!】

 

 遠くから感じる、肌を刺すような霊圧。間違いない、これは更木隊長と一護のものだ。……この最悪なタイミングで更木隊長VS一護が始まってんの!?

 

「オイ、何とか言ったらどうなんだ?」

 

 ちょちょちょ、後でじっくり話しませんか!?

 

「ア?」

 

 ほら、さっきからすごい霊圧を感じるでしょう!? あっちの方向は、俺の管轄ですから、確認しに行かないと!!

 

「霊圧だァ? ……誤魔化すんじゃねぇよ」

 

 いやごまかしじゃなくて……アアーッ待って、ヤバイヤバイヤバイ、更木隊長のボルテージが上がっていってる! ホントにヤバイ……ッマジでこんな詰問を受けてる場合じゃないんだよ!! ほら今こうしてる間にも、一護の霊圧がゆらいででででで

 

 Hey 相即不離!!

 この状況を切り抜けるには!?

 

【……彼の首裏に、手刀】

 

 駄目だこのAI壊れてる!!

 

 

 

「──ああ、可城丸クン、こないなとこに居ったんか」

 

 突如、馴れ馴れしい声が、冷や汗でびっしょりと濡れている俺の背後から響いた。

 

「──!」

 ギン!? どうしてここに……!

 

 影から滑り出てきたかのように、ヌルリと登場したのはギン。彼は俺の驚愕の表情を見て、その狐のような笑みを更に深める。

 

「十三番隊の隊士の代わりに呼びにきたんよ。見回りにちょっと不手際があったらしいわぁ、様子見に行ってやり」

 

 一護と更木隊長の霊圧を感じる方向を指差しながら、わざとらしい声でのんびりと説明するギン。

 

 絶対嘘やんけ……

 けど助かったわ、サンガツ。……まあ、元はと言えば、この状況はお前のせいで起こったことなんだけど、いやそんなことはどうでも良くて!

 

 市丸隊長、伝言ありがとうございます! てなわけで、俺、先を急ぎますね!

「なっ」

「ええよ~」

 

 一言行って脱兎のごとく駆け出す。引き留めるように声をかけられた気がするが、そんなのは無視だ、無視! とにかく今は一護の元に急がなければ……!!

 

 

ウオオオオッ!! 死ぬな一護ォォォォ!!

 

 

 

 

 






黒崎一護→可城丸さんのアドバイスで刃禅ってのをしてみたら、斬月のオッサンにカッコいい技を教えてもらったぜ。白いのには応用技を教えてもらったぞ!

阿散井恋次→「大切な人」……畜生、俺だって!!

日番谷冬獅郎→雛森から市丸を庇ったのか? しかも、藍染の死後、単独行動をしているだと? 怪しいな……


結論→原作乖離は主人公の自業自得

斬魄刀異聞篇を書くにあたり、アンケートというより質問があります。本エピソードは破面篇の途中で挟まれたアニメオリジナルですが、私の執筆技量ではそのような高度な構成は難しいと感じています。そこで、尸魂界篇の後、破面篇の後、あるいは物語完結後の番外編として書く案を考えているのですが、読者の皆様としてはどのタイミングが最適だと思われますか? ぜひご意見をお聞かせいただけると幸いです。

  • 尸魂界篇後
  • 破面篇後
  • 本編終了後
  • 斬魄刀異聞篇を書かない
  • 他に何かご意見があれば活動報告の方へ
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