ジェネリック藍染が生き足掻く話   作:榛眞

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今回も斬魄刀の説明が殆どで、オマケに文字数も多くなってしまって──済まぬ。




調子に乗ったらすぐ死ぬ世界だということを知っているね?

 

 平子隊長達、現世に行ったよ。

 俺に出来ることは何もありませんでした。大変申し訳なく思っております。

 

 しかし、シンプルに喪失感がすごいな。

 彼等が居なくなってから、護廷十三隊内の空気が暗く静かになった気がする。個人的に、後に仮面の軍勢を名乗る彼等の喧騒を見るのが好きだったから、余計にね。

 

 隊長格がごっそり抜けた穴も大きいから、どこも人手が足りなくて、てんやわんやしてる。俺も漏れなく忙しくて、正直泣きそう。書類仕事に忙殺……

 

 そんな混沌としている現場で、誰よりも活躍しているのが、諸悪の権化であるヨン様だ。自身の隊である五番隊を率いながら、人手が足りない隊にまで手を差し伸べたりして、現在の護廷隊内で采配を振っている。

 

 「藍染副隊長も、信頼していた平子隊長を喪ってお辛いだろうに、その悲しみを隠して、護廷十三隊に貢献するなんて……本当に立派な方だ!」「五番隊の次の隊長はあの人だな」とか、周囲の人達は騒ぎ立てていた。

 

 ヨン様お得意の印象操作(鏡花水月)に掛かってるじゃんね。真実を知ってる俺はストレスでずっと胃がキリキリしてます。

 

 あまりにも胃が痛むもんだから、四番隊に連日訪問しては胃薬を貰ってるよ、もちろんダースで。

 

 

 海燕もあちらこちらに引っ張りだこで、修行の時間が取れなくなってしまった。最近はほとんど一人修行がメインだ。

 

 ……けれど、タイミングはむしろ良かったかもしれない。始解の修行は一人でやりたかったからさ。

 俺が始解を会得していることは誰にもバレたくないんだよ。特に海燕なんかには。

 

 「なんでバレたくないのか」って? 始解会得がバレたら席官にされちゃうからだよ。

 「自意識過剰丸乙」? 素人は黙っとれ……! 俺の海燕行動予想には外れがないんだよ。アイツと何年の付き合いだと思ってんだ! ……まあ、一応、この予測にも根拠がちゃんとあるんだよ。

 

 アイツ、俺を十三番隊に配属させる為に、裏で根回ししてたんだってさ。

 

 それ聞いた時、思わず海燕の頭をひっぱたいたわ。なに遺憾なく五大貴族の権力振るってんだよ。お前そんなヤツだったっけ? 

 

 

 ……とにかく、人員が足りない中、実力を隠してる俺はカス野郎かも知れないが、でもこの選択には俺の命が懸かっているので許してほしい。

 その分、一般隊士として隊長、副隊長、席官の皆様を精一杯支えていきますので、許してください♡

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

(さあって試すぞ始解~!)

【あまり無理はしないようにね】

 

(死なない程度に頑張ります! 協力お願いしますね、相即不離さん)

【ハア、仕方ないな……】

 

 

 相即不離と話しながら、海燕と修行しているいつもの場所へ移動する。

 ……今更だけど、自分の斬魄刀とフラットに話せることに、まだ若干戸惑うな。特殊な状況下でしか対話できないと思ってたんだけど……わりと他の人も自分の斬魄刀とお喋りするらしいし、特段お菓子なことではないんだろうね。

 

 おっ見えた見えた。

 目的地である鯉伏山*1に到着~! 

 背負っていた荷物を木陰に下ろし、適当な場所に立ってひと伸びする。日差しがあちぃ~……今日めっちゃ天気良いな。

 

 汗を拭う俺の隣に立つ相即不離は、空を見上げて目を細めていた。……相即不離と俺って同じ姿をしてるんだよね。こう見ると俺って中々のイケメンじゃない?

 

 ……「なんで相即不離が具現化してるのか」って? 

 実体はないよ、幻覚みたいな感じ。チャンイチが更木剣八と戦っている時に出てきた、斬月のオッサンみたいな状態なんじゃない? 深く考えたら負けだと思ってる。

 

 さて、どうでも良い話は置いといて、修行の準備をしますか。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

【僕の能力についてはもう解っているね?】

 

 

 軽いウォーミングアップをしていると、相即不離がそう語り掛けてきた。片眉を上げて挑発的な顔をしている。

 お復習(おさらい)か~。オッケー! もちろん言えるよ! 

 皆は読み飛ばして良いよ~前回のコピペだし。あっ、ちょっとだけ付け足してるから読んだ方が良いかも。

 

 

 相即不離で触れたものを千切る能力。霊子で構成されたものなら、千切ったものを霊圧に変換し斬撃として放つことができる。

 応用として、『絆』や『愛着』『依存』といった目に見えない結びつきを千切ることもできるが、この場合、霊圧には変換できない。

 縁や情、能力等を千切るには、その情を向けている本人や、能力をかけている本人に刀身を当てなければならず、その人が対象に向ける感情の種類や、能力、物と物、誰と誰がどう繋がっているのかも認識しとかなければならない。

 千切るためには大量の霊圧が必要で、モノによっては千切る事が出来ない。 ──違いますか。

 

【いや、合っているよ……よく覚えていたね!】

 

 さらりと答えた俺に対して、意外そうに目を丸くしながら褒める相即不離。エヘヘ〜照れますなぁ! ……いや、もしかしてこれ、舐められてる? 

 確かに、寮の鍵を失くしたり、氷って漢字のどっちに点が付くのかド忘れしたりはするけどさ、流石に自分の斬魄刀の能力くらいは覚えてるし、忘れませんけど!? 

 

【うん、そうだね。それじゃあ、僕についてもっと詳しく説明しようか】

 

 憤慨する俺を華麗に無視して、相即不離は話を続けていく。聞けや!

 

 

【『千切る』という言葉には、手で小さく切り離したり、バラバラにするという意味だけでなく、『もぎ取る』『むしり取る』といった、何かを奪い取るニュアンスも含まれている】

 

【僕を用いて、目に見えるものを千切るとき『もぎ取る』『むしり取る』といった、奪い取る側面が強くなる】

【逆に、目に見えないものを千切るときは、『切り離す』という、何かを分かつ側面が強くなるんだ】

 

 

 切り株に腰を下ろした俺に、相即不離が丁寧に解説する。国語の授業みたいだな……霊術院を思い出すわ。

 そうして、相即不離の言葉にうんうんと頷いていた俺は、一つの疑問と希望が思い浮かんだ。

 

 

「ねぇ、一つ聞きたいんだけどさ、目に見えないものには縁も含まれるんだよね? だったら、俺が死ぬ未来を相即不離の力で千切ることは出来ないの?」

 

【うーん、理論上、不可能ではないけれど】マジ!? なら俺達、勝ったも同然じゃんか! 第三部 完! 【人の話は最後まで聞きなさい。……そんなに単純な話ではないんだよ】

 

 

 グイグイと迫る俺を押し返しながら、相即不離は呆れたように窘めた。す、すみません……

 彼はひとつ溜め息を溢した後、顎に手を当て、悩ましげな表情で語り始める。

 

 

【僕達に繋がる死の運命、君なら『死亡フラグ』と言うのかな。それを千切るには、君の霊圧が足りない。……たとえ霊圧が足りたとしても、完全に千切るのは不可能だと思う】

 

【袖振り合うも多生の縁という言葉は知っているね? その言葉通り、様々な宿縁が絡み合ってこの世界は存在している。僕達の関係もそうだ】

 

【些細な縁も、時間が経てば、その繋がりをより強く、固く、注連縄のように絡み合わせて紡いでいく。そのような強固な縁は、たとえ僕が千切ったとしても、解れた糸を継ぎ足すようにいつかは修復されてしまうだろう】

 

【僕を用いて『死亡フラグ』を千切れたとしても、その縁は完全に絶たれることは無く、再度、僕達に結び直される。僕達の死は原典に定められた運命で、簡単に千切れるような柔いものじゃないからね】

 

【『死亡フラグ』を完全に絶つ為には、繋がっている僕達本人が生きる未来を切り開くしかないんだ】

 

 

 物憂げにそう言い締めた相即不離。

 

 はえ~儘ならないものですねぇ~……

 いや他人事みたいに言ったけど、俺の事なんだよな。でもスケールでか過ぎて受け止めきれないわ。

 

 ……えーと、つまるところ、楽な道を選ばずに己の力で足掻けってことでしょ? カーッ霊王様冷たすぎんか? 加護くれ加護。

 

 

「まっ、嘆いてたって仕方ないわな。そう言うことなら死なないようにさっさと修行しようぜ」

【……! そうだね】

「おーし、ならさっそく始解しますか」

 

 

「──千切れ 相即不離

 

 

 刀を抜き、解号を唱える。

 瞬間、刀身が無数の糸のように解れ、絡み合いながらスルスルと伸びていき一振の太刀へと変化した。

 鍔には榊(神棚とかに供えるヤツ)を模したものが彫られており、鞘には注連縄(しめなわ)紙垂(しで)(鳥居とかに付いてるヤツ)が掛かっている。バカ丸出しの感想だけど、めちゃくちゃ神社って感じだ。

 というか、日本刀のままで良かったよ。これで槍とかになったら、どう扱えば良いか分からないし、今までに習った剣術も無駄になるからね。

 

 じゃあ試しに、そこの岩を適当に千切ってみよう。それイクゾー! 

 

 

 

「ふっ!」

 

( )

↑何も残さず消えた岩

 

 

「ヒエッ……」【うわ……】

 

 

 

 刀身を岩に当て、斬魄刀に霊圧を込めると一瞬で岩が消えた。何も残さずに、跡形もなく消えた。

 思わず怯えた声を漏らし、後ずさる俺達。……いや、なんで斬魄刀本人(?)が驚いてるんだよ。

 相即不離の性能に戦々恐々としながらも、気を取り直して、再度刀を構える。

 

 

「えっと、次は斬撃を放ってみようか。……千切ったモノを霊圧に変換して斬撃にするんだよね。このまま刀を振るえば良いの?」 

【ああ、霊圧への変換自体は僕がしているからね。そのまま振るってしまえば良いよ】

「オッケー」

 

 

「ハァッ!」スパァーッ

 

 

「ワッ!」【おお……】

 

 

 相即不離に言われた通り、そのまま刀を振り下ろす。すると、青白い光を纏った一つの斬撃が、前方へと真っ直ぐに翔んだ。そして、斬撃が着弾した地面には、大きなスコップで二、三回掘ったような跡が付く。

 

 ……しょっぱい月牙天衝かな? 

 

【ハハハ……まあ、千切りとったモノによって、斬撃の強さも変わるから】

 

 慰めの言葉を掛けてくる相即不離に、俺は肩を下ろす。んなこと言ったって、俺の少ない霊圧じゃ、そう大層なものは千切れないだろうし……

 なんだかちょっぴり悲しくなった俺は、別の事に意識を向けようと、色々と試行錯誤する。そうして、刀を振るっていた矢先、俺の脳内に一つの可能性が思い浮かんだ。

 

 相即不離は刀身さえ触れていれば見えないものも千切ることが出来るんだよな。……なら、今いる空間の一部を千切ることも出来るのか? 

 ……俺、次元を斬るシチュエーションが好きなんだよね。桑原和真*2とか好きだし。……男ならロマンを追うよなぁ!?

 

【ちょっ、君の霊圧でそんなことをしたらッ──!】

 

 テンションの上がった俺は、空間に穴を空けるイメージで、真正面に刀を突き出し霊圧を込めていく。相即不離は俺がしようとしている事に気がついたのか、慌てた様子で咎めてきた。ワリィ、憧れは止められねぇんだ。

 

 バギッバギィ……ッ

 

 相即不離の制止の言葉を搔き消すように、歪な音を立てながら、徐々に空間に穴が空いていく。そうして宙に出来たのは、黒点のような丸く深い穴だった。

 ……やっべぇ、本当に千切れるのか。すご。……そういえば、特に座標指定とかしていないけれど、これどこ に

 つな がっ   て

                   る、

 

 あれ、

 

       んか

 

               視界が、

 

 

 

          暗く……

 

 

 

 

 

*1
西流魂街 三地区北端 朽木ルキアが志波海燕に初めて修行をつけて貰った場所。 アーロニーロ戦は胸熱だったと皆も思っているね?

*2
『幽遊白書』の登場人物。現実と異次元の境界線を切り裂く次元刀という武器を使う。幼少期の頃はダサく見えたキャラも、大人になった今では魅力的に感じる。こういった体験を読者の皆もしたことがあるね?






お願い、死なないで可城丸!
あんたが今ここで倒れたら、海燕や可城丸()の未来はどうなっちゃうの?
霊圧はまだ残ってる。ここを耐えれば、何とかなるから!


次回「可城丸死す」デュエルスタンバイ! ※嘘です


斬魄刀異聞篇を書くにあたり、アンケートというより質問があります。本エピソードは破面篇の途中で挟まれたアニメオリジナルですが、私の執筆技量ではそのような高度な構成は難しいと感じています。そこで、尸魂界篇の後、破面篇の後、あるいは物語完結後の番外編として書く案を考えているのですが、読者の皆様としてはどのタイミングが最適だと思われますか? ぜひご意見をお聞かせいただけると幸いです。

  • 尸魂界篇後
  • 破面篇後
  • 本編終了後
  • 斬魄刀異聞篇を書かない
  • 他に何かご意見があれば活動報告の方へ
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