ジェネリック藍染が生き足掻く話   作:榛眞

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全部、自業自得じゃないか……!

追記
日間4位
作者「……4………だと…!?」
ありがとうございます。今はただ 読者様に感謝を──




軽率な行いが後に大きな問題を引き起こす事を知っているね?

 

 

 

 ──知らない天井だ。

 

 

 

 目が覚めたら四番隊の総合救護詰所(そうごうきゅうごつめしょ)にいた。

 

 どうやら俺は、相即不離を使用した後、霊圧の枯渇でそのまま修行場所でぶっ倒れたらしい。いつまで経っても隊舎に戻ってこない俺を訝しんだ海燕が、瀕死の俺を探し出して、四番隊まで担ぎ込んでくれたそうだ。

 

 海燕に見付けて貰わなければ、そのまま死ぬところだった。

 海燕、マジでありがとう。何か欲しいものとかある? え? 奢れ? ……あそこ隊長御用達の料亭じゃねぇか、副隊長が一般隊士にたかんなよ! まあ、連れていくけどさぁ……

 

 まあ、そんなこんなで生死の境を彷徨った俺だが、周囲の人たちには物凄く叱られた。

 海燕には怒髪天を衝くように怒られ、浮竹隊長には諭され、卯ノ花隊長には微笑みながら詰められ、相即不離にはこんこんと説教をされた。めちゃくちゃ怖かったよ。

 え、「どんな感じだった?」……こんな感じ↓

 

 

「オメーはもう、一人で修行すんな! ……は? 困る? ふざけんなよ! 揺すっても叩いてもピクリともしねぇオマエを見て、俺がどんだけ焦ったと思ってんだ!?」

 

「海燕から聞いてはいたが、随分と無茶をする子なんだな君は。……身体は大事にしなければいけないぞ」

 

「霊圧が枯渇する程、何を行っていたのですか? 貴方の魂魄の強度は、常人に比べ、確かに高いですが、霊圧の総量自体は平均的なのですよ?」(意訳 自分の力量くらい把握しとけボケ)

 

【僕を扱うには多大な霊圧を消費すると教えたよね?】

 

 

 ──済まぬ。

 

 

 ん? 「魂魄強度って何?」って……アレ、言ってなかったっけ。

 えっとね、卯ノ花隊長が言った魂魄強度うんぬんかんぬんの話は、平子隊長達が現世に行く数ヵ月前まで遡るんだけど……

 

 修行中、海燕の全力の攻撃を受け流しきれなくて、わりとハデな怪我をしたんだよね俺。アイツ、マジで容赦ないの。打ち合いに付いていくので精一杯な俺に、始解して捩花かましてきたんだよ。マジ酷くね?

 

 ……で、結局四番隊のお世話になってさ、わざわざ卯ノ花隊長に手当てして貰っちゃったんだよ。

 ド級の美人、ド美人の卯ノ花隊長が頭に包帯巻いてくれてさ~、嬉しくなっちゃった。

 俺も男だからさ、女性に優しくされると、こう……ね? この気持ち、分かってくれるよね? 

 

 その時に、卯ノ花隊長に言われたんだよ。俺の魂魄強度が異様に高いって。意味が分からず首を傾げた俺に、卯ノ花隊長は丁寧に説明をしてくれた。

 

 大抵の人は、自身のキャパシティを越える霊圧を一気に流されると、身体(魂魄)が木っ端微塵になるらしいんだけど、俺の場合は、魂魄の強度が尋常じゃないから、多少の霊圧じゃビクともしないんだって。

 

 聞いた直後は「転生チートってこと!? 」って喜んだけど、良く考えたら「……ふーん、で?」って感じだよな。

 

 だってさ、霊圧を水、魂魄を水道管に例えるなら、水道管はすごく頑丈なくせに、蛇口を捻っても出てくる水はチョロ……っとだけってことだぜ? しょっぱくない? 宝の持ち腐れじゃん。だったら霊圧が無尽蔵とかの方が良いよ……

 

 まあ、そんなわけで、微妙に特異体質な俺のことを、卯ノ花隊長は気に掛けてくれてるらしい。四番隊に行くと、ちょいちょい話しかけられるようになった。いやーありがたいね! ……一般隊士の俺に何故、隊長が話しかけているんだ? みたいな目で周りに見られるのはキツいけど。散れ! 見せモンじゃねぇぞ!

 

 

 

 

✳✳✳

 

 

 

 

 

 藍染惣右介が五番隊の隊長になりました。うわ~原作が近付いてきてる……

 

 藍染隊長の斬魄刀は味方までも巻き添えを喰らう危険性があるから、副隊長を中心に説明会を開いているらしい。海燕も見たってさ。ああ、着々とヨン様の根回しが……

 

 で、ついに浮竹隊長から「君達も始解を見せて貰いなさい」と言われまして、そうして選ばれたのが、俺含む数十人の隊士たちですね。

 はは、善意によって殺されそう。

 

 

 というわけで来たぜ、ヨン様の鏡花水月を見によお!

 へぇここが五番隊か。死地に来たみたいだぜ テンション下がるな~……

 

 五番隊の席官に案内されて、広い部屋へと通される。その部屋の中心には穏やかな笑みを浮かべたヨン様が立っていた。

 ……遠目で姿は見ていたけど、近くで見ると、やっぱり顔が良いな……てかタッパがデカイ。本来なら圧を感じる身長体格だが、穏和な顔と雰囲気が影響して、その威圧感も和らいでる。でもこれって嘘の姿なんでしょ? コワ〜………

 

 

「僕の斬魄刀は霧と水流の乱反射で敵を撹乱して、同士討ちうんぬんかんぬん……」

「ひとつ間違えれば、味方までを巻き込みかねない危険な能力うんぬんかんぬん……」

 

 

 信じられるか? 今言ってること全部嘘なんだぜ? こんなに丁寧に説明してくれてるのに、これ全部嘘なんだぜ? どんだけ面の皮厚いん「実際に見せた方が早いね」あっ、来たッ! 

 

 

「砕けろ 鏡花水月」ああ~^完全催眠の音~^

 

 

 砕けた鏡のような破片が、窓から射し込む光を反射しキラキラと輝いている。嗚呼我完全催眠完了……

 

 

【……鏡花水月の能力を千切るかい? 僕なら出来るよ】

 

 

 え、鏡花水月無効化……? 相即不離ってそんなこと出来るの!? すごいチートじゃん!

 突然の意外な事実に驚愕する俺へ、相即不離は【君と鏡花水月の間にある催眠という縁を千切ればね。霊圧はかなり消費するし、藍染惣右介に刀身を当てる必要があるけれど】と言葉を続ける。……ヨン様に刀身を当てるのがまず無理では?

 ……うーん、鏡花水月の解除か。確かに、しといた方が良いのかもしれない。けど──

 

 

(止めとくよ)

【何故?】

(僕が完全催眠に掛かっていないと気づかれたら、ヨン様に殺されるかもしれないからね。なら掛かっていた方がマシだと思う)

【……成る程】

 

 

 鏡花水月に掛かった振りとか、ヨン様には直ぐバレそうだし。隊長がハゲにすり変わっていたら吹き出す自信もあるからね。このままで良いや。

 ……というか、能力無効化って凄くない? 相即不離、俺には勿体なさ過ぎる斬魄刀だよ。

 ずっと一緒にいてね♡

 

 

 

 

 

 

 

 

・・

・・・

・・・・

・・・・・

 

 

 

 

 

 ──話は、調子に乗ったアホが空間を千切ったところまで遡る。

 

 

 本作の主人公である、可城丸秀朝(成り代わりの姿)。

 彼は自身の斬魄刀─相即不離の能力を行使し、空間を千切った。その後、情けなくもその場でぶっ倒れた訳だが、彼が開いた空間の穴は、とんでもない場所へと繋がっていた。

 

 

 結論から言おう。霊王宮(れいおうきゅう)である。

 もう一度言おう。尸魂界の王『霊王』が住む城。零番隊が守護している、あの霊王宮である。

 

 しかも、よりにもよって

 尸魂界王属特務・零番隊 兵主部一兵衛の目の前に繋がった。

 

 

 零番離殿の自室にて、のんびりと餅を焼き平和な時間を過ごしていた兵主部一兵衛。その目の前に、突如としてポカリと穴が空いたのだ。

 

 数千年、数万年? ……いや、数百万年? 

 とにかく、もの長き時を生き、大抵の事には眉一つ動かさなくなっていた和尚でさえ、さすがにこの異常な光景には驚愕した。口に運んでいた焼きたての餅を喉に詰まらせそうになり、慌てて飲み込んだほどだ。

 

 然りとて流石は霊王の守護者である。一瞬の動揺を見せたものの、早々に平静を取り戻した彼は、この異常事態の原因を突き止めようと、開いた穴を慎重に覗き込む。

 

 ──そうして、その黒黒とした眼に映ったものは、地に伏せ気絶している可城丸秀朝の姿だった。

 

 尸魂界のあらゆる物や、事象に名前を付けた兵主部一兵衛は、その縁を辿り、三界の全ての物事を把握する事ができる。

 つまり、どういう経緯を経てこうなったのかを、和尚は早々に理解したのだ。

 

 和尚は驚愕した。というより引いた。「こいつマジか」と思った。そりゃ(こんなアホのせいで霊王宮への道が開かれたら)そう(驚く)よ。

 

 目を細めたまま、首をポキリと鳴らした兵主部一兵衛は、躊躇うこと無くその穴を潜り抜けた。そうして、伏せた可城丸秀朝へと距離を詰め、その傍らにしゃがみ込む。

 アホの霊圧は酷く枯渇しており、早く対処しなければその命は喪われてしまうだろう。

 

 

「ふむ……」

 

 

 兵主部一兵衛(真名呼和尚)は見る。

 

 可城丸秀朝の姿を見る。

 ピクリとも動かぬ体躯、ピタリと閉じられた眼、半開きの口から漏れる不規則で微かな呼吸音。酷く歪んで混ざり合った、その異質な魂魄を見透す(みる)

 

 

 兵主部一兵衛(零番隊)は考える。

 

 可城丸秀朝の斬魄刀について考える。

 千切られた次元。穴を通して繋がった空間。世界の均衡に触れる能力であり、一介の死神が持つにしては、あまりにも過ぎた力。その斬魄刀について勘える(かんがえる)

 

 

「……」

 

 そうして。思慮を纏めた兵主部一兵衛は、可城丸の傍に落ちる斬魄刀─相即不離にゆっくりと手を伸ばした。その指先が、刀身に触れようとした瞬間、

 

 突如として、その動きを静止させる。

 

 

「……霊王様の意思、か」

 

 

 ──霊王。

 兵主部一兵衛が生涯をかけて護る存在。

 この世界の意思そのものが、今この瞬間に和尚へと干渉し、彼を咎めたのだ。

 

 和尚は顎に手を当て、ゆっくりと擦る。

 

 幸いにも、戦犯である可城丸秀朝は、こんこんと気絶しており(なんならこのまま息絶えそうなほどだが)、目の前に広がる惨状を自身の目では見ていない。

 

 自身の持つ斬魄刀の能力が、まさか霊王宮にまで届き得る、劇薬のようなものだとは、彼自身も気づかないだろう。

 

 始解を隠したがっている彼の性格を考えれば、今後、此処彼処(ここかしこ)で能力を軽々しく行使することはない。

 そして、これほどまでに酷い霊圧の消費を伴うと知った後では、無闇矢鱈と能力を振るうこともないだろう。

 

 

 そう結論付けた兵主部一兵衛は、静かに立ち上がると、通ってきた空間の穴を潜り抜ける。そして、自身の斬魄刀を抜き放つと、千切れた空間を満遍なく塗り潰した(黒めた)のだった。

 

 

 

 

 






相即不離「し、死ぬところだった……!!」
ユーハバッハ・藍染惣右介「「──!?」」ガタッ

斬魄刀異聞篇を書くにあたり、アンケートというより質問があります。本エピソードは破面篇の途中で挟まれたアニメオリジナルですが、私の執筆技量ではそのような高度な構成は難しいと感じています。そこで、尸魂界篇の後、破面篇の後、あるいは物語完結後の番外編として書く案を考えているのですが、読者の皆様としてはどのタイミングが最適だと思われますか? ぜひご意見をお聞かせいただけると幸いです。

  • 尸魂界篇後
  • 破面篇後
  • 本編終了後
  • 斬魄刀異聞篇を書かない
  • 他に何かご意見があれば活動報告の方へ
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