ジェネリック藍染が生き足掻く話   作:榛眞

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君(読者)は ついてゆけるだろうか
展開のスピード(早さ)に

※後半ちょい残酷な描写が入ります。文字数も多いです。


日間1位
作者「……1……だと……?」
ありがとうございます…!! これが 感謝か




一難去ってはまた一難。人生はこれの繰り返しだという事は知っているね?

 

 海燕、都さんと結婚したよ。

 

 急に招待状を手渡しされてビビったわ。都さんと付き合ってたのは知ってたけどね。なんなら海燕を交えて一緒にご飯とか行ってたし。

 ただ、付き合い始めたのって最近じゃなかった? 結構なスピード婚だと思うんだけど……いやそうでもないか。三年は付き合ってたわ。ヤバイ、時間感覚が長命種族のそれになってる。このままじゃ二十歳の人間をみて「まだまだ赤子だね……」とか言っちゃいそう……

 

 いやそんな話はどうでも良くて。

 結婚式……今だと祝言…いや、華燭の典かな。まあ、それを終えた都さんは、晴れて志波都になった訳である。おめでとうございます~!

 

 人の容姿に口出すのは良くないんだろうけどさ、めちゃくちゃ美人なんだよ都さん。そんな人の白無垢姿を見れて眼福だったわ。海燕も紋付羽織袴なんか着ちゃってね。馬子にも衣装ってやつかな〜なんて言ったら顔面をグーで殴られた。容赦をしろ。

 

 旦那の事はちょっと茶化したけど、本当に綺麗だったよ二人共。桜が舞う中、微笑み合う夫婦の姿に涙が滲んだもんね。何様だよって自分に思ったけど。

 

 そんな後方親友面の俺が、恐れ多いことに友人代表スピーチを読むことになりまして。

 志波家の人達に、朽木家を代表して済まぬさんと、銀嶺さん。京楽隊長、浮竹隊長と……そんな方々の目の前で言うもんだから緊張して吐きそうだった。声震えてなかったかな……

 

 まあとにかく、新婚さんで幸せ絶頂にいる海燕は、鼻の下を伸ばして幸せオーラを周囲に振り撒いてるのだ。

 

 俺も彼女欲しいなァ〜でも死ぬかもしれないのに恋とかしてられない……相手にも悪いし。くそ~絶対生き残ってやる!! 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 今年の新人隊士の中に朽木ルキアが居たよ。

 

 いや月日が流れるのは早いねぇ~……原作もあっという間ってこと? 死にたくない!!!!

 

 おっといかんいかん、ビークールだ俺。

 ……今年の新人隊員も可愛らしいよ。俺の言うこと全てに、赤べこみたいに頷くの。首もげちゃうよ、そんな振ったら。

 初々しい隊士を見る度に、俺もこんな時代があったな~と感慨深くなる。俺の時は教育係がイモ山さんだったんだよね。やべぇだろ、あのイモ山さんだぜ? あのヨン様相手に生き抜いて、千年血戦篇でも生き残ったあのイモ山さんだ。俺が目指すべきお人だよね。

 

 で、新人隊士であるルキアの先輩兼教育係が俺になったんだけど、どうしてこうなった?

 

 新人教育って、席官の仕事なんじゃないんスか? って浮竹隊長に抗議したら「君なら大丈夫だ!」って力強く返されて終わった。何を見てヨシって言ったんですか……?

 

 海燕、何でこうなったか知ってる? えーと、なになに、五大貴族の関係者だから隊士が萎縮してルキアに近寄らない? お前と行動するように促した……? え、じゃあこの状況、お前の采配の結果……?

 

 またやりやがったな!?

 

 

 ……まあ、それはともかく、見回りも、書類仕事も、お茶出しも……お茶出しは付いてこなくて良いよ?

 と、こんな感じで、雛鳥のように俺について回るルキアと、志波夫婦を交えながら平和な日々を過ごしていたんですが。

 昨日唐突に朽木白哉さんが十三番隊に来ましてね。ええ、直々に御言葉を頂きましたよ。

 

 

(けい)が可城丸秀朝か。話は志波海燕から聞いている。……ルキアを頼む」

 

 

 いえいえ、わざわざご挨拶どうも……ってこれ、遠回しに釘刺されてない? ルッキャに何かあったら詰められるの俺? こ、このぶきっちょシスコンが……!!

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 虚の出現を察知。

 

 というわけで偵察隊として、志波都三席率いる部隊が組まれたわけだが、俺もそこに居ます。

 何度かこの部隊で行動したことあるけど、この物々しい雰囲気にはいつまで経っても慣れない。俺以外の人み~んな席官だし。場違い過ぎるだろ俺。

 

 俺だって始解出来るんですけどね。(今後のために)見せられないけど。(霊圧的に)使えないけど。

 

 あ、そうそう。気絶して以降、相即不離の許可がなければ始解が出来ないようになったんだよ。俺も流石に抗議したんだけどさぁ……

 【君が開いた空間は()()()()()()()()()()()。運良く虚は出現しなかったけれど、危うく君は、命を失うところだったんだよ。……そんな君の軽率な行動を抑える為に、仕方なくこの形を取ったのだと、勿論、理解してくれるよね?】と説き伏せられて何も言えなくなった。はい……すみません……

 

 まあ、俺が斬魄刀を振るわなくても、部隊の皆が前線に突っ込んで最速で虚を撃退しちゃうからね。基本俺に活躍の場面はない。俺くんは皆の後方でチマチマと雑魚を始末したり、鬼道で援護するだけです……情けないね。

 そんなおこぼれにあずかるだけの俺に対して、皆は「援護ありがとう」とか「ナイスフォロー!」とか言ってくれる。こんなの俺が魂葬(浄化)されちゃうよ……

 

 

 あっ現場に着いた。気持ちを切り替えよう。

 

 虚の霊圧が漂う現場で、流魂街の住民を保護した。あどけない子供の腹には痛々しい傷が付いている。回道を使ってやりたいが、周囲を警戒しなければならない為、俺は子供に慰めの菓子だけを渡し、後ろへ下がった。

 

「あなたを傷つけた怖い怪物がどこに居るか教えてくれる?」

「ヒック……えっとね……」

 

 しゃくり上げる子供に、優しく問いかける都三席。それを囲むように円形に陣形を取る俺達は、周囲の警戒を怠らずに、子供の声に耳を傾ける。

 

「えっとね、えっとね、あのね」

「うん。うん」

 

──ココだよ」

【……ッ伏せろ!】

 

 相即不離の言葉を聞いた直後、咄嗟にその場にしゃがみ込んだ俺の頭上を、錆色をした太い触手が通っていく。前方へと跳ねた俺は、後ろを振り返った。

 そうして目にしたのは、先程まで泣きじゃくっていた子供の口から、夥しい量の触手が生えている異様な光景。

 

 俺と都三席以外の隊士は薙ぎ倒され、遠くの地面で俯せになっている。

 立っている俺達は、斬魄刀に手を当てながら、子供、いや、虚の姿を見据えていた。

 

 ギチギチと子供の口が大きく開き、ビリビリと生々しい音を立てながら口から首へと皮膚が裂けていく。まるで蛹が羽化するように、その虚は化けの皮を脱ぎ捨て、姿を現した。おいおい、コイツ……!

 

 

 メタスタシアじゃねぇか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

・・

・・・

・・・・

・・・・・

 

 

 

 

 

Side アドナイェウス

 

 貴方は思い出す。

 白無垢に付いた花弁を摘まみ、愛おしそうに伴侶を見つめる志波海燕の姿を。

 紋付羽織袴を着た背中を、愛おしそうに見つめる志波都の姿を思い出す。

 

 貴方は思い出す。

 桜が舞い散る中、微笑み合う二人の姿を。

 日溜まりを絹で包み込んだような、あの温かで柔らかな空気を思い出す。

 

 

 

 

 草木で肌を切り、小石に足を躓かせながら、志波都を抱えて走る貴方。

 腹部と胸部に裂傷を負い、不規則な呼吸をする彼女。

 生温かい液体に塗れた貴方の腕は、冷えていく体温を確かに感じとっている。

 

 額から垂れた血が、視界を染める。

 記憶の中、白無垢姿の志波都が、血で塗りつぶされていくような、そんな錯覚に貴方は陥っている。

 

 

 貴方は逡巡する。

 貴方は自身の力が、斬魄刀の能力が、三界を揺るがす危険な能力だと、誰よりも理解している。だから斬魄刀を振るわなかった。

 貴方の力が虚に奪われ、結果、あの男の手に渡る事を想像すると、貴方はどうしても、その力を振るえなかった。

 

 

 そうして、逃げ続けていた貴方の足を、鋭い触手が貫く。

 体勢を崩した貴方は受け身も取れず、固い地面に身体を打ち付けた。苦痛で呻きながら、放ってしまった志波都の側へ這い寄ろうとする。

 

 それを嘲るように、虚はその大きな触手で貴方を振り払った。宙へ舞い、地面へと墜ちた体躯は軋み、視界が明滅する。

 

 

 嘔吐く貴方から視線を逸らした虚は、地面に伏せる志波都に何本もの触手を絡ませた。宙ぶらりんの彼女を吟味して、その柔らかな魂魄を喰らおうと、大きな口をがばりと開いたその瞬間。虚の身体に微かな火が当たる。

 

 貴方の放った鬼道は、着弾した火球は、虚の身体に掠り傷一つすら付けていない。

 煩わしげに顔を向けた虚へ貴方は吠えた。喰らうならば俺にしろと。寄生するなら俺にしろと。

 

 貴方の叫びを聞いた虚は、厭らしい笑みを浮かべると、志波都を放り棄て、ゆっくりと貴方へ近寄った。そうして触手を絡み合わせ、貴方の右胸を貫いた。貴方は絶叫し、その触手へと爪を立てる。

 

 そんな足掻きを嗤いながら、虚は貴方を嬲り続けた。

 腕を折られ、肺を潰され、傷口を抉られる。それでも貴方は虚から眼を逸らさなかった。それだけが、無力な貴方に出来る小さな抵抗だった。

 

 

 そうして一通り弄んだ貴方を、虚は宙へと掲げる。近づいた青色を忌々しく思いながら、貴方はそれでも虚から眼を逸らさなかった。

 開かれる大きな口。まるで奈落の様なそこへ墜とされようとしたその瞬間、虚は突如動きを止めた。何かを決めあぐねる様に熟考した後、虚は貴方を放り棄てた。そうして愉快そうに言い放つ。

 

「慈悲をやる」

「命を散らすその女の姿を、眼に焼き付けて死んで逝け」

「それが貴様に出来る最後の仕事だ」

 

 甲高い嗤い声をあげながら、虚は満足そうに去っていった。

 

 

 

 

 貴方は惨めだった。

 仲間の仇も取れず、逃げ回ることしか出来ず、親友の伴侶さえ満足に助けられない。挙げ句の果てに、怨敵から慈悲を掛けられた。

 

 貴方は惨めだった。

 泥にまみれ、這いずる貴方は惨めだった。

 それでも、貴方は。

 

 貴方は諦めなかった。

 

 貴方は斬魄刀を用いて距離を千切る。

 応援を呼んでいた貴方は、同胞がこの場へ駆け付けている事を探知していた。

 遠くに感じる複数の霊圧が、早く此処へ来れるよう、貴方は何度も距離を千切る。

 数間、いや数尺ほどの距離しか千切る事が出来なかったかもしれない。それでも貴方は斬魄刀を振るい続けた。

 

 そうして、もはや刀を握ることも出来ず、崩れ落ちてしまったその身体で、貴方は志波都へと這い寄った。地面に爪を立て、血の轍を描きながら、懸命に貴方は這い寄った。

 

 僅かに残った霊圧で、貴方は回道を行使する。

 自身の傷を後回しにして、志波都へ回道を行使する。

 

 右胸に空いた穴には風が通り、その度に貴方は苦痛で顔を歪ませた。痛いだろう、苦しいだろう、誘う眠気に身を任せてしまいたいだろう。それでも貴方は回道を行使し続けた。

 

 

 限界などとうに越え、満身創痍の貴方を突き動かしているものは何だろうか。

 

 定められた運命への反逆、親友の為、誇りの為……

 いいや、どれも違う。貴方の胸はもっと単純で、明快な思いで占められていた。

 

 

 貴方はただ、目の前で溢れていく命を掬いたいと、其だけを願って自身の命を削っていた。

 

 

 貴方は霊圧を送り続ける。

 貴方は苦痛に呻く。

 貴方は霊圧を送り続ける。

 貴方は血を吐く。

 貴方は霊圧を送り続ける。

 貴方は──

 

 

 想いとは裏腹に、貴方の視界は段々と暗くなっていく。

 それでも貴方は、最後の間際まで足掻いていた。

 

 

 

 

 

 ■は視た。

 貴方のその献身を。

 

 

 

 

 






??様「お前の苦労をずっと見ていたぞ。 本当に良く頑張ったな」

斬魄刀異聞篇を書くにあたり、アンケートというより質問があります。本エピソードは破面篇の途中で挟まれたアニメオリジナルですが、私の執筆技量ではそのような高度な構成は難しいと感じています。そこで、尸魂界篇の後、破面篇の後、あるいは物語完結後の番外編として書く案を考えているのですが、読者の皆様としてはどのタイミングが最適だと思われますか? ぜひご意見をお聞かせいただけると幸いです。

  • 尸魂界篇後
  • 破面篇後
  • 本編終了後
  • 斬魄刀異聞篇を書かない
  • 他に何かご意見があれば活動報告の方へ
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