「ああもう、逃した!!! やるじゃん乙骨!!!!」
「とんでもない呪詛師が介入してきたな。悟達の分身まで作り出すとは」
「僕ではなく、僕のドッペルなんですけど……」
「まあ、そうなんだけど。どういうカラクリかわからないけど、あれは本物だったよ。小柄で栄養は足りてないみたいだけどね」
「魚の餌しか食べさせられていないと言ってました。レトルトのシチューを食べてみたいと」
「うっわ許せないね」
「呪詛師夏油傑を捉えるほどだ。相手の力量は疑いようもないな。可能なら、なんとか全員保護したい」
とか言ってるんだろうな。
でもまあ、彼らは早々に返しちゃったから問題ないんですけどね。ぐへへ!
とはいえ、皆にいっぱい食べさせてあげたいから、お金稼ぐ方法考えるのは急務です。いや、私も頑張っているんだよ?
レシピ本、野菜や果物の種、苗、料理系の電化製品からゲームなどの娯楽用品まで、色々送っている。
それらを利用したリバースエンジニアリングも進められている。
食文化や娯楽文化を復興・振興する事で、呪霊が減っているとのデータも出ている。冗談抜きで私も世界平和に一役買っているのだ。
だが、こちらに先立つものがない。
手段を選ばなければいくらでも用意出来るのだが、そうすると私の存在が高確率でバレるし、上層部も五条先生の政治的防衛力も欠片も信用していない。
あ、教祖夏油様は無事説得出来たそうだ。
やはり夏油傑に可哀想な状況にある五条悟は効く……。
教祖夏油様から資金移動をお願いされているが、それはバレる可能性が上がるのでやめてもろて。
ここで死んだと思って、諦めてメシまず世界で第二の人生送ってください。
その代わり、夏油さんの持っていたお財布から出したお金で五条さん用の甘味は沢山買った。これぐらいなら足はつかないでしょう。
六眼使うから甘味は大事なのだそうだ。
今日は給料日である。
夏油と三輪は寝込んだ縁に代わり、大事な役目を果たしに来ていた。
それは、並行世界に送る物資と縁へのおかゆの調達である。
用心深いため、縁の住むアパートから遠く離れたスーパーに来ている。
縁へのおかゆは問題なくレトルトを調達できた。
卵の美味しいやつだ。あとは、ソフトクリームも調達。
後は、呪術界へのお土産である。
夏油は大量の食料品の前に途方に暮れた。
「どれが一番、コスパがいいんだろう……。でも、悟には良いものも食べてほしいよね」
「無難に飴を買っていきませんか? それなら食べたことありますし、長く楽しめますし、個包装ですし。買い出し係のお小遣いは千円ですから、それならいっぱい買えますよ」
メシまず世界に生まれた夏油と三輪には、食料品の味がわからない。目的の甘いものはどれなのか。
そうこうしている間に、ついさっき買ったソフトクリームが溶け出してワタワタ。
なんの偶然か、そこを任務帰りに寄った三輪が発見。
悩んだ末に……五条に連絡した。
五条は夏油を見つけ次第連絡するように、それ専用の携帯番号を公開していた。
「あ、あの!」
「げっ 三輪!」
「わっ はい!」
呪霊を出して逃げようとするのを静止する。
「こ、怖がらないでください! お礼をしたいだけなので……。それに、今逃げたら万引きになっちゃいますよ?」
その言葉に、顔を見合わせる。
「夏油さん、私ならばいつでも振り切って逃げ切れるのでは」
「そうだね。お礼と言うなら、お買い物を手伝ってくれないかな。あと私は君のことなんか怖くないからね」
「任せてください! まずは、お店の人に謝ってソフトクリームの買取ですね」
という事で、お買い物メモを拝借。
調理器具、苗や有精卵、果物の他、お菓子や食べ物をと言うことだった。
欲しい物はいっぱいあるけど予算はない。
「んー。そうですね。甘いのですね。プリンとかアイスとか、とっても美味しいですよ。冷蔵庫や冷凍庫はあります? 冷たい場所で保存しないとさっきみたいに溶けちゃう物なので、買うにしても最後ですけど。お家が遠いなら、アイスは諦めた方がいいですね」
「そうだったんだね。家は遠いなぁ」
「今回は冷凍食品はやめておきましょうか。あと、調理器具や苗や有精卵はこのお店では売ってないですよ。案内します?」
「そんな、悪いよ。……いいのかい?」
「ええ、もちろんです。クレープとか、家で作りますか?」
「作れるのかい!?」
「やり方を教えてあげますね。材料奢ってあげます。あと、買い出し来た人の特権です。アイスを食べちゃいましょう」
そうして、このお店での買い出しを済ませて、外でアイスを食べる。
「ひゃうっ 冷たくて甘い!?」
「ふわぁっ す、すごい。これが甘味って奴ですか!? 飴と違う!」
「悟に、悟に持っていかなくちゃ」
「も、持ち帰り本当にできないんですか? あっ 溶けちゃう! 垂れちゃう!」
大騒ぎの二人が微笑ましい。
「僕にくれんの? 嬉しいけど、気持ちだけもらっとくよ」
「悟!?」
「傑。とりあえず、食事を奢らせてもらえないかな? 何食べたい? お肉? 魚? なんでも食べていいよ。あ、三輪二人もね。僕へのお土産もたっぷり持たせるから大丈夫だよ」
「でも、もうソフトクリーム食べちゃったからお腹がいっぱいだよ」
「食が細いね。だから大きくなれないんだよ。まあいいや。お寿司なら調節出来るでしょ」
「お寿司ってなんだい?」
「生のお魚をご飯に乗っけたやつ」
「それって、食中毒は大丈夫なのかい? いくら食中毒の呪霊が倒れたって言っても、食中毒が世の中から消えたわけじゃないんだし」
「そ、そうです。ちょっと刺激が強すぎますっ」
プルプルと震える二人。
「……そ? じゃあ、お肉にしよっか」
ということで、いいお店に連行された二人。
二人にお肉を食べさせながら、事情を聞く。
「ご飯……これがご飯ですね!」
「私は食べた事あるよ。美味しいんだよ」
ライスの段階でキャッキャする二人。
そしてお肉に対して不思議そうな目で見る二人。
とってもかわいそう。
「ウッソもしかして初めて? 普段何食べてるの」
「あ、えと……べしゃべしゃした半分液体」
「ちょっと胃に刺激強すぎないかな。具合悪くなったらすぐ言ってね? 今からでも軽いものに変える?」
「もったいないよ。これって牛さんの命を頂いてるんだろ?」
「牛肉って牛さんのお肉なんですよね」
「そうだけど。よく噛んで食べてね」
五条は自らの手で、小さく小さく切って、お口に運んであげる。
テーブルマナー以前の問題との判断である。
「甘いとしょっぱい以外の味覚がこの世にあった……?」
「ハワワ、すごいです。夏油さん。お肉がとろけて消えちゃいました!」
「美味しいです〜」
どさくさに紛れていい思いをする三輪。
ドッペル達を発見できてとても偉い。
余ったお肉も綺麗に三輪が食べた。
「ご主人様の術式ってなんなのかな」
「言えないよ」
「君達、もしかして並行世界の住人?」
「言えないってば」
「食中毒の呪霊で食糧事情壊滅した世界とか?」
「六眼って心まで読めるのかい?」
「さあ、どうかな? で、君らのご主人様の目的は?」
「平穏な生活だよ。だから、呪術界に関わりたくないんだって。私としては、呪術界と接触して、資金調達なりなんなりして、もっと援助して欲しいと考えてるんだけど……」
「仕方ないですよ。術式の持ち主は彼女ですし」
「この前、動いたのは?」
「だって大規模テロは潰さないと平穏な生活が送れないだろ?」
「……傑はどうしてる?」
「それが、酷いんだよ! 悟の親友は私なのに、あと私たち同い年なのに、悟の世話ばかり焼いてるんだ。この食事は酷すぎるって、レシピ見て、私達の世界の食材見て、色々作ってくれるのはいいんだけど、悟にばっかり食べさせるんだ」
「非術師がどうとか言わない?」
「ご主人様から非術師恐怖症って話は聞いてるから、術師としか接触させてないよ。今の所、悟の心配しかしてないし、問題は起こってない」
「そ」
五条は軽く受け答えしたが、内心深い安堵をしていた。
「僕としても、君らとは仲良くしたいと考えているよ。困ったらいつでも相談に来て。傑以外もね」
携帯と充電器、連絡先を渡し、優しく諭す五条。
夏油と三輪は、コックリ頷いた。
その後、お買い物も手伝って貰い、二人は見事おつかいミッションを達成した。
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
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