「縁。実は、悟に会ったんだけど」
「相変わらず夏油さんについてはとんでもなく嗅覚効きますね」
「それで、やっぱり私、バイト行きたいなって」
「今でも十分忙しいのでは? この家を探られなければいいですけど……」
「気をつけるって縛るよ。護衛用の呪霊も置く」
夏油さんの説得により、まあ、移動系の呪霊を使うのならということで、私は了承した。
美々子と菜々子と悟に食べさせてあげたい、などと言われてお土産のお肉をプレゼントされては頷いてしまうというもの。
報酬の一部は私にも分けてくれるという。正直、百鬼夜行以外ではギブギブだったのでちょっとでも帰ってくるのは嬉しい。
食文化の復興は呪霊の減少に影響しているらしく、切実に色々買い集めたいと言われたら私も断れない。
『私を呼んだ術師を探らないって縛り結んでバイトさせてくれないか?』
「いいよ! OK! 何人でもおいで! また美味しいものも食べさせてあげるよ」
『ありがとう、楽しみにしてるよ』
ということで、夏油タクシーで手の空いた術師が出稼ぎに行くことになったのだった。
「ドッペル派遣の夏油傑と五条悟だよ。よろしくお願いします」
「お久しぶりです、五条さん、夏油さん。約束通り、美味しいものをご馳走しますよ。暖かくて美味しくて甘い具沢山のカレーを作ってあげますからね」
「あ、乙骨。この子達、食が細くて胃に不安があるから、材料は小さく切ってあげて、あまり一気に食べさせちゃダメだよ。特にカレーは刺激強そうだし」
「わかりました」
里香ちゃんに若干嫉妬されながら、乙骨は手料理を食べさせる。
地味に料理の練習をしていたのだ。
二人は、予想以上に驚愕してくれた。ちまちま食べて喜ぶ様を見ているとこちらまで嬉しくなってくる。
「ふーん。じゃあ、そっちの食文化は食中毒の呪霊で粉砕されたのか」
「そうだよ。その呪霊を、絆が粉砕して食中毒がなくなったのが10年前。それから、こっちの術師と絆経由でレシピとか種とか色々流してもらってるんだ」
「美味しいってすげーの。幸せになれるし、呪霊発生率も下がってるし」
「はー。まあ美味い飯は重要だよな。いっぱい食っとけ」
真希も食事を勧める。真希を侮辱したのは教祖夏油であって、ドッペル夏油は庇ってくれたのを覚えている。あと、子供用の甘いカレーに感激して騒ぐ様は純粋に微笑ましいし可哀想。
「味覚とかもそんなんじゃ育ってないんじゃないか? それ以前に慢性的な栄養失調だよな。今日のところは依頼はなくて案内や健康診断になる。お前らに美味くて元気になる最適なレシピ用意してやる」
「ありがとう、硝子」
「硝子優しい……」
「ところで、ドッペル五条さん。この注射器のあとは?」
乙骨が心配する。
「ああ、糖分が足りなくて、緊急で注射を。でも、最近は甘い物でも代替できててすげー嬉しい。こっちの傑ってなんだかんだ言って俺の事すげー心配してくれてさ。手作りで簡単に食べれる消化のいい甘味をくれたりとか」
「……まあ、そっちでなら上手くやれるってならそれに越したことはないか」
「そんな悟にアイスを買ってきたぞ!」
「アイス!! すごく美味しいんだよ! 甘いんだ!」
ドッペル夏油がパァッと顔を輝かせてドッペル五条に教えてあげる。
こうして、チヤホヤされながら、術師達が出稼ぎに来る事になったのだった。
すると、当然の帰結として。
「帰りたくなーい! こっちの方が色々発展してるし! 可愛いピアス多いし! 私、こっちの子になる!」
「だ、ダメですよ西宮先輩!」
「いつでも歓迎するよー♡」
「妻子連れてこっち来てぇな」
「歓迎するで、とーじくん♡」
こんな事になるのだった。
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
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