私の双子の姉はメシマズ世界の英雄です   作:かりん2022

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ある日、並行世界の親友がこっぴどい振られ方をしたので犯人を祓おうと思う。

 呪力を吸わせてもらって、灰原さんも無事出した。怖い顔した七海さんに出させられたとも言う。

 

「七海がおじさんに……!?」

「そんな事を言ってはいけないよ、お兄さんと言わないと」

「七海がお兄さんに……!?」

「……ふぅ。灰原、残念ながら、私はあなたの知っている七海ではありません。そして、灰原、あなたも私の知っているあなたではない。……では、あなたは一体どこから来たのです?」

「??? 絆先輩が、僕が身を捧げれば七海と先輩は助かるって」

 

 七海さんのこめかみがピキっときた。

 

「??? 私も脅迫されて、襲われて。並行世界にいる双子の妹の縁を頼れって」

 

 五条さんもイラっときたようだ。

 

「僕を騙せて、傑を裏切れて、硝子を泣かせられる奴だよね。凄いじゃん。絆って誰」

「私の同級生だよ。質屋って術式で、物を放り込むと呪力で帰ってくるんだ。取り出しも出来たみたいだね。縁は絆の双子の妹で、イマジナリーシスターって聞いてたけど、本当にいたんだね。並行世界なんてびっくりしたけど」

「僕、何年も封印されてたんだよね。帰れるのかな。帰らなきゃ。七海が過労で死んじゃう」

「そうだよね。悟だって寂しくて泣いちゃうよ。それとも、案外私のことなんてすっぱり忘れてるのかな。何年も助けてもらえてないってことだし」

「きっと探してるよ」

「きっと元気で探してます」

 

 自分達の言葉に落ち込んだ二人を、五条さんと七海さんは二人とも力強く元気づける。

 

「縁って言ったかな。君の弁明を聞こうか」

「まず! 絆は私の双子の姉で、私がやったのは呪詛師夏油傑を封印して、呪術師夏油傑と呪術師灰原雄を助けた。これだけです!」

 

 私は必死に自己弁護する。

 

「ふぅん? その呪術師二人を攫ったのは君の姉みたいだけどね」

「姉の絆には大義があったのです!」

「大義?」

 

 全員、嫌な顔をする。でもこの大義はまともだぞ!

 

「メシマズ世界に美食を取り戻す! これが我が姉の願いでした。そちらの世界で500年くらい前に現れた、邪悪な呪詛師のやらかした食中毒菌全世界散布。これで、まともな食事文化が壊滅して、魚の餌みてーな食事が普通になってしまったそうで。姉は、呪詛師のなれ果ての呪霊を祓い、病原菌を撲滅し、美食を取り戻す為に命を捧げました。実際、病原菌撲滅までは行ってます」

「……絆、死んだの?」

 

 夏油くんと灰原くんがショックを受けた顔をする。

 

「はい。そして、姉の肉体は現在、姉と敵対していたクソみてーな術師に乗っ取られています。死体を操る術師がいるんです。まー、私は姉の仇と取引する気なんかないので、戻る手段はないと考えてください。行っても敵対組織に殺されて死体を嬲られるだけですよ。夏油さんの肉体も利用価値があると狙っているような組織です」

「なにそれ……なんだよそれ。あれだけ引っ掻き回して、人の事好きだって言って、騙して、裏切って、人質にとって。……まさか、これだけ好き勝手やって私の事庇ったとでも言うつもりなのか? お前のためにやってんだって、言ってたし、絆」

「……傑」

 

 夏油さんがフルフル震えているのを、五条が気遣う。

 

「大義のためです」

「美食の為って……たかが、たかが食事の為に……? 私は、そんな事よりずっと四人一緒にいたかったよ……!!」

「姉にとってはそれが全てでした。無事菌を撲滅して、私の送付したハンバーガーを食べて、お腹がびっくりしてお腹壊しちゃって……それでも、世界を救った甲斐があったって手紙に書いてましたよ。いつか、夏油くんと五条くんと硝子ちゃんにも食べさせたいって」

「一人だけこっちに来ても意味ない……ひとりぼっちじゃないか……!! 悟も硝子も絆もいないなんて……!!」

 

 泣きじゃくる夏油くん。夏油くんの涙に困惑し、不器用に肩を抱く五条さん。

 ぎゅうっと夏油くんにハグされ、戸惑う五条さん。

 さらにぎゅうっと抱きしめる灰原くん。

 

 うん、向こうの世界の人はチュー、特に口にチューはしない代わり、めちゃくちゃハグしてくるんだ。慣れて。

 

「ちょっと待って。じゃあ、傑は」

「すでに向こうの術師に引き出されています。生存は絶望的ですね。私は、姉の好きだった夏油くんを助ける為なら教祖夏油はどうなろうと関係ないので。……特級術師の対価は膨大ですからね。同じ術師を対価に払うしか、引き出す方法はなかった。向こうも私を襲ってきた。正当防衛ですし、謝るつもりはないですよ」

 

 五条さんは拳を握った。

 

 そう、私の質屋の全ての品が引き出されてしまっていた。

 夏油さんも、姉の為に送っていた食料品の数々も。

 おそらく、術式を試しているのだろう。

 

 早速手紙が送られているようだが、私は絶対に姉の仇で自分より賢い相手とは交渉せんぞ!




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