転生ミレニアム生徒がエデン条約編を生き残れない話 作:実力と発想が見合わない人
◇トリニティ・ティ―パーティー
『おーい!ナギサさんや。給湯器の修理と電気系統の点検が終わったで。』
「ありがとうございます、トビシさん。本来ならセミナーの方にこんなことをさせるべきではないのですが・・・」
『いいのいいの!俺がやりたくてやってることだし。それに
まぁ、本当はその先の事も、誰がどう動くかも全部知ってるんだけどね。
これ今話したらどうなるんだろう・・・まず信じてもらえないな。HAHAHA☆
「・・・一つ、質問をしてもよろしいでしょうか?」
『あぁ・・・いいぞ。』
「トビシさんは・・・もし、親しい人が・・・自分の、学園の裏切り者かもしれない時。どうしますか?」
『・・・それは今起きてることかな?』
「・・・ッ!それは・・・」
『いや、無理に言わなくていい・・・が、そうだなぁ。俺ならとりあえず信じてみる、かな。』
「信じる、ですか?」
『ああ、信じる、だ。どんなにいい奴でも親しい友でも、隠し事の一つや二つは余裕であるはずだ。・・・もしくは正面からはっきりと聞いてみるのも手だぞ。何をしているのか、何か目的が無いか・・・な。』
「そ、そうですか。貴重なご意見、ありがとうございます。」
『・・・・やっぱり、どこのお偉いさんも心配事が多くて大変なんだね。』
セミナーだってそうだしな。何も相談も無しに物事を進めるリオ会長、色んな奴に甘いユウカ、圧とか色々怖いノア、問題児コユキ・・・頭痛くなってきたわ。
「それはそうと、トビシさんはこの後ご予定は?」
『俺?・・・たくさんあるよ。シスターフッドに正義実現委員会に救護騎士団・・・嫌だなぁ。』
「た、大変そうですね・・・」
『うん・・・特に救護騎士団はミネやセリナちゃんが怖いのよ。生活習慣を正すまで監禁されそうになるし、誤救護されそうになるし。』
「それでは、疲れた時はいつでも私の所に来てください。いつでもおいしいお茶を用意していますので。私もあなたが倒れられては悲しいですし。」
『うう・・・ナギサさぁん・・・でも、もう行かなきゃ・・・ひぃん。』
そう言って重たい足取りで出ていくトビシ。ナギサはその背中を見ながら改めてエデン条約について考えていた。誰をどれだけ信じられるか、不測の事態への準備は十分にできているのか、本当にそれで足りるのか・・・考え始めたらキリが無い。
「こんな時、トビシさんなら・・・」
「ナギちゃーん!おまたせー!」
「ッ!・・・ミカさん!?」
思考を深めすぎたのか、部屋に近づいてくるミカに気が付かなかったようだ。
当のミカは悪びれた様子もなくあたりを見渡している。
「ナギちゃんナギちゃん!今日はトビシちゃんが来る予定だったよね!今どこに居るかな?」
「今日はもう帰られましたよ。設備の点検が終わりましたし、それに彼女にも予定があるそうです。」
「ぶー・・・せっかく今日会えると思って楽しみにしてたのに・・・」
「ミカさんが遅刻してくるのが悪いのですよ。」
「トビシちゃん、次はいつくるのかな・・・」
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◇救護騎士団・本部
『はぁい・・・セリナちゃん。』
「お待ちしてました!さあ、こちらへどうぞ!」
嫌々ながらも救護騎士団へとやってきた。そこでは満面の笑みを浮かべた
『なぁ・・・この前セナさんに検査してもらったからさ、もういいだろ?』
「ダメですよ!ちゃんと生活を見直しているのか、確認しますから!」
『ひぃん・・・』
そう言いながらも、てきぱきと準備を進めるセリナ。そういえば――――
『・・・団長はいないのか?』
そう、暴走救護ことミネ団長が見当たらない。
いつもなら俺が来ると分かれば出待ちしているような人なのに・・・
「団長は・・・わかりません。今どこで何をしているのかも・・・」
『そっか・・・』
そういえば、ティーパーティーのセイアを護衛しているんだったか?
俺としては嬉しいが、セリナたちにとっては心配だろうな。
そうしているうちに準備が終わったようだ。
「そういえばトビシさん。」
『なんぞ?』
「この後はお時間ありますか?少しお話でも・・・」
『あー、厳しいかなぁ・・・ごめんね。』
「いえ・・・無理を言っているのは私ですから・・・」
『私も予定があるからね、ささっと終わらせましょうか・・・』
検査は順調に進んだ。
セナさんに言われてから意識したおかげか、前よりも良い数値になっていた。
それと、今度出かける約束もした。
『それじゃあ、俺はこれで失礼するよ。』
「はい!お気を付けて!」
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◇トリニティ自治区・カフェ
『ふぅ・・・疲れた。』
正義実現委員会での仕事を終わらせたトビシはトリニティに存在するカフェの一つでそこで休憩を取っていた。この後に行く予定のシスターフッドは、以外に点検箇所が多いためである。
お昼も過ぎ、おやつを食べたくなる時間なのか以外にもたくさんの人がカフェに来ていた。
トビシは注文を済ませると荷物の中からいくつかの資料と何かの設計図を取り出した。
それはエデン条約の調印式で使う予定の装備や武器などの図面であり、
『うーん・・・やっぱりもっと火力がほしいよねぇ・・・』
しかし、兼用しているとはいえやっぱりエンジニア部。元が男と言う事もあってか、ロマンを優先してしまう傾向があるのだ。
『でも、変形機構とかも・・・お?』
「やっほ。久しぶり。」
『カズサじゃん、久しぶり。』
「相席していい?」
『もちろん。』
そんなトビシの元に一人の少女・・・杏山カズサがやってきた。
カズサはトビシの前の開いている席に座る。そして手早く注文を済ませ、トビシに視線を移した。
「まーた何か作ろうとしてるの?」
『もちろん。俺はエンジニア部、だからな!それよりも俺をよく見つけられたな。』
「トビシって特徴的な格好だからトリニティじゃ結構目立つよ。」
『そうか?』
実際にトビシは作業服に上着を羽織った様な格好であり、お嬢様学校のトリニティでは珍しい物である。だが、それ以外にも理由はある。
「うん、結構目立つ。」
それはトビシが意外と女性受けする容姿だからだ。
中性的で整った顔立ちに割と高い身長に男性っぽい口調、そして真剣な表情で図面を見ている姿に心奪われるものもいるとかいないとか・・・だが、当の本人は全く気が付いてはいないようだ。
『まぁ、俺はミレニアムじゃそこそこ有名だからね。』
「そうなの?」
『ああ、ミレニアムで唯一危険区域に入る許可をもらっているからな。』
「へ~、聞いたことないや。」
『そりゃ、他校の話なんざ、そうそう耳にする事なんてないだろう?』
「うちじゃもっぱらゲヘナの悪口くらいかな。」
『やっぱりそう来るか・・・仕方ないんだろうがな。』
「お待たせしました~。」
『お、来た来た。』
カズサとの話の途中に、ようやく注文していた物がやってきた。
トビシの前に置かれたのは、濃厚なキャラメルラテだった。これは最近、彼女が好んで飲んでいる飲み物で、トリニティに来るたびに飲んでいる。
「へぇ~、そう言うの飲むんだ。」
『およ?俺だって甘いものは好きだけど?』
「ごめん、気に障ったなら謝る。ミレニアムってエナドリとコーヒーばかり飲んでるイメージだったから・・・」
『いや、あながち間違いじゃないか。』
そう、
『ま、私もミレニアムじゃ、そんなのばっかり飲んでるけど。』
「やっぱりそうなんだ。」
『ああ、そのせいで救護騎士団に行くたびに強制診断されてるけど。』
「大変だね。」
その後も、カズサとの会話を続けながら休憩時間を満喫した。
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◇大聖堂
『いや~久しぶりだね。マリーちゃん。』
「はい、お待ちしておりました。トビシさん。」
シスターフッドの本拠地の大聖堂。厳かの建物には以外にも多くの点検箇所があり、トビシがトリニティで最も時間を必要とする場所でもある。
『じゃあ、早速取り掛かるね~』
「はい、よろしくお願いします。」
ちなみにマリーは案内役兼見張り役である。大聖堂内の点検が必要な場所や立ち入り禁止のエリアを教えたりする必要があるためである。
『そういえばこの前はヒナタが案内だったよね。』
「そうですね。あの時は手の空いている人がいなかったので・・・」
『まさか目の前で交換部品を増やされるなんて思わなかったよ。』
以前訪れた時の案内はヒナタが担当したが、持ち前の怪力によってドアノブやその他の備品が目の前で破壊され、帰る時間がとてつもなく遅くなったのをトビシは覚えている。
余談だが、一度サクラコが案内を担当した時があったのだが、ミレニアム生を脅して何かヤバい物を作っているのでは?と言う噂が流れたそうな。
『じゃ、早めに終わらせようか。』
「はい!それではまずはこちらに・・・」
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それから数時間後にようやく点検が終わった。
マリーから「一緒にお祈りでもしていきませんか?」と聞かれたが、待ち人が開居ると言って断ってしまった。その時のシュンとしたマリーの悲しそうな表情に心を痛めてしまったが、また後日来ると約束をしておいた。
そしてトビシはミレニアムに着き、ヴェリタスの部室へと向かった。
『ヴェリタス居るか~?』
「あ、先輩!来てくれたんですね。」
”お疲れ様、トビシ。”
『お、先生もいるのね。それで、要件は何かな?』
部屋の中には、いつも通りにヴェリタスの面々・・・チヒロがいないが、とゲーム開発部、そして先生がいた。みんなの中心にはゲーム機の様な物があり、それを見た瞬間にトビシは今回呼ばれた理由の予想が着いた。
「えっとね、このゲーム機の中に最高のゲームを作るための情報が入ってるんだけど、セキュリティが硬くて中を見られないの。」
「それで、これを破るためにはヒマリ先輩の作った【鏡】っていうツールが必要みたいで・・・でもしばらく前にセミナーに没収されちゃったの。」
『・・・・なるほどね。つまり俺にそれを取って来いと?』
”すごく申し訳ないんだけど・・・できないかな?”
モモイ、ミドリ、先生が事情を説明し、お願いするように見つめてくる。
恐らく、その【鏡】とか言うのがセミナーにあると分かってから、セミナーの中でも一番融通が利いて頼みごとを聞いてくれそうな俺が浮かんだのだろう。
しかし、俺の答えは―――――
『ダメだ。』
「ありがとう!それじゃあ、さっそk・・・え?」
”やっぱりだめだよね。”
もちろんNOだ。ただでさえ保管庫には厳重な警備と面倒な手続きがあるって言うのに、何の見返りもなく協力する理由が無い。それと、今はとてつもなく疲れているし眠たいのだ。自分たちで何とかしてほしい物である。
「お願い!そこを何とか!」
「もう頼れるのはトビシ先輩だけなんです!」
モモミドが縋るように引っ付いてくる。ああ、子供の体温あったけぇ・・・じゃない、ダメなものはダメなのだ。あと疲れた。
『知らん。無理なものは無理だ。【廃墟】の件だって、結構無理押しでやったんだから今回くらいは自分たちで何とかしてくれ。』
そう言って、部屋を出ていきセミナーへと向かう。
『ふぁ~・・・仮眠室で少し寝るか。』
しかし、俺はその時は眠気と疲れで忘れていた。
この後、ゲーム開発部がセミナーを襲撃することを。
今回はここまでです。
人を信じられなかったナギサと人を頼れなかったリオ・・・似てるよね。
曇らせたいキャラ募集中です。エデン条約関係ないの学校の奴でも可。
それではまた次回・・・