転生ミレニアム生徒がエデン条約編を生き残れない話 作:実力と発想が見合わない人
あと、正直忘れてた・・・ブルアカに元々ゴリアテいるの。
『久しぶりだねヒナちゃん。先生の厄介ファンが多くてね、追い払うの手伝ってくれない?』
「えぇ、良いわよ。お相手は?」
『そこら中にいる幽霊モドキどもだね。あの4人は私が片付けるから。』
「逆でもいいわよ?」
『いや、あの幽霊共無限に出てくるから私じゃ先に弾切れになっちゃう。』
「そう、分かったわ。」
ヒナは自身の愛銃をリロードし、ミメシス共に向けて引き金を引く。
圧倒的な破壊力に敵は粉々に砕け散る。そして、その隙間を縫うようにスクワッドが接近してきた。
『お前らの相手は私じゃあ!』
トビシはチェーンガンの発射レートを上げ、さらに弾薬を特殊な炸裂弾に切り替えた。
束ねられた3本の銃身から放たれた弾丸は着弾と同時に爆発を起こした。
「徹戒トビシ。ミレニアム生でありながらゲヘナとトリニティに太いパイプを持つイレギュラー。」
『はっ!私の事知ってたか。・・・あいつがストーカーしてた時点でお察しか。』
上空からトビシ目掛けて飛来するミサイル。それをトビシはチェーンガンで迎撃し、それを放った人物・・・ミサキのいる場所にロケット弾を撃ち込んだ。
ミサキは間一髪で回避できたが、なぜ居場所がバレたのか分からなかった。
「巡航ミサイルと言い、こちらの動きを知っていたかのような行動。マダムの言う通り、まるで未来でも見ている様だな?」
『見えるって言ったら信じるか?お前らが倒されてる未来がなぁ!』
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アリウススクワッドのリーダー、錠前サオリは焦っていた。
何せ、
ミサイル、ロケット、チェーンガン・・・3種の兵装を絶え間なく撃ちまくり、スクワッドの行動を制限するトビシ。その間を突いて先生に近づこうとするミメシスは
さらに言うと遠くから徐々に戦闘音が近づいて来ている。
恐らく他の場所で戦っていたゲヘナかトリニティの風紀委員会に違いない。このまま戦闘が長引けば不利になるのはアリウス側だろう。負けはしなくてもこちら側の被害が極端に増える。
そもそも、巡航ミサイルで空崎ヒナにダメージを与えられなかったのが痛手だ。大聖堂の爆弾もすべて取り除かれ、別の場所に捨てられていたと聞く。ならば、それをやったのは誰だ?
間違いなく目の前にいる人物がやったに違いない。
「リーダーまずいよ。正義実現委員会と、ゲヘナ風紀委員会がこっちに来てる。さすがにその二つを抑え込めるほどミメシスは出せないよ。」
「ですが、あの二人もすぐに倒せるわけでもありませんし・・・どうしましょうかね?」
ミサキの報告とヒヨリのつぶやき、そのどちらもがこちらが不利をなことを表していた。
その瞬間、サオリはある決断を下す。
「ヘイロー破壊爆弾を使用する。」
サオリが懐から取り出した爆弾。ヘイローを破壊する爆弾の使用である。
しかし、懸念点が一つ。それはこの爆弾は一つしかないという点だ。
「・・・・問題はどちらに使うかと言う事だね。」
「これは空崎ヒナに使用する。あいつでは装甲に阻まれる可能性がある。」
トビシの装着しているパワードスーツでは十分に効果を発揮できるか不安がある。
それなら一番確実な空崎ヒナを狙おうと言う考えだ。
「私は回り込んでこれを使う。すまないがその間は3人であいつを引き付けてくれ。」
「わかった。姫、スモークを。」
姫と呼ばれた少女、アツコが周辺に大量の煙を展開する。
それはトビシの視界を完全に遮る程ではないが、射線を切り、姿を消すには十分だった。
しかし、それで止まるトビシではない。
『臆病者のネズミども!出てきやがれってんだ‼』
サーマルビジョンを起動し熱での索敵をするも、ミサキの発射したクラスターミサイルにより周囲の温度が上昇し、役に立たない。ミサイルで広範囲を攻撃するが、倒せたのはミメシスだけだった。
『いやな予感がするな・・・一旦、先生たちの方に行くか?』
そう考え、振り返ったトビシの背中に衝撃が走る。
見ると、そこにはランチャーを構えたミサキの姿。すぐに攻撃しようとするが、銃口を向ける前にミサキは煙幕の中に消えていった。
さらに背中に衝撃が走り、振り返る。今度は対物ライフルを構えたヒヨリの姿。またしても攻撃前に煙幕の中に逃げられる。トビシは
ヒット&アウェイ、まさに一撃離脱戦法である。
『小賢しい・・・』
しかし、その程度で勝てるほど、トビシは甘くはない。
視界を遮られる煙幕の中では複雑な連携はできない。ある程度パターンが決まっている。
そしてトビシは〈廃墟〉の中で、パターンの塊ともいえるオートマタやドローンを散々相手にしてきたのだ。すぐに相手の行動を先読みするなんて容易い事である。
『そこだっ!』
次にミサキが出てくるであろう場所に向けて、振り返りざまの蹴り。
もちろん視界が遮られていたミサキにそれが分かるはずもなく、腹部に強烈な蹴りをもらう。
そして次に来るであろうヒヨリに向けてロケット弾を構える。
『惜しかったなぁ・・・本当に。』
ガゴンッ!
放たれたロケットは煙幕から出てきたヒヨリの上半身にクリーンヒットし、凄まじい爆発を起こす。ヒヨリは声も悲鳴も上げることなく吹き飛ばされた。
そして最後に残ったアツコもトビシはすでに捉えていた。
『もう熱源探知はできちゃうぜ?』
ミサキのクラスターミサイルの余熱は無くなり、煙幕の中でも容易に捕捉できる。
トビシはアツコのいる位置に向けてありったけのミサイルを撃ち込んだ。
そして煙が晴れると、そこには気絶したアリウススクワッドの3人がいた。
しかし、スクワッドのリーダーである錠前サオリの姿が見えない。仲間がやられてもまだ隠れているとは考えられない。センサーや目視でも確認できない。そもそも、トビシを煙幕の中から攻撃するときに何もしてこなかった。サオリがもうすでに他の場所に行っている可能性が高い。
ミメシスが居るのに援軍を呼ぶとは考え辛い、となると考えられるのは・・・
『・・・まずいな。もしかしたら先生たちの方に向かったのか?・・・おとと、危ない。』
血を流し過ぎたのか、体がふらつく。意識もだいぶ危うい。
しかし、倒れるわけにはいかない。トビシは悲鳴を上げる体を気合で動かし、先生たちの方向へと全力で走っていった。
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”ヒナ!もうすぐで助けが来るよ!”
「わかったわ。援軍と合流したら先生はそのままその人たちに着いて行って。私はトビシの援護に向かうわ。」
”わかった!”
迫りくるミメシスを片っ端から撃破していくヒナ。
ずっと一人で戦い続けているにも関わらず、その顔には疲労は見えず、動きの鈍りもない。
そしてもう少しで風紀委員との合流もできる。
これで何とかなるだろう。あとは残った敵を相当するだけ、そう思っていた。
ミメシスを吹き飛ばす一斉射。大群が消し飛び、その隙にリロードをしようと銃口を降ろした時だった。すぐ近くの障害物から複数の敵が出てきた。もちろんヒナはすぐに反応し、銃身を鈍器の様に振り、一撃で複数体の敵を吹き飛ばした。残った3体を再度銃身で殴ろうとした瞬間――
「終わりだ。」
2体のミメシスに紛れる様に爆弾の様な物をこちらに放り投げるサオリの姿が見えた。
ヒナは、爆弾の一つどうと言う事は無い、と思い。あえ攻撃を受け、その隙にリロードを済ませようとした。
しかし、そのヒナと爆弾の間に入り込む一つの大きな影があった。
『させるかぁ!』
「トビシ!?」
「何っ!?」
全身を装甲に覆われたロボットの様な巨体が、ヒナを庇う様に前に出る。そして――――
ドォオオオン‼
凄まじい爆発音と共に、強烈な衝撃波が辺りを襲う。
しかし、ヒナはトビシの影に隠れて大した被害を受けずに済んだ。
「トビシ!大丈夫!?」
爆発が収まってすぐに、ヒナはトビシの安否を確認した。いくら装甲に包まれているとは言っても、自分の代わりに爆発を受けた者の心配をしない事はできない。
だが、爆発で起こった煙が依然として視界を遮る。
「ッ!・・・邪魔!」
ヒナは自身の羽を大きく広げ、風を起こす。
すると、ようやく煙は吹き飛ばされ、視界が晴れてくる。
そこには、全身から火花を散らしながらふらふらしているトビシの姿があった。
顔に当たる部分の前面装甲は剥がれ落ち、左のミサイルポッドは損壊・・・そして何よりも装甲が無くなり見える様になったトビシの顔は死人の様に青白かった。
『いがいと・・・すさま・じ・・・』
数歩進んだトビシは前に倒れる様に崩れ落ちた。
ヒナはすぐに駆け寄り、容態を確認する。
「大丈夫!?・・・しっかりして!」
必死に呼びかけるも、意識が朦朧としているのか反応が薄い。
その隙を付いて、サオリはヒナたちの背後を通り過ぎる陰に先生に接近していた。
その銃口はしっかりと先生をとらえている。このままでは先生が危ない。
しかし、それもすぐに徒労に終わる。
『さ”せ”る”か”っ”て”ん”た”よ”ぉ”!』
突如起き上がったトビシが左腕を向けると、先生とサオリの間に数個の球体の様なドローンが割り込む。そのドローンはお互いを青白い光の膜で繋いでおり、それがバリアのように銃弾を弾いた。
だが、サオリもそれが分かると、すぐに接近戦に持ち込もうとナイフを抜いた。
しかし、そこに一台の車がもの凄いスピードで割り込んでくる。
ヒナには見慣れた車両、ゲヘナの救急医学部の救護車両だ。
「させません!」
車の中からセナがグレネードランチャーをサオリに撃ち込む。
さらには、遅れて風紀委員会の車両も到着する。
「チッ!さすがに分が悪いな・・・撤退か。」
さすがにサオリも不利を悟ったのか、ミメシスに紛れて撤退を開始する。
追撃を考えたが、今はトビシの様子を見るのが先だ。
顔の辺りのは剥がれているが、体全体はまだ装甲に覆われていて様子は分からない。
しかし、倒れたと言う事はどこかしらに大きな怪我がある可能性が高い。急いで確認する必要がある。だが、どうやって外せばいいのか、ヒナには分からなかった。
「トビシ、これ外せる?セナ、こっちに負傷者!急いで‼」
『・・・ぅ・・・』
「お待たせしました、負傷者はどちらに・・・トビシさん!?」
こちらに近づいたセナもようやく気が付いたようだ。
先生もだいぶ慌てた様子で駆け寄ってくる。
”トビシ!何があったの!?”
「まずは応急処置・・・いや、今ここでの処置では焼け石に水です。近くの病院に運んで治療しないと間に合いません!」
「でも、このアーマーを外さないと・・・」
しかし、今のトビシはパワードスーツを纏っているため、救急車両に乗りそうにない。けど、状況は一刻を争う。トビシには申し訳ないがこれを破壊するしかないだろう。
「みんな離れて!これを壊すから!」
「ですが、そう簡単に行くものですか?」
「やってみないと分からないでしょ!」
”待って!・・・アロナ、どう?”
装甲を剥がそうと手を掛ける私を先生が止める。先生はいつも持ち歩いているタブレット端末を操作していた。すると、アーマーの背中の部分が開き、中が見えた。
”やった!セナ、早く!”
「・・・っ、はい!」
「・・・先生、どうやったの?」
”ちょっとハッキングしただけだよ。それよりも早く運ばないと。”
先生の言う通りだ。早く運び出そう、そう思ってトビシをアーマーから引きずり出した。
そしてその場にいた全員が絶句した。
先生は口を押さえながら表情を歪めた。
セナは涙を流しながら悔しそうに拳を握り締めていた。
風紀委員の車両から出てきたイオリやチナツ、アコは状況が読めていないのかポカンとしていた。
ヒナはただその光景を見る事しかできなかった。
それはそうだろう、何せ出てきたトビシの体は、私たちの想像以上にひどい物だったからだ。
まず、一番目を引いたのは左腕だった。肘より少し上の所で途切れ、傷口は血液で赤黒く変色している。雑に処置がしてあり、衣類の破けた部分を強く結んでいるだけにも見える。
さらには体の至る所から血を流している。腕よりも傷は小さいが、それでも全体的に見ればその出血は無視できるものではない。そこに腕からの出血も含めれば、今まで動けていたこと自体が奇跡だ。
「急ぎましょう!」
セナの声に全員が弾かれたように動き出す。
救急医学部は搭載された輸血液をありったけトビシに回し、風紀委員会は車を走らせ、道を確保する。先生はマップの確認とルート選択だ。私は救護車両の屋根に上り、周囲を警戒する。
そしてトビシを乗せた車は病院へと走り出す。
絶対に死なせない為に・・・
今回はここまでです。
ちょっと今回長めですな・・・調子に乗り過ぎたね。
それではまた次回・・・