誰がマジカルゴリラじゃい!   作:社畜だったきなこ餅

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担当さんより転載許可下りたので初投稿です。
こちらで連載していたTS魔法少女、あれの設定をブラッシュアップして脳筋お嬢様をクローズアップした感じの作品になります。

そして、友人に描いてもらった主人公がこちらになります。

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1話 マジカルパンチは破壊力

某県桜塚市の郊外に位置する自然公園。

 

この公園は町に昔からある歴史の深い原生林に手を加えて作られて自然公園であり、町の人々にとって大事な憩いの場であった。

 

休日に家族団らんに来る一家、ベンチに座りうたた寝する老人、遊具エリアで駆け回りはしゃぐ子供達。

 

そんな日常の一風景が流れる自然公園であったが、今は日常や平和とは程遠い情景が流れていた。

 

 

「イーモイモイモ!この自然豊かな公園は今日から俺様のモノだイモー!」

 

 

芋虫を巨大化させ、人間の手足をつけたような化け物。

 

通称『怪人』と呼ばれている、現代社会の敵がわざとらしい哄笑を上げながら公園を荒らすという、悪夢のような光景がそこには広がっていた。

 

突然現れた怪人に逃げ惑う市民、荒らされる公園の樹木や花々を見て項垂れる管理人の老人、イモムシ怪人が振るう暴力の余波で屋根が吹き飛ぶクレープ屋。

 

今の所目立った怪我人こそ出ていないが、それも最早時間の問題と言う状況。

 

安全な所まで逃げた市民がスマホで警察や消防に助けを求める混乱の中、親に手を引かれて必死に走っていた一人の男の子が石に躓いて転んでしまう。

 

一緒に逃げていた母親は膝をすりむいてしまった息子を頑張って立たせ、少しでも遠くに逃げようとするが……。

 

 

「イーモッモッモ!哀れな人間がいるイモねぇ!」

 

「あ、あ……」

 

 

その鈍重そうなその見た目とは裏腹にイモムシ怪人の動きは素早く、先ほどまで離れたところで暴れていた筈のイモムシ怪人が逃げようとしていた親子の前へと立ち塞がる。

 

せめて我が子だけでも守ろうとイモムシ怪人に背を向けながら我が子を抱きしめる母親、涙ぐましい親子の絆にイモムシ怪人は醜悪に口角を吊り上げながら石畳を発泡スチロールのように軽々と砕く腕を振り上げた。

 

 

しかし、その時である。

 

 

「オーーーッホッホッホッホ!イモムシ怪人、悪事はそこまでですわぁーーー!!」

 

 

混乱と恐慌と最中にある自然公園に、あまりにも場違いな女性の高笑いが響く。

 

突如響いたその少しアホっぽい高笑いにイモムシ怪人は逃げ遅れた親子めがけて振り下ろそうとしていた腕を止め、周囲を見回す。

 

しかしイモムシ怪人よりも早く、遠巻きに逃げ遅れた親子を心配して見守っていた一人の市民が街灯の上に立つシルエットに気付き、指さしながら叫んだ。

 

 

「あ、あれはまさか!? 魔法少女!」

 

「魔法少女が来てくれた!」

 

 

絶望に打ちひしがれていた人々が希望に沸き立ち、そこで漸くイモムシ怪人は自身の行為を言葉で制止した存在を見つけ、忌々しそうに歯軋りをしながら叫ぶ。

 

 

「くっ、貴様はまさか。魔法少女!」

 

「ええ、そうでありますとも!」

 

「魔法少女、マジカルゴリラだな?!」

 

「誰がマジカルゴリラじゃい!わたくしはマジカルウララですわー!!」

 

 

忌々しそうに街灯の上に立つ魔法少女めがけ叫ぶイモムシ怪人、一方非常に不名誉な呼ばれ方をした魔法少女は歯をむき出しにしながら怒鳴り返す。

 

マジカルゴリラと呼ばれた魔法少女の名誉の為に説明するなれば、彼女がゴリラと見まごうような風貌や肉体をしているという事では決してない。

 

 

女性と少女の中間、成長途上にある愛らしさと美しさを両立させたその顔付き。

 

レースとフリルをふんだんに盛り込まれた魔法少女の衣装、その隙間から見える引き締まりつつも筋肉が付きすぎていない均整の取れた体付き。

 

そして、これみよがしに主張している金髪とくるくるとまかれた縦ロールの髪型。

 

何処に出しても恥ずかしくない、美貌の魔法少女がそこにいた。

 

ならばなぜ、そのような魔法少女がマジカルゴリラなどと称されているのか?それは簡単な話である。

 

 

「市民の皆様方の憩いの場を荒らすのみならず、罪なき人達に拳を振るおうとするその蛮行。決して許せませんわ!」

 

 

とう!と言う掛け声とともにマジカルゴリラ、じゃなくてマジカルウララは街灯から飛び降り、そのままの勢いで逃げ遅れた親子からイモムシ怪人を引き離すべく飛び蹴りを怪人へ叩き込む。

 

その瞬間、まるでダンプカーに人が跳ね飛ばされたかのような轟音が辺りに響き渡ると同時に、蹴り飛ばされたイモムシ怪人は水平方向に吹っ飛んで公園の中心に位置していた風光明媚な噴水に直撃、哀れな噴水はイモムシ怪人の衝突によって粉砕された。

 

 

「ああああ!この自然公園設立当時からの名物の噴水がぁぁぁ!?」

 

「あ、やっべ。ですわ」

 

「手加減せぬか、タワケ!」

 

 

罪なき人々を救うためとはいえ、うっかりやらかしてしまった公共物破壊に思わず呟くマジカルゴリラ、そんな彼女に対して苦言を放つのは何処からともなく現れた尻尾がとても大きくふわふわしている狐のようなマスコット。

 

愛情込めて自然公園の草木、設備を手入れしていた年配の管理員がその惨状に思わず膝をつき悲鳴を上げている。

 

 

「えぇいやってしもうた事はしょうがない、こやつらは儂が安全なところまで連れていっておくから。ウララはあの怪人を仕置きするのじゃ」

 

「え、ええそうですわね!そっちは任せましたわ、コンコン!」

 

 

そんな哀れな市民の様子を横目に見ながら、狐っぽいマスコットはわざとらしく咳払いすると魔法少女にテキパキと指示を出す。

 

自身をサポートしてくれている狐っぽい愛らしい姿をしながらも、経験豊富なベテランマスコットであるコンコンの言葉に、マジカルゴリラは力強く頷くと元噴水だった瓦礫から身を起こし、立ち上がろうとしているイモムシ怪人へ突進していく。

 

ちなみに余談であるが、マジカルゴリラにはもう一匹マスコットがいるが……そっちはこの大変な時に『徳川埋蔵金探しに行ってくるのである』と書置きを残してお出かけしている。

 

 

「イーモイモ……流石は数多の怪人を屠ってきた剛力無双のマジカルゴリラ、がこのイモムシ怪人様がこの程度で」

 

「マジカルパンチ!!」

 

「ぐふぉぉぉっ!?」

 

「何かすげぇ音してる……」

 

「お前マジカルゴリラの戦い見るの初めてか?こんな音しょっちゅうだぞ」

 

 

ここからが本番だとばかりに立ち上がり直したイモムシ怪人は戦意を迸らせてマジカルゴリラを睨みつける、が。

 

怪人が立ち上がった時点で既に距離を詰めていたマジカルゴリラは、地面の石畳が砕けるほどの踏み込みと共に、イモムシ怪人のどてっぱらにゴリラ呼びされている怒りも込めて魔法少女の力で光り輝く鉄拳を叩き込む。

 

先進国の軍隊が採用している最新戦車の主砲が直撃したかのような轟音が辺りに響き渡り、どてっぱらに風穴が開く事こそイモムシ怪人は辛うじて逃れたが怪人の体はくの字に折れ曲がると共に一瞬白目を剥いて意識を喪う。

 

一方イモムシ怪人が悶絶するほどの勢いで叩き込まれた鉄拳が奏でた音にドン引きするのは見物していた市民、マジカルゴリラの戦いを見るのが初めてと思しき青年の言葉にベテラン見物人らしい市民が通ぶった態度を取りながら説明している。

 

 

怪人の方はと言えばそのまま意識を喪失して倒れ込みそうになっているも……そこは人間よりも遙かに強靭かつ頑強な怪人。

 

一瞬で意識を取り戻すと更なる追撃を放とうとするマジカルゴリラへ掌を向けて制止する。

 

 

「ぐ、ぐふぅ……ま、待てマジカルゴリラ!そのパンチ力は生命体に向けたらダメなヤツだ?!俺様はこれでも戦車並みに硬い外皮をしているのだぞ?!」

 

「わたくしはマジカルウララだと言っているでしょうが!」

 

 

イモムシ怪人が変わらず自身をゴリラ呼びしてくる事に、マジカルゴリラ……じゃなくてマジカルウララは憤慨しながらも素直に一旦引き下がる。

 

なおマジカルパンチの破壊力は、チタン合金やグラスファイバーなどの複合素材で構成された重戦車の装甲に対して、拳状の風穴を空ける程度の破壊力である。

 

話に聞いてた以上に無法極まりないマジカルウララの破壊力に、イモムシ怪人は碌に成果も得られていないが、撤退する事も視野に入れる。

 

だがしかし、マジカルウララがそのままイモムシ怪人を見逃すかと言えば……否であった。

 

 

「パンチがだめならキックを食らえですわぁー!!」

 

「違うそうじゃ……イモォン?!」

 

 

マジカルパンチの破壊力に対して抗議を申し入れたイモムシ怪人の外見めがけ、トンチで出し抜いてやったと言わんばかりに両足を揃えたドロップキックを叩き込むマジカルウララ。

 

思わず遠巻きにマジカルウララとイモムシ怪人の戦いを見ていた市民達は、一斉に脳裏で呟いた。

 

『違うそうじゃない』と。

 

 

その後は、それはもう無惨としか言いようのないイモムシ怪人が哀れになるほどの鉄拳制裁が怪人を襲う事になった。

 

確かにイモムシ怪人は自己主張した通り、非常に頑強かつタフであった。

 

 

「イーモイモイモォン!ゴリラよ、俺様の必殺技を食らうがいい!!」

 

 

下手な怪人なら一撃で戦闘不能になる鉄拳を数発叩き込まれても尚、イモムシ怪人はボロボロの体を奮い立たせ、起死回生の必殺光線をマジカルウララめがけて放つ。

 

 

「ていっ!ですわ!」

 

 

そして哀れな事にその起死回生の一撃はマジカルウララの気が抜ける掛け声とともに、片手で払われ雲散霧消した。

 

余りの光景に愕然とし、白目を剥くイモムシ怪人……しかし戦いが終わっていないにも関わらず呆然とするなど、隙を晒す以外何者でもないのは言うに及ばない。

 

 

「こいつでぇ!トドメ!ですわーーー!!」

 

「ぐわーーーーーーー!?」

 

 

イモムシ怪人の懐に飛び込んだマジカルウララは、一際強い光を右拳へ集め裂帛の気合と共にイモムシ怪人のどてっぱらに渾身のアッパーカットを叩き込む。

 

もはや満身創痍の身となっていたイモムシ怪人にその一撃に抵抗する力は残ってはおらず、哀れなイモムシ怪人はまるで打ち上げ花火のように上空へと打ち上げられ。

 

断末魔の叫びと共に光の粒子になりながら爆裂四散、自然公園に平和が取り戻された。

 

 

「わたくし、マジカルウララの勝利ですわーー!!」

 

 

イモムシ怪人の爆裂四散を見届けたマジカルウララは、頬に手を当てながら上機嫌極まりない様子で高笑い。

 

一方、圧倒的暴力で怪人を屠った魔法少女ことマジカルウララの活躍を見届けていた少年はぼそりと呟いた。

 

 

「マジカルゴリラって、魔法少女ってより日曜の朝にやってるお面ライダーみたい」

 

「シッ!静かにしなさい!」

 

 

唐突に失礼な事をほざく息子に母親は冷や汗を浮かべながら口を塞いで黙らせる。

 

なおマジカルウララが魔法少女っぽくないというのは、心配しなくても大体みんなの共通認識なのは言うまでも無かったりする。

 

 

この物語は魔法少女の力をフィジカルに全振りされてしまった、マジカルなゴリラが一切合切を正義の暴力でなぎ倒していく物語である。

 




【マスコット達による解説劇場~怪人について~】
「コンコンと」
「ロンロンの」
「「マスコット解説劇場―」」

「のうロン坊、コレ毎回やるのかの?」
「しょうがないのである、それよりも何で我輩吊るされているのであるか?」
「緊急事態と言うのに徳川埋蔵金探しに行っとったお主が悪い」
「無慈悲なのである」

「まぁそんな事はさておき、今回は怪人についての解説じゃの」
「我輩が吊るされているのをそんな事で片付けないでほしいのである、晩御飯抜きでひもじいのである」
「諦めい、ともあれ怪人じゃが……ぶっちゃけて言うと怪人とカテゴライズされておるだけで、発生原因は千差万別じゃ」
「酷いのである……あれであるな、悪の組織が改造したり合成して作った怪人もいれば大自然的サムシングの化身の怪人がいたり、宇宙から飛来した怪人までいるであるからなー」
「ついでに悪の組織もピンからキリまで結構いるからのう、だからこそマジカルゴリラ……じゃなくてマジカルウララのような魔法少女だけじゃなく、複数の魔法少女が日夜悪と戦い続けておるわけじゃがのう」

「だけどアレであるな、怪人に共通しているのは警察の皆さんでは対処が難しいぐらい強いって事であるなー」
「そうじゃのう、拳銃程度では怪人を倒す事は困難じゃし。怪人によってはライフルやバズーカ、下手すると戦車砲も耐えるヤツもおるからのう」
「ウララがしばき倒したイモムシ怪人なんてその判りやすい例であるな、ウララの鉄拳が戦車砲並の破壊力を連発してきたものだから、なすすべなく爆裂四散したけど」
「あやつのフィジカルと戦闘能力は魔法少女の中でも突出しているどころか、並ぶもの居らんからのう……」
「その代わり、魔法少女的なプリティでキラキラした光線とか一切合切使えぬであるな」
「そう言う適正はアヤツ、欠片も無かったからのー……」
「哀れ極まりないのである」
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