誰がマジカルゴリラじゃい!   作:社畜だったきなこ餅

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ちなみにメカゴリラの外見イメージはアレです。
殆ど人間系の見た目、ではなくFG●のメカエリちゃんとかそういうタイプのデザインです。


11話 敵か味方かメカゴリラ

 

悪の科学者ドクトル・イーストの指令を受け、魔法少女マジカルゴリラ(正式名称マジカルウララ)の撃破の為に飛び立った究極人型兵器メカゴリラ。

 

本拠地である富士の樹海にある研究所を飛び立った鋼鉄の乙女は軽々と音速飛行を達成し、目的地であるマジカルゴリラが主に活動しているとされる某県桜塚市の上空へ到達すると飛行姿勢を修正して着陸態勢へと移行する。

 

だが彼女はそのまま自身の耐久力を生かすかのような自由落下による着地と言う蛮行を犯す事なく、時折スラスターによる落下速度の減衰を行いながら金属質の体に不釣り合いなほどにフワリと言う表現が似合う着地を披露した。

 

 

「な、なんだ……?」

 

「メカ美少女……?」

 

 

メカゴリラが降り立った人通りの多い街中、当然そのような所に着地すれば人目に付く事は間違いなく……。

 

メカゴリラの姿を目撃した市民達は鋼鉄の乙女の姿に怪訝そうな表情を浮かべつつも、彼らの目には恐怖よりも戸惑いと好奇心の色が強く見えていた。

 

だがそれもやむを得ないと言えよう、メカゴリラのフォルムはドレスを纏った少女のような見た目でありつつも、ドレスを含め肉体を構成するパーツすべてが金属で構成されている。

 

平たく言うと美少女型ロボットとか、そう評される外見なのである。

 

明らかに化け物としか言いようがない怪人や怪獣に比べ、市民達の危機感が薄いのもしょうがないと言えるかもしれない。

 

そして、困惑する市民と同じようにメカゴリラも地味に若干途方に暮れていた。

 

 

「ミッション復唱シマスワ、マジカルゴリラノ撃破」

 

 

改めてドクトル・イーストからの指令を音声に出して再認識するも、どうやってマジカルゴリラを誘き出せばよいのか、その手段をどうするべきかと言う問題にメカゴリラは直面していた。

 

まず真っ先に浮かんだ手段は破壊活動を行う事でマジカルゴリラを誘引するというモノであるが、その手段をメカゴリラの陽電子AIは自ら却下する。

 

 

「破壊活動ナンテハシタナイ真似、オ嬢様失格デスワ」

 

 

メカゴリラは自身のパーソナリティ形成をマジカルゴリラの戦闘映像や情報を核として実行している。

 

ソレらの情報を下にマジカルゴリラが戦闘中口走るお嬢様、と言うワードを自己学習したことで彼女は造物主であるドクトル・イーストの思惑を思い切り逸脱し、鋼鉄の淑女足らんとするパーソナリティを形成してしまっていたのである。

 

ちなみにメカゴリラと言う呼称について彼女本人は不満に思うどころか、造物主に名付けられた名称として非常に強い誇りを抱いている。

 

この辺りはパーソナリティ形成の核としたマジカルゴリラとは大きく異なるところと言えよう。

 

学習対象となったマジカルゴリラ、じゃなくてマジカルウララに対してゴリラなどと繰り返し呼んだ時には顔面マジカルパンチ待ったなしである。

 

 

なお、狂気の科学者の創造物として思い切り失敗しているのは言うまでもない。

 

 

「市民ノ悲鳴、緊急車両ノサイレンヲ検知」

 

 

通信傍受の可能性を考え、自身からのドクトル・イーストへの通信は控えていたメカゴリラであるも現状を打破すべく指示を請おうとメカゴリラが通信を試みようとした時、彼女の高感度センサーが町の異常を検知する。

 

メカゴリラは緊急車両が慣らすサイレンの中心に位置する建物、現在も見える大きなビルへ視線を向けるとカメラアイの望遠機能を用いてビルの状況を観察する。

 

そこにあったのは、窓から黒煙を吐き出しているビルという異常事態そのものであった。

 

メカゴリラは検知した悲鳴の出所がそのビルだと理解すると、陽電子AIが命じるままに背中のプラズマスラスターを再展開する。

 

彼女の陽電子AIは即座に人命救助を選択したのだ、正義の科学者が作り上げたロボットならその選択は間違いないし称賛されるべき行動なのは言うまでもないが……。

 

狂気の科学者が作った対魔法少女ロボットとしては、根本的に思考回路が間違っているのは内緒である。

 

 

「警告、当機ハコレヨリ飛行形態ニ移行致シマスワ。安全ナ場所マデオサガリクダサイ」

 

 

メカゴリラは万が一にも市民がジェットによる被害が受ける事が無いよう警告を行い、市民達が戸惑いながらも慌てて安全圏まで下がった事を確認すると、地面に大きな罅を作りながら踏み込んで飛び上がり激しく黒煙を立ち上らせ始めたビルめがけて勢いよく飛行していく。

 

その姿はまさに鋼鉄の戦乙女、正義の化身と言えよう。

 

問題があるとすれば、繰り返しの説明になるが彼女が狂気の科学者が作った対魔法少女ロボットである事くらいである。

 

その飛行速度は周囲に配慮し音速に到達する事こそなかったが、黒煙を吐き出すビルの救助活動に向かうヘリを易々と追い越し、自身のカメラアイで捉えた窓から助けを求める人々の所へ急行する。

 

 

「ごほっ、ごほっ……ろ、ロボ少女……?助けに来てくれたのか?」

 

「肯定デスワ、掴マッテクダサイマセ」

 

 

背広を着こんだ男性は煤に塗れた顔を、空にスラスターから噴き出るジェット炎で滞空しているメカゴリラに呆気にとられると呆然と呟く。

 

男性の言葉にメカゴリラは肯定の意を示すと手を男性へ向けて差し伸べる。

 

 

「ごほ、ごほ……俺はまだ大丈夫だ、それよりも煙に巻かれて意識を失っているこの人から先に頼む……!」

 

 

自身が危機的状況にありながらも、足元でぐったりとしている同僚と思しき女性を抱え上げてメカゴリラへ託そうとする男性の姿にメカゴリラは己の陽電子AIが震えたかのようなエラーを感知し、ただ己の陽電子AIが求めるままに音声を紡ぐ。

 

 

「気高イ貴方ノ意志ニ敬意ヲ示シマスワ」

 

 

機械らしからぬ物言いに男性が驚きの表情を浮かべる中メカゴリラはぐったりとしている女性を受け取ると、女性の体を気遣いながら出せる最大速度で地上へと降下して救助活動に当たる救急隊員へ女性を託す。

 

そして再度ビルの上層部へ向けてメカゴリラが飛び立とうとした時、ビル火災の救助活動に訪れたと思しきターゲット魔法少女……マジカルゴリラを発見した。

 

瞬間的にドクトル・イーストからの指令を実行に移ろうとするメカゴリラであるも、先ほどの自身が危機的状況にありながらも他人を優先した男性の姿がメカゴリラのメモリに呼び出される。

 

そのメモリの映像に導かれるかのように、メカゴリラはマジカルゴリラへ向けて音声を放った。

 

 

「魔法少女マジカルゴリラ、当機ハ救命活動ヲ実施中デシテヨ。援護ヲ要請サセテ頂キマスワ」

 

「え? 渡りに船ですわ!その申し出受けましてよ!!」

 

「さらっとマジカルゴリラ呼びされているのである」

 

「タワケ、この緊急事態でそんな事言うとる場合か!」

 

 

メカメカしい少女型ロボットからの申し出にマジカルゴリラ、じゃなくてマジカルウララは一瞬マジカルゴリラ呼びされた事に突っ込みを入れようとするが、そんな事をしている場合ではないと彼女も理解していて。

 

メカゴリラの申し出を受けると、マジカルウララは鋼鉄の乙女と共に高層ビルで発生した火災事故の対処に当たっていく。

 

プラズマスラスターによる飛行活動により柔軟に救助活動を続けるメカゴリラと、マスコットであるコンコンが空中に作り出した板状の結界を足場に空中を駆け上がる事で救助にいそしむマジカルウララ。

 

火災の規模から犠牲者が出てもおかしくなかった高層ビル火災であったが、二人とマスコット達の活躍により重症者こそ出てしまったものの、命を落としてしまう犠牲者を一人たりとて出す事なく救助活動を終える事に成功する。

 

その頃には突如何処からともなく現れ魔法少女と共に救助活動を遂行した謎のメカ美少女、メカゴリラと名乗る鋼鉄の乙女を悪の組織の一員だとは誰も思う事はなくなっていた。

 

再三の説明となるが、メカゴリラは正義の科学者が作ったスーパーロボットではない。

 

狂気の科学者が作った対魔法少女ロボットである。

 

 

「メカゴリラさんですわね!貴女のおかげで犠牲者を防ぐ事ができましたわ!感謝致しましてよ!」

 

「なんかこう、そこはかとなくゴリラ……じゃなくてウララに雰囲気似ているのである」

 

「そうじゃのう」

 

 

自身の活躍を称える市民や警官に取り囲まれ困惑しているメカゴリラ、そんな鋼鉄の乙女にマジカルウララは満面の笑みを浮かべながら歩み寄り握手をしようと右手を差し出す。

 

メカゴリラは差し出されたマジカルウララへ向き直ると差し出された右手を見下ろし、自然な仕草で右手を差し出そうとして何かを思い出したかのようにその手を止めると、改めてマジカルウララの顔を正面から見据える。

 

その様子はさながら緊急事態で当初の目的を忘れていたうっかりさんが、今この瞬間目的を思い出したかのような人間的仕草であった。

 

 

「感謝ハ不要デスワ、何故ナラ貴女ハコレカラ私ニ倒サレマスノヨ」

 

「はへ?」

 

「え?」

 

 

そう言い放つとメカゴリラはうっかり差し出そうとしていた右手をマジカルウララへ向け、びしっと人差し指を向ける。

 

突然のメカゴリラの発言と行動に気の抜けた声を漏らすマジカルウララ、ついでに突然の事態に思考が周囲の市民の思考も追いついていない模様。

 

 

「ココデ戦ッテハ周囲ニ迷惑ガカカリマスワ、郊外ノ砕石場マデキヤガレデスワ!」

 

 

突然の宣戦布告にマジカルウララが呆然としているのを気に留める事なく、メカゴリラは勢いよくジャンプするとスラスターを展開して桜塚市の郊外にある砕石場へ向かって飛んでいくのであった。

 

呆然とソレを見送るマジカルウララと市民、ついでにマスコット2名。

 

 

「ええっと……と、とりあえず挑戦状を叩きつけられたからには応じるのがお嬢様の役目ですわね!」

 

「凄いのであるなメカゴリラ、あのウララを振り回しているのである」

 

「一周回って新鮮じゃのう」

 

 

何がどういう状況なのか未だに理解できていないマジカルウララであるも、挑戦状を叩きつけられたからには全力で応じねばならないと鼻息荒く拳を握りしめるのであった。

 

 




【マスコット達による解説劇場~災害時の魔法少女活動ついて~】

「コンコンと」
「ロンロンの」
「「マスコット解説劇場―」」

「と言うわけで今日も始まった解説劇場も、今回で10回目なのである」
「なんかソレどころじゃないトンチキな状況なのじゃが、こんな事しとる場合かのう」
「それはそれ、これはこれなのである」

「今回の解説は、今日あった高層ビル火災のような災害や事故に対して魔法少女がどのようなアプローチをしているかについてなのである」
「今回はメカゴリラが一足早く駆け付けて救助しておったのう、あやつ敵か味方かどっちなんじゃろう」
「どっちなのであろうなー、少なくとも我輩はメカ少女な魔法少女は見た事も聞いた事もないのである」
「儂もありゃせんわ」

「基本的にはケースバイケースと適材適所であるが、結構魔法少女が現場で救助に当たる事が多いのである」
「怪人や怪獣が出没する関係でレスキューや消防も充実しておるが、それでも対処しきれない事はあるからのう」
「さすがに大規模な自然災害だと限界はあるにしても、それでも色んな魔法少女が緊急時は駆け付けて人命を少しでも救おうと頑張っているのである」
「この前の大怪獣の時にいち早く駆け付け、破壊されたタンカーから可能な限り人命救助を行ったガールズプリンセスみたいな感じじゃのう」

「でもそれはそれとして超常の力を持った魔法少女とはいえ立場上一般市民なので、消防や市民もその辺りは弁えているようなのである」
「助けてもらえなかったことを恨む市民がいないわけではないが、全力を尽くそうとする少女を悪しざまに言う輩は少ないのう」
「昔、グレートウォー以前は結構そういう市民や団体が居たと聞いたのであるが……コンさん本当であるか?」
「おー、そう言えばそうじゃったのう。まぁ胸糞悪い話じゃし聞いて楽しいモノでもないから儂は深くは語る気もないぞ」

「あ、コンさんがこういうって事はガチなやつであるな。深くは聞かないのである」
「こういう時の危機察知能力は優秀じゃのうロン坊」

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