誰がマジカルゴリラじゃい!   作:社畜だったきなこ餅

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おきて破りの毎日更新、一応担当さんから苦い顔されつつも許可はもらったぜ!

多分今回の話は今までとはベクトル違いつつも、ぶっちぎりで酷い話だと思う。


13話 コンコンのコン活騒動

 

ソレはマジカルゴリラ、じゃなくてマジカルウララとメカゴリラが死闘を繰り広げた日から三日ぐらい過ぎた頃であった。

 

麗が日々を過ごしているお屋敷、その一室にあるマスコットのたまり場のお部屋の中は今。

鉛のように重たいのではないかと錯覚するような空気が充満していた。

 

その空気の中心にいるのはふわふわした毛に包まれコロコロした見た目の狐こと、マジカルウララのマスコットの内一名であるコンコン。

 

普段は麗に振り回されつつも経験豊富な立ち回りと冷静さを欠く事は殆どない彼女は今、これ以上ない程に不機嫌そうにしており時折ふわふわした尻尾で自身が寝そべっているソファを苛立たしそうに叩いていた。

 

ついでにいつもはいらん事を言ったり空気を読まない発言をすることに定評のあるロンロンは、コンコンの不機嫌さに怯え部屋の隅で丸まっている。

訂正、麗もロンロンと一緒に部屋の隅で怯えていた。

 

 

「ロ、ロンロン!あなたまた何かコンコンにしたのではなくて?!」

 

「知らないのである濡れ衣なのである!今回ばかりは我輩マジで無罪なのである!むしろウララの方が何かやったと我輩思っているのであるよ!?」

 

「わたくしがそんな事するわけがないでしょう!?」

 

「コンさんが苦心して調達したチェーンソーをこの前ぶっ壊していたのである!」

 

「う゛っ」

 

 

ひそひそと声を潜めながら互いに言い争うロンロンと麗。

 

ちなみに麗は現在右手を包帯でぐるぐる巻きにしており、不必要に動かさないよう首から提げる形で固定されている、マスコット達による治療と魔法少女パワーによる自己治癒のおかげで通常より回復は早いが、それでも爆発寸前のプラズマ融合炉を素手で掴んだダメージは未だ残っているらしい。

 

ともあれそんな事はさておき、段々と声が大きくなる勢いで互いが悪いと言い合っているロンロンと麗にコンコンは一瞥するように視線を向ける。

 

 

「喧しいぞ主ら」

 

「ひぃっ?!」

 

「そ、そのコンコン……チェーンソー壊したの、まことにごめんなさいですわぁ~」

 

 

まるでこの世全てを呪うかのようなどす黒い怨念を背負うコンコンの様子に、視線を向けられたロンロンと麗は互いに抱き合いながら怯える。

 

引き攣った悲鳴を上げてガタガタ震えてこの場から逃げ出そうとするロンロンを逃がさないよう、麗は抱きしめながら半泣きでコンコンに心当たりのあるチェーンソー粉砕を心から謝罪する。

 

コンコンは感情が読み取れない深淵のような瞳を二人へ向けたまま見詰めるも、幾ばくかの空白の後に大きくため息を吐くと纏っていたどす黒い怨念を和らげた。

 

 

「……いや、すまんのう。お主らは何も悪くないのに当たり散らすような真似をしてしもうたわ」

 

「え?そうなんですの?チェーンソーの事ももう怒ってませんの?」

 

「アレだけの死闘だったんじゃ、道具が壊れるのもやむなしじゃろう」

 

「よ、よかったですわ~~~」

 

「じゅ、寿命が縮んだのである……」

 

 

空気を軟化させたコンコンの様子に麗とロンロンは大きくため息を吐くと、たまり場のいつもの定位置へと戻り、何か聞きたげな視線をコンコンへ向ける。

 

一方視線を向けられたコンコンは何か逡巡する様子を見せつつも、憂鬱そうな表情を浮かべると自身の尻尾をまさぐり……封が開けられた一枚の封筒を取り出した。

 

 

「マスコット郵便であるな?通信が充実しているこのご時世に随分古風なのである」

 

「え?そうなんですの?」

 

「マスコット界ではペーパーレスが進んでいるのである」

 

「意外にもほどがある情報ですわ……ともあれ、その封筒がコンコンが不機嫌だった原因ですの?」

 

 

一体あの尻尾どんだけ収納できるんだろうなどとロンロンは思いつつ、取り出された封筒を見て珍しいモノを見たとばかりに呟く。

 

そのつぶやきに対して麗がロンロンに質問すれば、返ってきた説明に魔法の国へ抱いていたイメージが少し瓦解したと言わんばかりの表情を浮かべた。

 

 

「……儂の同期のマスコットがな、今度結婚すると書いてあっての。結婚式への招待をしてきよったわ」

 

「はへ?めでたいことだと思いますわよ?」

 

「待つのであるウララ!コンば……コンさんの同期って事は相当の!!」

 

「咄嗟に呼び方を改めた事は評価するがそれ以上を言うようならば、儂はお主をこの世から消さねばならなくなるのう」

 

「お口チャックするのである!!」

 

 

コンコンが封筒を小さな手で弄びながらのたまった内容に、麗は吉事なら別に良いじゃんと言わんばかりの表情を浮かべて発言する。

 

一方、コンコンが語った内容のヤバさを理解したロンロンは冷や汗を浮かべながら麗が無自覚な言葉の刃でコンコンを刺激する事を防ぐ為に、大慌てで要らん事を口走り……どす黒い怨念を再度背中に背負ったコンコンに脅されて自らの口を両手で覆いながらお口チャック宣言をした。

 

 

「あやつもあやつじゃ、江戸幕府が倒れたあの日……通算百回の婚活に共に敗北した時、互いに独身を貫くという断金の誓い交わしたというのに、裏切りよって……!!」

 

「……あの、どうしましょうロンロン。わたくし何を言えばいいのかしら?」

 

「沈黙が正解だと思うのである!我輩は何も聞いてないのである!」

 

 

コンコンが尻尾をゆらゆらと炎のように揺らしながら呪詛を撒き散らす様子に、コレ笑えばいいのか哀れめばよいのかわからないと言わんばかりの表情を浮かべた麗がロンロンへ問いかける。

 

一方事態のヤバさとコンコンの喪女拗らせっぷりを魂で理解したロンロンは、これ以上巻き込まれたくないとばかりに部屋の隅で丸まり両手で耳を塞いでいた。

 

割とこういう時に突っ込みやら場の空気を和ませるという意味で有能だったロンロンが、全力で逃げを打っている事に麗は少し困った様子で部屋の天井を見上げると。

 

今もブツブツと呪詛を撒き散らしているコンコンへふとした疑問をぶつける事にした。

 

 

「そんなに婚活に失敗したのなら、何か原因がコンコンにあるのではなくて?」

 

「ぐふぅっ」

 

「何言い出しているのであるか、このゴリラーーーー!?」

 

 

麗の口から放たれた火の玉剛速球と化した言葉の岩石、それは情け容赦なくコンコンを打ちのめした。

 

あまりにも無惨すぎる正論パンチに、部屋の隅で丸まって耳を塞いでいたロンロンが白目を剥きながら麗をゴリラ呼ばわりしながらツッコミを入れる始末である。

 

 

「ちょっとロンロン?真正面からゴリラ呼びするとは良い度胸ですわね」

 

「あんな正論パンチぶつける無慈悲な奴はゴリラで十分なのである!コンさん生きているであるか?!傷は深いぞがっくりしろなのであるー!」

 

「わしは、わしはもうだめじゃぁぁ……」

 

 

一瞬にして阿鼻叫喚の騒ぎに包まれるたまり場、思わずロンロンがソファの上で崩れ落ちたコンコンに駆け寄り必死な形相で呼びかけるほどである。

 

 

「わしは、わしはタダ生き方と在り方がまぶしい魂のイケメンとらぶらぶちゅっちゅしたかっただけなのじゃぁ……」

 

「あ、コレダメなヤツなのである。と言うかこんなコンさんみたくなかったのである……」

 

 

普段は割とキリっとした佇まいを崩さず、暴走しがちな麗とボケ倒しがちなロンロンを窘めるブレーキ役であり良心であったコンコン。

 

そんな彼女が割とダメな方向の欲望を口走る様子に、コレあかんヤツやとロンロンは白目を剥いた。

 

 

 

数時間後

 

 

 

「……みっともない無様な姿を晒したのう、申し訳ないのじゃ」

 

「い、いいえ、わたくしもノンデリ過ぎる発言でしたわ。ごめんあそばせ」

 

「我輩は何も見なかったのである」

 

 

完全にダメな状態になっていたコンコンを数時間かけてなだめすかし、なんとかいつもの様子を取り戻したコンコンは麗とロンロンに不覚を晒した事を深く謝罪。

 

謝罪された麗もまた自身が余りにも配慮に欠けていたことを謝り、ロンロンは自身の精神の安寧の為にも先の醜態なんて知らないという態度を示した。

 

 

「……儂は若い頃ぶいぶい言わしておってなぁ、世界の平和のために恋愛も投げ捨ててマスコット業に精を出しておったのじゃよ」

 

「凄い、立派ですわ!」

 

 

遠い目をしながら昔語りを始めたコンコンの言葉に、麗は素直な気持ちからコンコンの立派さを称える。

 

一方ロンロンは、いや絶対コレなんかあったぞと言わんばかりの姿勢で静観を貫く。

 

 

「儂には仲の良い幼馴染の男がおってのう、子供だった頃は互いに大人になったら結婚しよう。なんて無邪気に言い合っておったわ」

 

「まぁ、甘酸っぱいですわ!」

 

 

通り過ぎた思い出を噛みしめるかのように呟くコンコンの言葉に、ゴリラではあるも花の女子高生でもある麗は目を輝かせてコンコンの想い出話に耳を傾ける。

 

一方ロンロンは、でも今コンコンが独身って事は……という事に気付くと、無言で天井を仰ぎ見た。

 

 

「儂は正義の為にマスコット業に身を捧げた、あの男もそんな儂を応援してくれてのう……でも気が付いたらのう、姉に男を寝取られておった……」

 

「おおう……ですわぁ」

 

 

今思い出しても辛いのか、目尻に輝く何かを浮かべながら言葉を絞り出したコンコンに麗は絶句。

 

ロンロンは何も言わず天井を見上げたまま、自身の目頭を手で押さえた。

 

 

「それから儂はマスコット業に更に打ち込んで、まだ人間が腰に刀を提げていた頃に放っておけない稚児を保護してのう」

 

「まぁ、そうなのですね!」

 

「腰に刀って……何時の時代の話であるか……」

 

 

さらに続くコンコンの独白、しかし新たなコイバナの予感に麗は気を取り直すとコンコンの話に相槌を打ちながら耳を傾ける。

 

ロンロンはいつの時代の話やねん、と声を大にしてツッコミたくなっていたが藪蛇はいやなので小さく呟くのみである。

 

 

「その時儂はもういっそ人間でもいいかな、と思っておってのう。人間変身してその稚児を育て導いておったんじゃよ」

 

「え、コンコンって人間に変身できますの!?初耳ですわー!」

 

「経験豊富かつ実力のあるマスコットしかできない秘儀であるなー」

 

 

さりげなくとんでもない事を口走ったコンコンの言葉よりも、人間変身と言う言葉に食いつき驚愕する麗。

 

ロンロンはコンコンの口走った内容を理解しつつも、敢えて聞き流しつつ麗に対して補足説明をする事でこの後のオチに備えている。

 

 

「そしてアレは、忘れもせぬ……実家によりつこうとせぬ儂を心配してやってきた妹、あやつめ……儂が丹精込めてそろそろ収穫しようと思っていたあの子を、一目惚れとか抜かして掻っ攫いよったぁ……!」

 

「……む、惨過ぎますわ」

 

「もう、なんて言ったらよいのかわからねえのである」

 

 

まさかの実の姉妹の手による2連続寝取りが直撃したコンコンの壮絶な恋愛遍歴に、言葉を失う麗とロンロン。

 

余りにも無惨な内容に部屋の中に御通夜じみた空気が満ち、その空気を振り払うべく麗はことさら明るい声音でコンコンへ質問をぶつける事にした。

 

 

「そ、そういえばコンコン!あなたはどんな男性が好みなんですの!?」

 

「そうじゃのう……」

 

 

多分ソレ聞いちゃダメなヤツなのである、と言うに言えなかったロンロンが見守る中コンコンはぼんやりと天井を見上げて口を開いた。

 

 

「贅沢は言わぬから……誰よりも儂を愛して優先し、家事万能かつ文武両道で生活に困窮せぬ程度の財力を持ち。その上で悪党にも屈しない程に心も体も強い、そんな益荒男が好みじゃのう」

 

 

しみじみと噛みしめるように呟くコンコン。

 

その発言の内容にロンロンは思わず麗へ視線を向け、ロンロンから視線を向けられた麗は首を横に振る。

 

 

「なんじゃ主ら、言いたい事あるならハッキリ言わぬか」

 

 

そんな一人と一名の様子に、コンコンは何か言いたいなら言えと言わんばかりの口調で言葉を紡ぐ。

 

コンコンのその言葉に麗は再度ロンロンへ視線を送り、ロンロンは我輩が言うのであるか?!と言わんばかりの表情を浮かべるが、麗からアイコンタクトで煮卵一週間食べ放題と告げられると心の底から嫌そうにしながらも麗の命令を受諾した。

 

 

「コンさんコンさん、多分そんな事言っているから婚活100連発で失敗したんだと我輩思うのである」

 

「ぐふぅ」

 

 

ロンロンからの心からの忌憚なき意見に、コンコンは断末魔じみた声を上げるとソファに力なく倒れるのであった。

 

 

 

 

 




【マスコット達による解説劇場~マスコット恋愛事情~】
「ロンロンの」
「マスコット解説劇場―」

「今回はコンさんが心の複雑骨折で欠席なので、我輩が手短ながら11回目の解説をお送りするのである」
「と言っても我輩も恋愛相手おらんから、伝え聞いた話やらなんやらになるのであるがそこはご了承してほしいのである」

「我輩たちマスコットの恋愛であるが、まぁ普通にマスコット同士でお付き合いしたりなんやりしているのである。適齢期のマスコット向け恋愛雑誌やら結婚雑誌やらもあるのであるよ」
「中には人間と恋愛して家族を作ったりしてるマスコットもいるであるし、マスコット学園で読んだ資料だと改心した怪人と恋愛したマスコットの話もあったであるなー」

「ちなみにコンさんが姉と妹に寝取られたと嘆いておったが、流石にアレは我輩も不憫すぎるとは思うのである」
「我輩が麗の家の世話になってそこそこ経つであるが、コンさんが実家に帰る様子欠片もない辺り今も家族に対して隔意ありそうであるなぁ……まぁ、うん。正直しょうがないと思うのである」
「我輩?我輩の家族事情なんてどうでも良いのであるよ、まぁそのうち話すから気にしないでOKなのである」

「こんなところであるかなぁ、一人だと解説も何もないから大変なのである。コンさん早く復帰してほしいのである」
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