誰がマジカルゴリラじゃい!   作:社畜だったきなこ餅

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ちなみに本作は担当さんに投稿前原稿チェックしてもらい、適時追指示などを貰って描いております。
しかし、「コレ割とアウトかなー?」ていう描写は内容は全部OK出してくれるので大好きです、でもたまにほんとにオッケーか不安になる。


24話 母の祈り、憎悪の呼び声

 

 

「ロンロン、お前の出生と宿命を語る前に。まずはお前の故郷である竜の巣について語る必要がある」

 

「竜の巣、であるか……でもぶっちゃけ、我輩そんな世界聞いた事ないのであるよ?」

 

 

ゆっくりと口を開いた亀の院長が語る内容に、ロンロンが小さな手を挙げてそんな世界は最近まで知らなかったと述べる。

 

ただの勉強不足や偶然知らないだけならともかく、前にウェルロスと名乗る雌竜と遭遇した後ロンロンなりに調べ直したのだが、それでもなおその情報の痕跡を辿る事が出来なかった事がロンロンの疑問の理由である。

 

 

「……それもそうじゃろう、グレートウォーが終結すると同時に竜の巣の情報は全て破却されたのじゃよ」

 

「え? ソレ、マジであるか?コンさん」

 

 

ロンロンが口にした疑問に答えたのは亀の院長、ではなく隣で静かにお茶を啜っていたコンコンであった。

 

コンコンはロンロンの疑問に対し小さく頷くと視線で亀の院長に話して良いか問い、院長が静かに首を縦に揺らしたのを確認した上で言葉を紡ぎ始める。

 

 

「竜の巣と言う世界は強大な武力を誇っておった、成竜は単騎で無双の強さを誇っておった上に組織だった戦闘行動をとれる上に高い知性を持っておったからの」

 

「ならば猶更記録に残ってないとおかしいのである、滅んだにしろそうでないにしろ。そんな危険物まっしぐらな世界なら、何かしらの情報は魔法の国のデータベースにあって然るべきなのである」

 

 

訥々と語るコンコンの言葉にロンロンはお茶を一口啜り、異議を唱える。

ちなみに麗は話についていけず途方に暮れ、亀の院長が魔法で用意したお菓子をハムスターのように頬張っている。

 

麗の名誉の為に付け加えるとするならば、彼女は決してオツムが弱い娘などではない。

重ねて言うとしたら、単純に話についていけていない一般通過地球人(魔法少女)なだけであった。

 

 

「竜の巣は魔法の国と不可侵を結んでおったグレートウォー以前に限らず最中では幾度か竜達が救援したこともあるぐらいには国交があったのじゃ」

 

「え゛? マジであるか? でも、なんでそれで記録が消されたのである?」

 

「もきゅもきゅ……仲良かった国なら、普通記録残りますわよね」

 

 

コンコンが説明した内容に見た事もない故郷が、かつてはしっかり魔法の国と国交を結んでいたと知り愕然とするロンロン。

 

魔法の国の老舗が出したモノの証明である刻印がされたお饅頭を頬張っている麗も、頬張っていた中身を飲み込むと不思議そうに首を傾げる。

 

 

「何故記録が抹消されたのかは儂も知らぬ、だが……当時の竜王でありロンロンの父親であろう竜が突如全世界に宣戦布告をしたのじゃ」

 

「ふぁーーーーー!?」

 

「はへ?」

 

 

竜の巣の王子(暫定)のロンロン、コンコンから放たれた特大の事実に思わずトンチキな絶叫を上げる。

 

なお事の重大さを理解していない麗は目を点にし、頭の上にはてなを浮かべた。

 

 

「いやいやいや!おかしいのである!全世界ってもしかして魔法の国やソレに連なる世界のみならず、当時ヒーローが跳梁跋扈していたっていう地球にもであるか?!」

 

「その通りじゃ」

 

「アホなのである!我輩の父上、核弾頭級のアホだったのである!!」

 

「ろ、ロンロン? 元気をお出しなさい、貴方もアホだけど良いアホですわ!」

 

「慰めになってないのである!!」

 

 

ロンロンが何故ここまで自分の父親(暫定)の所業に絶望の叫びを上げたのか、それにはしっかりとした根拠と理由が存在する。

 

現役で元気に大暴れしているマジカルゴリラ、じゃなくてマジカルウララも規格外の暴力を誇る魔法少女であるのは今更説明不要の事実である。

 

そして、グレートウォーの真っ只中だった時代はそんなマジカルウララ級のヒーローやらなんやらが結構な数活動していたと言えば、ロンロンが絶望するのも理解できると言えよう。

 

 

「その後、数多の世界や国に竜達は襲撃を始め。そして竜王を含めた者達は当時のヒーロー達に成敗されて命を落とした、と言うのが事の顛末じゃ。これだけならば記録を抹消する理由になるわけがない」

 

「そ、そうなのである。いやまぁ、うん。やらかした竜の巣が敗北の歴史を抹消するのは理解できるけど……攻められた側の魔法の国の記録がないのはおかしいのである」

 

 

コンコンからの説明にロンロンは首を縦に振り、だからこそ何でそんな事になったのか理解が出来ず困惑の声を上げ。

 

その真実の一端を知るであろう人物、亀の院長へ視線を向ける。

 

 

「……ああそうとも、儂は知っておる。ロンロン、お主の卵が預けられてから儂はかつて務めていた仕事の繋がりを以て、調べたからの」

 

「教えてほしいのである、亀爺ちゃん」

 

 

ロンロンの真っすぐなまなざしに亀の院長は逡巡するそぶりを若干見せつつも、口を開く。

 

 

「竜の巣を治めていた竜王、その竜王自身が息絶える前に自身を討伐したヒーローへ告げた言葉が起因しておる。かつての竜王はこう言ったそうだ『我ら竜を、そして竜の巣の痕跡を消せ。憎悪の呼び声を広めてはならぬ』とな」

 

「……何がどういう事である? なんで宣戦布告した挙句討伐された竜王がそんな遺言を残す必要があったのであるか?」

 

 

亀の院長が放った言葉、その言葉のおかしさにロンロンは耐え切れず困惑した声で質問をぶつける。

だが一方で、コンコンは何か考え込む仕草を見せていた。

ついでに麗は裏庭を軽やかに飛ぶちょうちょに視線を取られていた。

 

 

「儂にも何故そうなったのかはわからぬ、だがお主に付けられるはずだった名前。古き竜達の言葉で『終焉を齎すモノ』と言う意味を持つバハムートと言う名、ソレが関係しておると儂は見ておる」

 

「バハムートて……地球のゲームに出てくるドラゴンじゃあるまいし、何言っているのであるか亀爺ちゃん」

 

 

亀の院長が重苦しく語ったその言葉に、自身の事だとは到底信じられないロンロンはお茶を啜りながら呑気に呟く。

しかし、コンコンが続いて呟いた内容にロンロンは凍り付いたかのように動きを止めた。

 

 

「ロン坊よ、今こそ記録を抹消されて調べる事は出来ぬがバハムートと言う名は笑い飛ばせる程軽いモノではないぞ?」

 

「マジであるか? コンさん」

 

「マジじゃとも、複数の世界でも同一の単語が同じ意味を齎す事はあるじゃろうて」

 

「地球の歴史でもたまーにある不思議現象ですけど、魔法の国でもそう言う事はあるんですのね……」

 

 

そんな事言われても、記録抹消されていたら調べようも何もないのであるー。とロンロンは抗議の声を上げ、そんなロンロンを窘めるように麗はロンロンのお腹へ手を伸ばしてもちもちし始める。

 

 

「横から失礼しますわ院長さん、うちのロンロンがバハムートと名付けられようとしていたというお話ですけども。そんな名前つけられるぐらいの、竜王の子供なら大事に育てられるんじゃありませんこと?」

 

 

やめるのであるー、と抗議の声を上げながらも麗の手によってお腹をもちもちされるロンロンの声を聞き流しながら問いかけた麗の言葉に、亀の院長はゆっくりと頷いて見せる。

 

 

「仰る通りですじゃ、本来ならばロンロンは孤児院に預けられる事など無いはずだった。しかし、そうせざるを得ない理由があったのです」

 

「その、理由とはなんですの?」

 

「……ロンロンの卵を儂に託す時に彼の母は、『この子は世界に災厄と終焉を告げる子なんかじゃない』とうわ言のように、縋るように呟いておりました」

 

 

亀の院長が語る内容に、麗もロンロンもそしてコンコンも息を呑む。

 

 

「しかし儂も記録が抹消される寸前に調べたのですが、バハムートと言う竜はどのような形であれ終わりを告げるモノとして語られる事はあれども。災厄を告げるモノとして語られた事は無かった……ここに、ロンロンの母が命を懸けて卵を持ち出した理由があると考えております」

 

「……とりあえず、情報が次から次に出て我輩頭から煙出そうなのである。ちょっと整理したいのである」

 

「そうじゃのう、まずこういう時は事実から並べて整理するのが近道じゃ。折角じゃし麗、ボード出すから書き出してほしいのじゃ」

 

「合点承知ですわ!」

 

 

ロンロンが卓袱台に突っ伏し呻き声を上げるのを眺め、コンコンは尻尾からA3サイズぐらいのホワイトボードを取り出すと麗に油性ペンと一緒に渡す。

 

ソレらを受け取った麗は、思った以上にきれいな字で今までの話で分かった内容を書き出していく。

 

書き出された内容は以下の通りとなる。

 

【事実部分ですわ!】

・ロンロンは瀕死の重症を負ったお母さんに卵の状態で託された。

・その時バハムートと言う名前を聞いたが、院長さんはお母さんの遺志を受け取りロンロンと言う名前を付けた。

【裏付け撮れてない情報ですわ!】

・ウェルロスって名乗った竜女はロンロンのお母さんの妹?

・王子って呼んでたけど、なんか怪しいですわ。

・と言うかあの女何か企んでそうですわ。

【気になったところですわ!】

・ロンロンが預けられたのって、竜王?さんが討伐される前と後どっちなのですわ?

・ロンロンが王子だとしたらお母さんはお妃様ですわ、そんな人を瀕死に追いやるなんて犯人は誰ですの?

 

 

「こんな感じですわ!」

 

「タワケ、半分以上ウララの主観ではないか。やり直しじゃ」

 

「そんなー、ですわー!」

 

 

書けた!と元気よくホワイトボードを掲げた麗に対し、コンコンはジト目を向けながら溜息と共に却下を突き付け、一生懸命書いたのにダメ出しされた麗は涙目になる。

 

しかし、そのホワイトボードの内容を見てロンロンは何かに気付いたかのような表情を浮かべた。

 

 

「亀爺ちゃん! 我輩の卵が預けられたのはもしかして、竜王が倒された直後であるか?」

 

「……そうじゃのう、言われてみればその通りじゃ」

 

「そうなると、一番怪しいのはあのウェルロスって女になるであるが……うーーん」

 

「どうしたんですの? ロンロン」

 

 

ロンロンの質問に対して亀の院長が答えた内容に、ホワイトボードに追記していた麗がロンロンが首をひねって考え込んだのが気になって声をかける。

 

 

「仮にあのウェルロスも竜王の子を産んでいて、自分の子を次の竜王にする為に我輩を亡きものにしようとしたという可能性考えたのであるが、そうすると我輩を探していたというのが動機にならないのである」

 

「確実に亡き者にする為に行き先を探っていた、と言う可能性はないかの?」

 

「それこそリスクが高いのである、少なくとも我輩がウェルロスの立場なら探さないであるし……我輩にあそこまで執着しないのである」

 

 

ロンロンが何かほかに見落としがあるような気がしてならないのである、と呟いたその時。

突如、孤児院の建物の入り口から複数の悲鳴が響いてきた。

 

 

 





【マスコット達による解説劇場~終焉を告げる竜王、バハムートについて~】
「ロンロンと」
「コンコンの」
「「マスコット解説劇場ー」」

「と言うわけで本編の緊迫感とは無縁の解説劇場、ちゃっちゃとやってくのである」
「素朴な疑問なのじゃが、コレって時間軸どこにあるのじゃ?儂が寝込んだ時には儂欠席したしのぅ」
「ソレは神も悪魔も知らない秘密なのである」

「ともあれ今回は竜王バハムートについての解説であるが、バハムートって結局なんであるか?メガな規模のフレアぶっ放す召喚獣であるか?」
「残念ながら外れじゃのう、まぁ儂も深く識っておるとも言えぬが」
「じゃあ結局何であるか?」
「平たく言うとバハムートは、何かしらの『終焉』を司る力を持った竜に与えられる称号であり、名前と言ったところかのう」
「さっぱりわけわかんねえのである」
「安心せい、詳しく知るとしたらあのウェルロスと言う雌竜ぐらいじゃろうな」
「カケラも安心できねーのである」

「しかし仮に我輩がそのバハムートであるとして、我輩は何に終焉を告げるのであろうなぁ」
「そりゃ決まっとるじゃろ」
「そういうと?何であるか?」
「シリアスに終焉を告げる竜王じゃろ、お主」
「無慈悲すぎない?」
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