誰がマジカルゴリラじゃい!   作:社畜だったきなこ餅

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ちなみに本作におけるキャラクターの経験イメージは下記の通りです。

シューティングスターさん:某なのはさんで言うと無印とA'sを終わらせたぐらいの経験値
ガールズプリンセス:長編3クール分ぐらいのアニメ1作を終わらせたぐらいの経験値
ロリな魔法少女(カチコミ不参加):某プリティでキュアキュアな物語を1年分終えたばかりの経験値
ブラックナイトこと爺や:戦隊ヒーロー1年分+劇場版三作分ぐらいを終えて引退した経験値

マジカルゴリラ:現在進行形で自身の物語を進めて成長中


大体こんなイメージ


27話 集まる力、手繰り寄せた道筋

 

 

突如このタイミングで判明した、爺やが実は元戦隊ヒーローの一員だったという衝撃の事実。

 

その衝撃は、きっかり1分間……正体を白状した爺やが心配するぐらい麗の動きと時を止めた!

 

 

「え、えええぇぇ、マジですの? いやマジなんですわよね、だって爺や変身していますもの」

 

「お嬢様、落ち着きになってください」

 

 

はわわわわ、と口走りながらハニワみたいな顔で混乱真っ只中な発言を醸し出すトンチキお嬢様こと麗の発言に、爺やは変身した姿のまま手際よく変身前にテーブルにさりげなく置いたトレイを手に取りその上に載った紅茶を麗へと差し出す。

 

 

「ふぅ……落ち着きましたわ、でも爺や。かなり外装がボロボロみたいですけど、大丈夫ですの?」

 

「問題ありませんとも、昔のように力強い戦い方は出来ませぬが経験と技術は衰えておりませぬ」

 

「そう言えば爺や、わたくしのロードランニングやスパーリングに付き合っても、欠片も疲れた様子見せてなかったですわ……!」

 

 

しかしそうなると心配になるのはスーツやマスクに無数にある罅や損傷、思わず大丈夫かと問い掛ける麗であるが爺やは心強い言葉と共に自らの胸を叩き、心配はいらないと振る舞う。

 

ちなみに麗が負傷してまともに魔法少女として活動できなかった間、応援の魔法少女が対応する前に即応して怪人を始末していた人物もまた爺やその人であるのは、麗どころかコンコンやロンロンすら知らない秘密である。

 

そうやって話していると部屋の中に魔法ゲートが出現し、そのゲートから調べもので席を外していたコンコンが現れる。

 

 

「戻ったぞウララ、幾つかの朗報と問題点について話し合いを……なんかヒーローがおるぅぅぅーーー!?」

 

 

コンコンは麗へ顔を向けると調査で得た情報を共有しようとし、続いて目に入ってきた麗の目の前にいる傷だらけで真っ黒なスーツに身を包んだヒーローの姿に度肝を抜かれて叫んだ。

 

 

「落ち着いてくださいましコンコン!こちらのヒーローは爺やですわ!」

 

「うそじゃろ!? 只者じゃない身のこなしとは思っておったが、そんな痕跡微塵もみあたらなんだぞ!?」

 

「昔は正体を隠すのが常でありましたからなぁ、昔取った杵柄と言うヤツです」

 

「それでも大概じゃろ!?」

 

 

コンコンは麗の言葉に信じられないと言わんばかりに叫び、そんなコンコンに対してスーツに身を包んだヒーローは顎に手をやりながら爺やそのものな声で話すものだから、コンコンはあれだけ身近にいたのに察知をすり抜けていたという事実に自分の能力に対して若干自信を喪失した。

 

そうしている間に、室内にいる麗に対して外からメイドが来客が到着したと声をかけてきたので……麗は二人に対して席を外す旨を告げると、扉を開けて出ていく。

 

残されたのは変身したままの爺やとコンコンで、コンコンは変身した爺やの姿をじっと見つめると大きな溜息を吐いた。

 

 

「ま、まぁよい……しかし、お主大丈夫かの? 最早まともに戦える体ではないじゃろうに……」

 

「大丈夫ですとも、昔ほど無理は効きませぬがロンロン様を連れ戻すまでは持ち堪えて見せますよ」

 

「その代償にお主が命を落としてはいかぬぞ? ウララもあのタワケもお主には懐いておるんじゃからな」

 

 

コンコンがジッと見て改めて気付いた事、それは爺やの体は生きているのが不思議なほどに傷ついてしまっているという事実であり、だからこそコンコンはそれでも命を燃やして誰かの為に戦おうとするヒーローの身を案じる。

 

しかしコンコンの言葉に爺やは、マスクに隠れ表情が見えないはずなのに確かに優しい笑みを浮かべていると確信できるような声音で、力強く言葉を紡ぐ。

 

 

「大丈夫ですとも、お嬢様のお子様を抱き上げるまではこの老体死ぬつもりはありませぬ」

 

「……そうじゃのう、そのぐらいの気概でいてもらわんと困るわい」

 

「何か失礼な事を言ってしまいましたかな?」

 

 

なお爺やの力強い言葉は、さりげなく婚活100連敗を経験している喪女狐マスコットの心に引っかき傷をつけた。

 

しんみりしたと言うべきか、しんなりしたと言うべきか表現に困る空気に部屋の中が満ちた頃、勢いよく部屋の扉が開け放たれる。

 

 

「爺や!コンコン!昴さんが駆けつけてくれましたわ!」

 

「儂が出かける前に連絡したと言っておったがもう着いたんじゃのう、結構離れた地域に住んでおるはずなのに」

 

「変身して爆速で飛んできてくれましたわ!」

 

「麗ちゃんのあれだけ途方に暮れた声を聞いたら、そりゃ居てもたってもいられ……なんかヒーローいるぅぅぅぅぅーーーー!?」

 

 

麗の元気いっぱいな言葉にコンコンが良い友達を持ったのう、としみじみ呟く中。

若干恥ずかしそうにはにかみながらも、魔法少女シューティングスターの姿でひょっこり開け放たれた入口の脇から顔を出した昴。

 

彼女は心配でいてもたってもいられなかったと言いながらも、その言葉は途中で部屋の中に立っている爺やが変身した星光戦隊スターナイト・ブラックナイトの姿を見た事による驚愕の叫びで上書きされた。

 

 

 

閑話休題

 

 

 

若干の混乱と混沌で大騒ぎになったものの、そんな事してる場合じゃないというコンコンの一喝により場の混乱は一旦落ち着きを見せた。

先ほどまで変身していた爺やもいつの間にか変身を解き、今は甲斐甲斐しく給仕をしている。

 

 

「こほん、さっきは混乱してごめんね。コレをゼフィーちゃんから預かってきたわ」

 

「なんですの?コレ」

 

「魔法の国の御姫様ことゼフィーちゃんをすぐに呼べる魔法のホイッスルだって、向こうの王族が緊急招集する時に使うアイテムらしいの」

 

「なんちゅうとんでもないアイテムよこしてくるんじゃアヤツ……」

 

 

机の上にコト、と音を立てておかれた奇麗な彫刻が施されたホイッスルを手に取り不思議そうな声を出す麗、そんな彼女にホイッスルがどういうモノか説明する昴。

 

割ととんでもない、コンコンですら噂でしか聞いた事のないアイテムの存在に思わず白目を剥いて天井を見上げる始末である。

 

 

「ついでに伝言を預かってきたんだけど、まぁ平たく言うと『遠慮なく呼んでほしい、伝説に聞く竜達を相手に取るは戦士の誉れ』らしいの」

 

「ゼフィーさん達のお国って、魔法の国の島津とかそういう類ですの?」

 

「……割とあの国の戦士や王族の血の気が多いという事実は、儂も否定せぬ」

 

 

なんか武士の誉れとかそういう雰囲気が甚だ強い、頼りになる魔法少女仲間の伝言に思わず麗は浮かんだ疑問をオブラートに包むことなく言葉に放つ。

 

だよねー、と頷く昴に対し事情を知るコンコンは気まずそうに目を逸らして呟くのみであった。

 

余談であるがゼフィー達の一族が治める国は、魔法の国界隈の中でも割と特殊過ぎる存在なのは言うまでもない。

 

 

「しかしスバルよ、お主に来てもらっておいて申し訳ないのじゃが……実は」

 

「まだ場所がわかってないんでしょ? そこは気にしないでいいよー」

 

「うぅ、なんか申し訳ないですわぁ~」

 

「気にしないでいいって麗ちゃん」

 

 

コンコンが言おうとした言葉を先回りした上で、気にしないでいいと笑みを浮かべて言い放つ昴に麗はシュンとしながら謝るが、だから気にしないでいいと昴は笑う。

 

どんな時でも自分が絶対無敵と信じてやまない程に普段から声音に自信が満ち満ちている少女、そんな麗が萎びているかのような声で電話をかけてきたのだから、彼女からして見たら駆け付けない理由がなかっただけである。

 

星空 昴こと魔法少女シューティングスター、彼女は数多の魔法少女達から自身を慕う後輩も慕わない後輩も等しく面倒を見ているベテラン魔法少女であり、後輩が本当に困っているときは決して見捨てないと心に誓った誇り高き魔法少女であった。

 

なお彼氏はまだいない模様。

 

 

「ではまず集めてきた情報を共有するぞい、亀のヤツから預かってきたこの宝珠なのじゃが……」

 

「そう言えばこの宝珠、向こうを出る時にコンコンが預けられていましたけども。どういう宝物ですの?」

 

「ロンロンの母の遺品らしい、亀のヤツはロンロンが大人になったら真実を告げると同時に渡すつもりだったらしいがのう……」

 

 

コンコンが尻尾から取り出した宝珠を見ながら麗は不思議そうに呟く、なんせ最近目に入るものが大体初見のアイテムだったり現象なものだから、固有情報が多くて麗は割と大変であった。

 

しかし疑問に対して返って来た言葉に、麗は何とも言えない顔を浮かべた。

 

 

「何と言うかこう、裏目に裏目ってる感じがしますわ~」

 

「そうじゃのう、亀のヤツはロン坊がこの宝珠から自分の事や故郷を知ってしまって、その結果傷付く事を恐れたそうじゃが……」

 

「ままならないものですなぁ」

 

 

メイドが運んできた焼き立てのマフィンをとりわけ、各々の前に配置しつつ爺やはやるせなさそうに呟く。

 

 

「と、すまぬのうスバルや。ロン坊の事情なのじゃが……」

 

「あ、それは別にいいや。それよりもロンロン君を取り戻す為の打ち合わせを優先しよう」

 

「いいのかの?」

 

「あくまで私は麗ちゃんの頼みできただけだからねー」

 

 

話に置いてケぼりになりそうな昴に対してコンコンが説明しようとするが、昴は手でそれを制すとそれよりも大事な事を話し合おうと提案する。

 

昴の頼もしく優しい言葉にコンコンは軽く頭を下げて礼を示すと、咳払いして宝珠を指先で示しながら説明を続ける。

 

 

「この宝珠について調べたのじゃが、間違いなく竜の巣で採れたものらしい」

 

「なるほど、つまりどういう事ですの?」

 

「焦るでない、この宝珠は基本的に外の世界に持ち出されることはほぼないそうなのじゃが……とある怪人が女子を口説くために、よく確保してきておったらしいのじゃ」

 

「なんかこう、そこはかとなく屑怪人の雰囲気がしますわね」

 

 

まさかのロンロンが連れ去られたであろう竜の巣の特産品であり、門外不出っぽいそんな宝物を女の子を口説く為だけに使っていた怪人がいたという事実に、麗は呆れればいいのか感嘆すればよいのかわからないと言った様子で呟いた。

 

 

「中々気骨があるというか考え無しというか悩む怪人ですなぁ、という事はその怪人が情報源になると?」

 

「そう言う事じゃ」

 

「でもコンコン、怪人なんて雨後の筍かってぐらいいますわ。その中から一人を見つけ出すのは難しいのですわ……」

 

 

まさかのドラゴン達の宝物を女の子を口説く贈答品に使っていたという怪人の所業に、思わず爺やですら何とも言えない顔を浮かべる。

 

一方麗は手がかりなのはわかるけど、見つけられる自信がないのか悲しそうに顔を俯かせた。

 

だがコンコンはそんな麗を安心させるかのように、にぃっと笑みを浮かべる。

 

 

「案ずるでない、既にその怪人の居場所はアタリをつけておるわ」

 

「え?そうなんですの!?」

 

「うむ、ウララ。お主が結構前に殴り飛ばしたイケメンを気取る怪人おったじゃろ? アヤツ、自然公園のくれえぷ店のアルバイトやっておる」

 

「マジですの!?」

 

 

自信満々にコンコンが言い放った言葉に、麗は今日何度目かもわからない驚愕の叫びを上げる。

今日はとにかく驚きっぱなしで、心が休まる気がしないと内心ぼやくほどである。

 

そんな麗ばかりに質問させるのもなんだと思い、昴は小さく挙手しながらコンコンへ質問をぶつける事にした。

 

 

「ねえコンコンさん、その怪人の名前は?」

 

「ええと……淫魔怪人インキュバス、だったかのう」

 

 

コンコンから告げられた怪人の名前。

 

ソレは昴が人生で初めてできた彼氏、を装い自分を誘惑してきた怪人の名前であった。

 

そして怒りを込めた全力射撃を叩き込むも逃げきられてしまった、見つけ次第確殺する対象……サーチアンドデストロイのターゲットである怪人でもある。

 

 

「へぇ」

 

「あ、あの昴……さん? すごく怖い空気が漏れていますわ……?」

 

 

この時昴、魔法少女シューティングスターは自分でも気づいていなかったが確かに笑っていた。

 

その笑みは、見ようによっては可憐な笑みでもあり……見ようによっては怨敵を見つけた復讐者が浮かべる笑みにも見えるものであった。

 

 




【魔法少女による解説劇場~魔法少女シューティングスターの初彼氏について~】
「マジカルウララと」
「ゼフィランサスの」
「「魔法少女解説劇場ー」」

「……って、なんですの?これ」
「私に聞かれても困る、君のところのマスコット達がやっていたと聞いたのだが……」
「あの二人時々コソコソと何かやってると思ったら、こんな事してましたのね……」

「でも、わたくし解説と言っても何を解説するのか聞いてませんわ!」
「大丈夫だ、こちらで把握している」
「そうなのですわね、それで今日は何を解説しますの?」
「スバルこと、シューティングスターの初恋人獲得から破局までの流れの解説だ」
「それコンプラ的にアウト寄りのアウトですわ?!」

「まずどう言う流れでスバルに初彼氏が出来たかと言うと、怪人を成敗した帰りに缶ビールを買おうとコンビニに入ろうとした時にナンパされたらしい」
「このまま行くのですわね、そして開幕から情報量過多ですわ。でもそんなのお断りして終わりだと思いますわ」
「スバル曰く熱心に口説かれて渋々OKしたと言っていたが、恐らく十中八九はじめてのナンパに浮かれて即決してると見ている」
「色んな意味でひでーですわ!」

「だけど、そんなチャラい殿方だとスバルさんに経済的に依存して速攻で見限られそうですわ」
「それがな、基本的には代金はスバルが払っていたそうだが、要所要所では男の方で支払いしていたらしい」
「百戦錬磨の匙加減を見極めたチャラ男の雰囲気がしますわ」
「ちなみにこの話は、大怪獣との戦いの怪我で入院していた私に惚気として語られた」
「ゼフィーさん、もしかして根に持ってます?」
「根になど持っていない」

「しかしまぁ、私も含め何かおかしいとは感じていてな。魔法少女関係者やらそうじゃない友人総動員で、一度しっかり目的を問い詰めた方が良いと伝えたんだ」
「そ、そうだったのですね……ソレで、結果は?」
「何と言うことはない、スバル念願の初彼氏は怪人の変装した姿で。魔法少女達への影響力が強い彼女を狙っていたらしい」
「良くその怪人、素直に目的明かしましたわね」
「完全にスバルを自分の術中に置いたと思っていたんだろうな」
「アホですわね」
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