誰がマジカルゴリラじゃい!   作:社畜だったきなこ餅

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この作品、変化球に見せかけた真正面ストレート作品と勝手に思っていたんですよ。
でも、とある感想にて初代プリキュアもこんな感じだったと思う。ってあって気付きました。

ゴリラ系魔法少女は、変化球でも暴投でもなく魔法少女モノにおいて王道だという事に!
でもそれはそれとして、マスコットぶん投げたり大型トラック蹴り飛ばしたりするのは魔法少女と言って良いのか悩む。


6話 空にかかる虹

 

 

ドクロ怪人が呼び出した祖父母と母の亡霊から心無い呪詛をぶつけられたマジカルウララ。

 

戦意喪失し、へたり込んで立ち上がる事も叶わないし魔法少女に勝利を確信した怪人がゆっくりと近付き、もはや魔法少女に逆転の目が見えないという状況の中。

 

 

「立ち上がるのだ!愛しき娘よ!」

 

 

土砂降りの雨が降り注ぐ墓地に、一人の男性の良く徹る声が響き渡る。

 

ドクロ怪人、そして戦意喪失したマジカルウララは声がした方へ涙と雨に濡れた顔を向けると……そこにはスーツ姿のガタイの良い中年男性が、執事に傘をさしてもらいながら仁王立ちしていた。

 

その男性の姿にウララの母の亡霊が反応を示した事に気付いたドクロ怪人は、ニヤリと笑うと手に持った水晶玉に力を込め……ウララの母の亡霊はゆっくりと口を開く。

 

 

──貴方なんて愛していなかった、苦労だけかけて満たされる事など何も「黙れぇ!!」

 

 

ウララの心を打ち砕いた母の呪詛、その言葉を中年男性……ウララの父は声を張り上げて遮る。

 

その瞳には憤怒の炎が燃え滾っていた。

 

 

「僕が愛した女がそんな事を言うわけないだろうが!」

 

 

力強い父の言葉、その言葉に戦意を喪失していたウララは涙を腕で拭いながら立ち上がる。

 

思わぬ邪魔者によって、マジカルウララを討ち取るあと一歩を邪魔された事にドクロ怪人は舌打ちしながら、水晶玉に更なる力を込めようとする……が。

 

 

「だらっしゃぁぁぁぁぁー!なのである!」

 

 

ウララの父、そしてマジカルウララの両方に気を取られ周囲への警戒が疎かになったドクロ怪人を、匍匐前進でじわじわ近付いていたロンロンが強襲。

 

ノリと勢いと度胸だけを抱えたマスコット突進の衝撃に、ドクロ怪人は水晶玉を取り落としてしまいすかさずソレをロンロンがダイビングキャッチ。

 

 

「き、貴様ぁ!このマスコット風情が!それを返すのです!!」

 

「うぇーーはははは!勝利を確信したのに台無しにされてどんな気持ちー?!なのであるー!!」

 

 

奪い取った水晶玉を両手で抱えながら、日頃からウララの折檻によって鍛えられた身体能力によってドクロ怪人から逃げ回るロンロン。

 

 

「やっと捕まえましたよ、このクソトカゲめ!」

 

「へなっぷ!」

 

 

だがしかし、所詮歩幅の小さいマスコットでは逃げ回るのに限界がありロンロンはあえなくドクロ怪人に捕獲され、その手から水晶玉が転がり落ちる。

 

 

「これ……は?」

 

「ウララ!亡霊が酷い事言う時その水晶玉光っていたのである!そいつぶっ壊せば多分何とかなるのである!」

 

「黙れ!!」

 

「ぎにゃーーーす!?」

 

 

足元に転がってきた水晶玉を拾い上げたウララに対し、ドクロ怪人に取っ捕まったままのロンロンが叫ぶ。

 

自身の力の源であり、マジカルウララを追いつめる為の大事な道具の秘密を明かされたドクロ怪人は苛立ちに任せてロンロンを始末しようとする。

 

 

「ねえ貴方、コレがそんなに大事なんですの?」

 

「え?ええ、もちろんですとも……」

 

 

掌でつかめるぐらいのサイズの水晶玉を手に、ドクロ怪人へ問いかけるウララ。

 

ウララの質問の意図がわからないままドクロ怪人はとりあえず頷く。

 

 

「それはとても良い事を……聞きましたわぁ!!」

 

「あーーーーー!?」

 

 

自身の胸から吹き上がる怒りの感情に身を任せた勢いで、水晶玉を片手で握り潰すマジカルウララ。

 

普通の水晶玉よりもはるかに頑丈なソレを、まさか片手で粉々に握り潰されるとは思っていなかったドクロ怪人は頭を抱えて動揺の叫びを上げ、その勢いでロンロンを離してしまう。

 

 

水晶玉が砕かれた次の瞬間、どす黒いオーラに包まれていたウララの祖父母と母の亡霊からオーラが取り除かれると共に、その表情が穏やかで慈愛に満ちたモノへと変わる。

 

 

──ごめんなさい麗、酷い事を言って

 

──娘が命懸けで産んだ私達の宝物、思い出をくれてありがとう

 

──今までも、これからもずっと愛している

 

 

ドクロ怪人の力によって操られ、心無い言葉を愛する孫娘に言わされていた祖父母はその半透明な腕と体でウララを抱きしめ、その気持ちを伝える。

 

自分は祖父母に愛されていた、その事が間違いじゃなかったと確信できたウララは目に涙を浮かべながら祖父母の亡霊を、その手に感触が無いと判ってながらも抱き締め返す。

 

 

──生まれてきてくれてありがとう、私の大事な愛しい娘

 

 

そして、ウララの母の亡霊もまたふわりと麗を抱きしめる。

 

初めての母からの抱擁に麗は、涙をぽろぽろと零しながら嗚咽交じりに自分も愛していると母の亡霊へ伝える。

 

祖父母と母の霊はやがて、自身を現世に縛り付ける悪しき力から解放された影響かゆっくりと空気に解けるようにその姿が薄れていく。

 

 

──私達はずっと、あなたを見守っている

 

 

母と祖父母はその言葉を最後に、気付けば雨もやんでいた空気の中に消えていった。

 

ウララは一瞬追いすがるように消えていく姿へ手を伸ばすが、その手をゆっくりと握りしめると自身の胸の前に手を置いて瞑目し、戦意に満ち満ちた瞳を開く。

 

まずウララが確認したのは、解放された祖父母と母の霊に抱擁されている間静かだったドクロ怪人がどこに行ったのかであり、ウララの心を追いつめた怪人が何をしていたかと言うと……。

 

 

「ヒ、ヒヒィ……勝てない、力を喪ってはぁ……」

 

 

水晶玉を砕かれた衝撃でまともに動けないのか、這いつくばったままマジカルウララから何とか逃げようとしていた。

 

普段のマジカルウララなら、そこまで悲惨な状況の怪人に対しては多少手心を加えたりすることもあったりなかったりする、が。

 

 

今回、この怪人に至ってはマジカルウララの心に慈悲の心は一片たりとも持ち合わせていなかった。

 

 

ウララは自身の足元ですでに丸まって待機しているロンロンと目を合わせると、彼の心意気を買うかのように拾い上げると片足を大きく上げながら野球投手のように振りかぶる。

 

 

「マジカル剛速球!ですわーー!!」

 

「おらぁぁ!神妙にしやがれなのである!!」

 

 

いつもは投擲されることに不本意であることを示すロンロンが勇ましい雄叫びと共に、ロンロンは豪速球となって逃げようとするドクロ怪人に直撃する。

 

 

「ヒィィィィィ!?」

 

 

砲弾が直撃したかのような音と共に墓地に続く道路まで吹っ飛ばされるドクロ怪人。

 

直撃したロンロンもそのまま衝撃で吹っ飛んでいくが、遠くから見守っていた執事さんにキャッチされて事なきを得ていた。

 

 

「ヒ、ヒィィ!み、見逃してください!もう悪事はしません!」

 

 

ゆっくりと近付いてくるマジカルウララに対し、まるで命乞いするかのように尻もちをついた姿勢で後退りながら叫ぶドクロ怪人。

 

だがしかし、その命乞いに対してのウララの行動は……立てた親指で首を掻っ切り、地面に親指を向けるというジェスチャーで返した。

 

 

即ち、今からお前をぶっ殺すという死刑宣告である。

 

 

事ここに至っては最早見逃してもらえるなどという慈悲は無いと理解したドクロ怪人は、最後の力を振り絞るかのように瘴気を身に纏って自身の体を一回り大きくすると、活路を見出すべくマジカルウララへ襲い掛かる。

 

 

しかし

 

 

「これは……家族を信じられなかった、想いを踏み躙られたわたくしの怒り!!」

 

「ぐひぃ!?」

 

 

腕を振りかぶり叩きつけてきたドクロ怪人の動きを最小限で躱し懐へもぐりこんだマジカルウララ、ほぼ密着しているその姿勢から道路に足が強く陥没するほどにドクロ怪人の足を踏み付けながら右手で掌打を怪人の胴体へ叩き込む。

 

足を踏み付けられた状態で叩き込まれたその一撃に、ドクロ怪人は体内組織を衝撃で破壊されながら大きくつんのめる。

 

 

だが、ウララの攻撃はこれで終わりではなかった。

 

 

「これは、操られて心無い言葉を言わされたお爺様とお婆様の怒り!!」

 

「ヒギィィ!?」

 

 

ドクロ怪人が前につんのめる動作に合わせ、バックステップで距離を取ったマジカルウララは即座に下りてきた怪人の顔面を粉砕するほどの勢いで飛び膝蹴りを叩き込む。

 

 

強すぎるその威力に怪人は首から上が分離するのではないかと思うぐらいに跳ね上がり、頭部を構成する髑髏のあちこちが砕けた。

 

 

「そしてコレがぁ……わたくしとお父様に向けた愛を踏み躙られた、お母様の怒りですわぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

そして、最初の一撃の頃から力を貯め続け光り輝く左腕。

 

 

下手な怪人では掠るだけでも絶命を免れない程に力が込められたその拳を胴体に叩き込まれたドクロ怪人は、最早断末魔を上げる事すらできずに遥か上空へと流星のように打ち上げられ……虹色の光と共に爆裂四散するのであった。

 

 

「お母様、お爺様、お婆様……わたくしの大勝利ですわー!!」

 

 

ドクロ怪人が爆裂四散し、雨上がりの空にかかる虹を見上げながら拳を突き上げて勝利宣言をするマジカルウララ。

 

そんな魔法少女に、彼女の父親である男性がゆっくりと歩み寄る。

 

 

「お疲れ様だね、麗」

 

「ありがとうですわ!お父様!」

 

 

辛く苦しい戦いを終えた愛娘を男性は優しく撫で、多感なお年頃な麗であるも父親大好きな少女はそんな父親の手を嫌がることなく受け入れる。

 

そして父親もまた虹を見る為に空を見上げ、とあることを思い出して呟く。

 

 

 

「しかし、虹か……懐かしいな」

 

「懐かしいって……どういう事ですの?」

 

「麗、君が産まれた日もこんな虹がかかっていたんだよ」

 

 

初めて知ったその事に麗は目を見開き、今一度父親と共に空を見上げて虹を見る。

 

そして麗は虹へ向けて拳を突き上げると、もう二度と安らかな眠りにつく3人の愛を忘れないし疑わないと強く、強く誓うのであった。

 

 

 




【マスコット達による解説劇場~麗の生い立ちについて~】

「コンコンと」
「ロンロンの」
「「マスコット解説劇場―」」

「今回も始まった解説劇場5回目なのである……あいたたた」
「普段は投げられると文句を言う割に、今回はノリノリじゃったのう」
「そりゃ我輩だって魔法少女のマスコットやっているのである、ああいう外道に対して怒る程度には正義感あるのであるよ?」
「そう言う事にしておくかのう」
「酷いのである」

「今回は……アレじゃな、ウララについて軽く説明するかのう」
「プライバシーとかそう言うの、コンプラ的にありなのであるか?」
「あやつから許可貰った範囲しか語らぬからセーフじゃわい」
「というわけで、ゴリラのスリーサイズとかお気に入りの下着は秘密のままなのである。残念であるな」
「お主、どこ向けて言っておる……」

「まず、ウララの年齢じゃが今回の話で17歳になっておる」
「母の命日と誕生日が一緒とか、色々としんどいのである」

「じゃのう、じゃからあやつはあまり自分の誕生日と言うモノに頓着せん」

「それで確か、6歳までは普通に一般庶民であったのであるな?」
「うむ、ウララの父上が神がかり的な資産運用やらなんやらで大富豪駆け上がるまでは、一般家庭な祖父母に養育されておったらしいのう」

「なるほどであるなー、でもお嬢様になっても普通に祖父母に懐いてそうなのである」

「実際、祖父母が他界するまでは毎週のように祖父母の下に行っておったらしいのう」

「麗の性格や人格は祖父母が大きく関係しておる、なんせ没落したとはいえ明治だか大正ごろまでは名家だったらしいからのう」
「ふむふむ……どういう一族だったのであろうな?」
「そこまでは儂も聞いておらんのう、もしかすると麗も知らぬかもしれぬ。アヤツが10歳の時に怪人が起こした事件によって、祖父母も命を落としておるからのう」
「おうっふ……つれえのである」

「その事件の時、儂は異なる魔法少女のマスコットをしておったんじゃが。麗を救助したのじゃよ」
「ああ、そう言えばそんな事言っていたのであるなー。コンさんはそういう意味じゃ付き合い長いのであるか」
「そうなるのう」

「そこからもう2~3年前、ウララが14歳の時に儂とロン坊が魔法少女契約して今に至っているといったところかの」
「いやぁ、そろそろ魔法少女と契約せにゃならんと焦っていたところに、契約相手が出来たと思ったらまさかコンさんとダブルブッキングであったからなぁ、我輩めっちゃビビったのである」
「儂も心底驚いたわ」

「ちなみにコンさん、2~3年戦い続ける魔法少女って結構いるのであるか?」
「いないわけではないが少ないのう、大体が1年周期で変わったりするもんじゃ」
「この前の大怪獣の時に共闘したシューティングスターは例外中の例外という事なのであるなー」
「そう言う事じゃな」

「でも大体一年で活動停止して次の魔法少女が活動始めるってもしかしてそれ、番組の都合とかじゃ……」
「おっと、それ以上言うとお主の口を封じなければならなくなるぞ?」
「ヒェッ」

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