アルバイトスタッフの電脳日常   作:ヴィルヘルム星の大魔王

4 / 16
デート回です。
書いていて、砂糖吐きそうになりました。


両手にアヒルとパスタガール

 

 金曜日。俗に言う花金であり、社会人が月曜からの仕事に耐えた日に訪れる最終日。

 

 カタカタカタカタ…カタッ!ターン!

 

 

 俺は1日中事務作業や撮影した動画の編集作業を終え、腕を伸ばす。 

 時計を見ると17時30分。今日は少し長く働いたな。帰ろうと思い、バッグに手を掛ける。

 

 

 「のどかさん、お先に失礼します。」

 

 

 「六道くん、お疲れ様です」

 

 

 18時丁度に退社し、副業の仕事で港で行われるマフィアの取引を壊滅させる。その後、母衣駅に着き、電車に乗る。そこから35分間電車に揺られ、最寄り駅で降りる。寄り道もせずに直帰したため、夜9時に帰宅。

 

 

 俺は住宅街の外れにある武家屋敷まで歩き、棟門の鍵を差し込み、扉を押しながら中に入る。

 そして、玄関の鍵を開けて押戸を開く。

 

 

 家族から一人暮らしの試練として貰った別邸が今の俺の住まいである。数人の黒衣がいるのは気のせいだろう。一人暮らしではないじゃないかと言うな。気にしてるんだから。

 

 

 風呂から上がり、晩飯を食べようとした時、スマホのディスコードから着信が掛かってきた。

 

 

 着信者は、しぐれうい。しぐれういと言えば、配信者兼イラストレーターとしてラノベの挿絵を担当する有名な女子高生作家さんだ。スバルの母親でもあるので、自然と交流を重ねる内にフレンドになっている。散歩中、偶にロリ化していることを目撃するが

 

 

 「ういママから電話とは珍しい。そういや、今日の配信はないとCNSで呟いていたっけな」

  

 

 『もしもし〜』

 

 

 「もしもし。ドナルドです」

 

 

 『あ…間違えました。すいません。今、切りますね』

 

 

 プロン♪と通話が切れたので、その間に水を飲む。 

 すると、また『しぐれうい』から通話が掛かってきた。二度目はちゃんと出る。

 

  

 『おいぃぃぃ!!変な挨拶するんじゃないよ!

一瞬、恥かいたと思ったじゃねえか』

 

 

 「すいません(笑)」

 

 

 『(笑)じゃないよ!こら!』

 

 

 

 電話越しでういは、こほん…と咳払いをはじめ、メッセージを伝えてきた。

  

 

 

 『ねえ、六道くん。明日、ういとスバルと3人でデートしてみない?』

 

 

 「ういスバとデートですかい?」

 

 

 

 

 『そうだよ。デート場所はどこがいい?』

 

 

 「じゃあ、朝9時30分に母衣駅前にあるyagoo像前に集合します?そこから電車で黒須町に行きましょうよ」

 

 

 『黒須町?』

 

 

 

 「はい、地元の近くにある町なのですが、そこには楽しい場所がたくさんあるんです。きっと気に入りますよ」

 

 

 

 『楽しみにしてるね。いきなりデートのお誘いにありがとうね』

 

 

 「いえ、ういママにはお世話になっていますから」

 

 

 『じゃあ、そろそろ寝るね。おやすみ』

 

 

 「おやすみなさい。ういビーーム!」

 

 

 『おいコラ!!待て!ういビームすな!明日覚えとけよ!』

 

 

 少し怒ったういママから通話を切られる。自分が悪い為、明日謝ろうかなと思い、飯の準備を始めた。

  

 

 一方その頃しぐれハウスにて、しぐれういはクッションに顔を埋めながらソファーの上でじたばたしていた。

 

 

 「ちくしょ〜やられた〜」 

 

 

 「かーちゃん、部屋まで聞こえてたよ?どうしたの?」

 

 

 しぐれういの目の前にアヒルのパーカーとカボチャパンツというラフスタイルで現れたのは、しぐれういの娘である大空スバルだ。

 

 

 「あ、ごめんねスバル。六道君に揶揄われちゃって」

 

 

 「理央さんは、お茶目なところがあるから」

 

 

 「スバル、明日は二人で六道君を独占しようね」

 

 

 「うん!明日のデートが楽しみ!かーちゃんおやすみ!」

 

 

 「おやすみだよ。スバル」

 

 

 

 只今、時刻は9時25分。母衣駅前のyagoo像前広場にあるyagoo像の真ん中に立っている。ういママとスバルには、着ている服装について連絡しているので、モーマンタイだ。ちなみに私服については想像に任せる。

 

 

 待ち合わせの時間まであと5分なので、さっき自販機で買ったあったかいお茶を飲みながら、yagoo像を眺める。

 

 yagooがホロライブを作ったことによって、街は活性化。その功績を讃えられ、市長から地域貢献の感謝状が送られ、記念像が駅前に建てられているなど、この像には歴史があるのだ。

 

  

 

 「「だ〜れだ?」」

 

 

 そんな事を考えていると、後ろから誰かに視界を隠されている。しかし、敵意を感じないことから身内なのは確かだ。それに、このアヒルのような声とロリ化しそうな声からして

 

 

 「スバルとういさんですね?」  

 

 

 「「おっ!当たり〜」」

 

 

 視界がクリアになり、俺は後ろを振り向く。

 

 

 「へっへーん!どうよ」

 

 

 「スバルの服どう?似合う〜?」

 

 

 そこには、二人の天使がいた。

  

 

 ういママの服装は、いつもの制服と違い、秋服に見えるお洒落コーデを決めている。アイデンティティのポンポンが頭の上に付いているみたいだ。

 スバルの服装は、ういママと色違いの服でありながらも、いつもの活発さは控えめであり、乙女を体現した服装だ。チェック柄のスカートとベレー帽が乙女度を上げている。

 

 

 「ういさんの私服姿可愛いです。スバルの私服姿新鮮で可愛らしいよ。」

 

 

 「エへへ、そう褒められると照れるな〜。ハァ〜熱い熱い」

 

 

 

 「理央さんに私服あんま見せたことなかったからな〜」

 

 

 

 ういとスバルは頬を赤らめながら手で扇いでごまかしている。その仕草や姿に(可愛い!萌え!)と思いつつも、何とか口に出さないで済んだ。

 

 「じゃあ、これから電車で黒須町に行きましょう」

 

 というわけで、ういダックデート開始。

 

 母衣駅から黒須駅まで電車で25分。黒須駅出口を出て、二人を黒須町の観光スポットに案内した。雷都タワーやマスコットのクロス君に会える黒須大場モールで雑貨屋に服屋など、ういとスバルは次々と店に入り、楽しんでいる。両腕が買い物袋で一杯だ。

 

 

 

 一旦、荷物は俺が発明したオープンフィンガーグローブ型で様々な物を次元圧縮するオロフィンガーに収納した。

 

 

 

 「すまない。少し喉が渇いたから飲み物を買ってくる。二人は何が欲しい?買ってくるよ」

 

 

 「じゃあ、わたしは十六茶」

 

 

 「スバルは午後レモンティー」

 

 

 俺は、二人のリクエストを聞いたあと、自販機がある方へと向かった。

 

 このとき、俺達の後ろから怪しい影がニヤリと笑っていたとも知らずに

 

 

 

 「さっさと戻らないとな」

 

 

 自販機で飲み物を買い、急いで二人のもとに戻るとガヤガヤと人集りが出来ており、ういとスバルがチンピラ二人組にナンパされていた。

 

 

 「よーよーお嬢ちゃん達かわいいじゃん!」  

 

 

 「マジカワイイな!オレの彼女になってよ!」

 

 

 

 なんか典型的なチンピラ構文のチンピラだな。

 俗に言うテンプラ…テンプレか?

 

 バカなことを頭の中で考えていると、次第に状況が悪くなっていくのが目に見えた。

 

 

 「まずいな…!」

 

 俺は急いで現場へと向かった。

 

  

 「な、何ですか!やめてください!離して!」

 

 

 「かーちゃんに手を出すな!離れろ!」

 

 

 

 ういはチンピラに腕を掴まれながら嫌がり、スバルは、ういを掴んでいる腕を引き離そうとする

 

 

 

 「へぇ〜母娘?興奮すんじゃん」

 

 

 

 「いいね!ここで公開猥褻ショーでもしようぜ!ぎゃははは!」

 

 

 低脳すぎる。余りにも低脳すぎる。

 頭の悪い会話に腸が煮えくり返りそうになるが、冷静になる。

 

 

 「すまない。二人とも遅れた。」

 

 

 

 素早く間に入り、ういとスバルをチンピラ達から引き離す。二人を背に隠して落ち着かせる。

 

 

 

 「てめえ!邪魔すんじゃねえよ!」

 

 

 

 「この娘達は、俺の連れなんだ。悪いがお引き取り願おうか。」

 

 

 

 「お前みたいな男には勿体ねえよ。どけや」

 

 

 

 「あの…しつこいと警察呼びますよ?」

 

 

 

 「へっ!警察が何だ!両手に花なんざ調子に乗りやがってよ!生意気なんだよ!」

 

 

 

 

 どうやら、会話で分かり合えないみたいだ。

 

 激昂した半グレが殴りかかってくる。もう一人の男も見逃すと碌なことにならないので、手短に終わらせる。右腕を上げて防ぎ、左足を足払い。ソイツの右腕を背中に回して、ポッケに隠していた100均の手錠玩具で捕縛。近くにあったゴミ箱を重しにして逃走を防ぐ。

 

 

 

 「てめえ!よくも末端(すえはた)を!女を置いて去れや!」

 

 

 「先に殴りかかってきたのはそっちだろ。」

 

  

 「ざけんなよクソガキャ!」

 

 

 末端を倒された逆恨みなのか。男はナイフを取り出し、刃先を此方に向けた。周囲からは悲鳴が上がり、逃げ出す者や警察に通報しようとする人がいた。

 警戒しながら、二人に危害が及ばないように少しずつ下がる。ういとスバルは微かに震えていた。

 

 

 「サツに通報しようとしたら殺すぞ!!」

 

 

 ナイフを持ったチンピラは、周囲に吠え散らかしている。

 

 昔、親父と武術の稽古中に話していた記憶を思い出す。あの時、親父は道場の床で胡座をかきながら説明していたな。

 

 

 『いいか、理央。相手がナイフを持っている場合、殴り飛ばすのは愚策だ。相手の間合いに自ら入ることになって、危険が高まる。特に相手が素人だと尚更だ。基本的には逃げるのが得策だな。父さん位の武術家なら、グリーンベレー・デルタフォース・ネイビーシールズを全滅させることは出来るが、免許皆伝していない今のお前の強さは第1空挺団壊滅がやっとだ。』

 

 

 親父は一旦、水を飲んでから再び話し始めた。

 

 

 『だが、周りに人がいて周囲に危害が及びそうな状況になった場合』

 

 

 

 「喝っ!」

 

 

 

 『相手が驚く位の大声を出して逃げる。これだけだ。』

 

 

 

 大声に驚いた男は、一瞬、その足を止める。その隙を見逃さずに、顔面をストレートで殴る。殴られた影響で男の歯が何本か折れている。

 

 

 「イギャッ!?」

 

 

 男の鼻は折れたのか地面に鼻血がポタポタと流れていた。

 

 

  「二人は早く離れろ!」

 

 

 このまま、二人を守り続けるのは無理だと判断し、離れるように促した。

 

 

 (ナイフで殺されそうになったし、正当防衛になるかな?)

 

 

 「で、でめえ!ひぎょぅ゙だぞ!」

 

 

 涙目になりながら世迷言をいう男に呆れそうになるが、手にはまだナイフが握られているため、油断は出来ない。すると、誰かが半グレの背後から手を伸ばし、ナイフを取り上げた。突然手元からナイフが消えたことに戸惑った様子で男は後ろを振り向いた。直後、石のように硬直した。

 

 

 そこには、防犯ボランティア団体のチョッキと防犯安全の襷をかけたオールバックにサングラスといった一見、その筋の人に見える強面の男性と無害そうな顔をした刺股を持った若い男性の二人組が其処にいたのだから。

 

 

 強面の男性は、男の腕を掴んで地面に組み伏せる。

 

 

 「キミ〜、ナイフなんて持って何しとるんや?危ないやろ?現行犯で取り押さえたから警察に通報してよ佐竹君。確か、現行犯なら一般人による取り押さえは、合法やろ?」

 

 

 「一応出来ますけど。その顔ですと、こちら側が犯人に間違われますよ。京松さん。

 あ、もしもし警察ですか?広場で男がナイフを持って暴れていたので…二人組の男です…場所ですか?場所は、黒須総合公園オウバ広場前・・・」

 

 

 佐竹と呼ばれた若者は、淡々と警察に『男がナイフを持って暴れていた』と通報した。

 

 

 「おや、六道の若旦那じゃないですか。お久しぶりだね。昔よく一緒に遊んでた京松夏水おじさんだよ。おじさんのこと覚えてる?」

 

 

 最初、若旦那と言われ、ピンとこなかったが、男性が名前を言った瞬間に思い出した。父の中学時代の同級生で昔よく家に遊びに来ていたおじさんだ。

 

 

 

 「京松さん、お久しぶりです。京松さんはどうしてここに?」

 

 

 

 「俺はね、若い頃ヤンチャばっかしてたもんだからよ。こうして、月に何度かボランティア活動してるんだ。

 おっと、長話して悪かったねぇ。この年になるとどうも…そういや、お嬢ちゃん達は若旦那…理央坊のコレかい?」

 

 

 そう笑いながら、小指を突き立ててきた。微妙に古いし、恥ずかしいのでやめて欲しい。

 

 

 「ここは、おじさん達に任せて行きなさい。若人さん方」

 

 お言葉に甘えながら、京松さんに三人で会釈、二人の手を握り、この場から素早く離れた。

 

 

 広場から一旦離れた俺達は、ベンチに座った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「気分切り替えるよ!これから一杯遊ぶんだからさ」

 

 スバルは落ち込んでいる俺を励まし、ういもスバルの言葉に続いた。

 

 

 「そうだよ理央。スバルも今日のデートの為に凄い張り切って御粧しているんだから」

 

 

 「ちょ、母ちゃん!恥ずかしいからやめて!」

 

 

 二人のやり取りを見た俺はいつまでも落ち込んでいては駄目だと思い、深呼吸した後に立ち上がる。

 

 

 「二人とも、さっきまで怖い思いをさせて済まなかった!」

 

 そして、顔を上げて2人と向き合う。

 

 「今から目一杯楽しもう!この広場においしいドーナツ屋の移動販売があるんだ。案内させてくれ!」

 

 

 俺の振る舞いにスバルとういは、どこか呆れながらも笑っていた。

 

 

 

 【ど〜なつ屋はんぐり〜】。ショッキングピンクを中心にカラフルな装飾が施されている移動販売店。

  

 

 「あら、リオ君いらっしゃい。両手に花なんてお熱いわね〜もしかしてデート?」

 

 現れたのは、奇抜なヘアスタイルやオネエ口調が特徴の男性。彼はこの店の店長であるオネェさんである。ついでに従業員も奇抜だ。

 

 「まぁ、そんなところ」

 

 

 「若い頃を思い出すわ〜。ちょっと、リオ君聞いてよ。さっき、そこの血ノ池広場前で喧嘩騒ぎがあったらしいじゃない。何か知らない?」

 

 

 「はい、喧嘩の当事者本人です」とも言えない為、苦笑いではぐらかす。

 

 

「そうなんですね〜。そうだ店長、プレーンシュガーを一つ」

 

 

 「リオ君は本当にプレーンシュガーが好きね。他のも美味しいわよ〜。ちなみに、今日のおスペはあま〜い恋人ドーナツと盾メロンドーナツよ♪」

 

 

 「他には?」

 

 

 「オレンジとレモンのジンバードーナツ、バナナ・ロードーナツ、フルーティードーナツにakiイチゴ♪」

 

 

 「それを一つずつ貰える?ういとスバルは?」

 

 「「え、でも」」

 

 「いいから奢るよ」

 

  

 「じゃあ、私は盾メロンドーナツとジンバードーナツ。…スバルは?」

 

 

 「akiイチゴとあま〜い恋人ドーナツ」

 

 

 

 「ご注文ありがとう♪少し待って頂戴」

 

 

 そうして、店長は次々とドーナツを袋に入れている

 そして、ドーナツを受け取り、財布から代金を払う。

 

 「はい、お代」

 

 

 「はい、お釣りよ。ゆっくりしていって頂戴」

 

 

 店長と店員が笑顔で手を振るのを見て、軽く手を振り、設置されているテーブルに座る。

 

 

 「「「いただきます」」」

 

 「ん~~!盾メロンドーナツ美味しい〜」

 

 「はむっ。このakiイチゴ美味っ♪」

 

 「確かに今日のおスペは美味しいな」

 

 

 「六道くん。あ〜ん」

 

 「あ、あーん」

 

 ういのを一口食べる。それを見たスバルは負けじと

 

 「スバルのもあげる。あ〜ん」

 

 

 「あ、ありがとう。あー」

 

 

 スバルが食べていたあま〜い恋人ドーナツを一口貰う。

 

 「スバルのも美味しいな」

 

 

 

 「砂糖が出そうな位甘々ね。リョウちゃん、ブラックコーヒー頂戴。」

 

 「砂糖入りますか?店長ー?」 

 

 「必要ないわよ。もうっおバカ」

 

 そんなやり取りをしながら、二人でブラックコーヒーを一気飲みしていた。

 

 

 ドーナツを食べ終えた俺達は、次の店へと向かった。

 

 「次に案内するのは、俺が知る限り、世界最高のパティシエが営む洋菓子店だ」

 

 

 洋風の建物で目立つ洋菓子店シャルモンの前に着いた。

 

 

 「ここ知ってる!女性雑誌に載るくらい人気で行列のできる洋菓子店!」

 

 「私も行きたかったけど時間が無くて中々行けないのよ」

 

 

 

 「いらっしゃい。あら?あらあらあら〜?坊やじゃないの。会うのは久しぶりね。そうそう、昨日はご予約の電話メルシー」

 

 「凰蓮さん。ご無沙汰してます」

 

 「あら?デート?やるじゃない。でも、気をつけるのよ?女の子は繊細なんだから」

 

 店長の言葉に苦笑いしていると、ういが店長との関係について尋ねてきた。

 

 「六道君は、店長さんとどんな関係なの?」

 

 

 「ワテクシは、坊やのちょっとした知り合いよ。マドモアゼル」

 

 「お席に案内するわ。着いてきてちょうだい」

 

 

 凰蓮の案内でテーブル席に座る俺達。反対側にはスバルとういが座っている。

 

 

 「注文が決まったら、呼び出しベルを鳴らして頂戴。」

 

 

 「流石、人気店。お値段がすごい」 

  

 

 「スバル何にしようかな〜迷う」

 

 

 「ここは俺が払…「「いやいや!半分出すよ!」」そ、そうか」

 

 

 二人は悩みに悩んだ末、今日のスペシャルを頼んだ。俺は凰蓮の漢気モンブランを頼んだ。

 

 

 「先ずは、今日のスペシャル『桃と苺のマリアージュケーキ』二つ。そして、漢気モンブランよ。サービスのお紅茶3人前。ミルクとお砂糖もあるから。では、ごゆっくり」

 

 凰蓮は、厨房へと戻っていった。

 

 

 「うい、あ~んだ」

 

 「う、うん。あ~ん」

 

  少し顔を紅潮させながらパクっとモンブランを食べたういの顔は幸せそうだった。

 

 「す、スバルのケーキもあげる」

 

 「ありがとうスバル。あむ。美味しい。同じのだけど私のもあげるね」

 

 ういは、自分のケーキを一口スバルに食べさせている。ういスバてえてえの空間が出来上がっていた。

 

 (尊い!)

 

 

 「理央さん!スバルのもあげるっす」

 

 

 スバルがフォークに刺したケーキをこちらに向けている。俺はケーキを食べ、咀嚼する。

 

 「うん、スバルから貰ったケーキ美味しい」

 

 「私も」

 

 「ありがとう。ういのケーキも美味しい」

 

 「ね〜」

 

 

 そんな会話を厨房で聞いていた凰蓮や周りのお客は

 

 (((((あ、甘ったるい)))))

 

 そんなことも露知らずに、三人でケーキを楽しんだ。

 

 次にやってきたのは、喫茶店ポレポレ

 

 

 

 

 「いらっしゃい。おぉ〜六道君じゃないか久しぶりだね」

 

 

 「久しぶりマスター」

 

 

 ポレポレのマスターこと飾玉三郎は、俺の後ろを見て驚きながらニヤニヤと笑みを浮かべた。

 

 

 「おや?女の子二人とデートとは、六道君にも春が来たか。いやー若いね」

 

  

 飾玉三郎が店主を務める喫茶店ポレポレは、本人の趣味による影響なのかインドの置物が飾られている。  

 それに店主特製のポレポレカレーが絶品なのである。

 

 

 

 「ご注文は何にするんだい?」

 

 

 

 「俺はポレポレカレーで」 

 

 

 「私も同じものを」「アタシもポレポレカレーで」

 

  

 「ポレポレカレー3人前ね」

 

 

 「スバル、アタシって言うなんて珍しいじゃない」

 

  

 「だって外だもん!恥ずかしいじゃん!」

 

 

 「「あはははは!」」

 

 

 三人で何気ない会話を続けていると

 

 「はいよ。ポレポレカレー3人前お待ちどうさま。

 ゆっくりしてってね」

 

 ポレポレカレーが美味しく、ついお代わりしてしまった。

 

 「昼からカレーお代わりって俺、男の子だなぁ」

 

 「ガキおじだけどな」

 

 「うるさいやい!」

 

 

 道化師みたいな緑アフロの男と甚平姿の男がカレーを食いながら、言い合っていた。

 

 ポレポレを後にした俺達は、次の目的地であるフルーツパーラー二向かった。

 

 フルーツパーラー『ドルーパーズ』は、女性に人気の喫茶店として知られ、特にフルーツパフェが人気だ。

 

 「阪東さん、こんにちは」

 

 

 「いらっしゃいませ。お、六道君!久しぶりじゃないか」

 

 「ご無沙汰してます」

 

 店長の阪東さんは、荒れていた高校時代の俺に親身になって、よく相談に乗ってくれた人だ。

 

 「好きな席に座ってくれ」

 

 

 そう言われ、四人用テーブルに進む。

 店内を見渡せば、随分と賑やかだった。

 

 

 

 「番長ここ好き!ジューチュおいちい」

 

 

 「そうだね、はじめちゃん。ボクもここ気に入ったよ。」

 

 

 

 「う〜ん!ここのフルーツジュース絶品〜!

 ……フルーツジュースの商売…イケるかも!」

 

 

 

 「らでんとしては、ノンアルカクテルあるのはありがたいですわ。」

 

 「うまうまうまうまうまうまうまうまうまうま!」

 

 はじめは、オレンジジュースに舌鼓を打ち。青は、はじめの姿を見て和み。莉々華は、フルーツを用いた商売を画策。奏は、物凄い勢いでパフェを食していた。

 

 また、別のテーブルでは

 

 

 「パフェをお代わりするなんて俺、男の子だなぁ」

 

 「舞元、それ食い切れるのか?」

 

 「…ガキジジイ」

 

 「あてぃしが注文したパフェめっちゃ美味しいわ〜」

 

 

 ReGLOSSとにじさんじの見たことある四人組がいた。フルーツパーラーとか来るんだなと思いながら、テーブルに座った。

 

 

 席に座ると女性従業員が注文票とペンを手に持ってやってきた。

 

 

 「ご注文お伺いします」

 

 

 「俺はフルーツパフェとミックスジュース」

 

 

 「私はメロンパフェとオレンジジュースでお願いします」

 

 

 「バナナパフェとグレープジュースお願いします」

 

 

 「フルーツパフェ、メロンパフェ、バナナパフェに飲み物は、ミックス、オレンジ、グレープですね。店長ー」

 

 

 ドルーパーズのアルバイト…イヨさんは、店長がいる厨房へと足を運んだ。

 

 少し経ってから、注文したパフェやジュースが届いた。俺達は、それぞれパフェを楽しんだ。

 

 その後は、駅前のゲームセンターに遊びに行ったり

 

 

 

 「あ!ニコチャン大王のぬいぐるみ!」

 

 

 「かーちゃんアレ欲しい!」

 

 

 「よし!任せなさい」

 

 

 ういがニコチャン大王のぬいぐるみを指差し、スバルがおねだりする。ういは、100円を取り出し、挑戦する。しかし、アームの力が弱く途中で落ちた。200円目を取り出そうとしていたため、すかさず止める。

 そこからは俺が代わり、1回目は景品出口近くまで移動させる。そして、2回目で景品をゲットした。

 

 

 「はい、スバル」

 

 

 「うわあ〜!ありがとう」

 

 

 「良かったねスバル」

 

 

 他にもレースゲームやシューティングゲーム、太鼓の名人などで遊びまくった。次にカラオケに訪れると、3時間コースを選び、ドリンクを持って番号の部屋に入った。

 

 「カラオケなんて久しぶり」

 

 「沢山歌うぞー」

 

 

 ういは、『粛聖☆ロリ神レクイエム』を熱唱し、次に『うい麦畑でつかまえて』を歌いながら踊り、普段の生活によるものなのか、体力の限界でヘロヘロになっていた。ソファーで休憩しているしぐれういに代わり、スバルがマイクを持つ。

 

 

 「次はスバルが行くシュバー!」

 

 

 新曲『ホットダック!』を踊りながら歌うスバル。サビに入ると周りにアヒル達がバックダンサーをしていて、腹を抱えて笑った。

 すると、二人で『UNION』のデュエットを披露。

 思わずオーイシも助走つけて「ユニバース!」とセリフを放つくらいの完成度が高い歌唱力に拍手した。

 

 

 俺は『神のまにまに』、『ギザギザハートの子守唄』、『男の勲章』『モエチャッカファイア』を熱唱した。微妙に古い曲やボカロ曲のセンスに二人が楽しく笑い、萌え萌えキュンのポーズをしたら、二人が鼻血を流しながら嬉しそうな顔をしていた。

 

 

 カラオケやゲーセンで遊び尽くした俺達は、目的地へと歩いていた。空はオレンジ色に染まり、逢魔時の空間をカラスが鳴きながら空を羽ばたき、夜への知らせを告げる。

 

 

 「お夕飯も目星をつけてる」

 

 

 「あはは、お夕飯って」

 

 

 「どんな店なの?」

 

 

 俺が二人の質問に答える前に目的の店に着いた。

 

 

 「ここだよ」

 

 

 「多国籍料理店…クスクシエ?」

 

 

 「オシャレな店だね」

 

 

 多国籍料理店クスクシエ。各国の料理を提供する料理店であり、店長や店員がコスプレ姿で接客し、客側もサービスでコスプレを楽しむことが出来る珍しい店だ。

 

 2人を連れて、入り口のドアを開ける。

 

 

 「めんそーれー♪今日は琉球フェアです。

ぐゆるりとぅうたぬしにくぃみそーれー♪」

 

 

 店長と思わしき女性が琉球衣装でお出迎えしていた。

 

 

 「今日は琉球フェアか。賑やかだな」

 

  

 「か、変わったコンセプトの店だね」

 

  

 「すごーい」

 

 

 店長さんの案内のもと、俺達は席に座る。

 

 

 「今ならコスプレ衣装を着るとサービスが付きますよ。いかがですか?」

 

 

 そう言われ、俺達は急遽コスプレすることになった。琉球民族衣装。所謂、琉装に着がえた俺は、ハチマチを被り、腰に衣装用の短刀を差しながら、二人の着替えを待つ。その時、店長が俺の方に来て、耳打ちしてきた。

 

 

 「お連れのお二人さんすごい可愛いわ〜。お兄さん果報者ですね」

 

 

 そうして、含み笑いをしながら、店長さんは手招きしていた。

 

 

 「お二人さんどうぞ」

 

 

 奥の部屋から、琉装に身を包んだスバルとういが出てきた。黄色を基本とした伝統的な琉球花柄が華やかな雰囲気を醸し出す。

 

 「似合ってるぞ二人とも」

 

 「「は、恥ずかしい」」

 

 「あらあらうふふ」

 

 恥ずかしさを隠す為に、タコライス、海ぶどう、てびち、ソーキそば、ゴーヤチャンプル、サーターアンダギーを注文。

 

 沖縄料理をたらふく食べて満足した俺達は会計を済ませて、店を出た。

 

 そして現在、駅から近い黒須公園針山広場近くの橋を歩いている。

 

 「いや〜今日は楽しかったね」

 

 

 「有意義な1日だったよ」

 

 「それは良かった」

 

 俺が今日一日の楽しい思い出に浸っていると、スバルとういがコソコソと何かを話している。二人の口から「よしっ!」の小声が聞こえると、二人が近づいてきて目の前に立ち止まった。

 

 「目を瞑って」

 

 

 「え?」

 

 ういから言われた言葉にすぐ反応出来ずに呆けていると、

 「「いいから目を瞑って」」と2人から言われ、渋々と目を瞑る。

 

 

 俺は目を閉じると、チュッという音と二つの柔らかいモノを両頬から感じ取れた。体感としては5秒過ぎた当たりだろうか、柔らかな感触が頬から離れた。少し冷たい風が頬に当たるが、顔全体が軽く熱を帯びており、冷たさを感じなかった。

 

 2人を見れば、俺と似た状態で頰を赤らめていた。

 

 

 「えへへへ、特別っすよ」

 「誰にもやったことないんだからね」

 

 

 はにかみながら笑う二人の姿が何だか可愛く思い、意識とは裏腹に身体は二人の方に近づく。二人は、軽くピクッと震えたが俺はそんな2人のことをお構い無しに顔を近づける。

 

 2人は目を瞑り、ジッとしながらも未だにプルプルと震えている。そんな二人に対して、俺はこう呟いていた。

 

 「…すまない」

 

 

 そして、ういとスバルを左腕で囲んで引き寄せ、

 ういの綺麗な前髪を右手で掬い上げ、おでこに口付け。ういの体温が唇越しに伝わり、再び頰の熱を感じた。

 スバルの方にもおでこに口付けをする。そして、離れて二人の顔を見る。俺の顔はさっきよりも熱くなっていた。

 

 そこから先の記憶は曖昧で、気づけば二人の住む家の前にいた。

 

 「あの…その…今日のトリプルデート楽しかったよ。あ、ありがとう」

 

 「スバルも、二人とお出掛けできて楽しかった!

その…おやすみ!」

 

 スバルは、急ぎ足でバタバタと部屋へと戻ってしまった。

 

 その姿を見送った俺とういは、軽く笑いながら話した。

 

 

 「改めて、今日はありがとうね六道君!楽しかったよ」

 

 「こちらこそ、今日は楽しい一日でした」

 

 

 俺が笑いながらお礼をいうと、ういは頷き。

 

 「さ、さっきのキスだけど…六道君のことが私は好き。その気持ちは変わらない。スバルも私も貴方に恋してる。ふふっ、六道君は本当に女誑しだね。」

 

 「失礼ですね。純愛ですよ」

 

 

 「そうかな〜?ま、六道君のことを狙っている女の子は多いから、相手の純真な好きという感情から逃げちゃ駄目だよ?」

 

 「あの…「シー」……。」

 

 

 話そうとした俺に、ういは人差し指を俺の唇に当てた。

 

 

 「女の子に恥をかかせちゃ駄目。それじゃ、またね六道君。おやすみなさい」

  

 そう言われた俺は素直に応じた。

 

 

 「はい、ういさん。おやすみなさい」

 

 

 俺はドアを開けて、ういも一緒に外に出る。

 見送られながら、俺は帰路へと着く。

 

 

 (最初はどうなる事かと思ったけど…今日は二人の笑顔が沢山見れた。そして)

 

 

  

 二人の笑顔を思い浮かべながら空を見上げれば、三日月を中心に星々が輝いていた。俺はそっと頰に手を当てる。

 

 

 

 「…まだ熱いな」

 

 

 

 

 

 もう顔は紅くないのに、頰の熱はまだ冷めていなかった。 

 

 

 




イチャイチャ回どうでしたでしょうか?
恋愛描写は少女漫画から学びました。

砂糖吐きそうやわ。コーヒー飲もう。

次の特撮ネタ

  • トッキュウジャー
  • マジレンジャー
  • ゴーオンジャー
  • ゼンカイジャー
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。