12月24日、クリスマスイブ。事務所内にはクリスマスの飾り付けが施されており、ホロメン達は期待で胸が躍るほどウキウキしていた。
「はあちゃまっちゃま〜♪今日はクリスマスイブ!即ち、サンタさんをとっ捕まえてプレゼントをガッポガッポ貰う日よ!」
テンション高めな赤井はあとは、机に足を乗せて、クリスマスイブについて説明した。近くでスマホをいじっていた常闇トワは、スマホを一旦下げて、はあとにツッコんだ。
「いや、何か違くない?」
「〈こぼもサンタさん捕まえたい!〉」
「ねねも〜!」
「ボクもサンタさん見てみたいな〜」
ソファの後ろからこぼとねねが、手をブンブン振り上げてはしゃいでいるのを横目にロボ子もはあちゃまの意見に同意する。
「決まりね!これより、サンタさん捕獲大作戦!開始よ!」
はあちゃま達は、作戦会議を立てながら工具を持ち、罠の設置を始めた。四人の張り切っている姿にトワは「アホくさ」と呟き、再びスマホに目を向けた。
時間は、クリスマス・イブの聖夜午後23時。この日は、誰もが寝静まっている。そんな静寂な街で一つの黒い影がホロライブ事務所の屋上に立っていた。正体は、アルバイトスタッフの六道理央である。
〈 宛先, Rokudo
差出人,YAGOO
件名,ミッション∶サンタクロース
特命です。任務内容は、ホロメンの皆さんへ
プレゼントを渡すことです。健闘を祈ります。〉
スマホからメールを確認した理央は、深呼吸で心を落ち着かせ、身体を整えた。冬の冷たい空気が肺に入り、身体が冷えていくのを感じる。
「今日は、クリスマスイブ。サンタとして任務を果たす。いざ、」
理央は、サンタの服とメイク道具を持ち、早着替えをする。その間、わずか1.05秒。変装した理央の声は、老人の声に変化し、見た目の体型は太ったサンタという子供達の理想の姿に変身した。
「ホッホッホッ。メリークリスマスイブじゃよ。
今から、ワシは理央ではなく、サンタさんじゃ」
理央もといサンタは、YAGOOと共に買ったホロメン用のプレゼントが入った袋を携えながら、屋上の扉を針金のピッキングで施錠し、こじ開けて潜入する。
足音を立てずに歩みを進めると、廊下に何故かローラー付きの丸い机とその上に皿があった。そして、皿の上には、綺麗なホワイトケーキが置かれていた。あからさまに怪しいが、サンタさんへの気遣いを感じ、無碍に出来ないサンタ(理央)は、皿にあるホワイトケーキを一口齧る。
「おぉ!外はフワフワかと思いきや、ゴリゴリとした食感で中はドロドロのネバネバ!苦味と酸味と辛味と甘味が複雑なハーモニーをゴバァ!!」
非常に不味いケーキを噴き出したサンタは、このケーキを作った犯人が誰なのか密かに突き止めたが、ケーキを口にしたことで身体が麻痺状態に陥り、痺れて動けなくなった。未だに痺れている手を必死に動かして上半身を起こし、ケーキを見ると驚愕した。
このおもてなしのホワイトケーキが、ただのホワイトケーキではなく、謎の物体Xであると判明したサンタは、齧ったケーキの中身を見る。
「アアアア゛タス⋯ケテ」
「怖っ」
「タス⋯ケロ〈グチャ!〉」
謎の物体Xは、ニチャァと嗤いながら此方を見ていた。それを踏み潰したサンタ(理央)は、足をグリグリと動かしながらトドメを刺した。
「き、気を取り直して、プレゼント⋯を?」
明らかに罠と判る定番の落とし穴や吹き矢に虎挟みがあちらこちらに設置されていた。
(なんか、事務所が魔改造されてる!?)
サンタは、一風変わった事務所内部の光景に唖然とした。しかし、プレゼントを渡すというミッションを疎かにしないことを思い出し、慎重に罠に注意しながら虎挟みの罠ゾーンを潜り抜けていった。
「目標発見!直ちに罠を作動せよ!」
「「了解!せ〜の!」」
そんなサンタの様子を超小型監視カメラから隠れて見ていたはあちゃまは、二人に合図を出し、ねねとロボ子が引綱を引っ張ると建物内に仕掛けていた歯車が動き出し、仕掛けが作動。ちなみに、こぼは近くのベッドで寝ていた。
同時刻、虎挟みの罠を抜けたサンタは、建物内の地響きに思わず止まり、周囲を見渡す。
廊下が変形し、ギミック満載のアスレチックに変化していた。諦めるかと思いきや、仕掛けに対する挑戦で燃え上がっていた。
「ホッホッ。お望み通り、遊びに付き合ってやるかの」
サンタは、近くの踏み場まで助走なしで跳躍。吹き矢を軽々しく避け、火炎放射器の炎を躱し、横に迫りくる大槌をタイミングを計らって移動する。
そして、転がり落ちてくる大岩を掌底で粉砕。はあと達が設置した罠は次々と破られた。
「第一関門、突破されました!?」
「やはりサンタを捕まえるのは一筋縄ではいかないわね。いいわ、アレを出しなさい」
「アレですか!了解!ゲート開放!」
罠を潜り抜け、長い廊下を走ると新たな気配を察知し、見つかる前に近くの小部屋に身を潜めた。
「サンタさんはぁ⋯⋯何処だぁぁ?」
ガリガリガリと斧を引き摺る音が廊下に響く。咄嗟に小部屋に隠れ、扉から少し顔を出して確認すると星街すいせいが歩いていた。だが、その実態は、目がハイライトオフのサイコパすいせい状態で愛武器の黄金斧を片手で引き摺りながら、地獄の底から響くような声で彷徨っていた。どうやら、サンタを探しているらしい。あれも罠の一つだと考え、必死に声を押し殺し、なるべく気配を消した。すいせいの足音と気配が近付くが、やがて離れていった。
「ふぅ⋯」
ドガシュッ!ベキッ!ベキベキ!
「ニガサナイヨ?」
「〜〜〜!!?」
安堵の息を吐いたその刹那、背を向けていた小扉の横に斧が突き刺さり、ギラリと鈍く光る黄金斧の刃先がサンタの姿を映していた。すいせいは、大きく開けた隙間から顔を出し、笑いながらサンタを見つめていた。声にならない悲鳴を上げながら扉を開けて飛び出したサンタは、猛ダッシュですいせいから逃げた。
(サイコパすいせいから逃げろとか!どんなホラーだよ!?)
「アハハハハハ!」
斧を肩に担いで追いかけて来るすいせいから必死に逃げるサンタは、袋の中を真探り、あるうさぎのぬいぐるみを取り出し、すいせいに向けて投げた。
すいせいは、空中に投げ出されているうさぎのぬいぐるみを見て、目がハートになる。
「キャ〜!クリスマス限定のサンタさんカナヘイだ〜!」
すいせいは、投げられたカナヘイが地面に激突する寸前、斧を放り投げ、カナヘイをキャッチした。
「カナヘイ〜♪カナヘイかわいいよ〜♪」
すりすりとカナヘイのぬいぐるみに頬擦りして夢中になっているすいせいを確認したサンタは、すいせい用のプレゼントを近くに置いて、目的地の部屋へと走り出した。
その後もサンタは、数々の罠を潜り抜ける。
ある時は、迫りくる緑甲羅を飛び越え、追跡して来る赤甲羅を蹴り飛ばす。
「うおおおお!マリオかよ!赤甲羅来た避ける!ん〜トゲゾー甲羅は駄目だろー!」
またある時は、刺客のトナカイとファイト。
「お前のその反抗した態度!ガッデム!」
トナカイと額をぶつけ合い、一旦、離れてからビンタ。そして、トナカイの身体を掴み、身体ごと持ち上げ、回転しながら地面に激突する技スクリュードライバーを炸裂させる。
またまたある時には、ちょっとしたハプニングにあったり
「きゃあ!?」
「うひゃあ!?サンタさんのエッチ!」
「ソゲブッ!!」
サンタは油断していた所を落とし穴に嵌り、シャワーを浴びていた癒月ちょこと白銀ノエルのいるシャワールームに落下した。ノエルとちょこの裸体を目撃し、付け髭が鼻血で真っ赤になった。恥ずかしさと怒りで赤面したノエルから制裁のビンタを貰い、壁に穴を開けて吹き飛んだ。
そんなこんなで残機を減らし、社会的に死にかけながらも様々な罠を潜り抜けたサンタは、先程とは違う何の変哲のない廊下を不審に思い、赤外線暗視スコープを装着し、煙が発生する発煙球を転がす。発煙球が止まり、中から煙が噴射されると、赤外線暗視スコープ越しに無数の赤い線が可視化された。
「やはり、赤外線の罠があるのか。噴ッ!」
サンタは、赤外線レーザーに触れないように腕と腹を力み、筋肉質のマッスルフォームに変身。クラウチングスタートから駆け出し、右側転からの空中捻りで赤外線レーザーを躱し、時には手鏡で赤外線を反射させ、右手で重心を支えながら、当たらないように膝を曲げ、腕のバネを利用して向こう側まで着地した。
着地した瞬間、サーチライトに照らされたサンタは、腕で光を遮りながら動きを止めた。
「何じゃ一体!」
「何だかんだと聞かれたら」
「答えてあげるが世の情け」
「世界の破壊を防ぐため」
「世界の平和を守るため」
「愛と真実の善が貫く」
「ラブリーチャーミーなアイドル!」
「世界を駆けるホロメンの私達には」
「ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ」
「〈そーなんす!〉」
「その口上は、アウトじゃろ」
これには、サンタも思わずツッコミを入れる。
「フッフッフ。しかし、残念だったのぉ、お嬢さん方」
サンタの笑みに不思議がる四人。しかし、サンタの笑う意味に四人は直ぐ様気づいたが時すでに遅し。
「サンタさんは、良い子にしか現れないのじゃよ」
サンタは、目を赤く光らせ、漆黒のオーラが赤い服を黒に染める。俗に言うブラックサンタに変化した。
サンタは、こぼに狙いを定め歩き出す。
「〈なに?なになになに!?ひゃあ!?〉」
「こぼちゃん!サンタさんごめんなさい!あぅ」
「ロボ子先輩!?うっ!」
最初にサンタと目が合い、猫騙しを受けたこぼはバタリと倒れ、それを見て、小さく悲鳴を上げたロボ子は腕を変形させ、火球を出そうとするが、首を手刀でトンと軽く叩かれ、気絶。ねねは、睡眠の秘孔を突かれて睡眠状態に入った。
残り1人となったはあちゃまは、サンタと目が合った瞬間。急激に眠くなり意識が朦朧として落ちる間際に、再びブラックサンタの瞳を確認して、瞼を閉じた。
サンタの瞳孔に複数の黒い巴模様が発現していた事に
はあちゃまが眠ったことを確認したサンタは、3人と途中で拾ったすいせいを仮眠室にまで運び出して寝かせた。そして、そのまま、窓から飛び降りて事務所を後にする。
こうして、はあちゃま達のサンタ捕獲大作戦は失敗に終わった。
「ムニャムニャ⋯にぇ〜」
「⋯⋯よし」
ホロメン最後の一人であるみこちのベッドにプレゼントを置いたサンタは、袋の中が空であることを確認し、窓から飛び去った。
翌日の25日、クリスマス
「本当にサンタさんがいたのよ!何かこうっ!眼にグルグルとした模様が付いていたのよ!ねえ!三人とも」
「昨夜のこと記憶にないよ」
「〈こぼも覚えてない〉」
「夢だったんじゃないの?」
「違うよ、皆!本当なのよ〜!」
はあちゃまは、昨夜いなかったホロメンに話すも、優しい目で見られ、いつも通りのはあちゃまの言動と位置付けられていた。
そんなやり取りを他所にあるデスクの作業用パソコンの画面にはミッション・サンタクロース成功と密かに文章が打たれていた。その席の人間が離席した直後、誰かの伸ばした手がそっとデリートキーを押し、文章が削除された。
【おまけ】
「すやぁ〜」
「⋯えぇ?」
獅白ぼたんの部屋でプレゼントのメモを見ていたサンタは、プレゼントの内容に呆然としていた。
『わため』
プレゼントに困った理央サンタは、寝ている『わためいと』を袋から取り出し、プレゼント箱の中にそっと入れ、追加でライオン用クリスマスセットを置いて立ち去った。
明日、25日にも投稿いたします!
乞うご期待!
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