アルバイトスタッフの電脳日常   作:ヴィルヘルム星の大魔王

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1日過ぎたけど。クリスマスには、シャケを食え!


クリスマスには、シャケを食え!

 

 12月25日!今日は、クリスマス!

 

 俺は、「彼女いない歴=年齢の人間は今年もクリぼっちを過ごすか」とそう呟きながら、ホットココアを片手にテレビのニュースを観ていた。

 世間はクリスマス1色。リア充爆発しろの単語さえ、昔の流行り言葉になり得る時代の流れを感じ、朝から一人黄昏ていると、ドンドン!と呼び鈴を鳴らす音が聞こえた。

 インターホンのカメラモードで外を確認すると桜髪、水色髪、銀髪、フェネックの耳と尖った耳が見えた。個性的な髪色や耳に見覚えがあった。花のJK集団しら研ことしらないこと研究会にして、後の不知火建設メンバーである。

 

 玄関まで歩き、引き戸を開けた。扉を開けて外に出ると、部長の不知火フレアと副部長の尾丸ポルカの2人が代表として挨拶してきた。

 

 「やっほ〜理央さん」

 

 「ホワイトクリスマース!」

 

 「5人がここに遊びに来るなんて珍しいな。外は寒いから立ち話もなんだ、早く家の中にどうぞ」

 

 

 「「「「「お邪魔します」」」」」

 

 5人は、家主である俺の後に続いてぞろぞろと家の中に入り、リビングに案内される。

 

 「リビング広っ!庭広っ!」

 

 「テレビデカいな〜」

 

 ポルカは、リビングの広さに圧倒された。フレアは、テレビの大きさに驚愕した。

 

 「見てすいちゃん!白子!白子!」

 「みこち、アレは黒子」

 

 

 「ワンちゃんかわいい〜」

 「ヘッヘッヘ!ワン! ワン!」

 

 ノエルは、実家が飼っているトイプードルの錦を夢中で撫でている。ちなみに錦は、毛色はクリーム色で四才の男の子である。遠い先祖に送り犬と呼ばれる犬妖怪の遺伝子を持つ。

 

 「そういえば、5人は何故、ウチへ遊びに来たんだ?」

 

 俺の問いに、5人は顔を合わせ、フレアが一番に声を上げた。

 

 「クリスマスといえば!ツリー!」

 

 「プレゼント!」

 

 「トナカイ!」

 

 「シャケ!」

  

 「そして、クリスマスケーキ!理央さんの家に遊びに来たのは、来てみたかったから!それだけ!」

 

 

 遊びに来た理由をポルカが最後に話したことで話は締めくくる。 

 クリスマスにはしゃぐ5人の姿を見ると微笑ましくなる。クリスマスの日にやる仕事は分身達に任せているから、今日は家で楽しくクリスマスを過ごそうと考えた。

 

 「さて、料理の続きを始める⋯ん?また呼び鈴だ。」

 

 

 またもや、呼び鈴が鳴り、インターホンを覗くと白上達の顔が映っていた。手が離せない

 近くにいた黒子に客人の出迎えを頼み込む。

 

 

 「すまないが、出迎えを頼めるか?」

 

 

 コクリと頷き、了承した黒子は玄関へと向かっていった。数分後、黒子を先頭にケモミミ美少女達が部屋に入ってきた。

 

 「お邪魔するでな!」

 「お邪魔しま〜す」

 「コンコンきーつね!白上フブキです!」

 「うちうち!うちだよ〜」

 

 

 ホロメンの中で特にゲームが大好きなユニットにして、ホロライブのゲーム配信を支えるホロライブゲーマーズ。

 

 

 「四人とも、ゆっくり寛いでいいからね」

 

 

 「「「「はーい!」」」」

 

 四人は、ソファーにゆっくりと座って寛いでいた。黒子の一人が追加で4人分のコップを出していた。クリスマス料理作りの途中であったことを思い出し、棚から計量カップを探す。

 

 「さて、計量カップ計量カップ」

 

 「Kカップ!?」

 「だんちょーは別にいいけど、まだお昼だから恥ずかしいよぉ〜」

 

 

 聞き間違いをしたみこちは興奮気味になり、ノエルは顔を赤らめながら胸を腕で隠していた。

 

 

 「どんな聞き間違い!?Kカップじゃなくて計量カップ!というか、何でノエルさんは恥ずかしがるんですか」

 

 

 そのあと、ゲームをしたり、みこちとすいせいが部屋探検したりとドタバタしていたが、クリスマスケーキが足りないことに気づき、困り果てていた。

 その時、ノエルが手を挙げた。

 

 「だんちょー、ケーキ買ってくるよ!良い店知っちょるけん」

 「私も一緒に行くよ」

 

 「だったら、コレを使いな」

 

 

 二人にケーキを頼んだ俺は、外が寒いことから買い物に最適な乗り物を思いついた。リビングと台所の中間地点にあった黒いトレジャーボックスの中からアイテムを取り出し、二人に見せる。取り出したのは、金色の蒸気機関車型の玩具だった。

 

 

 「「ほえ?」」 

 

 

 

 ーーー外に移動中ーーー

 

 

 

 「出発進行ー!」「コレ、運転大丈夫なの?」

 

 《自動運転だから、大丈夫だ問題ない》

 

 〈エ・エ・エ・エッークス!〉

 

 ノエルとフレアは、巨大化した金ピカの蒸気機関車エックストレインゴールドに乗り込み、ケーキを買いに行った。それを見送った後は、残りのメンバーで母衣商店街へと買い出しに出掛けた。

 

 買い物が順調に進み、あとはローストチキン用などの肉を買うだけだ。

 

 「いやー沢山買えた買えた。あとは肉だけだ」

 

 「肉ー!肉大好き!」

 

 談笑していると、ホロメンの携帯に一斉メールの通知がきた。

 

 

 「あ、事務所全壊したってメール来た」

 「大丈夫なのそれ!?」

 「金色の列車が突然、衝突してきたらしくて。その影響で崩壊。でも、事務所内に誰もいなかったみたいで、怪我人いないらしいよ」

 「あ、良かった。いや、良くないわ!」

 

 『アハハハハハ!』

 

 

 ポルカがツッコミを入れたことで空気が和らいだ。

 男女の入り混じった悲鳴が聞こえ、全員足を止めた。気になった俺は、荷物を置いて走り出す。

 ポルカ達は、置いていた荷物を持ち、急いで悲鳴が聞こえる現場へと走り向かう。

 

 

 

 

 現場では、人々が奇妙な怪人から逃げ惑っていた。

 その怪人の姿は、大量のイクラが体から飛び出て、体が真っ二つに裂け骨格が丸見え、両腕と両足は鮭の切り身になっており、これでもかと言うほどに鮭を体現していた。

 

 

 「我が名は、サモーン・シャケキスタンチン!今年のクリスマスはシャケ一色に染めてやる!ノーモアチキン!!チキンの代わりにシャケを食べろ〜!!

 犯罪技『切り身配り』!」

 

 サモーンは、一匹の鮭を切り刻み、シャケの切り身を生成し、炎で焼いて焼き鮭に変化させ、念動力で周囲の人々に焼き鮭を強制的に食べさせた。勿論、しらけんやゲーマーズも例外ではなかった。

 

 「むぐっ!?」「むぐぐ!?」「もぐっ!?」

「んにゃ?」「だでな?」「コーン!?」「うちっ!?」

 

 ついでに、俺の口にもシャケが放り込まれた。

 

 「むぐっ?⋯旨いな、しかも骨無し」

 

 「だろぉ!骨無しなのは、骨が口に刺さると危ねえからな!シャーケッケッ!」

 

 「変なところに配慮してやがる」 

 

 覆面のような怪人が人々からターキーレッグや焼き鳥を取り上げ、焼き鮭の切り身に変えていた。高笑いしているサモーンの後ろに2つの黒い影が飛びついてきた。

 

 「「がぶっ!」」

 

 「ぎゃあああ!尻尾痛ーい!」

 

 サモーンが悲鳴を上げ、痛みの発生源を見ると、いつの間に移動していたのか。薄紫髪の猫獣人の猫又おかゆと茶髪の犬獣人の戌神ころねがサモーンの尻尾に齧り付いていた。

 

 

 「何しとるんじゃ!お前らはー!」

 

 

 サモーンは、尻尾に齧り付いていた2人をブンブンとコミカルに振り回して引き離す。空中に放り出された2人を階段から跳躍して抱き抱える。間一髪、救出されたおかゆところねは、抱き抱えられている状況に頬が紅潮。

 

 「大丈夫か?二人とも?」

 

 「あ、ありがとう」「は、恥ずかしいだでな」

 

 二人はしどろもどろになり、ころねの尻尾が意識とは別にブンブンと大きく振り、おかゆの尻尾は腕に巻かれていた。その状況を見て、何故か苛立ちを隠せず尻尾を足の間に入れて巻き付けてるフブミオは、突如として足を思いっきり踏みつけてきた。

 

 「「ふんっ!」」

 

 「イッテェ!!何で踏まれなきゃアカンねん!」

 

 「「知らない!」」

 

 その様子を眺めていたポルカ、みこち、すいせいはニヤニヤが止まらなかった。

 

 「おーおー嫉妬してらっしゃる」

 「てぇてぇだな」

 「ライバル⋯多いな」

 

 気を取り直して、四人を後ろに下がらせた後、

 携帯型変身アイテムのモバイレーツを取り出し、黒い鍵人形を鍵に変形させ、前に突き出す。鍵穴に挿し込んで捻る。

 

 「ゴーカイチェンジ」

 

 『ゴーカイジャー!』と携帯型変身アイテムのモバイレーツから音声が鳴り、XとYの文字が空中に浮かぶ。文字に包み込まれ、ゴーカイブラックに変身。

 

 「さあ、派手に行かせてもらうぜ!」

 

 襲い掛かるポーダマンを次々と斬り伏せ、銃で撃ち倒し、マーシャルアーツの要領で蹴り飛ばす。

 

 

 「ひ、一先ず戦略的撤退だー!」

 

 

 サモーンは、スタコラサッサと逃走した。俺はサモーンの跡を追いかける。

 逃走したサモーンを探していると、どこからか声が聞こえる。声のする方を確認すると、街頭ビジョンを電波ジャックしていた。

 

 

 「クリスマスにチキンは邪道!なぜ、貴様らはチキンを食べるのだ?」

 

 「美味しいからや!」

 

 サモーンの質問に回答するポルカ。その言葉を聞いたサモーンは激怒し、画面にぶつかる。画面と周りにヒビ割れが生じた。

 

 「あー!気に食わん!クリスマスには、シャケを食え!守らない奴は今から徹底的に嫌がらせするからな!わかったな!」

 

 

 その言葉を最後に姿を消したサモーン。嫌な予感を感じ、近くの精肉店へと向かった。

 

 精肉店は、外から見ると暗い雰囲気に包まれており、こちらまで気分がどんよりしてきた。

 勇気を出して、店内に入るとなんと、受付にキアラとルイがいた。ショーケースを見ると、チキンではなく、切り身を販売していた。この鮭の切り身だらけの状況について説明を促す。

 キアラとルイは、1時間前の出来事について、回想を通して説明をした。

 

 

 

 

 

 この日、キアラとルイは、クリスマス期間の稼ぎ時のバイトとして肉屋で働いていた。チキンがクリスマスのメインディッシュであることから、鶏肉が飛ぶように売れていた。しかし、そう長くは続かなかった。

 

 1時間前に鮭の怪物が突如として店に乱入。売り場の鶏肉を見て大激怒し、店長に掴み掛かってきた。 

 

 「突然押し入って何だが!クリスマスにチキンを売るな!代わりにシャケを売れー!」

 

 「は、はい〜!?」

 

 「全部全部全部全部全部全部!シャケにしろ!」

 

 

  店長の否応無しに鶏肉が全て鮭の切身に強制変更された。しかも、切り身の値段は50円。販売側からすれば大赤字である。

 

 

 「シャケざんまい!次だ次!シャケシャケシャケ」

 

 イタズラに成功したサモーン達は、そのまま次の肉屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 「と、このようなことがあって、怒らせると何か怖いので、今は大人しく鮭を売っています。今年のクリスマスは、残念ですがチキンは自粛すると店長が」

 

 

 説明を終えたルイは、チラリと奥間の方を見る。失礼を承知して、奥を覗くと店長らしき人物が意気消沈しながら、牛肉や豚肉を漬け込んでいた。

 

 

 「マジか〜鶏肉は無理か。ルイ、キアラ!とりあえず、牛タン3kgと豚ロース4kgを買うわ。

 今夜のクリスマスパーティーに必要だから頼む」

 

 「はい、お買い上げありがとうございます。キアラ、加工おねがい」

 

 「キッケラキー!お任せあれ〜」

 

 「いきなりで悪いが、今夜クリスマスパーティーがある!朝に開催場所と日時を『Rain』に送ったから!」

 

 

 

 

 

 一旦、自宅に戻り、急いで作戦会議をする。当然、肉料理の仕込みをしながらだ。作戦内容が思いつかず、皆で考えているとノエル達が帰宅した。

 

 「お待たせ〜ケーキ買ってきたよ。ブッシュ・ド・ノエルとチーズケーキとチョコケーキ!」

 

 「あれ?皆元気ないね?どうしたの?」

 

 これまでの経緯を聞いた二人は、対抗策を思い出し、全員に作戦内容を話した。

 

 

 「家に手羽先用の肉が余っていたから、これで誘き出す」

 

 「成程、罠を張るんだね」

 

 「⋯あの、すいません。食べ物を恵んで貰えないでしょうか?」

 

 

 フレアが持ってきた手羽先の罠を設置していると後ろから声をかけられ、振り向いた。そこにいたのは、時期的に冬眠している筈のクマだった。

 

 「ん?クマさん?」

 「あ、はい。クマです。」

 「何処かで聞いたことがある声だな」

 「気の所為です」

 「この鮭あげるから、森にお帰りなさい」

 「ありがとう。人間」

 

 クマは、シャケを咥えてノシノシと森に帰った。

 

 

 「なんか声がAちゃんパイセンに似てたな。まあ、いいか。ん?」

 

 

 「チキン!チキンチキン!チキンの匂いがするぞ!どこだ!とうっ!」

 

 橋の下に着地するサモーンだったが、自転車侵入防止柵に足を引っ掛け転んだ。

 

 「いてて、着地失敗」

 

 

 「のこのこと餌につられて、罠に引っかかったな。クリスマスを返してもらうぞ!ゴーカイチェンジ!」

 『ゴーカイジャー!』

 

 モバイレーツにレンジャーキーを挿し込み、変身。

 

 

 「みこも行くにぇ!」

 「うちも行くよ!」

 「白上も行きますよ!」

 

 「「「変身!」」」

 

 「ゴーカイブラック!」

 「白上フブキ!」 

 「大神ミオ!」

 「さくらみこ!」

 

 「海賊戦隊ゴーカイジャー!」

 

 「あっちゅ!あっちゅ!」

 

 

 背後の爆発の炎がみこちにまで燃え広がり、みこちの履いてるスカートのお尻部分に引火。みこちは、グルグルと走り回りながら手で叩いて消火していた。

 

 

 「海賊〜?戦隊じゃないし、一人だけじゃないか!」

 

 「細かいことはどうだっていい!さあ、「ちょーっと待った!タイムタイム!」あ?ちょっと待て」

 

 サモーンからタイムを申し込まれ、罠かと思い、ヒソヒソと審議をする。審議の末、サモーンに許可を言い渡す。

 

 「いいぞ。」

 

 「お、すまんな。お前達、コレを使え!新巻ブレード!」

 

 タイムの許可を受けたサモーンは、下っ端のポーダマン達に鮭の形をした刀剣新巻ブレードを渡す。

 

 「これでフェアだ!やれ!」

 「チャカ!」「テポ!」

  

 命令により、新巻ブレードを構えたポーダマンが襲い掛かる。しかし、ブラックは冷静に決めゼリフを言い放つ。

 

 

 「さあ、派手に行かせてもらうぜ!」

 

 

 ブラックを一番槍にそれぞれ駆け出した。

 

 

 「みこがドカンと一発!派手にいくにぇ!」

 

 ピンクのロケランを装備したみこちは、ロケット弾をポーダマン目掛けて発射する。擦れ擦れで地面に衝突し、多数のポーダマンが消し飛ぶ。だが、残り火が木の葉に引火し、一本の木が燃え盛っていた。

 

 

 「ぎゃあああ!ヤバイヤバイヤバイ!?」

 

 

 みこちは、慌てて消火器で消火作業に入った。

 

 

 

 

 ミオは、焔を拳に纏わせ、ポーダマンの懐にまで突撃した。

 

 「鳳仙牙!おりゃりゃりゃ!」

 

 

 自慢の拳が新巻ブレードを打ち砕きながらポーダマンに打撃を撃ち込む。それを見ていたフブキも負けじとムラサメ丸を握り、新巻ブレードと鍔迫り合いに持ち込み、ポーダマンの腹を左薙で斬りつけた。 

 

 ブラックは、ゴーカイサーベルで斬り付け、蹴り飛ばし、ゴーカイガンで撃ち倒す。ポーダマン達は次々と地に伏せた。そんな状況下の中でも、サモーンは弦が付いているツリツリ剣をギターのように掻き鳴らしながら、必殺技を発動する。

 

 

 「黒のスーツが似合うあなたのラッキーシャケは、コレ!ダラララララ!シャケのバター醤油ムニエル!」

 

 「は?ムニエル?」

 

 

 気付けば、周囲の景色がフライパンの中に変わり、溶けたバターで焼かれていたシャケの上に立っていた。幻覚の手がバターをスプーンですくう。バターの油で足を滑らせ、高温のフライパンに落ちた。

 

 

 「アチッ!アチチ!アチッ!?」  

 

 フライパンの熱を回避していると、真上から醤油を掛けられた。

 

 「醤油ー!?しょっぱ!?しょっぱい!」 

 

 幻覚が解け、灼熱のフライパンと醤油による精神的ダメージによって吹き飛ばされた。

 

 「しょっぱぁ!?」

 

 

 「理央さん!」

 

 「ピンクが似合うそこの貴女のラッキーシャケは!」

 

 「何でみこまで!?」

 

 「ダララララ!鮭のどんがら汁!」

 

 「にぇ?」

 

 

 鮭のどんがら汁を宣言されたみこちは気付けば、グツグツと沸騰した鍋の上に立ち尽くしていた。足底から感じる熱に驚き動いた事で思わず足を踏み外し、ドボンと鍋の中に落下した。

 

 「あっちゅ!あっちゅあっちゅ!ああ嗚呼あ゙あ゙あ゙!助けてー!」

 

 みこちは、まるで釜茹でにされる亡者のような精神的ダメージを負う。幻覚から覚めた頃には、地面にのたうち回っていた。ついでに転がっている時に偶々いたブラックは潰された。

  

 「おふッ!?」

 

 「「みこち!?」」

 

 

 フブキとミオは、互いにポーダマンを退け、みこちの元へ向かうがサモーンが2人を狙い定めていた。

 

 「そこにいる黒と白の貴女達のラッキーシャケは!ダララララ!親子ちらし寿司!」

 

 「ちらし⋯」

 「⋯寿司?」

 

 次の瞬間、二人は金属ボウルの中に転移していた。

 金属ボウルの中に寿司酢が投入され、酸っぱい香りが二人を包む。

 

 

 「酢〜!?酸っぱいよ〜!」

 

 「ぎゃああ!酢が目に染みるー!」 

 

 

 酢の酸味に驚いたミオと酢が目の中に入り悶絶するフブキ。ミオは、ポッケに入れていたペットボトルの水をフブキに掛ける。その後、謎の腕は醤油・砂糖を投入し、スプーンで掻き混ぜる。二人は、グルグルと目を回しながら、合わせ酢の中で為す術もなく掻き混ぜられていた。

 次に、スプーンで持ち上げられたフブミオは、ポーンと放り投げられた。

 

 

 「「うわああああ!?ふぎゅ!?」」

 

 

 放り出された二人は、放物線上に飯切と呼ばれる寿司桶の中に着地し、背中合わせになって息を飲む。すると、上空から炊きたての白米が降り注ぐ。二人は避けるが、白米からの熱気に圧倒される。

 

 「あちちッ!あちっ!」「熱々のご飯〜!?」

 

 先程の合わせ酢が白米の上に垂れ流され、激流に飲み込まれたと思いきや、酢飯ごと杓文字で混ぜられた。

 

 「「酸っぱい!酸っぱ〜!」」

 

 幻術から解放された二人は、吹き飛ばされるが倒れていた状態のブラックがそのまま下敷きになり、クッションと化していたお陰で、二人は軽傷で済んだ。

 

 「ふごっ!?がはっ!?

 

 ブラックは、2回連続の体への衝撃により、グロッキーになりかけた。

 

 

 「シャケシャケ!どうだ?美味いだろぉぉ?」

 

 

 「確かに⋯鮭は美味しい食材だ!」

 

 「焼いても、煮てもよし、みこも好きだにぇ!」

 

 「鮭は栄養満点で体に良い。うちも大好き!」

 

 「ですが、白上達は⋯それでも、それでも!」

 

 少しずつ少しずつと立ち上がる。クリスマスを、チキンを楽しみにしていた自分たちの想いと人々の想いを取り戻す為に身体に力を入れて立ち上がる。そして、四人は断言した。

 

 

 「「「「クリスマスにはチキンでしょうがー!」」」」

 

 

 ブラックは、ゴーカイガンの照準をサモーンに向け、引き金を引いて撃鉄を起こす。銃口から球形の実弾が射出され、サモーンの肉体にダメージを与える。

 

 「シャケケ!?」

 

 

 銃撃を受けたサモーンは、イクラを撒き散らしながら、吹き飛んだ。ブラックは、サモーンが起き上がる前に馬乗りになる。白上達もブラックに続いて、サモーンの腕や脚を地面に押さえつける。

 ブラックは、ルパンレンジャーのレンジャーキーをモバイレーツに挿し込み捻り、赤いX・Yの光がブラックを包みこんだ。

 

 「ゴーカイチェンジ!」

 『ルパンレンジャー』

 

 ブラックは、快盗戦隊ルパンレンジャーのルパンレッドに変身した。

 

 「サモーン、アンタのお宝戴くぜ」

 

 ダイヤルファイターを押し当て、腹部にあるロックされた金庫の番号を自動解除する。

 

 〈4・1・9〉

 

 番号解除によってアンロック状態になった金庫からお宝「飢えた獣のように~Une faim de loup~」をゲットした。

 

 

 『ファイナルウェーブ!』

 

 

 ルパンレッドの変身を解除したブラックは、ゴーカイサーベルにレンジャーキーをセット。黒く光る刃先を振りかざし、斬撃波を飛ばす。

 フブキは、水を纏ったムラサメ丸を振るい、巨大な氷塊を飛ばす。

 ミオは、掌から炎球を作り出し、放出する。

 みこちは、ロケランの中に35Pを詰め、発射。

 

 「ゴーカイスラッシュ!」

 「ムラサメマル奥義 雪矢狐々!」

 「火産霊ノ球!」

 「35Pボンバー!」

 

 四人の必殺技が一つになり、巨大なエネルギー弾としてサモーンを貫いた。サモーンの体にバチバチと電撃が走り、今にも爆発しそうな状態だ。

 

 「アスタキサンチーン! 色素物質!」

 

 奴のある能力に目を付けた俺は、サモーンが本格的に爆発して、命尽きる前に回復術で腹に開いた風穴を修復。逃げ出す前にゴーカイガンのワイヤーで捕らえた。その時の顔について、そこにいたホロメンに聞くと

 

 「怪人より怖い顔をしていた」と証言していた。

 

 

 

 本来は、24日の夜にパーティーを開催したかったが、諸事情で遅めのクリスマスパーティーを開くことにした。会場は、自宅の別棟にある『白亀の間』と呼ばれる宴会場だ。

 

 

 『メリークリスマス!』

 

 各々がクリスマス衣装の姿で雑談や食事を楽しんでいた。分身からの情報では、にじさんじやあおぎりでもクリスマスパーティーを楽しんでいるとのこと。ホロメンやカバーの社員のほかに兎田ぺこらの母ぺこらマミーや姉街さんといったホロメンの家族も招待している。

 

 俺は、別館内にある厨房で調理途中のクリスマス料理を調理をしていた。人手が足りないので、分身を増やして分担している。

 

 

 「サモーン、料理用のシャケが足りねえんだ!シャケをじゃんじゃん振る舞ってくれ。あと、シャケグラタンがもうすぐ焼き上がる」

 

 

 「は、はいー!お前たち!じゃんじゃん料理を運べー!」 

 

 

 サモーンが鮭からシャケの切り身を生成し、焼き鮭に加熱する。そして、ギャングラーの下っ端構成員のポーダマン達は料理を作り、次々と料理を運び、大皿に追加していった。

 

 メニューの種類は、定番のローストチキンやローストビーフに加えて、シャケグラタン、シャケのクリームシチュー、シャケチャーハン、ポテトサラダ、シャケピラフ、サモーンのクリームパスタ、鮭の香草焼き、サーモンのカルパッチョ、サーモンのクリームチーズ和え、サーモン寿司といった鮭料理のフルコース。また、海鮮系が苦手なホロメン用にピザやドリアや牛タンシチューといった普通の料理も振る舞われている。

 

 サモーンの処置に関しては、建造物損壊や傷害を起こしていなかったことから、完全撃破はしなかった。だが、営業妨害や大勢の民間人にシャケを強要。

 所謂、シャケハラスメントをした為、クリスマスパーティーの料理作りタダ働きの罰に処した。

 

 

 「クリスマスに食べるシャケも案外いいものですね」

 

 「チキンも美味しいですけど、シャケ料理もおいひーれす」

 

 会場の隅でYAGOOとのどかちゃんもシャケ料理を絶賛していた。分身達に厨房を任せは、会場の光景を見て微笑み、隣にいたサモーンは嬉し涙を流していた。

 

 「シャ、シャケを喜んで食べてもらえるほど、こんなに嬉しいことはねえ!」

 

 「シャケとチキンはお互い共存できるんだよ。それとサモーン」

 

 「何だよ」

 

 「正月にも鮭が必要なんだ。大晦日の時にも来てくれるか?お前の力が必要なんだ」

 

 「⋯⋯はっ!ば、馬鹿野郎!俺は、誰もが恐れ慄くギャングラー怪人だ!それに、クリスマスにチキンを食べる風習が許せねえからやってるんだ!ふんっ!」

 

 「⋯素直じゃないな」

 

 配膳係をしていた黒子からシャンメリーを受け取り、一口飲む。一仕事を 終えた後に飲む炭酸が喉に刺激と快感を与える。

 

 一波乱あった後のクリスマスというのは、賑やかなものだ。

 

 

 「Merry Christmas」

 

 

 「理央さーん!白上があーんして差し上げますよ!」

 「フブちゃん!抜け駆けは許さないにぇ!」

 「ズルいよ!だんちょーが食べさせる!」

 

 ギャーギャーワーワーと騒がしいホロメン達の姿に笑いながら、皆のもとに駆け寄る。時には喧嘩したり、協力して助け合い、笑い合う。そんなホロメン達の絆というクリスマスプレゼントを貰った気がした。

 くさいセリフを考えていた自分の恥ずかしさを隠すように、シャンメリーを一気飲み。まあ、今夜位は良いだろう。

 

 

 クリスマスナイトはまだ始まったばかりだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「クリスマスには、シャケを食え!」

 

 笑顔を浮かべたサモーンが親指を立てながら、クリスマスの夜空に浮かんでいた。

 

 




クリスマスには、チキン?違う違う!シャケを食べるんだ!

我が家では、クリスマスに家族が流行病でダウン中。
皆さんも、手洗いうがいを徹底して、元気にお過ごしください。
では、また次回。

次の特撮ネタ

  • トッキュウジャー
  • マジレンジャー
  • ゴーオンジャー
  • ゼンカイジャー
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