アルバイトスタッフの電脳日常   作:ヴィルヘルム星の大魔王

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投稿が遅れて申し訳ありません!
 学業や試験で忙しくなり、モチベの低下で執筆が進みませんでした。今回、ホロシティを飛び出し、他県が舞台!
 


そうだ、栃木行こう

 

 年始が始まり、正月休みが終わりを迎えた。

 世間は仕事に勉強と大忙し。しかし、羽を休ませるのも時には大事なことである。それは世界征服を企む秘密結社holoXも例外ではなかった。

 

 

 

 holoXのアジトにて、ソファーに座りながらテーブルの上でノートパソコンを開き、MAX珈琲で喉を潤しながら事務作業をしていた。

 作業内容は、俺が経営している会社の年末調整の総確認と書類の承認である。一人では手に負えそうにないので、影分身で生み出した分身四体のうち、二体には別のパソコンで共同作業。残り二体には、会社にある社長室での仕事を行って貰っていた。錦の世話は、自宅にいる黒子達に頼んでいる。

 

 

 小休止を取り、体を伸ばしながら、ふと周囲を眺める。いろはは、目釘を抜いた刀の茎を持ちながら拭い紙で刃の古い油を拭い落とし、新しい油に塗り替え、打粉で軽く叩いて、刀の手入れをしていた。

 

 ルイとクロヱは、クロヱが4日間風呂に入らなかった為、風呂嫌いの犬猫に接する感じで無理矢理風呂に入れようとしている。

 

 

 こよりは、発明品製作の為に実験室に籠もっているから不在だ。あ、爆発音が聴こえた。

 

 

 15分の休憩が終わり、作業を進めていると、背後から気配を感じた。後ろから近づいてくる気配の正体は、唐揚げのフィギュアを手に持っているラプラスであった。そのまま、ラプラスが話しかけて来た。

 

 

 「理央!吾輩、今週末にバーチャル栃木のイベントへの出演依頼の案件頂いたからさ、護衛として付いてきてよ〜」  

 

 

 「分かった⋯分かったから、ぐりぐりと角を押し付けないでくれ」

 

 

 俺は、カバーの正社員ではなく、あくまでアルバイトの非正規社員だ。過去にホロライブ事務所が創業して間もない頃の小さな事務所時代からアルバイトとして雇用され、働いている。また、YAGOOとの契約で特殊業務としてホロメンのボディーガードが業務内容に含まれている。まあ、簡単に言えば、特殊アルバイトスタッフだ。因みに、ときのそら達0期生とはその頃から知り合いである。

  

 更にバーチャル栃木県といえば、ラプラスが大好きな都道府県であり、確か、苺と餃子と干瓢が特産品として有名な県だ。本人は、やたらと栃木に詳しいので、出身はラプラトン星生まれの栃木育ちで有る筈なのだが、頑なに栃木育ちを否定している。

 

 一旦、パソコンから手を離し、ラプラスの方に振り向いて了承する。

 

 

 「相分かった。ついでに俺の会社から男女警備員2名を身辺警護として出向させる。人件費、法定福利費、必要諸経費等の費用は事務所の経費として経理部に申請しておくから」

 

 

 「わお、用意周到。流石はスタッフだ!」

 

 「アルバイトだけどな、殆ど雑用仕事だし」

 

 「つうか、雑用って具体的に何してるんだ?」

 

 「話すのはタレント相手だから、守秘義務違反にはならないか。そうだな、俺が行っている業務内容は、基本的にホロメンのメンタルケア、マネージャーさんや他のスタッフのサポート、ゴミ捨てに掃除で、他の作業としてロケ撮影の同行や企画進行の手伝いとか様々だ」

 

 「ふ〜ん?大変そうだな」

 

 「慣れれば楽しいさ、電話対応は嫌いだがね。

 まぁ、アルバイトなんてそんなもんさ」 

 

 「そんなもんなのか」

 

 「でも、仕事じゃないがYAGOOへのお茶出しは楽しいな。彼からは様々な話が聞ける。勿論、世間話程度だがYAGOOの趣味嗜好なら大体理解している⋯む?新しいメールが」

 

 

 ラプラスと会話をしていると、新たなメールが着信された。宛先は、栃木のサブカルイベント運営からだ。内容を開けば、先程ラプラスが言っていたイベントのゲスト案内とアンチによる爆破予告に対する警告のお知らせだった。

 

 

 「⋯成程、宇都宮のカミナリドームで開催か」

 

 「何々?宇都宮?」

 

 「こよ知ってる!餃子で有名な場所でしょ!」  

 

 「魅力?ないんだな、それが」

 

 「栃木県の人に聞かれたら、怒られるよクロヱ」  

 

 「入場無料だし、ラプラス以外の皆は、一般人として変装すれば問題はないだろう」

  

 「なら、決まったな!いざ行かん!

  栃木へ!holoX出動だ!」

 

 「「山田〜!Yes My dark!」」

 

 「言ってくれるのお前ら二人だけなんだよな!というか、山田言うなー!」

 

 

 そんなこんなで、イベント前日の午前9時20分に母衣駅から快速ラビットのグリーン車で宇都宮駅まで電車に揺られながら行くholoX一行。 

 

 宇都宮へ行く際の注意点として宇都宮直通の電車を選ばなければならない。途中駅にある小金井駅が終点として停まる電車が殆どの為、タイムロスが生じるのだ。乗車の際、一手間かかるからな。しかも、小金井駅の周囲は、本当に何にもない。近くにコンビニ一軒位しかない。この前、北関東三制覇旅行に行った時は少し焦ったもんだ。

 

 1時間30分で宇都宮駅に着いた。イベント関係者へ挨拶と打ち合わせに行く傍らで、会場近くに設置された爆弾を全て取り除き、握撃で無力化した。後処理は警察に任せよう。

 

 「では、当日宜しくお願いします」

 

 「こちらこそ宜しくお願いします」

 

 イベントの打ち合わせとリハーサル確認が終わり、時計を見れば14時を過ぎていた。昼飯探しに東武宇都宮を歩く。東武宇都宮には、商店街があり、全階全てがアニメ・漫画・ホビーショップのビルも存在する。

 

 向こう側から女子高生三人組が談笑しながら、歩いてきた。そして、すれ違いざまに振り向いた黄色の服を着た少女は「あ⋯あの人は」と呟き、此方に向かってきた。黄色の服の少女と共にいた二人組は少女を追い掛けた。

 

 「あの⋯もしかして六道さんですか?」

 

 「そうですが、貴女は⋯ってまなみん!?」

 

 「ハァハァ!いきなり反対に走り出してどうしたの?まなみん?」

 

 「誰かいたの?って、あら?あの人は⋯」

 

 「やっぱり六道さんです!お久しぶりです!」

 

 名前を呼ばれ、振り向くと見知った顔の少女がいた。追い掛けてきた二人からまなみんと呼ばれた少女は、ぴょんぴょんと嬉しそうに跳ね出した。小柄な体躯は、小動物を思わせるようで見ていて和む。

 俺は、走ってきた二人の少女を見て、名前を呼ぶ。

 

 

 「瑠璃ちゃんに野乃花ちゃんか!」

 

 「六道さん!久しぶり」

 

 「お久しぶりです。六道さん」

 

 

 緑髪の少女瑠璃ちゃんと赤みがかった茶髪の少女野乃花ちゃん。彼女達は、とある秘密を持った栃木の有名人達である。

 

 

 「六道さん達は、もうお昼は食べましたか?」

 

 「いや、お昼はまだ食べていない。これから食べに行こうと思っていた所だ」

  

 「あの⋯もし宜しければ、皆さんでうちの店の餃子食べていってください!」

 

 「良いのかまなみん!」

 

 

 まなみんは、両親が自営業で営んでいる餃子屋に誘おうとしている。腹も空いていたし、店を探していた為、万々歳だ。

 

 

 「理央君、その娘達はどちら様?」

 

 「ああ、この娘達は栃木の知り合いだ。紹介するよ。頭に餃子付けてる子が堤愛美ちゃん」

 

 

 「お野菜いっぱいラブいっぱい餃子をエール!堤愛美です」

 

 

 「その隣にいる苺のアクセサリー付けている娘が春崎野乃花ちゃん」

 

 

 「はいは〜い!苺みたいな乙女を目指して、いちごをエール!春崎野乃花です」

 

 

 「最後に、サイドテールに干瓢のアクセサリーをしている子が瓜田瑠梨ちゃん。ちなみにバスト瓜サイズ」

 

 

 「ダサいと言ったらウリウリしてあげる。かんぴょうをエール!瓜田瑠梨よ。⋯って!最後セクハラじゃない!?」

 

 

 「イタタタ!すんまへんすんまへん」

 

 余計な一言を言ったせいで瑠梨にこめかみをウリウリされる。holoXはポカーンとなってノリについて行けず、野乃花と愛美は苦笑いである。

 

 

 「ごめんねごめんね」

 

 「もう、これからはやめてよね?」

 

 瑠梨に謝りながら、何とか許してもらい、脱出する。さっきウリウリされた際に後頭部に柔らかいモノが当たっていたのは俺だけの秘密だ。

 

 

 「おい理央、そこのお姉さん方達とはご知り合いで?」 

 

 「知り合いさんよ。彼女達とはある縁を通して知り合ったってところかな?彼女達は、栃木県で栃木の魅力をPRするご当地アイドル。

 その名も『まろに☆え〜る』!」

 

 

 ラプラスからの質問に返答する。その際、周囲に聞こえないようにholoXのメンバーに向けて、小声で彼女達の紹介をする。此処にいるのは、電脳界の有名アイドルタレントと栃木のご当地アイドル。周りの人にバレたら騒動になるからだ。

 

 「昔、ボディーガードの仕事でまろに☆え〜るのイベントに参加していたんだ。その縁で仲良くなってファンになった。いや〜栃木のご当地アイドルまろに☆え〜るは最高だね」

 

 

 (こいつ、美人な姉ちゃん達とさり気なく連絡先交換してやがったのか!?)

 

 (苺、餃子、干瓢。特産品をイメージしたアイドルでござるか。風真も茄子のPRアイドルとかやりたいでござるな〜)

 

 (ご当地アイドル⋯か。holoXの今後の活動のヒントになるかも!!)

 

 (こよがタイプのカワイイ娘達ばかりだ〜眼福眼福〜)

 

 (緑髪の娘。おっぺぇでけ〜) 

 

 (何か⋯いやらしい視線を感じるわ)

 

 (お腹空いたな〜苺食べたいな〜)

 

 (ぐぬぬ!一番背の低い角の生えた子以外、皆さん胸が大きいです!)

 

 

 両グループとも表面上、笑顔で取り繕いながらも内心は様々な思いを抱いていた。それを読心術で盗み読みする。

 

 (ふむふむ、取り敢えず、第一印象は大丈夫か)

 

 

 その後、堤愛美の家が経営する餃子屋でお昼を食べたが、holoXとまろに☆え〜るの面々は、ガールズトークに花を咲かせ、蚊帳の外になりながら餃子を食べた。

 

 夜は、宇都宮駅近くの予約していたホテルに宿泊した。受付でholoXの5人用に予約したトリプルルームとツインルームのルームキーと自分用のシングルルームキーを受け取り、各部屋の代表者に渡す。

 

 部屋の割り当てとして、ツインルームは、ラプラスとルイ。トリプルルームは、いろは・クロヱ・こよりに分かれた。

 

 因みに、holoXマスコットのぽこべぇ・カラス・シャチのイヌ・がんもは、事前予約したペットホテルに一泊二日プランで預けてある。 

 

 

 

 翌日、宇都宮で行われる北関東大規模のサブカルイベントが無事開催された。ニュースによれば爆破予告の犯人は、逮捕されたらしい。

 

 

 「会場に来てくれた皆!ありがとー!」

  

 イベントは大盛況に終わった。イベント終了後は仕事の無い自由時間だ。holoX各人の配信スケジュールによれば、火曜日まで配信や収録は無く休暇らしい。時計を確認すれば、13時30分と少し遅めのお昼時間だった。

 

 現在、俺は用事があって、会場外を出かけていた。両手は、ビニール袋を掴んでいた。

 実は、10分前にテイクアウト可の地元の焼きそば屋でいもフライと宇都宮焼きそばを購入していた。これをお昼の差し入れにする。

 

 

 「さて、渡しに向かうか」

 

 

 差し入れを持って、会場の警備員に関係者証を見せ、控え室までの通路まで案内してもらう。ラプラスの控え室に入る。3回ノックしてから中に入るとholoXが全員集合していた。 

 イベントゲストのラプラス以外の四人は、ゆったりとスマホをいじったり、盗んだシオンのハンカチを嗅いでいたり、親指ゲームのいっせーのせをやっていたりとのんびり寛いでいる。仕事を終えたラプラスは、控え室に置いてあるケータリングのお菓子をもしゃもしゃと食べていた。

 

 「あ、お帰り〜」

 

 「差し入れ兼お昼のじゃがいも入り焼きそばといもフライとお茶を人数分買ってきた。」

  

 「わーい!腹ペッコペコー」

 

 「お腹と背中がくっつきそうだったよ〜」

 

 「わあ、ありがとうございます」

 

 「こんこよ、いもフライって何でござるか?」

 

 「栃木県佐野市のソウルフードだよ。いろはちゃん」

 

 

 ワイワイと賑やかな声をBGMに、来客用の椅子に座りながら自分用に買った別の袋にある焼きそばといもフライを食べる。

 焼きそばを開ければ、ソースの絡まった中太麺とざく切りの馬鈴薯がゴロゴロと入っており、隅には紅生姜が、中央には目玉焼きが乗っていた。先ずは、麺を啜る。甘辛いソースと絡み合った麺の味とモチモチした食感が何処か懐かしい気持ちを蘇らせる。目玉焼きの黄身を割ると、トロリとした黄身が麺と絡む。一口啜ると黄身によって、よりまろやかに味変した麺がこれまた最高である。

 

 いもフライを一串持ち、食い囓る。サクッとした衣とホクホクの馬鈴薯、そして、いもフライに掛かっている甘辛いフルーツソースが香ばしい。食べ応え抜群の揚げ物だ。

 

 食べ終わり、口に付いたソースを紙ナプキンで拭い取る。スマホで予定を確認すると、明日と明後日が休みだった。

 

 (明日から2日間バイトがない休みだ。少しゆっくりしていこうかな。そうだ!)

 

 「皆!ちょっくらスーパーでの買い物に付き合ってくれるかな?」 

 

 「「「「「ん?」」」」」

 

 俺の言葉に疑問符を思い浮かべるholoX一行。

 

 

 

 

 やって来たのは、駅ビルにあるスーパー。そこで俺は、ある物を買いに一目散に果物・野菜コーナーへと足を運んだ。

 

 

 「買うものは決まっているから、1500円以内で好きなお菓子か欲しい物選んできていいぞ。買ってあげるわ」

 

 「「「「わーい!」」」」

 

 ラプラス達は、嬉々とした表情で真っ直ぐにお菓子コーナーに向かった。ルイは、その様子を見て、仕方無い娘達とため息をついた。

 

 「理央君、苺なんて買ってどうしたの?」

 

 ルイは、苺コーナーにある苺パックを眺める。俺が取った苺は、『とちひめ』と『とちおとめ』。

   

 「それは見てからのお楽しみ。そうだ、事務所へのお土産は、接待交際費の経費で購入しないと。ルイ姉も買ってあげるからラプラス達の所に行ってきなよ」

 

 「いや、私は⋯じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうね」

 

 ルイ姉は、ラプラス達の元に向かった。

 

 事務所へのお土産、holoXのお菓子や欲しい物、苺の会計を済ませ、外に出る。SNSによれば、ターゲットは、餃子像付近で目撃されている為、待ち伏せする。

 

 

 

 「パタパタパタ〜♪」

 

 上空から鼻歌が聞こえ、空を見上げる。

 空中で羽耳をパタパタと羽ばたかせながら、青い小鳥と共に飛行している青鳥の鳥人少女を見つけた。今回のターゲットを発見した事ので、苺パックを取り出して、声を掛けた。

 

 「おーい!栃宮ァ!苺食べるかぁ?」

 

 「ちゅん?⋯苺だ!わーい!食べる〜!」 

 

 鳥少女は、地上に降下し、苺を受け取るとパクパクと食べた。

 

 

 「こんるり〜会うのお久しぶりだね」

 

 「こんるり〜。栃宮、今日もナイス羽耳だな」

 

 軽めの挨拶がてらに羽耳を触る。刹那、るりはに後頭部を掴まれ、顔面から地面に叩きつけられた。パラパラとコンクリの粉塵が宙に舞う。近くの通行人達は、一瞬ギョッとしたが、彼女と彼女のマスコットであるコルリとの間では日常茶飯事のやり取りなので、何事も無かったかのように再び歩き始めた。

 

 「こりゃー!羽耳触るのは、メッでしょうが!このでれすけ!!ペシペシ!」

 

 るりはは、プンスカと怒りながらアホ毛を回転させ、羽耳でペシペシと叩いていた。いろはは、念の為、倒れている物体に声を掛けた。

 

 「い、一応大丈夫でござるか?」

 

 「だいじだ。こ、このように、本人は羽耳をサワサワと触られるのを嫌がるので、安易に触らないよう⋯に⋯因みに『だいじ』は栃木弁で『大丈夫』を意味する言葉だ」

 

 ルイ、ラプラス、こより、いろは、クロヱの五人は、諸注意の為に羽耳触りを実践した事にドン引いていた。

 

 (あっぶねぇ〜!一歩間違えれば吾輩もこうなっていたのか!?)

 

 (羽耳触ろうとしなくて良かったでござる)

 

 

 若干二名は、内心ハラハラしていたことを他のメンバーは知る由もなかった。

 

 

 何時までも地面に突っ伏して寝ている訳にもいかない為、肩に付いたコンクリの破片をはたき落としながら起き上がる。

 

 「あ、すみません!自己紹介がまだでした!

 こほん!ユニバースプロダクション所属オオルリ系Vtuberの栃宮るりはです!よろしくお願いします!」

 

 彼女の名前は、栃宮るりは。ユニバースプロダクションに所属するVtuberにして、栃木県の県鳥であるオオルリが擬人化した鳥人間。鳥人間になった原因は確か、雷様が出した雷が苺を摘み食いしていたオオルリ時代の栃宮るりはに直撃したとか⋯。

 

 

 そんなやり取りを終えた後、俺達は、栃宮るりはの案内で宇都宮駅近くにあるオススメの餃子屋に入店した。

 

 人が少ない時間に来店したからか、混雑の少ない状態で運良く席に座れた。タッチパネル式タブレットで注文するらしいので、先にるりは達が頼みたい物を注文させる。

 

 「吾輩は、焼き餃子と水餃子のダブルセット〜!はい、るりはちゃん!」

 

 るりはは、「ありがとう」と軽くお礼を言いながら、ラプラスからタブレットを受け取る。

 

 

 「私は、焼き餃子の半ライスセットに豆乳タンタンスープ餃子。それからハイボールにしようかな」

 

 「昼からハイボールとは⋯中々やるなぁ」

 

 

 昼飲みを始めたるりはにラプラスは感心した。

 

 

 「私は、焼き水餃子セットにしようかな」

 

 「こよは、焼き餃子半ライスセット!」

 

 「拙者は、焼き餃子セットと豆乳タンタンスープ餃子にするでござる」

 

 「沙花叉もいろはちゃんと同じやつにする」

 

 六人が注文を終えたのを確認し、タブレットを受け取る。

 

 「俺は、焼き餃子ダブルセットのライス大盛りに豆乳タンタンスープ餃子、追加で揚げ餃子一人前と」

 

 

 最終注文確認ボタンを送信し、後は注文を待つだけだ。

 

 

 「そうだ明日、るりが栃木を案内してあげるよ。ラプちゃんもholoXの皆さんもどうかな?」

 

 「いや、吾輩も栃木で育った栃木っ子だ。吾輩も案内するぞ」

 

 「元気があっていいな。じゃあ二人で一緒になって、俺達に栃木を案内してくれないか?」

 

 「お待たせしました〜」

 

 会話に夢中になっていると、店員が注文した料理を配膳してきた。

 

 「続きは食事をしながら話しましょう」

 

 ルイは、一旦会話を締め括り、皆で全員のランチが運ばれるのを待つ。

 

 『頂きます!』

  

 白米は柔らか過ぎず硬すぎない丁度良い硬さ。やはり米は日本人の主食よ。

 

 焼き餃子を酢胡椒に浸けて食べる。口の中でパリッとした音と共に肉汁が溢れ出る。続いて、香の物を食べる。ポリポリとした歯応えとうま味が口内をさっぱりリセットしてくれる。

 

 次に、揚げ餃子を酢醤油に浸けて食べると焼き餃子とは違うバリバリとした食感の皮の旨味が絶妙だ。

 

 (給食で揚げ餃子を食べた事があるからか懐かしいな)

 

 豆乳タンタンスープ餃子の豆乳スープをレンゲで一掬いして、一口飲む。何となく胃にやさしい豆乳のまろやかな味わいと辣油の辛味がベストマッチだ。豆乳スープを吸ったモチモチの餃子皮と生姜の効いた餡の旨味が口いっぱいに広がる。

 

(ふぅー至福の一時だ。やはり食とは素晴らしい) 

 

 其々が食べ終えた後は、デザートを頼みながら、明日遊びに行く場所を話し合いで決めた。

 

 

 その後は、栃宮るりはと駅前で別れ、ホテルでholoXと別れ、部屋でのんびりと過ごし、就寝した。

 

  

 翌日、朝9時25分に宇都宮駅に集合したラプラス達は、るりはが来るのを待っていた。ちなみに、集合時間は9時30分である。

 

 「ぱたぱたぱた〜!お待たせ〜」

 

 空から栃宮るりはが頭の羽耳で羽ばたきながら降りてきた。全員集合した事で最初の目的地である那須ハイランドパークへと向かう。

 

 「移動には、コイツが手っ取り早い!」

 

 モバイレーツを取り出し、『5501』と番号を入力。

 

 《ゴーカイガレオン》

 

 キング・オブ・ハートの称号を持つ流派東方不敗の主人公みたいな音声がモバイレーツから鳴り、赤を基調としたガレオン船が出現した。

 

 ゴーカイガレオンは、ステルス性に優れた海賊船だ。その性能は、最新鋭の軍用レーダーですら探知不可能な程である。その為、町がパニック状態になることなく、難なく移動が出来る。船からロープが降りてきた。俺は、ラプラスを抱え、皆にロープを掴むように指示を出した。全員が乗船した事を確認し、自動操縦で目的地まで発進した。

 

 

 那須ハイの広い駐車場にゴーカイガレオンを停船し、地上に降りた。那須ハイランドパークは、那須連山の山間部にある北関東最大の遊園地だ。

 

 ゲートに入場後、まず初めにパーク内にある3つの絶叫系ジェットコースターに乗ることになり、皆して絶叫を上げて楽しんだ。比較的、絶叫耐性があったので普通に楽しめたが、他は、絶叫して魂が半分抜けそうな者が数人いた。

 

 

 次にお化け屋敷では、ルイ姉・いろはとペアを組んでお化け屋敷に挑戦した。

 

 「うぅ〜怖いでござる〜」

 「な、中々、ぶ、不気味だね」

 「ま、まあ。大丈夫だろう」

 

 俺を先頭にルイ姉といろはが後ろに隠れながら少し色が抜けた矢印の看板通りに薄暗い廊下を渡る。何処となく不気味な雰囲気に身体に少し力が入り、動き辛くなる。

 

 

 「ヴォア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!

 

 「「キャーーー!?」」

 

 「ぎゃああああ!

 

 

 曲がり角から現れたゾンビの声にルイといろはが絶叫する中、俺は誰よりも絶叫していた。気付けば、二人の手を繋ぎながら出口に立っており、外の景色を見た瞬間、そのまま、目の前が徐々に暗転。そして、意識がフェードアウトした。

 

 「怖がった〜!怖いのは苦手でござる〜」

 

 「いや〜怖かったけど楽しかった〜!理央君凄い叫んでいたね!」 

 

 

 「⋯⋯⋯⋯⋯チ〜ン

 

 「ちょ、理央君!?あれま気絶しちゃった」

 

 「取り敢えず、ベンチに運ぶでござる!」

 

 

     

 〜少年、気絶中〜

 

 

 

 「う〜ん⋯うぐぅ⋯ハッ!」

 

 

 真っ暗な世界から目が覚めると眼前には、白い雲と青空が広がっていた。どうやら、気絶していたようだ。しかし、後頭部に当たっている感触は柔らかい。

 何事かと視線をキョロキョロしていると、視界の隅に顔が現れた。ピンク色の髪に青い瞳と長い睫毛が特徴の整った顔。誰もが美人と認識する程の美女。

 正体は、鷹嶺ルイだった。そして、ルイ姉の顔が見えることから姿勢的に膝枕されていることが明白だ。

 

 

 「うわあ!ルイ姉」

 

 「はいはい。目が覚めたばかりなんだから落ち着いて。スポドリ飲む?」

 

 「頂きます」

 

 ルイ姉からスポドリを貰い、水分補給する。 

 

 「でも意外だよ。理央君がお化け屋敷苦手だったなんて」

 

 「ジャンプスケア系とかお化け屋敷が苦手で、幼少期の頃から避けていたんだ。前に克服の為に挑戦したけど、結果は散々だったよ。いや〜あはは」

 

 「苦手なのに何で挑戦したの?」

 

 「怖がるルイ姉といろはが見たくて無理してました」

 

 「ていっ!」

 

 「アタァ!?」

 

 お化け屋敷に参加した理由を正直に話すと、近くにいたいろはからデコピンを貰った。そんなに痛くはなかったが、いろはの私怨が伝わる一撃だった。

 

 

 「理央君も苦手な物があったんだね」

 

 ルイ姉の言葉に小さく笑う。俺だって人間だ。人並みに苦手な物、嫌いな奴、嫌いなものがある。最初から完璧な人間は居ないさ。やはり、holoXは心地良い。

 

 「俺も人ですよ?苦手な物の一つや二つはありますって」

 

 「ふふっ可愛い所あるじゃん」

 

 ルイ姉がクスクス笑う姿を見て、美しいと感じた。常日頃からクールビューティーで偶にポンコツなルイ姉だが、holoXのお姉さんとしての魅力を感じる。そんか感情を誤魔化す為にそっぽを向くことしか出来なかった。

 

 

 「ちょいちょい、二人のムードに入るな。吾輩達も居るのだぞ」

   

 「「あ、ごめん」」

 

 ラプラスは、プンスカプンと怒り、腕を組んで此方を見ていた。その様子を見て、皆で笑った。ラプラスは、何故皆が笑っているのか理解できず首を傾げる。

 

 

 「あ!そういえば、理央殿。ラプ殿やルイ姉、それに風真が和服を着て配信した日があったでござろう?」

 

 ルイ姉の膝から頭を離し、椅子に腰掛ける。

 いろはは、和服の日に行った配信の出来事を切り出した。それに同意するラプラスと共に頷くクロヱとルイ。るりはは、こよりから件の動画を見せて貰っている。

 

 「風真とらでんちゃんは、あの時、妖怪から脅かしを受けた。後日、切り抜き動画を見ると解説の理央殿は、のどかちゃんの質問にそっぽを向いていた!これは怪しいと思ったでござるよ!さあ、黙秘せず、正直に白状するでござる!」

 

 

 「分かった。あの時の事か。正直に白状する」

 

 放たれた言葉に緊張が走る。

 

 「あの唐傘お化け。本物」

 

 「え?」

 

 いろはは、カチンと栃木で採掘される有名な大谷石みたいに石化した。

 

 (え?今何て言った?本物?本物でござるか?風真はクオリティの高い作り物と思っていたが、まさか、本物の妖怪とは?イヤー!!)

 

 「目に見えるものだけが真実とは限らない。この世の不可解な事には目に見えぬ者達。所謂、裏の存在が絡んでいるんだよ。な〜んて!あの唐傘お化けは実家に住んでいる仲間だよ。大丈夫大丈夫。害は無いから⋯⋯あれ?いろは?もしもし?あ、気絶してる」

 

 

 「こ〜ら、女の子を怖がらせないの」

 

 

 「イテテテ!耳は痛いよルイ姉」

 

 いろはを怖がらせたことにより、ルイ姉からお仕置きとして耳を引っ張られた。

 

 

 「まあまあ、落ち着いてよルイ姉。何か手裏剣投げの屋台があるらしいよ。何でも日光江戸村ニンニン出張イベントなんだって」

 

 クロヱは、ルイ姉を宥める。それと同時に、今日開催されているイベント情報を

 

 

 

 勝負をすることになった俺達は、近くにあった手裏剣投げの屋台に足を進めた。屋台の店主から手裏剣の簡単な投げ方を教わり、手裏剣の5枚の内、的に当たった点数の総合点を競い合い、点数が一番低い人にゲームが与えられる。

 

 点数配分としては、中白が10点、そこから5点4点3点2点1点である。

 

 皆一斉にグーを出し、グッパーじゃんけんを始めた。

 

 『グッパージャス!』

 

 グッパーじゃんけんの結果、1番手になった。

 

 「⋯俺が最初か」

 

 「最初は兄ちゃんか!カッコいい姿見せな!」

 

 「アハハ⋯はい」

 

 店主の親父に揶揄われ、苦笑で誤魔化したが、これ以上気にせず、境界線のテープに爪先をくっつけながら、霞的の正面に立ち、店主から十字手裏剣を受け取り、車剣持ちに構える。続いて、左足を前に突き出し、重心を体の中心に保つ。膝を軽く曲げて体全体を安定させ、左腕を水平に構えて、素早く打った。

 

 「シッ!」

 

 投擲した十字手裏剣が垂直に移動し、的の中白圏内に突き刺さる。

 

 

 「「「「「「おお〜」」」」」」

  

 「ほぉ〜兄ちゃん中々やるでねえか」

 

(手裏剣術の修行は幼い頃から欠かさず行ってきたが、ここ最近はアルバイトが忙しくて修行していないせいか。やはりブランクがあるな)

 

 周りから見て満点でも、的の中白の中央に突き刺さっていない事に少し悔しかった。2回目の投擲では、的の中央に当たり、3回目、4回目、5回目と五回連続で全ての手裏剣が中白に突き刺さる。

 

 理央の点数 50点中50点

 

 

 次に鷹嶺ルイが挑戦する。ルイは、線の上に足の爪先を乗せ、手裏剣を構える。

 

 「行けー!ルイ!」

 

 「頑張れでござる!」

 

 

 「さて、少し本気を出そうかしら」

 

 ルイは、深く息を吸い込み、目の前の的に集中した。

 

 〈開眼!ホークアイ!〉

 

 説明しよう!ルイ姉の特殊能力の一つ〈ホークアイ〉は、集中力を高める時、感情が昂った時に顕現するオレンジ色の瞳である。この時、彼女の集中力はゾーンに入っていた。

 

 

 (今だ!)

 

 

 ルイは、一投目の手裏剣を投げる。手裏剣は弧を描き、中白に突き刺さる。

 

 『おぉー!』

 

 「正確に中白に投擲するとはやるなぁ」

 

 「流石⋯ルイ姉」

 

 「カッコいい〜」

 

 「フフン」

 

 ラプラス達の言葉に満足気なルイ。流石は、holoXの司令塔と呼ばれる女傑。

 

 その後も、ルイの快進撃は続き、中白に的中。

 最後は、一の黒に刺さり、ゲーム終了となった。

 

 10点、10点、10点、10点、5点の合計45点

 

 

 

 ここからは、ダイジェストでお送りする。

 

 ・【風真いろは】

 

 「えい!」「てい!」「とりゃ!」「ホッ!」「キェイ!」

 

 得点は、10点、10点、5点、5点、4点の合計34点。

 

 「侍じゃなくて忍者じゃん」 

 

 「言い逃れ出来ない位忍者だ」

 

 「侍から忍者に変更しない?」

 

 「風真は忍者じゃなくて侍でござるー!」

 

 いろはの手裏剣術の腕前に本当は忍者の末裔ではないかと皆でフザケて訝しんだ。いろはが全力否定したので、おふざけはやめた。

 

 

 ・【沙花叉クロヱ】

 

 「そい!」「そい!」「とりゃ!」「えい!」「ぽえ〜!」

 

 10、5、10、3、5点の合計33点

 

 

 ・【博衣こより】

 

 10点、10点、4点、4点、5点の合計33点

 

 ・【ラプラス・ダークネス】

 

 「てい!」「とお!」「たあ!」「とりゃあ!」「てりゃ!」

 

 4点、5点、4点、5点、5点の合計23点

 

 『わあ〜上手だね〜』

 

 「オイ!吾輩を子供扱いするな!」

 

 ぷんすこと頬をふくらませるラプラスに空間が和んた。 

 

 ・【栃宮るりは】

 

 5点、4点、5点、5点、5点の合計24点

 

 

 

 同点の為、クロヱとこよりは腕相撲で対決することになった。

 

 「両者、構えて」

  

 「準備は良いな?レディーファイッ!」

 

 開始の合図と共に、こよりとクロヱは腕に力を入れる。シャチとコヨーテ。同じ肉食の生き物だが、力の差は拮抗していた。

 

 (このままだと負ける!そうだ!)

 

 こよりは、内心悪い笑みで計画を実行した。

 

 「んぎぎぎぎ!」

 

 「ねえ、クロたん」

 

 「な〜に?こんこよ」

 

 「こよに勝ったら、いっぱいASMRしてあげるから勝たせてほしいなぁ〜スンスン」

 

 こよりは、上目遣いでうるうると涙目になりがら、報酬と引き換えに勝たせてほしいと頼み込んできた。クロヱは、こよりからの甘い響きに耳を傾けそうになるが、ギリギリの理性で踏み込んだ。

 

 

 「い、いや!沙花叉罰ゲーム受けたくないし」

 

 「ASMRだけじゃなくて、こよの尻尾や耳を触っていいよ!」

 

 「ああああ!誘惑に脳が震える〜!!」

 

 

 クロヱは、葛藤していると思わず、腕の力を緩めた。

 

 

 「えい♪」

 

 その隙を見逃さなかったこよりは、クロヱの腕をパタンと倒し、テーブルに手の甲を付けさせた。

 

 「あ」

 

 「勝負あり!勝者 博衣こより!」

 

 「やった!やった!」

 

 「うわああああ!」

 

 勝者 博衣こより  勝因∶ハニートラップ

 敗者 沙花叉クロヱ 敗因∶誘惑に理性敗北

 

 

 罰ゲーム!ラプラス、クロヱ、るりはに決定!

 

 

 「「「ノーン!」」」

 

 罰ゲームを受けることになった三人は、がっくりと項垂れた。

 

 

 罰ゲームの参加者も決まった事で様々なアトラクションを遊び尽くした。

 鏡の迷路では、ラプラスが鏡にぶつかり、それを笑っていたクロヱも同じ轍を踏んだ。

 洞窟探検では、皆が童心に帰って冒険した。バイキング、スカイバルーン、スピンジェット機など激しいアトラクションではしゃぎまくり、日頃の疲れを忘れて大いに楽しんだ。

 

 

 

 お昼は、佐野ラーメンを食べてみたいといろはが所望した為、佐野市にある佐野ラーメンの有名店で食事を摂る。店内に入ると偶然、ポルカとぼたんのコンビ【けものサーカス】が拉麺を食べていた。店員に席を案内され、ポルカとぼたんの隣のテーブル席に座る。各々注文の品が決まり、店員を呼ぶ。

 

 「注文どうぞ」

 

 「佐野ラーメン6つとネギラーメン1つ」

 

 「佐野6にネギ1ですね。少々お待ち下さい」

 

 店員が去ったと同時にholoXに話しかけて来たけものサーカスのポルカとぼたん。

 

 「お、holoXに理央さん!こないな場所で奇遇やな!」

 

 「もぐもぐ⋯ん?一緒にいる青い鳥の方はどちら様?」

 

 るりはは、ペコリと会釈する。ポルカとししろんも釣られて会釈した。ポルカとししろんが佐野にいる理由を尋ねるとポルカが答えた。

 

 「ししろんと佐野ラーメン食べに来たんや。ししろんがラーメン旅の撮影に必要ゆうてな。この後は、観光する予定や」

 

 「佐野ラーメン美味しいね。ちぢれ麺と醤油スープのあっさりとした味がたまらんね」

 

 

 「佐野ラーメン六丁と佐野ネギラーメン!お待ちどお!」

 

 全員分のラーメンが揃った為、手を合わせて食事を始める。

 

 

 食べ応えのあるちぢれ麺とあっさりとした醤油スープに満足した。因みにネギラーメンは、ルイ姉が頼んでいた品だ。ネギで覆われたラーメンは、麺やスープが見えず、ルイ姉は笑っていた。

 

 

 ラプラスの提案で早めの晩ご飯は、とある町のスパゲッティ屋に来た。ゴリラがリンゴを破壊している看板がモチーフのスパゲッティレストラン【リンゴリラ】。

 

 「あの看板のゴリラ。かなたそにそっくりじゃね?」

 

 「それは草」

 

 何気ない一言にクロヱは、腹を抱えて笑い出した。

 

 偶然にも、店前でにじさんじのラトナ・プティと鉢合わせた。

 

 「あれ?ラプ様とるりちゅん?」

 

 「ラトナおねえちゃん!」

 

 「わあ!もう甘えんぼさんなんだから。あら?」

 

 ラトナ・プティは、るりはを撫でながら、やって来た面々に目を丸くした。

 

 「あ、理央さんにholoXの皆さんもお揃いで珍しいですね」

 

 「プティさん、お久しぶりです。今から此処でお食事を?」

 

 「はい、もしそちらが宜しければご一緒に食事しませんか?」

 

 「良いのですか!皆はどう?うん⋯うむうむ。じゃあ、お言葉に甘えて」

 

 俺達は、ラトナ・プティと共にパスタ屋で食事を楽しんだ。 

 

 

 逢魔ヶ時の18時、宇都宮市内にあるKRC栃木支部の会議室で罰ゲーム会を始める。

 

 

 「はい、先ずは栃宮とラプラスの罰ゲーム!内容は餃子サイダーとイチゴのカレーサイダーを飲んでもらいます!」

 

 

 「うぎゃ〜!吾輩、イチゴのカレーサイダーとか初めて飲むんだけど。見た目ヤバくね?」

 

 「禊配信でもうやったのに〜」

 

  

 「え、沙花叉の罰ゲームは後回し?それはそれでやだ!」

 

 

 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ!」

 

 緊張に緊張を重ねたド緊鳥状態に陥ったるりはをラプラスは、背中を擦って落ち着かせる。

 

 

 「「い、頂きます!」」

 

 意を決した二人は、瓶口を唇に付けて目を瞑りながら飲み始める。数秒後、液体が胃に到達した瞬間、ラプラスとるりはは、目を見開き、震え、そして、体がサイダーの味を拒絶し、噴き出した。

 

 「ブフォッ!!ケホッ!吾輩無理これ!マジヤバイってこれ!イチゴカレー!!」

 

 「うええぇぇ!あ、ちょっと待ってヤバイヤバイ!あ゙あ゙あ゙あ゙ー!無理無理無理ー!!」

 

 

 室内は、阿鼻叫喚に包まれた。改めて防音性の高いスタジオを選んで良かった。

 

 

 「水は用意してあるからね二人とも」  

 

 

 ルイ姉が用意した500mlの水をガブガブと飲む二人。それ位未知の味なのだろう。ペットボトルが既に空となっている。あまりの不味さから抜け殻になった2人は、虚無顔で口から魂を出していた。

 

 

 「餃子と酢醤油とラー油を炭酸にしたような味。もう嫌だ〜」

 

 

 「イチゴの酸味とカレーの風味がミスマッチ」

 

 

 (良い画が撮れた。プライベート用に愉しむか)

 

 

 ほくそ笑みながら、栃木の酒蔵が開発した東力士サイダーを飲む。二人の恨みがましい視線をのらりくらりと避けながら、次の罰ゲームに進行する。

 

 

 「最後にクロヱの罰ゲームは、特製麻婆豆腐を食して貰おう!」

 

 「麻婆豆腐〜!?」

 

 

 罰ゲームに用意した麻婆豆腐は、とある麻婆大好き神父から譲り受けた秘伝のレシピで作った激辛中華料理である。

 常人が食べると、最悪倒れる場合があるので、オススメはしない。激辛好きでも悶絶する辛さだ。

 

 「乳製品を摂取すると身体へのダメージは少なくなる。とりあえず胃に膜を張っとくんだ。」

 

 「わ、分かったよ〜」

 

 「麻婆豆腐、私も味見した〜い」

 

 クロヱがヨーグルト飲料で胃袋を防御している最中、ルイ姉が麻婆豆腐を味見したいとおねだりしてきたので、快く食べさせる。

 

 「あ〜!丁度良い辛さ!あ、美味しい!」

 

 「辛い料理でのルイ姉は信用出来ないよ!」

 

 「大丈夫。辛いのが苦手な人でも(ギリギリ)食べられる辛さだ」

 

 「し、信じるよ?あ、あ〜む!ぐっ!?ひゃ、ひゃら〜い!ぎゅうにゅう〜!」

 

 「だいじけ〜?」

 

 「脳の処理能力が辛さで天元突破して、上手く呂律が回らない状態みたいだね!

 ちなみに、『だいじけ?』とは栃木弁で『大丈夫?』の意味だよ!これでまた一つ賢くなったね☆」

 

 辛さに悶えて牛乳を飲みながら走り回っているクロヱを眺めたこよりは、今現在のクロヱの状況と栃木弁について解説していた。

 

 

 

 企画持ち込んだ責任として晩御飯は、奢ることにした。食べたい物を聞いたところ、六人は、『餃子!』と答えた。なので、駅前の餃子屋に再びやって来た。

 

 

 

 「口直しに餃子食べよ!餃子!」

 

 「宇都宮餃子、何回食べても飽きねえや」

 

 「ニンニク無し餃子もあるから、安心して食べられる〜」

 

 「次はサイドメニューを制覇するでござる!」

 

 「もう!皆、落ち着いて」

 

 「皆すっかり、ここの餃子にハマってるな」

 

 「宇都宮餃子好きになってくれて嬉しいな〜」

 

 

 

 

 「あれ?フブさんとミオさんに⋯」

 

 「ト、トワ様!?」

 

 なんと、隣のテーブル席に【トワフブミオ】の三人組がいたのだ。ラプラスは、最推しの常闇トワを見つけ、声が裏返っていた。

 

 「あ、理央さんにholoXの皆〜!あれ?その娘は?」

 

 「この子は、ユニバースプロダクションの配信者栃宮るりはさん。栃木のVtuberさんだ」

 

 「へぇ〜!うちは大神ミオっていいます!育ちは群馬県だよ」

 

 「群馬県!?お隣さん!?」

 

 

 「トワ達は、気分転換の一環で栃木旅行に来てたの」

 

 「オッホホ、この豆乳タンタンスープ餃子美味だの〜」

 

 「うち達、さっきまで那須ハイに行ってきたの」

 

 「入れ違いになってたのか」

 

 フブさんズを交えて食事を楽しんだ後は、駅前で別れ、二軒目に入り、駅近の居酒屋鳥豪族で呑み始めた。

 

 「それでさ、笑虎さんとすうちゃんの護衛してたら、怪しまれたのか警察に職質されたんだよ。すうちゃんの近くにいた俺を未成年誘拐する不審者に見えたらしくて、笑虎さんが警察の誤解を解いてくれなかったら、危うく逮捕される所だったよ」

 

 『アハハハハ』

 

 俺の話で皆が大笑いした。鳥豪族のリーズナブルな値段で味わえる鳥料理や焼き鳥を各々頬張っていた。

 

 

 「るりはちゃんは、焼き鳥食べて大丈夫なの〜?」

 

 

 酔いで爽快状態に突入したルイは、鳥人間である栃宮るりはに共食いを問い掛ける。

 

 「いやいや、ルイさんも同じ鳥属じゃないれすか!あはははは」

 

 るりはは、ほろ酔い状態で顔を真っ赤にしながら少し呂律が回らない口で返答した。

 

 

 「2日間ありがとうございました。holoXの皆さんと遊ぶことが出来て、とても有意義な時間でした〜」

 

 「いえ、こちらこそ、るりはちゃんと遊べて楽しかったで⋯あ、楽しかったぞ!」

 

 ラプラスは、ファンの間でギャップとして知られる敬語が出てしまい、即座に言い直した。

 

 「また遊びに来ますね」

 

 「次はこよ達が東京を案内するね」

 

 「風真オススメの甘味処を案内するでござるよ」

 

 「ぽえぽえぽえ〜」

 

 「おつるり様でした〜」

 

 宇都宮駅近くでるりはと別れた俺達は、酒を呑んでいない者が肩で酔人の体を支えていた。

 

 その時、空気が冷えた夜の寒風が鼻に刺激を与え、ムズムズと痒くなる。

 

 「は、は、はっくしょん!

 

 我慢出来ず、思わずハンカチで口を押さえてクシャミした瞬間、偶然、若しくは、何かしらの因果関係が狂ったのか、突如、巨大な黒雲が上空に形成され、巨大雷が俺に直撃する。ついでに近くにいたラプラスも巻き添えで感電した。

 

 「アババババババ!?

 

 「何故、吾輩ももももも!?

 

 避難していた四人は、すっかり酔いが覚め、ラプラスが巻き添えを喰らった謎を推理し始めた。

 

 「あ、こよ解った!ラプちゃんの角の先端が避雷針代わりの役割を果たして、雷の電力がラプちゃんの角を伝って地面に放電されたんだ!こよっと解決!」

 

 「いや、見たまんまじゃねえか」

 

 「よく生きているでござるな⋯」

 

 「ピリピリしてらぁ〜マジウケる〜」

 

 こよりの答えにルイはツッコミ、いろははしゃがみながら冷や汗を流し、クロヱは木の枝でツンツンとラプラスを突いていた。

 

 ラプラスは、痺れる程度の麻痺状態で済んだが、高電圧の雷撃を受けた俺は、真っ黒焦げで頭がアフロ化した。

 

 「いや〜参った参った。これ位で済んで良かったわ」

 

 『いや、普通アフロだけじゃ済まねえだろうが!』

  

 

 四人と痺れて余り動けない筈のラプラスは、激しいツッコミを入れた。

 

 

 

 あとついでに、周辺の建物の電力供給が一時停止し、大規模な停電に陥った。

 

 《先程、北関東の一部地域で巨大な雷が落雷し、周囲は停電する等の大規模な被害が出ています。気象庁からの情報を確認次第連絡致します。》

 

 

 「ほへ〜栃木県で落雷発生ですか。まさしく雷都ですね」

 

 

 一方その頃、のどかちゃんは、タオルで頭を拭きながら、湯上がりのカエルパジャマ姿でのほほんと牛乳ココアを飲んでいた。

 

 

 

 




最新話お読み頂きありがとうございました!
2月もよろしくお願いいたします!
では、また次回!

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