仏様になること祈って、散華。
散華…仏教では仏を供養するために華を散布する。
「ふぁさー」
「…咲夜、身長伸びないわね」
「そもそも人間なんですか?」
咲夜が振りまく華が頭に積もり、少しの重さを主張してきたか。いつか雇っていた妖精は返してあげた。もう一回雇って飴寄越せと言われた時はとても気まずくなったものだ。あの妖精たちは本当に反省してほしい。どうしてあんな顔してサラッと酷いこと言えるんだか。
「咲夜、降らすなら枯れたものはやめて」
「枯れたものしかないでーす」
「ならしょうがないか」
「甘いですねえ」
「身内にはね。身内じゃない奴にこれやられたら、それこそ殺しに行くしかないでしょ」
「フランドール」
「何、姉さん」
…そろそろ頭に積もらせるのはやめてほしい。割と重みを感じてきた頃合いだ。しかしまあ、姉さんに呼ばれることは滅多にないので。頭を払って咲夜を美鈴に任せて館の中へ。今のやりとりは、2階から見下ろせるような場所に、僕は枯れ木と共にいたのだ。掃除も任せなければいけないが。
「それで、何?」
「パチュリーに呼ばれてるの。図書館に行って」
「はーい」
「あ、こら咲夜。私を土台に枯れ葉を積まないで」
姉さんも咲夜の餌食となったか。しかしまあ、パチュリーさんに呼ばれるとは。なんかしたかな。図書館には一度も入ってないはずたけど。あれか。以前雇った妖精についてか。いやあれに関しては何の関心もなかったからなぁ。え、じゃあ僕なんで呼ばれてるんですか?わかんない…
「フランドール」
「はいはい」
「魔法が使えるそうね」
「まあ。成長魔法とか」
「随分前から気になってたから呼んだんだけど」
「何?」
「フランドール。その成長魔法、多分樹木用のはずよ」
「え」
「植木鉢に入る程度のサイズから…そうね。この館の高さと、美鈴が持ってる棒が直径になるくらいの成長魔法」
驚愕の真実を伝えられた。確かに、理解してるだけでなにも思い出そうとしてなかった。あー、それか。成長魔法使って成長してる最中に爪が伸びては落ちてを繰り返してた理由。種族的なものだと思ってた。
「どうする?今から適切な魔法で成長させることができるけど」
「余命の話よねえ」
「今の姿になりたてくらいなら、2000年は変わるわよ」
「よろしく」
まずは魔法を解く。ああ、みるみる赤ん坊に。うーん、はいはいしなきゃ歩けないくらいまで戻ってしまった。更にそこへパチュリーの魔法。するとまた、すくすく育って元通り。ふーん、すごいじゃん。魔女狩りの産声を潰してた魔女なだけある。本音を言えば、胸は本当になんとかならんのか。
「ここにある魔導書は適当に持っていって良いわよ。」
「良いの?」
「ただし、必ず返すこと。持って行かれて失くして、なんてのはだめよ」
「…そんなことしないわよ」
「じゃあ今の間は何。言ってごらんなさい」
この魔女、産声潰すわりに勘が鋭い。少し、ちぐはぐじゃないかね。まあそれは良いとして。早速、魔導書を枕にして眠る。ちなみにだけど。魔導書を枕にして眠る時の夢は、大体揃って若干悪夢な夢。例えば、ちくわに追いかけられるとか。ちくわって…と、起きたら笑えたりするような夢ね。
「あら、おはよう」
「ん、そんな時間?」
「咲夜は寝たわよ」
「ああ、夜か」
「貴女の特技、眠る時間とかは変わるの?」
「時計がある場所で寝たことがないわ」
「どんな生活送ってんの?」
中々にパチュリーが砕けた話し方をするようになった。うーむ、やはりというか、なんというか。似合わないなぁ。初対面の時に敬語だったからかな。第一印象、大事。ちなみに今回枕にした魔導書の中身は、『リズムに乗ると身体能力が上がる魔法』である。どこで使えるんだと言いたい。太鼓でも買って自分で叩きながら戦えと。
「その魔法、強化の上限が青天井だから気をつけて」
「え、嘘でしょ」
「美鈴で試したんだから。嘘じゃないわ」
「美鈴か」
美鈴はかなりリズムとか乗るタイプだしな。しかし。自分でリズムを刻みながらとなれば最低でも片手が塞がる。こう、サイコキネシスみたいな魔法はないのか。あったらそれで叩けるのに。パチュリーに聞くか。
「あるわよ」
「あるんだ」
「でもおすすめはしないわ。見えない腕で持つようなものだし、物の重さは実際の腕に…問題なさそうね」
「非力は罪なのね。それじゃ、おやすみ」
「…また?」
「あ、物を仕舞う魔法とかないの?」
「ないわよ。そんなのがあったらこんな図書館構えてないし」
「あー、そうなの。」
また、魔導書を枕に寝る。どこかで太鼓を手に入れなければならない。太鼓は音が響くからねぇ。それにリズムもとりやすいし。適当に叩けば音が鳴るし。うん、便利。ちなみに今回の魔導書の悪夢は、太鼓に手足が生え、僕の背中をバチで叩く夢だった。…なんだろう、前世のどこかで似たようなものを見た気がする。
「…おお、便利ね」
「でしょ。それでも不便なときは不便だけど。」
「単純な力なら紅魔館の中で誰が強いのかな」
「フランドールに一票。というか、美鈴かフランドールでしょ」
「…やっぱりそう思う?」
自分でもそう思う。流石に今の姉さんには負けない。咲夜は論外、パチュリーも…ね。事実上のシードで僕と美鈴。今度やろうかしら…腕相撲がわかりやすいかな。それとも重りで?うーん、魔法で測る手段もなさそうではない。
「意外と軽いわね」
「んー、もう少し重かった記憶もあるんですけどね」
「勘弁して。もう1トン寸前なのよ。フランドールに合わせて館でやってるし、床抜けたら大変なの。わかってる?」
「腕相撲よね」
「ですね。」
腕相撲の結果?考えるだけ無駄です。
僕としては美鈴が勝ってて欲しいな、くらいの気持ちですね。あの人無意識に武術使ってきそうで。