僕はフランドール   作:覚め

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本を読んで寝る。
人間のおそらく理想的な生活。


知らん間に、知らんもの。

「…あら」

 

「お目覚め?私も今目覚めたところ。」

 

「いやね、惰眠を貪っていたつもりはないのに」

 

「200年も寝て、何がしたいのか」

 

「僕はそれで良いの。で、何?」

 

「いやぁ、貴女達にどこかで妖怪の恐ろしさを伝えてほしくてね?人間にさ」

 

何言ってんだこいつ。でもまあ、うーん。一応住んでるんだから、そういうことは必要になってくるのか。面倒だなそれ。でもま、しょうがないよなぁ。来ちゃったし。郷に入っては郷に従えって言うし。その場合、郷はこの胡散臭い八雲紫か。…嫌だな、普通に。何よりも八雲紫に従うのが嫌。

 

「直接力を振るえば良いの?」

 

「いえ。異変を起こしてほしいの」

 

「あー、そういうのは姉さんに言って。僕には無理」

 

「…どういうこと?貴女が一番強いのに?」

 

「そういうもの。そもそも、僕は主人とか無理だし。あ、風見幽香にリベンジしてくる」

 

「は?え、あ、…あー、もう!」

 

走り出す。昼間なので、異形となって走る。異形フランドールだ。もう何十年も前の前世などを忘れて、自由奔放に動いている。走り回って、花畑に着く。やっぱ綺麗だわ、ここ。夜にライトでもつければ、一層綺麗なんだけどねぇ。僕としては、やっぱり夜中に怪しく照らされるひまわりは好きなのよ。

 

「あら、また貴女?」

 

「ええ。朝日を浴びる花は綺麗だし」

 

「私を殺したかった?」

 

「こんな姿になっても、ね」

 

顔面にビームが直撃する。伊達に200年も眠っていたわけではない。防御魔法だったり、強化魔法だったりは使えるようにはなった。欠点として、それでも尚僕はミスれば即死が現実に存在感を現れ始めていることがあるが。まあ、うん。なんとかなるだろう。楽観、大事。

 

「いたぁい」

 

「中々に丈夫になったのね」

 

今度は日傘で突かれる。ギリギリで避けて、六本ある足の中から2本で風見幽香を蹴り飛ばす。この時、自分に重くなる魔法を忘れずに。忘れたら僕が飛ぶ。次に僕を軽くして、サイコキネシスで飛ぶ。

 

「随分と、強くなったのねぇ」

 

「死角はあるわよ。そこを攻めたら?」

 

直後に、上から膨大な量の魔力に襲われる。これが前は受けたら即死のマスタースパークか。痛い、肌が焼ける。でもそれに追いつく速度でちゃんと再生している。これなら勝てるやもしれない。

 

「ふんっ」

 

蹴り飛ばされた。魔力砲を目眩しに使って、贅沢な奴。六本の足でしっかりと止まり、手のひらでいくつか魔力で出来た球体を作り出す。合計で5個が限界か。これを投げて風見幽香に当ててやる。

 

「いけぇ!」

 

「当たるわけないでしょ」

 

予想通り避けられたので、避けたと同時に魔力を爆発。出てきたのは少し土煙を纏っている風見幽香。そこへサイコキネシスでブレーキをかけつつ、こちらも全力で殴る。からぶった拳かあったけどまあ良い。とか思ってたら傘で薙ぎ払われた。脇腹が痛い。あ、でも風見幽香に効いてるぽいぞ。

 

「脆くなった?」

 

「マスタースパーク」

 

恐ろしく自然な動作でビームを撃つな。怖いでしょ。今度は受けきれずに腕が飛ぶ。でも死にはしなかった。ので、こちらも魔力砲でやり返す。ただし、アッパーついでにな。

 

「ていっ」

 

左三つの腕で一気にアッパー。直後に右二つの手で魔力砲。浮いた体でこれはなかなか耐えられまい。

 

「考えたわねぇ」

 

「もう死んでよ」

 

「私が死んだら、このひまわりの世話は誰がするの?」

 

知らないよ、そんなこと。とりあえず再生した腕も含めて全ての手から魔力を放つ。更にサイコキネシスで木を削り、尖らせる。

 

「うっそー…」

 

「尖ったくらいで貫けるなんて、思わないほうがいいわよ」

 

じゃあやっぱり自分の手だ。前回と同じように貫く。前回は貫けなかったけどね。指先に魔力の球体を作って…重さも足して。これで腹を貫けるかな。一か八かの運試し。運試しかな?

 

「ふんっ!」

 

「っ!…危ないわ」

 

「追加でもう一回ね」

 

「は?」

 

魔力の球体が爆発する。その後に追撃として蹴り飛ばし、サイコキネシスで叩き落とす。貫けないのは良いとしても、何故吹っ飛ばないのか。そんなにわかりやすかったかな。とりあえず魔力砲を浴びせる。少しは効いたんじゃなかろうか。効いてて欲しいな。

 

「はぁ…負け、負けよ。なんでそんなに私に挑んでくるのよ。」

 

「あれ、案外すんなりね」

 

「だって、私の服がこれ以上裂けたら…」

 

「あ、なるほど」

 

「貴女は裂けても気にしないのかもしれないけど、私は気にするの。だから負け」

 

「…へぇー」

 

「鴉が、ほら」

 

上を見ると、太陽眩し。天狗がいた。僕と八雲藍の話でも聞いていたのかな。まあよくここまで来たものだ。敬意を表すついでに、魔力を食らわせてやる。どう考えても盗撮はダメだろ。

 

「それじゃ、さよなら」

 

「いや、待ちなさい」

 

「?」

 

「畑、直して」

 

見てやれば、そこには地面がかなり抉れたひまわり畑が。あちゃー、と思っているとクワとスコップとタネを渡される。あ、待って。もしかして、腕が多いから一人で出来ると?あんまり高く見ないで。そんなに便利じゃないのよ。

 

「さて…私は右側やるから。えーと、名前は?」

 

「フランドール」

 

「長いわねぇ…フランドールは左側。タネが足りなかったら言って。渡すから」

 

「はぁ…」

 

「この花畑は綺麗なんでしょ?じゃあ、その綺麗さを保つためにやって」

 

「…よく覚えてるのね」




風見幽香「ちなみに花を踏んだら殺すから」
フランドール「ひぇっ」
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