「妹がこんなに成長してるなんて、思いもしなかった」
「お姉さんがこんなに小さいなんて」
「吸血鬼の年齢なら私もフランドールも赤ん坊同然よ」
目の前にいる小さな子は、レミリアと言うらしい。腐乱人形と銘打たれた僕よりも立派な名前だ。さてそれは別として。この子は僕の姉。つまり、歳上。転生という事柄を信じるか聞いてみた反応から、転生はしていない。うーむ、この世界で転生してきたのは僕一人なのか。
「それでね。私、東洋のとある場所に住みたいの」
「東洋?」
「うん。極東って言ったりもするみたい。東方見聞録では、ジパングって呼ばれてるの!」
…歴史で聴いたことのある言葉だ。黄金の国、ジパング。そこにはどうやら妖怪が住む場所もあるそうで、まあ、そこに暮らしてみたいと言う願いだ。僕にはわからないが、まあそう言うからにはそう言うのだろう。だが、吸血鬼が日本か…チグハグだなぁ。
「でも、そのためには私を封印するような奴らは邪魔だね」
「それもそうねぇ」
なんて話をしていると。轟音が鳴り響いた。城の一部が崩れたのか、空から瓦礫のようなものが降り落ち、僕の近くに落ちる。魔法だって碌に覚えてない、吸血鬼の弱点も多いことを考えて、嫌な気分にしかならない。
「フランドール!伏せて!」
でも好都合。魔法を使えるようになってから、どうにも頭の中に選択肢が浮かんでいたのだ。お姉さんのどこかにあるようでどこにもない物のようなもの、これを握りつぶす。そんな選択肢が他の人にも浮かぶなら、そしてその選択肢を実行したのなら。どうなるのだろうか。
「…あらー」
とりあえず目の前に浮かぶ特大なモノを握りつぶしたら、城が潰れた。潰れてわかったが、今は夜らしい。アホか?そんでもって、潰したせいで色々と死体が多い。父親らしき吸血鬼も死んでしまっていた。…吸血鬼って、死ぬんだ。僕の微かな驚きである。
「…どうしよう」
「ねえ、フランドール…どうしてこうなってるの?」
「さあ?成長しても赤ん坊だから。わかんない」
「お父様も…」
「この館で生きてるのは僕等だけ。かな?うーん、そうでもないみたい」
後ろから矢が飛んできた。物騒な、ここは戦国時代か?避け、放ったであろう人間のモノを握り潰す。すると、その人間が爆散した。面白いな、これ。
「…フランドール、貴女まさか」
「過ぎた力だなぁ。どうする?もうジパング行く?」
「…そう、ね、そうね。ゆっくりと行きましょう」
と言うわけで、その中で時代を見つければよかろうと、恐らくヨーロッパから東アジアまでの道のりが完成。長さが長さなので、フードを被ることに。それと、上手く人に擬態できる妖怪を探しに。まずは、ここいらでは魔女と呼ばれながらも魔女裁判と声を上げようにもその魔女が住まう近くでは声すら出せぬ(らしい)妖怪のところへ行くとしよう。
「お父様が言っていたことだから、あまり私も詳しくないのよ」
「…そう?」
「話によれば、紫色の髪の毛をしてるらしいわ。それと…いや、なんでもない。手掛かりは髪の色くらい」
「どうせなら、眷属増やす?」
「ダメ。それこそ、私たちの存在がバレちゃうじゃない」
「ありゃ、考え足らずだった」
「フランドールは焦るわね。こう言うのはゆっくり行くのが良いのよ」
…先程、崩れた館を出る時に忘れ物がないかどうかを確認していたのは、ゆっくりしていたにカウントできるのか。僕は注意深く周りを見る。どうやら、中世ヨーロッパみたいな感じの風景。中世のヨーロッパ知らないけど。貴婦人みたいなのがいたりして。でも紫色の髪の毛は見ないかな。金色か銀色か黒っぽい色くらいだ。
「森の中と聞いているから、こっちね!」
「いえ、こっち。地図の向きが上下逆」
「あ、あら?」
僕らにとっては木漏れ日すら天敵な状況下で、昼間に動く。森の周りにいる兵士に見つからぬよう移動するのは面倒だったが、なんとか入り、変な家を見つける。僕の記憶で言えば、そうだな。洞穴のような場所だ。その中に一つだけ扉がある。多分、魔法でその先を拡張しているんだろう。
「はーい、こんにちは!」
「前頭葉が縮む音がする」
「…だ、だれ?」
すると。意外にも小さな子だった。なんだ、魔女も子を成すのか。ファンタジーの中でも異例だな…
「ここに…えっと、パチュリー・ノーレッジがいるって聞いたのだけれど」
「わ、私…」
どうやら目の前にいるのが噂の魔女らしい。
「…貴女、何歳?」
「レディにいきなり年齢を聞くのはダメ。それに噂になるくらいには実力も年齢もあるでしょ」
「え、そうだっけ…こほん。私はレミリア・スカーレット。こっちは私の妹、フランドール。」
「知ってる。最近だと有名になりかけていた感じの家柄で、つい先日に館が潰れた」
「よくご存知で。」
「お父様から聞いたの。貴女の実力とか、諸々ね。それで、頼みがあるんだけど…」
「話すなら、フランドールは席を外してくれる?少し魔力が臭いの」
「殺すぞ」
「フランドール。」
「はいはーい」
「…え、魔力に匂いなんてあるの?」
「感覚的な話。雑で放りっぱなしな魔力はキツイのよ」
「…私は?」
「そんなに匂わないわね」
…つまり僕は見る人から見ればクッッッソ臭いと言うことだ。うぇーん。とまあ、交渉はお姉さんがやってくれるらしいので。その間に空を仰ぐ。肌が焼けるのを感じて咄嗟に頭を伏せる。あぶな、自滅するところだった。日に対する魔法とかないのだろうか。日焼け防止の感じで。
「…熊?」
今日の昼は動物の肉に決定だ。
パッチェさんとの出会い捏造編です。このままアジアまで行くとなると、咲夜さんが探せません。まあ、なんとかなるでしょ。